« 2007年12月 | トップページ | 2008年2月 »

2008.01.31

買ったもの

今日は頭が痛いのでとっと寝る。

最近買ったもの。
1.『はやて×ブレード(8)』 林家志弦 メディアワークス
2.『倚天屠龍記(3) 盟主の条件』 金庸 徳間文庫
3.『薔薇のマリア Ⅸ.さよならの行き着く場所』 十文字青 スニーカー文庫
4.『ミスマルカ興国物語Ⅰ』 林トモアキ 角川スニーカー文庫
5.『レンズと悪魔Ⅵ 魔神応報』 六塚光 角川スニーカー文庫
6.『シルバーネイル』 ジャック・ヨーヴィル HJ文庫

吸血鬼ジュヌヴィエーヌってまだ本があったんだ…。知らなかった…。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.01.30

『ねくろま。3』読了

51tdqt3a35l
ねくろま。3』(平坂読/MF文庫J)読了。

く、くだらねー。実にくだらねー。本当にくだらねー。心底くだらねー。一番くだらないのは、作者が分かっててやっているところなのはもちろんなのだが、作者の意図を踏まえつつ、そして意図的に曲解することにより作者のツンデレ(読者に対して)に萌えてしまう…そんな自分に腹が立つ(中条長官…燃え尽きた日ではあんなことに…)(どうでもいい)!!

ええと…今回はメイド+執事喫茶の話だったっけ?あとはいつも通りにツルペタ幼女とツンデレと双子が出てきていたような。ストーリーは無きに等しいけれど、これは過剰な萌え+エロ要素そのものをネタとして楽しむ作品なんで、もはやそんなものはどうでもいいんじゃないでしょうか。要するにこれはギャグですからねこれ。ベタに読もうとして怒ってはいけません。

まあ、僕のような重度の平坂読原理主義者だけ楽しんでいればいいんじゃないでしょうか。久しぶりに、感想を書くことの無意味さを思い出させてくれたこの作品は、やっぱり偉大だと思いましたですよ。

追記。
シズが出てきたということは、ラスボスは”彼”ですか。前シリーズのリベンジになるんですかねえ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

『ゼロの使い魔(13)<聖国の世界扉>』読了

51lss8fzgtl
ゼロの使い魔(13)<聖国の世界扉>』(ヤマグチノボル/MF文庫J)読了。

なんか最近、読めば読むほどに『ゼロの使い魔』って丹念に世界設定をされていることに気がついてきた。まあ、基本的にヨーロッパをモデルと言うかそのまま持ってきているのだけど、単にそれっぽくしているだけじゃなくて、度量衡から政治体制と国家間の関係まできちんと設定しているのが分かる。

きっと、世界観に曖昧な部分を残していないんですよね。その国はどのような歴史を持って成立してきたのか…人々の風俗や文化がどうなっているのか、場当たり的ではなく、事前にきちんと構築している。だから作品がいくら進んでいってもブレがない。もちろん、作品の基本的なところには、サイトとルイズを始めとしたツンデレラブコメ的な要素がクローズアップされていて、決して物語の背景が目立つことは無いんだけど(逆にそれが僕は凄いと思うんだけど)、この作品を評価する上で、決して無視してはいけないことだと思う(余談だが、アニメ版の評判を聞いていると、適当にエピソードを端折って、設定を改ざんしまくってて矛盾が出まくりと言う話があるので、そういうところがあまり理解されていなかったのかな、と思う。観てないからあまり強いことは言えないんだけど)。

そのあたりのブレの無さと言うのは、設定だけじゃなく、物語にも同じことが言える。おそらく、ヤマグチノボルは、この作品の終わり方がきちんと見えていることは間違いなさそう。このタイミングでノートパソコンを持ってくるとは…!と、正直、背筋が震えた。一巻から存在はあったわけだから、なんと言う遠大な伏線…。しかも、メール。あれは反則。前々巻で、サイトの郷愁について、きちんとエピソードを持ってきたからこそ、このメールが生きてくるわけだから、やっぱり、展開と効果をきちんと計算しているんだろうね。その計算にまんまと嵌められてしまうわけだが…これはヤマグチノボルが凄かった、と言うことで一つよろしくお願いいたします。

それにしても、ガリア王ジョセフの、悪役としての存在感は異常なことになってきたな…。単に悪ではない、ただひたすらに人間的な哀しみに満ちた悪役像は、一層の凄みを帯びつつある。教皇ヴィットーリオの峻烈な正義と共にある狂気もまたあらわになってきているし、やはり、ヤマグチノボルは負のエネルギーを描くのが上手いや。

おそらくさらなる波乱に満ちるであろう、次の巻も期待をせずにはいられません。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2008.01.29

買ったもの

最寄の本屋に寄ったら、『赤×ピンク』とか『GOSIC』とかに「直木賞受賞おめでとう!」と手書き(<重要)の帯がかけられた桜庭一樹コーナーが出来ていた…。別にオタク向けとかそういう本屋じゃないのに…。

担当者は出来ておる嚢・・・。

1.『マーベラス・ツインズ』 古龍 ゲームシティ文庫
2.『神様のパズル』 幾本伸司 ハルキ文庫
3.『ワイド版高橋葉介セレクション 帝都物語 TOKYOWARS』 原作:荒俣宏 漫画:高橋葉介 宙出版
4.『瞬撃のヴァルキリィ』 深見真 ファミ通文庫
5.『チャリオンの影(上)(下)』 ロイス・マクマスター・ビジョルド 創元推理文庫

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.01.27

『ほえる犬は噛まない』を観た。

518g0r1mxl
『グエムル』が超面白かったので同じポン・ジュノ監督の『ほえる犬は噛まない』を観てみた。これもけっこう面白い。

ペ・ドゥナが地味でかわいいなあ、とか戯言は置いておくとして。

とあるマンションの敷地内だけで話が転がっていくのが面白かった。中心となるのは、教授になりたいのに処世下手のために教授になれず、日々鬱屈している男と、そのマンションの事務員をしている女の子なんだけど、その他にも、ちょっと(と言うかかなり)変わった個性的な登場人物たちが、いろいろ動き回って事態が変わっていってしまう展開が小気味良い。

画面の切り替わりがとても気持ちよいのだけど、『グエムル』のことで存分に発揮していたギャグなのか真面目なのか分からない、とぼけた演出もいい。女の子が、クライマックスで犬殺害犯(模倣犯の方)を発見して、犯人とチェイスするシーンなんて、緊迫した場面なのに、どこかおかしい。犯人も「一緒に食べよう?」なんて言ってんじゃねえよ!

