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2008.01.27

『ほえる犬は噛まない』を観た。

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『グエムル』が超面白かったので同じポン・ジュノ監督の『ほえる犬は噛まない』を観てみた。これもけっこう面白い。

ペ・ドゥナが地味でかわいいなあ、とか戯言は置いておくとして。

とあるマンションの敷地内だけで話が転がっていくのが面白かった。中心となるのは、教授になりたいのに処世下手のために教授になれず、日々鬱屈している男と、そのマンションの事務員をしている女の子なんだけど、その他にも、ちょっと(と言うかかなり)変わった個性的な登場人物たちが、いろいろ動き回って事態が変わっていってしまう展開が小気味良い。

画面の切り替わりがとても気持ちよいのだけど、『グエムル』のことで存分に発揮していたギャグなのか真面目なのか分からない、とぼけた演出もいい。女の子が、クライマックスで犬殺害犯(模倣犯の方)を発見して、犯人とチェイスするシーンなんて、緊迫した場面なのに、どこかおかしい。犯人も「一緒に食べよう?」なんて言ってんじゃねえよ!

もちろん、そういう笑えたり、サスペンスフルな展開も上手いのだけど、一方ですごく繊細な描写が非常に上手い。ペ・ドゥナとその親友の太った女の子(名前が出てこない…)のやりとりなんて、すごく描写が細かくて感動してしまうのだけど、僕が本当に監督すげーと思うのは、一連の事件の犯人であるイ・ソンジェについての描写が深いこと。

自己憐憫に支配されて周囲すべてに憤りを感じていた男が、単純に己が捕らえていた世界が、実は彼が思っているほど人々は単純には生きておらず、色々なものを背負っている事を知っていくことで、少しずつ自分自身の愚かさに気がついていく過程がすごく丁寧だ。罪の意識に怯え、自分の愚かさに打ちのめされた彼が、最後に自らの罪をペ・ドゥナに告白しようしたシーンのやりとりが素晴らしすぎる。

ここで、イ・ソンジェはペ・ドゥナにすべてを明かそうとするのだけど、しかし、ペ・ドゥナはいつまで経っても彼の罪に気がつかない、ように見える。この場面の中で、ペ・ドゥナが本当に気がついていなかったのか、あるいは気がついていたけど追求をしなかったのか、それすらも分からないまま、イ・ソンジェは己の罪の許しを得る機会を失ってしまう。

イ・ソンジェは、そのあと何やかやで教授になれるのだけど、結果的に、彼はその罪を背負わされたまま、どこか呆然と景色を眺める場面に移る。そしてゆっくりとうつむいて行く姿を持ってきたラストシーンは、マジで鳥肌ものだった。彼に背負わされた罪は、生涯ついて回る。そのことに打ちのめされた男の姿なのだ。

以下、感想とはあまり関係の無いこと。

・韓国って町並みとかは日本と全然かわんねーんだけど、ところどころ違和感つーか、違うんだよな。街中で消毒剤を撒くとか、何だよ!そんなに不潔なのかよ!

・イ・ソンジェと警備員さんの会話で、ペット禁止のマンションで、好き放題にペットを飼っているおばあさんを観て、「韓国人は規則も守らないからねえ」みたいな会話をしていて笑った。韓国人自身もそう思っているんだ…。

・つーか、実はポン・ジュノ監督って、韓国(人)嫌いじゃね?韓国の風土とか国民性をあげつらう毒がそこかしこに見受けられるんですが…。

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