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2007.12.26

『氷の海のガレオン/オルタ』読了

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氷の海のガレオン/オルタ』(木地雅映子/ピュアフル文庫)読了。

久しぶりに僕の魂にヒットする作品だった。素晴らしい。素晴らしいという言葉だけで済ませたくないぐらいに素晴らしい。

自らを天才だと信じて疑わないひとりのむすめがいました。斉木杉子11歳。――わたしのことです。

人よりも深く思考するがゆえに、”当たり前”を受け入れられずに、クラスメイトとの共有するものを失っていく主人公がそれでもなお生きていこうとするならば、それは孤高を貫くしかないのだけど、人間の心は人間知らず。彼女自身が自分を孤高にする行為は、彼女を孤独にさせ、あるいは他者を誤解をさせる。自分自身であるというだけで他者と軋轢を生んでしまう不器用さと、それでもなおそのようにしか生きていけない諦念。それでもなお傷ついていく心。これは一人の少女の戦いの物語でもあり、孤独と誤解の海の中を果敢に切り開いていこうとする人間への賛歌だ。そこには許しはなく、癒しもなく、ただ現実だけがごろりと横たわり、彼女の孤独はいや増すものだが、”そうである”ということへの圧倒的な肯定があり、僕はただその力強さに感銘を受け、そして何一つ変わらない孤独と誤解の海への共に漕ぎ出す同胞の姿をそこに幻視するのだった(それはまさしく杉子にとってのガレオンと同じことなのだろう。現実と対峙するための幻想)。

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