もちろん、そういう笑えたり、サスペンスフルな展開も上手いのだけど、一方ですごく繊細な描写が非常に上手い。ペ・ドゥナとその親友の太った女の子(名前が出てこない…)のやりとりなんて、すごく描写が細かくて感動してしまうのだけど、僕が本当に監督すげーと思うのは、一連の事件の犯人であるイ・ソンジェについての描写が深いこと。

自己憐憫に支配されて周囲すべてに憤りを感じていた男が、単純に己が捕らえていた世界が、実は彼が思っているほど人々は単純には生きておらず、色々なものを背負っている事を知っていくことで、少しずつ自分自身の愚かさに気がついていく過程がすごく丁寧だ。罪の意識に怯え、自分の愚かさに打ちのめされた彼が、最後に自らの罪をペ・ドゥナに告白しようしたシーンのやりとりが素晴らしすぎる。

ここで、イ・ソンジェはペ・ドゥナにすべてを明かそうとするのだけど、しかし、ペ・ドゥナはいつまで経っても彼の罪に気がつかない、ように見える。この場面の中で、ペ・ドゥナが本当に気がついていなかったのか、あるいは気がついていたけど追求をしなかったのか、それすらも分からないまま、イ・ソンジェは己の罪の許しを得る機会を失ってしまう。

イ・ソンジェは、そのあと何やかやで教授になれるのだけど、結果的に、彼はその罪を背負わされたまま、どこか呆然と景色を眺める場面に移る。そしてゆっくりとうつむいて行く姿を持ってきたラストシーンは、マジで鳥肌ものだった。彼に背負わされた罪は、生涯ついて回る。そのことに打ちのめされた男の姿なのだ。

以下、感想とはあまり関係の無いこと。

・韓国って町並みとかは日本と全然かわんねーんだけど、ところどころ違和感つーか、違うんだよな。街中で消毒剤を撒くとか、何だよ!そんなに不潔なのかよ!

・イ・ソンジェと警備員さんの会話で、ペット禁止のマンションで、好き放題にペットを飼っているおばあさんを観て、「韓国人は規則も守らないからねえ」みたいな会話をしていて笑った。韓国人自身もそう思っているんだ…。

・つーか、実はポン・ジュノ監督って、韓国(人)嫌いじゃね?韓国の風土とか国民性をあげつらう毒がそこかしこに見受けられるんですが…。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

買ったもの

昨日(正確には今日だが)の『人類は衰退しました』の感想はちょっと書きすぎた。もうちょっとまとめたかったのだが…と言うか、もうそういう問題ですらない散文になっているが…いつものことか。つーか、ライトノベルサイト杯に入れれば良かった。

以下、買ったもの。

1.『魔法先生ねぎま!(21)』 赤松健 講談社
2.『マヒルの用心棒♯2』 大岩ケンジ 角川書店
3.『バトルガール』 原作:芹沢大助 漫画:伊藤明弘 徳間書店
4.『ネガティブハッピー・チェンソーエッヂ(1)』 原作:滝本竜彦 漫画:佐伯淳一 角川書店
5.『カタブツ』 沢村凛 講談社
6.『マッチスティック・メン』 エリック・ガルシア ヴィレッジブックス

| | コメント (0) | トラックバック (0)

『人類は衰退しました(2)』読了

51qs79lgxxl
人類は衰退しました(2)』(田中ロミオ/ガガガ文庫)読了。

正直なところ、手放しで褒めちぎりたいのだが、さすがに痛々しい信者発言になってしまうので自重する。

田中ロミオは超サイコー!(自重してねえ)

「人間さんの、じゃくにくきょうしょく」

つまりこれはあれだ。ニルスの不思議な旅。あとガンバの大冒険。のオマージュ。

あー認識が異なれば世界の見え方が違う、と言う話を、超わかりやすく説明してくれる話でもある。知性と認識をめぐる話、とか。知性とは、世界を認識する領域を示すものである、とか。

つまり、ハムスターサイズになった”私”にとって、樹林の先端は不可知の領域であるように。さらに小さくなってしまった”私”にとって、妖精さんの腰から上は不可知であるように。人間にとってもまた、その知性より不可知の存在がある。世界は決して不変のものと言うわけではなくて、認識によって変わる。というか、世界は不変だけど、人間が認識できる領域には限界があるわけで。

世界をビル構造だとして、人間の認識している領域が、ビルの10~12階ぐらいだとする。それ以外のフロアに移動しようとしても、出来ない。でも、本当は上にも、下にも階層があって、それがどこまでつながっているのか、人間には想像することしか出来ない。世界は20階建て?30階建て?下には?地下もあるの?とか。世界は無限につながっている、と言うことで。きっと、妖精さんとは、きっとビルの10階あたりを共有しているだけで、それより下の階で何をやっているのか、人間には分からない。と言うより認識出来ない(分からないということさえ分からない)。

でも、きっとそこには、そこの世界があるわけで。ハムスターや、虫や、樹木の認識が存在すると。そうすると、上の世界もきっとあって、つまり、”神”とか、そういう存在。ハムスターや、虫に意識があると仮定すれば、きっと神も存在すると言う仮定もありえるわけね。

あー。あと、認識が異なれば世界が変わるということであれば、同じ人間同士でも、異なる世界を見ているんだよねーと言う話でもあるか。お祖父さんと”私”の間では、(世界に対する知識の差があるゆえに)きっと見えている世界が異なっているはず。人間は孤独だー!

まあ、その溝を埋めるために、人間はコミュニケーション、すなわち言葉を発展させてきたわけなんだなー。
 
 
とか思うと面白くね?と言う話。たぶん。
 
 
「妖精さんの、じかんかつようじゅつ」

出来事だけを見ると非常にシンプル。(1)妖精さんはお菓子をいっぱいたべました。(2)助手さんの自分探し。これだけ。

助手さんの自分探しの話。彼は不確定な存在なので(と断言していいのかしら?)、自分を確定してくれる他者の存在を求めていたんだよね。無個性な存在が何を思うのか、といえば個性を得たいという気持ちである、と作中で”私”は言っていたけど、個性を得たいという衝動は、「他者」の存在を認識して初めて得られるものだから(って、これもまた認識の話なのか)、そんなに簡単にはいかんだろう、と思う。他者に興味を持つことからはじめなくっちゃね。

自分を確定してくれる”他者”として、助手さんは”私”を選んだ。なんでよりによって”私”なの?…なーんて確認するのは無粋も極まるってモンだ。助手さんにだって選ぶ権利はある。ワーオ!ラブ臭がするよ!ラブ臭がするよ!

