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2007.12.09

『ツァラトゥストラヘの階段』を読んだ

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ツァラトゥストラヘの階段』(土橋真二郎/電撃文庫)読了。

精神寄生体"パルス"に取り付かれた主人公が、自分自身を賭けたゲームに挑むと言う作品。『扉の外』シリーズに良く似ているけれども、よりギャンブル的な騙しあいゲームの側面が強くなった。誤解を恐れずに言うのなら、ライトノベル版カイジと言ったところか。失踪した姉を追い求めて、自分自身を賭けたゲームに挑む主人公の姿を描くと同時に、そのようなゲームに参加せざるを得なくなってしまった少年少女の青春とでも言うべき痛みを描く。あるものは破滅し、あるものは生き延びる。またあるものは傍観し、またあるものは渦中に身を投げ出す。そうしたさまざまな選択と過程を繰り返していくことを、冷酷な計算によって成り立つ”ゲーム”の最中に、計算では計りきれない感情を描くところはまさに土橋真二郎の真骨頂といえるだろう。同時に、人間性と言うものへのシニカルな認識もまた健在だ。物語後半においては、なんと少女たちを使ったカードバトルゲームの様相を呈し、エンターテインメントとして他者を消費する姿を描いている。そこにはエンターテインメントと言うものの根本的な醜悪さ(本質的に他者の不幸を喜ぶものとしての娯楽、そして抵抗できない弱いものに対する傲慢と呼ぶべきもの)があるように、僕には思えるのだった。また、この作品は、前作『扉の外』シリーズとも深い関わりをもっているようだ。おそらく同じ世界観に基づくものであろうことが予測される場面がそこかしこにあり、今シリーズが進むにつれて、以前は明らかにされなかった背景状況も明かされてくるのかもしれない。そういった面でも期待していきたい(これもまたエンターテインメントとして消費する行為そのものではあるのだが)。

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ツァラトゥストラへの階段 (電撃文庫 と 8-4) posted with amazlet at 08.04.01 土橋 真二郎 メディアワ [続きを読む]

受信: 2008.04.04 05:22

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