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2007.10.02

『地を駆ける虹』読了

02910672
地を駆ける虹』(七位連一/MF文庫J)読了。

これは素晴らしいんじゃないだろうか。…悪い意味で(は?)。まあその…面白いか面白くないかで言えば非常につまらないのだが(うわ、言っちまいやがった)、主人公の駄目人間描写が微に入り細に渡って徹底的に描きぬいているところが凄まじかった。正直に言うと、ほとんど感動的とさえ言えるほどの詳細な描写で、エンターテインメントとしては明らかにバランスがおかしいと言うか狂っているのだけど、ただただ主人公の駄目さにおける圧倒的リアリティの前には、そのような部分は些事に過ぎない。努力もせずに法螺ばかりを吹く怠怠惰、そのくせ自分自身が可哀想な人間だと自己憐憫に浸り、妹と言う自分のひた向きに信じる少女に依存する主人公の姿は、誰がどう見たってどうしようもないほどに人間のくずそのものなのだけど、ある種の人間にとっては、決して客観視できるものではない恐怖にも似たなにかが宿っているように思う。これ、自分の事を書いているんじゃないとしたら、天才かなにかだよな…きっと。まあ、逆に言うとそれだけの作品でもあるので、エンタメ嗜好の方は読むのにご注意を。ただし、作者の情念とか人生とか、そういうホンモノを味わいたい方は読んでみてもいいんじゃないでしょうか。オレは…そうだなあ…。結局、イヤボーンで決着してしまったあたりには、正直なところ呆れるところもあるんだけど(主人公、結局努力をしてねえぞ…)、ここから本当の英雄になろうとする主人公を描けたとしたら(作者が描けるとしたら)すごいことになる…ような気もするので、3巻ぐらいまでは読んでみようかなあ…。

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コメント

私はネイブ嫌いです。いや~ほんと痛かった。
いやすごく気持ちは分かりますよ?私はむしろネイブと同じような人間ですし。

ですがこの作品は都合よく覚醒してハッピーエンドなんてことはしなかったので気に入りました。
やっぱり罪には罰を、怠惰には制裁を、無力には代償を。この辺がきちんとしてるのは好きなので。
そしてそれをネイブは受けたのでむしろ嫌いだった分この作品の評価が上がりましたね。…途中で投げ出しそうにはなりましたが。
ダメな奴でもこんくらいの苦労、苦痛を味わった上でなら活躍も納得できますので。

まぁ助けられそうなのが女性二人だとか、××のエレメントが××もっているだとかはちょっと突っ込みたくなりましたが。

最近の作品はダメな奴がその報いを受ける直前に覚醒→全てを得るというのが多いので。その辺の不満もあるの私的評価がよくなった気もします。

投稿: kkrk | 2007.10.03 10:57

いやー本当にネイブはヒドイですね。この駄目人間描写は、ものすごいリアリティですね。ここまで駄目人間描写を突き詰めたのって、未だかつて小林泰三の『奇憶』に匹敵すると個人的に思いました。最後の最後まで主人公が何にも出来ないままですべてを失う展開はたしかに見事だったんですが、しかし、最終的に主人公の才能が目覚めて敵を倒すと言う展開になってしまったのは惜しかった思うんですがねえ…。結局、ご都合と言うか…。

まあそこまでやってはライトノベルではないんでしょうが。

投稿: 吉兆 | 2007.10.05 00:21

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地を駆ける虹 (MF文庫 J な 3-1) 作者: 七位連一 出版社/メーカー: メディアファクトリー 発売日: 2007/09 メディア: 文庫 ストーリー 英雄に憧れる少年がいた。名をネイブという。 そして英雄になれるかもしれないという過ぎた夢を見させる力があった。名をエレメントとい... [続きを読む]

受信: 2007.10.02 20:29

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