…まあ、本当に”私”でよかったの?と言う気もするけどさ。
 
 
あー。あと『あなたは前よりちょっとだけ、視野が広くなったんですよ』ってところ。これも認識の話。「人間さんの、じゃくにくきょうしょく」が”縦方向”への視野の広がりがあったとすれば、この「妖精さんの、じかんかつようじゅつ」では、いわば”横方向”への視野がある。つまり、主観と客観の話。

自分自身のことは、自分が一番良く分かっている、なんていう言説こそ戯言であるのは言うまでも無いのだけど。自分を知るためには、自分自身を客観視することが必要であること。あとは、外部との(それこそ認識の異なる個性を持った)存在との”摩擦”によって、自分の形を見定めることが必要、なのかもしんねえなあ。コミュニケーションと言うのは、外部に働きかけるだけじゃなくて、内部にも影響するモンなんだよなー、とかコミュニケーションが苦手な自分が言ってみる。概して、コミュ下手な人間は主観的になりがちだしなー。…うわ、自戒、自戒ですよー。

まあ、それは良いとして。良くないが。
 
 
結局、今回収録されている2編は、どちらも”世界を認識する”と言う行為の、異なる側面、つーか、手法を現しているのだな、と。主人公である”私”は、世界には認識出来る限界が存在し、しかし、限界の向こう側は確かにあるということ。そして、世界を認識する主体である内部を少しだけ理解出来た。そして同時に世界と言う認識を共有する相手を得た…つーか、得られるかもしんない。

コミュ下手で閉鎖的な”私”が、少しずつ視野を広げていく話なんだなあ、と考えると、なんか、その、凄く感動してしまうのだった。

「探し物は、見つかりましたか?」
少年はわずかに頬を染め、小さくうなずきました。

ここには、誰かとコミュニケートする喜びに満ち溢れている。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.01.26

2007年下半期ライトノベルサイト杯

いつものことながら2007年下半期ライトノベルサイト杯に投票いたします。
よろしくお願いいたします。

以下、新新規作品部門を順不同にて。

【07下期ラノベ投票/新規/9784894255708】
「たま◇なま ~生物は、何故死なない?~ 」(冬樹忍/HJ文庫)

会話が死ぬほど楽しい。楽しいだけではなく深刻で、シリアスでさえあるのに楽しい。悲劇を悲劇的に描くことが物足りないと思う人にオススメ。…ってわかりにくいよ。

【07下期ラノベ投票/新規/9784344013988】
「黄金の王 白銀の王」(沢村凛/幻冬舎)

例によって、ライトノベルとの境界線上にある作品。純然たるファンタジー大河ロマンであると同時に紛れも無いキャラクター小説でもあります。

【07下期ラノベ投票/新規/9784044729035】
「ばいばい、アース I 理由の少女」(冲方丁/角川文庫)

この作品は、冲方丁が自らを作家と言うまったく新しい環境に自らを投げ入れる、すなわち旅立ちの時期に書いたもの。旅立ちまでの不安と葛藤、さまざまな摩擦を描いた作品で、正しく冲方丁と言う作家はここから始まっていると言える。

【07下期ラノベ投票/新規/9784150309046】
「時砂の王」(小川一水/ハヤカワ文庫JA)

コンパクトにまとまった小川一水。それってけっこう重要だよね。

【07下期ラノベ投票/新規/9784344013841】
「有頂天家族」(森見登見彦/幻冬舎)

とりあえずオレは森見登見彦が好きすぎる!と言うことで。
 
 
以下、既存作品部門。

【07下期ラノベ投票/既存/9784829163955】
「食卓にビールを6」(小林めぐみ/富士見ミステリー文庫)

完結した、と言うことに未だに納得が仕切れない。すぐにでも続きが出そうな気がするのだが…。

【07下期ラノベ投票/既存/9784840120579】
「えむえむっ!3 」(松野秋鳴/MF文庫J)

読むだけで脳のシナプスが火を噴く感覚。ただならぬ個性を持った変態たちが出てくるのに、作品自体は爽やかと言うのがなんとも・・・。

【07下期ラノベ投票/既存/9784094510393】
「武林クロスロード (2) 」(深見真/ガガガ文庫)

2007年下半期は、僕が深見真を”発見”したとして歴史に刻まれることになるであろう!括弧笑い。
深見真が、あまりにもガチすぎる作家であるということを心底思い知らされました。

【07下期ラノベ投票/既存/9784086010900】
「流血女神伝 喪の女王(8)」

完結記念。大いなる神々が生きる世界と、小さな個人が生きる世界が共存し、お互いに影響しあいながら一つの時代の終焉を描いたこの作品は、ちょっと、言葉に出来ない凄さがあるよなあ…。

【07下期ラノベ投票/既存/9784198927035】
「秘曲笑傲江湖(7)」

完結記念。まあ、金庸作品はまだまだ刊行されるから大丈夫だ。この物資があればあと10年は戦える!そういうわけなんでライトノベル読者はとにかく金庸読むと良いと思う。1950年代にすでにこの人はツンデレを発見しているんだぜ!?しかも現代に通用するレベルで!

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.01.25

『創世の契約(3) 傭兵王』読了

51xitabuyfl
創世の契約(3) 傭兵王<レギオネスト>』(花田一三六/C・ノベルズファンタジア)を読んだ。

2巻において絶大なる影響力をもった、傭兵団長ライゲンベックが凶弾に倒れるという展開。こういうの、主人公に対して強い影響力を持った庇護者が、道半ばにして倒れる、というのはビルドゥンクスロマンとしては王道だよな。もっとも、ライゲンベックがあっさり復活してしまったのには、少々肩透かしだったけれども。

けど、物語がそのままレスティの成長物語には進まず、傭兵王とも呼ばれることになったライゲンベックと、その仲間たちの物語に移ってしまったことを考えると、これで良いのかもしれない。と言うか、作者の中では、この作品はレスティ(ベルネ)の物語ではないんだろうね。

視点があっちこっちに飛びまくり、凶弾を放った犯人探しをやっているかと思えば、橋作りの職人たちのいがみ合い、あるいは若きライゲンベックとその仲間たちの立身出世物語と、わりとごたまぜ感があるんだけど、これは、人間と混血の希望である「傭兵王国」そのものを描こうとしているのだ、と思うと納得が出来た。

ちょっと詰め込みすぎ、つーか、圧縮しすぎなところがあるんだけどね。まあそれはそれで。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.01.23

