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2007.08.04

『たま◇なま 生物は何故死なない?』読了

02797115
たま◇なま 生物は何故死なない?』(冬樹忍/HJ文庫)読了。

いやーヤバイね。オレ、これ大好き。冒頭から主人公とヒロインの噛み合っていないようで絶妙なまでに噛み合った会話からして大好物。だってオレ、生きることや死ぬことをだらだらと対話して会話してループする話って大好きなのであり、その嗜好にスマッシュヒットっすよ(狭い嗜好だな)。まあヒロインがだんだんわかり易い人外ツンデレ(造語)になっていくあたりは物語の要請といえなくもありませんが、対話することによってお互いの論理が変わっていくものだと考えれば問題なし。おっけー、おっけー。まあそういう萌え的要素を適度に使いつつ、やっぱり最高にして素晴らしいのは主人公とヒロインの会話な(またそれか)。どれくらい素晴らしいのかと言う点については、語り始めたらすべてを引用するしかなくなる類いの話であり、細かいところまで突っつくと本一冊ぐらいかけてしまうんじゃないかと思えるぐらいなので不可能なのだが、とにかく、人間の常識をわきまえないヒロインの鉱物娘(推定年齢は数万年)が人間社会の征服を本気で企みながら(3世代ぐらいで征服するという気の長い話。ほら無機物だから)、人間社会のことを学んでいく課程に生じるギャップを、ヒロインの種付け担当にされた主人公(世界の悪意にさらされ天涯孤独になった無気力無感動なやつ)とのどこに飛んでいくのか分からないズレた会話に爆笑しつつ、いつの間にか一周して物事の核心を突いたシリアスな会話になっていたりして、本当にこの面白さをどのように伝えればいいのか分からない!この物語の核心にあるのは、やはり短い生涯しか持たない有機生命体の持つ”儚さ”そのものであり、人は何故、生に意味を求めるのか、人は何故、大切な何かを求めてしまうのかと言うことへの問いかけがある。それらの”想い”こそがなければあらゆる悲劇は生まれることは無いというのに、それでも何故、求めてしまうのかと言うひどく深刻な疑問がテーマとしてあり、そしてありふれた悲劇に打ちのめされた主人公がどのように答えていくのか、と言う再生の物語にも繋がっている。いやー素晴らしい。まあケチをつけるとするならば、主人公が答えを見出していく課程が相当に飛ばされていることぐらいか。戦闘が面白くないという批判もありそうだけど、それはたぶん読み方を間違っている。これは徹底して対話の話であり、(敵との戦いも含めて)すべて主人公と外部との対話で成り立っており、それによって主人公が答えを見つけていくと言うところが重要なのではないかと思うのだった。あと、タイトルの意味だけど「たま」→「鉱物」、「なま」→「生物」、「◇」→「交差」を意味しているんじゃないかと思う。妄想だけど。

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たま◇なま ~生物は、何故死なない?~ (HJ文庫 ふ 3-1-1) 作者: 冬樹忍, 魚 出版社/メーカー: ホビージャパン 発売日: 2007/06/30 メディア: 文庫 タイトルの意味が読了後の今をもってしても分かりません。 ストーリー 氷見透(ひみとおる)は奇怪な生命体に魅入られていた。... [続きを読む]

受信: 2007.08.04 22:43

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