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2008.04.08

『七本腕のジェシカ』読了

51ldjsy2brpl__ss500_七本腕のジェシカ』(木村航/MF文庫J)読了。

うへへへへ…たまらんなあ…これはもう純度100%の木村航じゃのう…むふふふ(キモイ)。と久しぶりに狂喜した木村航でありました。最近、hatikadukiさんといくつか意見交換をしたときに僕が勝手に定義した『己の内面世界をダイレクトに反映』させるタイプであるとともに、その内面世界、すなわち妄想を論理的に積み上げていく、ある種古橋秀之と同じ方向性を持っている人なんだよなー。ただし、木村航の場合、物語が進んで行くうちに世界観が登場人物たちの情念によって変質し、崩壊し、蹂躙されるのが特徴なんでございます。

この作品で言えば、もちろん異常なイメージの産物である”汎不死社会”と呼ばれる世界観があるだけど、これはつまり吸血鬼に支配された社会なんですね。ただし、作中では吸血鬼のきの字も出てこないところが徹底していて、つまり、そこで生きる人々にとっては、吸血鬼は吸血鬼ではなく、単に使えるべき存在、”貴族”でしかない。人間は、彼らに血を吸われることを名誉として、そうした人間は特別な存在”瀉血奴隷”として不死の恩恵を得る、といった、読者に対してノー説明で世界観に叩き込む力伎もまた木村航の特徴よなあ。なんにもわからんのに、とにかく凄いものを見せられたような気がしている。素晴らしいわー。

んで、瀉血奴隷として貴族の僕として生きるエドガーの住む街に、七柱の魔王をその身に宿し、貴族の魂の”刈り入れ”する(おそらくは”汎不死社会”における抑止者、審判者のような存在であろうと思われるが)”七本腕”のジェシカがやってくる。(我らの視点では)異常な世界において、しかし、汎不死社会に対する当たり前の疑問の根を抱くエドガーと、己のありかた、審判者としての責務に疲弊したジェシカが、お互いの中に同質の疑問、すなわち『我らは、なぜ、このようにして生まれ、このように生きなくてはならないのか』を見出すボーイミーツガールでもあるのだ!

わりとリリカル、ロマンティック。しかし、根本にあるのは狂気ともいえる人間の情念、否、情念こそ人間の本性であり、その想いが世界を変えていくのだ、と言う強い信仰。そして暴力的なまでもイメージの乱舞。やっぱ、木村航のこういうところが好きなんだよなー(古橋秀之から情念を増やして、論理性を減らした感じの作風、っていうと通じ易いのかな?)。

一巻でこれなんだから、さらに情念をねじ込んでくる二巻以降が嫌が応にも気になってくるってもんだ。とりあえず、一巻を読み返して、もう一度世界観を理解して待つことにするぜ!

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