『カッティング ~Case of Tomoe~』読了

51qcvkttyal
カッティング ~Case of Tomoe~』(翅田大介/HJ文庫)読了。

なんかこう、この作品には、独特の温度の低さがあって良い。カッティング、と言うタイトルが示す通り、傷ついている少年少女の話なんだけど、作品中で、傷をいたずらに神聖視しないところが、この温度の低さにつながっているのかな、と思う。よく、いわゆるセカイ系と呼ばれる類い(と僕が思っている作品)では、傷を持つと言うことは、すなわち聖痕につながるというか、選ばれし者としてもトラウマが付与されるケースがある。傷を受けることで、その世界における異物となるということは、否応なしにドラマが生まれるものだからね。だから、わりと選ばれし者、と言うか英雄は異相を持って生まれてくる、と言われている。

で、この作品なんだけど。この作品でも、わりと傷、トラウマと言うものは重要な地位に位置づけられている、ように見える。主人公の家庭の事情は複雑で、その複雑な過去からの出来事が、現在に現れて、主人公は葛藤する展開になるわけだ。ヒロインも、実に悲惨な過去を持っていて、その苦しさにもがきながら主人公とぶつかり合う。うん、非常にドラマティックだよね。

ところが。物語の後半で、その傷と言うものは、別段特別なものじゃなくて、単に思いつきとか、面白いからとか、まあ誰かの理屈っつーか都合で付けられたものに過ぎないということが分かる。まあそれはそれで悲惨なことではあるんだけど、同時に、そんなふうな悲惨さと言うものは、だれかの都合でいくらでも付けられているのだ、と言うことでもあるわけで。まさしく、悲劇的であるがための悲劇であって、特別でもなんでもないことと言う結論があって。

そんで、そういうトラウマでさえ、主人公たちを”特別なもの”への担保とならない点が、非常に容赦がない作品であるなあ、と思ったりしたわけです。

まあ、だからなんだ、という話ではあるんだけど。

ただ、信仰するべきもの(ここではトラウマがそうなんだけど。まあ他にもいろいろ)が何一つない不毛さを知りながらも、それに代わるものを得ようという作品なんだろうなあ、と、僕は評価していて、今のところ恋愛がその担保になっているようだけど、もしかするとさらに深い、根源的なものを求めていくのではないかなあ、とこの作者には大いなる期待を寄せているのでした。

つか、僕はこういう方向性の作品が好きなんだよな。『この世にあるもので価値あるものは何一つ無い。あるとしたら、自分で作り出したものだけだ』(by銃夢のイド・ダイスケ)を実践しようとしている話。冲方丁もそれをひたすら追い求めている人なんで好きなんだ。

まあ、その、自分でもな。がんばるよ、うん。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.01.22

『海は涸いていた』読了

511ektqhy6l
海は涸いていた』(白川道/新潮文庫)感想。

人に薦められたので読んだ。

純度100パーセントで送る親父の願望充足小説。いや、別に悪くは無いのだが。恥ずかしさで言えばどっこいどっこいのレイモンチャンドラーは格好いいと思えるのに、何故、この作品はこんなに気恥ずかしく思えるのかが良く分からん。おそらく、僕があまりにもネタ文化に親しむひねくれた読者になったせいなのだろうが・・・。マンションから夜景を眺めつつブランデーを傾けたり、事務所の女の子にちょっとセクハラで小粋なトークをかましてモテモテな主人公などの描写がギャグではなく大真面目に描いるあたり、僕とは違う文化圏の作品なんだろう。なんと言うかジェネレーションギャップをひしひしと感じる。読みながらどういう反応を求められているのかちょっと考えてしまうと言うか。いや、これは僕があまりにベタをネタとして消費することに慣れすぎたのが原因であって、作品が悪いわけでは全然無いんだけれどもね。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

『永遠の戦士コルム2 雄牛と槍』読了

51dlaofklnl
永遠の戦士コルム2 雄牛と槍』(マイケル・ムアコック/ハヤカワ文庫SF)読了。

永遠の戦士、コルムシリーズの完結編。前シリーズで法と混沌との戦いに決着をつけ、神々すべてを追放したコルムの新たな冒険は、はるか未来における愛した女性の子孫たちからの呼び声から始まる。なんだかんだで前作のヒロインの添い遂げることが出来たコルムだったけど、マブデンとの寿命の差によって別離を強いられてしまったことの苦悩から新たな闘争を求めるエターナルチャンピオンの良くない習性が出ておりますね。コルムは、エルリックと比較すると運命な従順な印象があるけど(エルリックが己の運命に抗いすぎと言う説もある)、その分、運命をめぐる苦悩は少なく、極めて英雄らしくある、と言うのは皮肉なことだ。つまり”供贄”としての英雄である。コルムは己の属した時間、己の故郷さえもすべて失いながらも、マブデンたちを助け、そして英雄としての人生を完結させる。それは何者か(まあ、作者なんだけど)の描いた予定調和で完結しており、その意味ではまことの”運命に使い捨てられた男”であった、とコルムの人生を現すことも出来る。本当にそれ以外の表現が見つからないところが、ムアコックの持つ虚無感であり、”英雄的存在”に対する(そして英雄的存在を必要とする世界に対する)疑義を差し込まずにはいられない願いが感じられるのである。コルムは英雄として生きてしまったがために、英雄として死ぬ運命さえ受け入れてしまったのだな…。

物語的には、これはひょっとして<百万世界の合>が過ぎ去った後の物語になるのであろうか?今回、コルムが立ち向かうべき存在と言うのは<フォイ・ミョーア>と呼ばれる妖の者。コルムがマブデンの王たちに受けた説明によると、もともとエントロピーの神が、不治の病に取り付かれ、さまよい続けている存在などという。つまり混沌の神の成れの果てか…。

永遠の戦士が持つ史上最大の戦いの時期に、<百万世界の合>と言う瞬間があって、このタイミングで行われる戦いは、それこそ一切の並行世界、平行宇宙の存亡に影響を与えるものになるらしい。大抵はエターナルチャンピオンの最後の戦いがそれにあたるんだけど、どうもジャリー・ア・コーネルの言い回しからすると、コルムの世界における<百万世界の合>は過ぎてしまっているらしい。つまり前回の戦いがそれだったわけで。と、言うことははるか未来で行われる戦いと言うのは、おそらくは世界がファンタジー(すなわち神)を必要としなくなっていく過程そのもの。その変化を受け入れることが出来ず病み疲れた存在が<フォイ・ミョーア>なのだろう。すでに存在価値も無い、誰からも必要とされない、後は崩れて滅びるだけの存在。彼らは自らの滅びを世界すべてを巻き込もうとしている・・・。いと哀れだ。

