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2007.12.29

『ミステリクロノⅡ』を読んだ。

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ミステリクロノⅡ』(久住四季/電撃文庫)読了。

例によってミステリとしての精度を評価することは非常に難しいのだけど(しかし…なんで自分はこんなにもミステリをきちんと読めないのに、それらしいものを数だけは読んでいるのだろう…。結局、僕はミステリと言う形態に愛がないんだろうな。関係ない話だけど)、主人公の内面に存在する闇と、ヒロインのまっさらな無邪気さが対比されて非常にエキサイティングな物語になっている。読んでいて思うのは、この主人公は頭が良すぎで、自分や周囲の人間を非常に分析的に捕らえているのだが、それゆえに己の闇さえも分析し、理解してしまっているがゆえに、いつ、その闇に囚われるか分からない危うさを抱えてしまっている。僕が見るところ、このシリーズにおける最後の敵は主人公自身である。それも、敵は自分という意味合いではなく、己の闇を受け入れ、望みを果たそうと策謀する主人公そのものがヒロイン達の敵になるのではないか。主人公は、己の渇望を拒否する理由として人間としての倫理を掲げているのだけど、逆に言えばその倫理が崩壊したとき、彼をおしとどめるものはない。そして、彼の倫理は事件を解決して行くごとに揺らいでいく。さまざまな人間のエゴと欲望、あるいは恐れや怒り。そうした人間そのものに触れて行くことにより、彼の倫理は常に試されているのだ。現時点の問題は、彼を守るものは彼自身しかなく、彼の仲間たちは(少なくとも現時点では)彼を支える存在にはなっていない。むしろあまりにも残酷な現実から仲間たちを守る防波堤の役目を、主人公は担ってしまっている。このシリーズは、主人公が己の倫理を疑い始めたとき、仲間たち(特に無垢なヒロインである”るちや真理亜”)(間違えた。るちやはどちらかと言えば、彼を試す側の存在だ)が彼を支えられるかどうかが最終的な結論になるのではないかと思う。

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