『ゼロの使い魔(13)<聖国の世界扉>』読了
『ゼロの使い魔(13)<聖国の世界扉>』(ヤマグチノボル/MF文庫J)読了。
なんか最近、読めば読むほどに『ゼロの使い魔』って丹念に世界設定をされていることに気がついてきた。まあ、基本的にヨーロッパをモデルと言うかそのまま持ってきているのだけど、単にそれっぽくしているだけじゃなくて、度量衡から政治体制と国家間の関係まできちんと設定しているのが分かる。
きっと、世界観に曖昧な部分を残していないんですよね。その国はどのような歴史を持って成立してきたのか…人々の風俗や文化がどうなっているのか、場当たり的ではなく、事前にきちんと構築している。だから作品がいくら進んでいってもブレがない。もちろん、作品の基本的なところには、サイトとルイズを始めとしたツンデレラブコメ的な要素がクローズアップされていて、決して物語の背景が目立つことは無いんだけど(逆にそれが僕は凄いと思うんだけど)、この作品を評価する上で、決して無視してはいけないことだと思う(余談だが、アニメ版の評判を聞いていると、適当にエピソードを端折って、設定を改ざんしまくってて矛盾が出まくりと言う話があるので、そういうところがあまり理解されていなかったのかな、と思う。観てないからあまり強いことは言えないんだけど)。
そのあたりのブレの無さと言うのは、設定だけじゃなく、物語にも同じことが言える。おそらく、ヤマグチノボルは、この作品の終わり方がきちんと見えていることは間違いなさそう。このタイミングでノートパソコンを持ってくるとは…!と、正直、背筋が震えた。一巻から存在はあったわけだから、なんと言う遠大な伏線…。しかも、メール。あれは反則。前々巻で、サイトの郷愁について、きちんとエピソードを持ってきたからこそ、このメールが生きてくるわけだから、やっぱり、展開と効果をきちんと計算しているんだろうね。その計算にまんまと嵌められてしまうわけだが…これはヤマグチノボルが凄かった、と言うことで一つよろしくお願いいたします。
それにしても、ガリア王ジョセフの、悪役としての存在感は異常なことになってきたな…。単に悪ではない、ただひたすらに人間的な哀しみに満ちた悪役像は、一層の凄みを帯びつつある。教皇ヴィットーリオの峻烈な正義と共にある狂気もまたあらわになってきているし、やはり、ヤマグチノボルは負のエネルギーを描くのが上手いや。
おそらくさらなる波乱に満ちるであろう、次の巻も期待をせずにはいられません。
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