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2008.01.15

『続々 殺戮のジャンゴ害伝 地獄のビッチハイカー』読了

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続々殺戮のジャンゴ害伝 地獄のビッチハイカー』(佐藤大とストーリーライダーズ/ガガガ文庫)読了。

そういえば『続・殺戮のジャンゴ 地獄の賞金首』(注:エロゲー)をクリアしていたんだけど感想を書いていなかった。タイトルからも分かると思うけど、戦闘美少女萌えとかそういうものを地平線の彼方に投げ落とした完全自立型キワモノヒロインズ(何それ)が殺ったり犯ったりするスーパーでマーベラスな作品でした。悪党とビッチしか出てこないという潔さに痺れる。で、大変そちらも面白かったのだけど、何を思ったか佐藤大がそんなキワモノエロゲーをノベライズをするという暴挙に出たことに驚いた記憶はいまなお鮮やかに思い出せる。いささか戦々恐々としながら読んでみたところ…お、面白い…。面白いぞこれ!

実は原作とは舞台設定を共有しながらもまったく別の作品になっている。設定を共有しているといっても未来兵器が使用できず西部劇のような武装しか出来ない惑星スイートウォーターと言う設定だけがあって、そのほかの物語でもキャラクターにも直接のつながりは無い。キャラクターそのものはどこかで見たような人たちではあるけれども、原作との関係は無い様子。これはただ設定だけを持ち寄って、佐藤大がひたすらバカでキッチュな物語を追求したと解釈するべきなのだろう。

これは「天国までイキたいの! ビッチハイカー」と言うお色気と殺戮が渦巻く深夜番組のディレクター(主人公)が”名無しの女”こと元気コーディネーターを相棒に、クソッタレな惑星で無残に殺されていくビッチたちを被写体としてカメラに収めていくという実にクソッタレな作品である。他者の不幸をぎらつく欲望に満ちた視線でシュートするディレクターが非常にイカレていてクールだ。かつては理想に燃えていた男が、現実との葛藤に擦り切れて、残ったものがただ「撮る」ことへの欲望だけに純化していく様がそこにはある。人間としての最低限の誇りさえ失っても捨てられないものにしがみつくその姿は、醜く、おぞましく、そして感動的でさえある。そんな人間のくずである主人公を支えてくれるのが元気で可愛い”名無しの女”。彼女は原作とは完全に別キャラになっているんだけど、彼女がこのクソッタレな物語を、どこか明るく希望をもたらしてくれている。クソのような生き方しか出来ない主人公が、もしかしたら救われることもあるのではないか、と言う希望があるんだけど、さて二人の関係の結末やいかに!?と言う読み方も可能である。

ま、こんなクソッタレな現実において、美少女が救ってくれるなんてことは無いんだけどね(ゲラゲラ)(この主人公はそんなこととっくに分かってんだよなー)。

どうやら続巻らしいので、素直に期待いたします。こんなクソのような仕事を、クソであることを自覚しながらもクソとして生きていこうと決意した主人公の人生は、ある種の喜劇だ。

そしてある種の喜劇とは悲劇に似ている。

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