これは、ようするに世界にとっての後始末なんだろう。世界は神を必要とせず、別のやり方で生きていくことになる過程で、神を切り捨てる行為そのもの。その過程にコルムが立ち会ったというだけなのかもしれない。

そうしてコルムは神を、かつてはそうであったものたちを殺し、かつては大いなる力を振るった地精たちも送還し、魔法と呼ばれるものも封印した。世界は人間の手にゆだねられ、新たな世界が始まる偉大なる一歩を踏み出した。

そして、世界は、最後の幻想を捨て去っていく。

銀の手など数多くの異名を持った隻眼、隻腕、世界で最後のヴァドハー族である英雄。半神とまで謳われた彼こそが、この世界に残された幻想である。

幻想である彼の行くべきところはどこにも無い。生涯を神々との戦いに生きた男は、愛も友も命さえ得るものもなく、ただ死んだ。

英雄は死んだ。彼はマブデンに永遠に語り継がれることであろう。だが彼の孤独を癒してくれるものは永遠に失われてしまったのだ。

それでも永遠の戦士は、またいつか、どこかで転生し、戦い続けていくことであろう。

ただ、その戦いに意味のあらんことを。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2008.01.19

雑記メモ+買い物リスト

桜庭一樹関連についてメモ。

ライトノベルを出さなくなるかも、と言う話題。

個人的には、桜庭一樹の活躍の場が一般文芸の場に移ることそのものは別に感慨はない。GOSICを読むときも、私の男を読むときも、僕の中では同じ桜庭一樹であるという意識があって、それぞれをライトノベルだ、文芸だと思って読んでいるわけではないし…。
 
ただ、GOSICの場合、武田日向の超絶美麗な挿絵を眺めることも楽しみの一つなので、一般文芸として売り出されたら…怒る。怒るだけだけど。

GOSICと荒野の恋だけはきちんとライトノベルレーベルで完結させて欲しいと思う。GOSICは前述の通り、武田日向の挿絵を見れなくなると言うことは断じてあってはならないので。荒野の恋も、ミギーのイラストをひっくるめた空気感が大好きだったのだ。荒野の恋が途中で終わってしまうのは悲しい。本当に悲しい。一般文芸に移って単行本化されたりしたら…まあうれしいかもしれないけど、ミギーのイラストが無くなっていたら、かなりがっくり来る。あのイラストの恬淡さは、作品によく合っていたのだがなあ…。

荒野の恋は僕の一番好きな桜庭一樹だったんだけどなあ…。

まあ、どんな場でも、書き続けてくれればいいと思うけど。

以下、買ったもの。

1.『永遠の戦士コルム2 雄牛と槍』 マイケル・ムアコック ハヤカワ文庫SF
2.『さくらインテリーズ』 戸梶圭太 ハヤカワ文庫JA
3.『学校怪談(8)』 高橋葉介 秋田文庫
4.『倚天屠龍記(1)呪われた宝刀』 金庸 徳間文庫
5.『倚天屠龍記(2)黒い刻印』 金庸 徳間文庫
6.『Bullet Butlers (2)黒騎士は弾丸のごとく駆け抜ける』 東出祐一郎 ガガガ文庫

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.01.17

時事の話題

桜庭一樹の直木賞受賞にたまげた。

これで『桜庭一樹を評価しない直木賞にはなんの価値も無いね!』と言う慣用句も使えなくなってしまうと思うと残念である(こんな慣用句を日常で使っている人間はそんなにいないと思うけど)。

あー。これでファミ通文庫は直木賞作家を輩出したレーベルと言うことになるんだなーとか、ふと思った。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2008.01.16

『グエムル-漢江の怪物』を観た。

519btrwngsl
グエムル-漢江の怪物』(監督:ポン・ジュノ)をDVDで観た。

お…お…面白れぇぇぇぇぇええええぇえ!!!!!なんだこれは!!激烈に面白れえ!!神か!!ポン・ジュノ監督は神なのか!!面白いという話をちらほら聞いていたので興味を持って、何の気なしに観てみたんだけど、これは韓国映画として、怪獣映画としてと言うよりも、普通に映画として傑作であると断言出来る!うげええええ本当になんだこりゃー!!とりあえずだなー。おめーら嫌韓流とかファビよるとかクソの役にも立たない言説をのたまう前にこの映画を観ようぜ。とにかく映画と言うものは、文化も歴史も超越出来るという確かな証左がここにはあるのだ!観てみるとびっくりするよ?と言うかオレがびっくりした!

僕はこのポン・ジュノ監督の映画を観たことは無かったんだけど…いや本当にちょっとこれ凄くないか?物語そのものも凄いんだけど、それ以前の段階として映像として凄い。いや、別にハリウッド的にCGバリバリで金のかかった感じのスペクタクルじゃないんだけど(怪物そのもののCGはハリウッドに以来したらしいけど)、それ以外の部分のカットつーかショットが凄い。まあ僕は映画には素人ではあるので(そんなにたくさん観ているわけでもないし)的外れな事を言っているかもしれないんだけど(でも書く)、冒頭の始まりの部分で、自殺しようとしている男が川面を眺めてつぶやくシーンとか、雨が水面に落ちる流れ、男の(不精髭だらけの汚らしさも含めて)頬を伝う雨の動的な美しさがあり、開始10分でこの映画は傑作である事を確信できる。恐ろしいことに、この作品には無駄と呼べるものが一切なく、あらゆるカットが綿密に計算された緊張感の上に成り立っている。なんと言ったらいいのか分からないのだがフィクション的なわざとらしさが一切感じられないのだ。主人公のソン・ガンポのリアルな駄目大人ぶりも異常にリアルだし(携帯コンロの使い方ぐらい知っとけよ!)ソン・ガンポの弟を演じるパク・ヘイルのいわゆる日本人が想像するファビよっている韓国人的な造詣(文句ばかり言って代案も出さずにキレるだけ)と、物語後半におけるプロフェッショナル的なかっこ良さ(でもちょっとバカ)のギャップとか、ペ・ドゥナは美人だなあとか(い、いや、ポン・ジュノが綺麗に撮っているなあってことなんだからね!?)とか、ペ・ドゥナがアーチェリーを撃つ一連の流れがまさしく競技者の持つ流麗さに満ちているとか、ええと、一つ一つ上げているとキリがないんだけど、とにかく映像に嘘が無いのだ。一つ一つ(それこそ映像から物語に至るまで)、そこには過剰なものが何一つ無く、反米、あるいは反日的な思想も、社会風刺的な側面もお涙頂戴の家族愛にも、娯楽的なエンターテインメントにも振れず、ギリギリのバランス感覚でラストまで一直線のハイテンションで突き進む。時折含まれる(ブラックな)笑いも良い意味でガス抜きになっていて中だるみとは無縁だ。もうとにかく細かいところを語りだすと止まらなくなってしまうぐらいに素晴らしい映画だったので、怪獣映画好きは絶対に観ることをオススメすると同時に、怪獣映画がそれほど好きではない人も是非観て欲しいと思う。半端にお金がかかった作品では味わえない感動がありました。

