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2007.09.03

『魔女を忘れてる』読了

02802619
魔女を忘れてる』(小林めぐみ/富士見書房)読了。

これはまた良い感じに不快な話。どういう類いの不快さかと言うと、残酷な展開と言うわけではなく、どこにもいけないまたはどこに行っても逃げられない感じの閉塞した不快感に満ち溢れた作品。子供時代は後になって思い起こせば美しい思い出のように思えるけど、実際にはそんな都合の良いものじゃなくて、無知で無邪気であるがゆえに残酷な悪意に満ちているもの。彼らが子供時代の罪を思い出したとき、彼らは過去に復讐されるのだ。罪悪感と恐れに直面する事を強いられるという底意地の悪さ。そして、最終的に明かされる”悪意”の所在。ひたすらに不快で、厭な物語でありました。例によってミステリとしての出来映えについてはなんとも言えないのだけど(推理しない読者ですからー)、物語が進むにつれて現実と幻想の境界があやうく揺らいでいく描写は一読の価値はあり。なかなか”魔女”の存在がはっきり表われて来ないのも品が良くて僕は好きですし、最後までまったくカタルシスをもたらさないように徹底しているところも美しい。これは人間が直視したくない不愉快さがあるとすれば、それは過去の罪であり、無自覚の悪意であるということを現しているのだろう。世界は悪意で満ちている。人はそれを自覚していないだけなのだ。

あーキモチワルイね。

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