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2007.09.20

『鋼の風 <シュタールヴィント> 創世の契約(2)』読了

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鋼の風 <シュタールヴィント> 創世の契約(2)』(花田一三六/Cノベルスファンタジア)読了。

あー、やっぱりこれはいい花田一三六だ。前回のファンタジー世界における一般人の姿を群像劇として描いた作品から一変して、今回は一環してベルネの視点から描いている。龍族による何らかの目的に合致したであるらしいベルネは、その真意を確かめるべく龍族の下へ赴こうとする。そのために彼はある傭兵団に参加することになるのだけど、そこで花田一三六の良いところは、今度はベルネの視点からみた傭兵団のさまざまな活動を、そこで生きるプロフェッショナルたちの姿を、誇りと気概を込めて描いているところだと思うのだ。一見したところ主人公が確定していて、確かに傭兵団の中で少しずつ頭角を現していくベルネの成長物語としても読めるのだけど、実際の主人公は傭兵団そのものであり、そこに生きる人たちそのものであるように思える。冒険ファンタジーの世界において、<日常>を描き続けようとする作者の試みは健在であると言えよう。勇者でも選ばれし者でもない、平凡な傭兵たちの姿を、とてつもなく格好良く描いているところに作者の真骨頂がある。スポットが当たる登場人物のうち、あるものは前線の兵士であったり、あるものは鍛冶師であったり、あるものは伝令であり、またあるものは従軍する娼婦だったりするのだが、そんな彼ら、彼女らの、戦場と言う名の日常にあって、皆、誇りを持って生きていることの美しさを見よ。仕事に対する誇りに支えられているからこそ、どんなに地味で、泥まみれになっていても顔を上げて立っていられるのだ。そういう美しさを、花田一三六は、愚直に愛情を込めて書いているように僕は思うのだった。

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