追記。
グエムルの感想を眺めていたのだけど、これが評判が悪い意見がちらほらある。評判が悪いだけなら許せるんだけど(受け取り方は人それぞれだし)、ろくに映画を観ていないというか、明らかに曲解しようとしている人がいることに非常にがっかりする。批評者のモラルの低さ、あるいは心の貧しさ明らかになっているだけだって言うのに…。一番ひどいと思ったのは超映画批評のグエムル評。一見褒めつつとことん貶しまくるという一番性質の悪い文章なんだけど、ツッコミどころはこの批評そのものだっつーの。およそまともに映画を観ていれば出てくるはずの無い発言が多くて目を覆いたくなる。『中盤以降、役者の人件費が尽きたかのように、軍隊警察がさっぱり町から姿を消すのも笑えるし、そもそも怪物がなぜ娘だけは食わずに連れ去ったのかわからないあたりも、ツッコミ所のひとつ。』とか書いているけど、娘だけではなく他の人たちも食わずに巣に持って帰っていますが何か?と言う話。仮にも批評と言っているのにこれじゃあなあ…。他の批評も信用出来なくなるよ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.01.15

『続々 殺戮のジャンゴ害伝 地獄のビッチハイカー』読了

51zaff2bymyl
続々殺戮のジャンゴ害伝 地獄のビッチハイカー』(佐藤大とストーリーライダーズ/ガガガ文庫)読了。

そういえば『続・殺戮のジャンゴ 地獄の賞金首』(注:エロゲー)をクリアしていたんだけど感想を書いていなかった。タイトルからも分かると思うけど、戦闘美少女萌えとかそういうものを地平線の彼方に投げ落とした完全自立型キワモノヒロインズ(何それ)が殺ったり犯ったりするスーパーでマーベラスな作品でした。悪党とビッチしか出てこないという潔さに痺れる。で、大変そちらも面白かったのだけど、何を思ったか佐藤大がそんなキワモノエロゲーをノベライズをするという暴挙に出たことに驚いた記憶はいまなお鮮やかに思い出せる。いささか戦々恐々としながら読んでみたところ…お、面白い…。面白いぞこれ!

実は原作とは舞台設定を共有しながらもまったく別の作品になっている。設定を共有しているといっても未来兵器が使用できず西部劇のような武装しか出来ない惑星スイートウォーターと言う設定だけがあって、そのほかの物語でもキャラクターにも直接のつながりは無い。キャラクターそのものはどこかで見たような人たちではあるけれども、原作との関係は無い様子。これはただ設定だけを持ち寄って、佐藤大がひたすらバカでキッチュな物語を追求したと解釈するべきなのだろう。

これは「天国までイキたいの! ビッチハイカー」と言うお色気と殺戮が渦巻く深夜番組のディレクター(主人公)が”名無しの女”こと元気コーディネーターを相棒に、クソッタレな惑星で無残に殺されていくビッチたちを被写体としてカメラに収めていくという実にクソッタレな作品である。他者の不幸をぎらつく欲望に満ちた視線でシュートするディレクターが非常にイカレていてクールだ。かつては理想に燃えていた男が、現実との葛藤に擦り切れて、残ったものがただ「撮る」ことへの欲望だけに純化していく様がそこにはある。人間としての最低限の誇りさえ失っても捨てられないものにしがみつくその姿は、醜く、おぞましく、そして感動的でさえある。そんな人間のくずである主人公を支えてくれるのが元気で可愛い”名無しの女”。彼女は原作とは完全に別キャラになっているんだけど、彼女がこのクソッタレな物語を、どこか明るく希望をもたらしてくれている。クソのような生き方しか出来ない主人公が、もしかしたら救われることもあるのではないか、と言う希望があるんだけど、さて二人の関係の結末やいかに!?と言う読み方も可能である。

ま、こんなクソッタレな現実において、美少女が救ってくれるなんてことは無いんだけどね(ゲラゲラ)(この主人公はそんなこととっくに分かってんだよなー)。

どうやら続巻らしいので、素直に期待いたします。こんなクソのような仕事を、クソであることを自覚しながらもクソとして生きていこうと決意した主人公の人生は、ある種の喜劇だ。

そしてある種の喜劇とは悲劇に似ている。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.01.14

体調絶賛不調中

体調が悪くて気力が停滞しているのはいつものことなんですが、ちょっと身体に力が入らない状況が続いている。これはひょっとして風邪か…。

とりあえず最近買ったもの。

1.『疾走する思春期のパラベラム』 深見真 ファミ通文庫
2.『疾走する思春期のパラベラム[灰色領域の少女]』 深見真 ファミ通文庫
3.『疾走する思春期のパラベラム[デイドリーム]』 深見真 ファミ通文庫
4.『ヴァンガード』 深見真 スーパーダッシュ文庫
5.『ゴルゴダ』 深見真 徳間書店

お前は一体どんだけ深見真が好きなんだよ、って感じ。えーとね、「好きなんてもんじゃない!愛しているんだ!」ってぐらいかしら?かしらじゃねえ。あとは富士ミスとファミ通文庫の初期作を集めていこう。

6.『ウェスタディアの双星 真逆の英雄登場の章』 小河雅岳 電撃文庫
7.『ブギーポップ・クエスチョン 沈黙ピラミッド』 上遠野浩平 電撃文庫
8.『ロミオの災難』 来楽零 電撃文庫
9.『ROOM NO.1301 しょーとすとーりーず・ふぉー』 新井輝 富士見ミステリー文庫
10.『神曲奏界ポリフォニカまあぶる(2)』 榊一郎他 GA文庫

このあたりは新刊ライトノベル系。基本的に作家買いなのだけど、やや不安があるのが小河雅岳と来楽零。デビュー作を完結させた2作目と言うことで注目していたのだが…。『ウェスタディアの双星 真逆の英雄登場の章』のあらすじを読んだ時、群像劇で大河ファンタジーらしいので嫌な予感はしていたのだが、それが見事に的中してしまった。僕は群像劇な大河ロマンや歴史物に対しては非常に愛を注いでいるので、このジャンルに対しては辛口になる傾向があるのだが、まさに僕の嫌いな方向性だった…。大河ロマンを描くのなら、”社会”と言うものに対して踏み込んでいく必要があると思うのだけど、非常に世界の規模が狭く、また世界の広がりに乏しい。なんと言うか、仮にも一国家でありながら、国家体制の内実が、良いところ親族経営の中小企業レベルの社会性しか持っていないのはどうしたものか…。ライトノベルとしては社会性などと言うものは求められていないにしても、国家を描こうというのにこの程度の背景しかないのでは不満だなあ…。

11.『仮面のメイドガイ(6)』 赤衣丸歩郎 角川書店
12.『オリハルコンレイカル Vol.1』 綱島志郎 角川書店
13.『ハヤテのごとく!(14)』 畑健二郎 小学館
14.『結界師(19)』 田辺イエロウ 小学館
15.『エスペリオーダ(1)(2)』 堤妙子 一迅社
16.『鈴木先生(4)』 武富健治 双葉社
17.『この世界の片隅に(上)』 こうの史代 双葉社

漫画の新刊とか。そうでもないのもあるけど。

18.『F.S.S.DESIGNS 1―MAMORU NAGANO’S』 永野護 角川書店
19.『F.S.S.DESIGNS 2―MAMORU NAGANO’S』 永野護 角川書店

今頃になって『ファイブスター物語』にハマリまくる吉兆さん。設定資料集を読んで大喜びです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.01.10

『鉤爪プレイバック』読了

51dga977axl
鉤爪プレイバック』(エリック・ガルシア/ヴィレッジブックス)読了。

はらはらわくわくの恐竜ハードボイルドの2作目。1巻より遡り、主人公であるヴィンセント・ルビオの相棒アーニーがまだ生きていたころの話。まず読んで意外だったのは、アーニーはルビオよりかなり年上であったこと(作中で15才年上と書かれていた。恐竜と人間の加齢に違いが無ければ、下手をすると親子なみに違う)。頑固で融通の利かないところはあるけれども、大概においてルビオよりも賢明で慎重でありながら大胆なタフガイである。アーニーに比べるとルビオはいかにも軽薄でうっかりなところが目立つなあ(無論、お互いの足りないところを補っているわけだがらそれでいいのだろうが)。

恐竜はあるべき自然の姿に帰るべきだと主張するカルト教団に潜入するルビオとアーニーが、ドタバタコメディっぽく走り回ったり命を賭けたアクションをしたりでその陰謀を探っていく話になっているんだけど、相変わらず恐竜たちのあまりにも個性的すぎるキャラクターが面白い。教祖キルケーの妖艶なフェロモン(文字通り)にノックアウトしたルビオが相変わらず情けないことよ…。こいつは女で破滅するタイプだな。アーニーもこれでは「ヴィニー坊や」と呼んでからかいたくもなるというものですな。存在自体が出落ちなドラッグクイーンたちも最高!…ていうか凄すぎる。いちおうシリアスな場面のはずなのに、ドラッグクイーンたちが登場した瞬間にもうそんなシリアスな雰囲気はあっという間に溶けて消え去る。クライマックスはひょっとして笑うところだったのか?

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2008.01.09

『狼と香辛料Ⅵ』読了

51b1c1kqsl
狼と香辛料Ⅵ』(支倉凍砂/電撃文庫)読了。

ロレンスとホロの旅路もいよいよ大詰め…と思いきや、ここで寄り道宣言ですかぁ~?と、隙を突かれてびっくりしてしまいました。これが大人の事情と言うやつですか…などと言うまでも無くアニメ化の影響です。ありがとうございました。正直なところ、あとはクライマックスまで一直線だと思ったので、ここで溜めるのは意外な感は禁じえないのだが、ただ、ロレンスが代弁するように、二人の旅をすぐに終わらせたくないという気持ちは、ロレンスたちだけではなく、われわれ読者が感じていることそのものでもある。旅の終りを予感しながらも、せめてもうしばらくの夢を見たい。それを否定することは、(このシリーズをもっと読みたいと思う)僕自身に跳ね返ってくることでもあるので否定出来るものではなく、そこでロレンスと読者の気持ちは一致している。ただ、その行為は来るべき終りを先延ばしにする行為でしかなく、いつかはその時が来てしまうことはどうしようもないことなのだ。だが、それは単に執行猶予を望み、問題を先延ばしにしているだけのものではない。この6巻(そして7巻以降)は、彼らが今まで過ごしてきた旅路を思い、そしてお互いがたとえ別れ別れになったとしてもやっていけるように、その準備をするための日々なのだろう。ロレンスにおしかけ弟子がやってきたことはまさにその証だ。ロレンスが新たな旅に出発するための道連れ、あるいは彼が旅の中で得てきたものの受け継ぐ存在なのだろう。今はただ別離に向けて、踏みしめるように歩み進める物語に酔いしれるのみだ。

| | コメント (0) | トラックバック (2)

2008.01.08

『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん(3) 死の礎は生』読了

514bxdbt1al
嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん(3) 死の礎は生』(入間人間/電撃文庫)読了。

まあ相変わらずひどい話なのは変わらず、そしてインパクト重視の作品ではあります。そこは期待通りなんですが…いやーまったくもってどうしようもなく死ぬほど文章が鬱陶しいですね!もう読者に不快感を与えることしか考えいない素晴らしい鬱陶しさ!今までも鬱陶しかったけど、この3巻における主人公の独白の鬱陶しさは天元突破やでホンマに…。

この主人公は地の文で説明をしたことをすぐさま否定して、さらに否定したこと自体を戯言にしてしまっており、主人公が何が言いたいのか分からないのだけど、まあ別にぼくはそれ自体は特に気にならないので全然かまわないんだけど、ただは2歩進んで3歩下がるが如く行ったり来たりする主人公の独白が物語の流れを阻害してしまっているため、読んでも読んでも先に進んだ気がしない閉塞感と圧迫感を表現しているところが凄いといえば凄いのだけど、それを技巧でやっているのか天然でやっているのかについては一考の余地がありとは言うものの、どちらにしてもものすごく鬱陶しいのだった(ひどい文章だ)。貴様はどんだけ信用のおけない語り手なんじゃあッ!と思わず読みながら腹を立ててしまった。だって主人公の言うことって何一つ信用できないと言うか何が真実なのかと言うか事実が何なのかすら分からないのだから。ただ、この鬱陶しいまでに過剰なみーくんの語りは、一方で世界の残酷さと彼自身の内心を糊塗するためのものであるので、僕が感じるこの不快さは、ものすごく作品としては正しいものではないかとも思う。揺れ動く内心を必死で押さえ、どこまでもまーちゃんに仕える彼には、実のところ、本来ならばそこにあるはずの喜びがあるのかないのかさえ読者には不明だ。奴隷のようにまーちゃんに尽くすかれのモチベーションは一体どこから来るのか、読者に対してさえ一切の真実と事実を語らない”みーくん”の内心こそが最大のミステリであろう。僕には主人公のまーちゃんの拘り方は全然わからないのだけど、それを必死で押し隠そうとする主人公の軋みがいつまで続くのか、僕は興味が引かれるのである。

(これぞ他者の痛みと不幸を喜ぶエンターテインメント!主人公に同情しようと共感しようと悪趣味なことにはかわらねー!!)

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2008.01.07

年末年始は祭りでした

年末年始から色々イベント(コミケとか空の境界の映画とか)があったけれども、吉兆的に最大の事件は、い(今更ながら)深見真と言う作家を発見したことでありましょう。以下、年末から年始にかけて買った深見真。

1.『ヤングガン・カルナバル』
2.『ヤングガン・カルナバル バウンド・トゥ・バイオレンス 』
3.『ヤングガン・カルナバル 銃と恋人といま生きている実感』
4.『ヤングガン・カルナバル 天国で迷子』
5.『ヤングガン・カルナバル ドッグハウス』
6.『ヤングガン・カルナバル そして少女は消えた』
7.『ヤングガン・カルナバル 愛しき日々、やがて狩の季節』
8.『ヤングガン・カルナバル 前夜祭・標的は木暮塵八』
9.『ヤングガン・カルナバル 開催・バンケットの死闘』

上記すべてカッパノベルス(徳間書店)。

10.『アフリカン・ゲーム・カートリッジズ』

上記角川文庫。

我ながらよくもこれだけ買ったと感心するのだが、すべて読了しているという事実には我ながら呆れるぜ。もう面白くて面白くておかしい。僕の頭が。

深見真と言う作家は、いっそ青臭いといえるほどの純粋で危うい倫理観を信仰しながら、その倫理をすべてニヒリズム的に嘲笑する2面性がある。つまり、世の中をより良いものにしていきたいという理想と、腐った世界をぶち壊したいという凶暴性を同時に描いているのだ。腐った世界の中で、登場する少年少女たちは己の存在をかけて銃を撃ち、人を殺し、あるいは殺される。世の中のものすべては守るべき価値の無い塵芥であり、しかし、その塵芥そのものを愛する視点があり、その狭間でギリギリのバランスで揺れている青春があるのだ。そこには一般的な意味での『倫理』と言うものは無い。ただ、己の中で問い詰め、追い詰められることから生じた『衝動』が描かれており、僕の精神を揺さぶるのだ。

以下、他に買った本。

11.『ファイブスター物語(1)~(12)』 永野護 角川書店
12.『Y十M(9)』 原作:山田風太郎 漫画:せがわまさき 講談社

うはは。実はこの年末年始にかけて、『ファイブスター物語』を既刊すべて読破してしまいました。永野護ってホンマに天才やわ。もうほんとに今頃になって読み始めてすいません。圧倒的なスケールで繰り広げられる神々と人の物語は現代の神話だぜ。頭がおかしいよ(褒め言葉)!

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.01.02

『武林クロスロード(1)(2)』読了

51hv4gelg2l51exwiauyol

 
 
 
 
 
 
 
武林クロスロード(1)(2)』深見真/ガガガ文庫)を読んだ。 
あまりに素晴らしくて感動した。マジ。本気と書いてマジ。こんな小説を出してしまえるガガガ文庫に戦慄したよ…。

僕が大好きな武侠小説をこんなにしやがって!もう最高じゃないですか!!と興奮の色を抑え切れません。侠に生きる超人的な武術家が登場して悪逆な支配者と戦うというある種の王道的なストーリーなんですが、深見真のボンクラ性は留まるところを知りません(超褒めています)。なにしろ筋肉マッチョでふたなり美女&美少女がガチ百合で汗臭いバトルでくんずほぐれつでこりゃもう(オレが)大騒ぎさ!!まったく深見真は容赦と言うものがありませんな。いったいどこのナポレオン文庫(…実は僕、創刊の頃からナポレオン文庫を嗜んでおりましてね…とカミングアウト)なんどよとつっこみたくてしょうがないぐらいに全編エロというか女体が絡みすぎですよ!しかし、単なるエロ小説で終わっていないところがこの作品の凄いところで、超ムキムキなマッチョなふたなり美女と言うあたりで一般人を地平線の彼方置き去りにしているわけですが、その上で主人公であるリョウカの成長物語としてもきちんと成立しており、物語的な側面も決してなおざりになっていません。武術の腕も無く、無力なリョウカが持ち前の正義感と無私の精神で悪と対決していこうという物語は、少年漫画的な快楽に満ち溢れていて好感が持てる。かつての敵な仲間になったりと、もうジャンプ的な燃えもたっぷり詰まっている。燃えと言う面では、主人公の武術の師匠にしてもう一人の主人公にあたるレイ・シュンライの超人的なバトルもまた見逃せない。一人で万軍に匹敵すると言われる破軍武侠にして単騎で城を落とすことも可能な破城武侠である彼女の戦闘力は凄まじいの一言で、もはや漫画的と言うもはばかられる圧倒的なバトルが繰り広げられる。クライマックスにあたる合戦では槍を投げたら300人ぐらいをぶち抜くんだぜ?手持ちの超巨大槍(内部に大砲発射機構付き)の一振りで人体がぶち切れ首が飛ぶとか、もう過剰にもほどがあるって物ですよ!超最高!大絶賛!こんなアホを極めた小説見たことねえ!なにより、快楽要素以外の存在が一切ない、全編が快楽要素でしか構成されていないという凄まじい小説。ボンクラ度がたけえぜ…。平野耕太的なボンクラセンスをここまでのレベルで保持している作家がこの世に存在していたことに気がつかないオレのアンテナ力の低さに絶望したよ。こんな作家がいたとはなあ…。しばらく深見真作品を制覇することにします。これだからライトノベルを読むのはやめられんぜ。

しかし、新年最初の感想を書くのがこの作品で本当に良かったのだろうか…。ま、いいよな。うん。

| | コメント (4) | トラックバック (0)

« 2007年12月 | トップページ | 2008年2月 »