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2007.08.18

『赤石沢教室の実験 Style‐F』読了

02802622
赤石沢教室の実験 Style‐F』(田代裕彦/富士見書房)読了。

田代裕彦渾身の本格ミステリ・・・のような気がする。今までのキャラクター小説っぽいところを抑え目にして、トリックに全力を注いでおります。いわゆる物理トリックは重視していなくて、どちらかと言うとその殺人に至る動機の構築に目が向かうと言うのは、確かに京極夏彦の系譜の人なんだなあと思った。京極夏彦の流れってのは、実のところメフィストおよびファウスト系では受け継がれていなくて(かろうじて西尾維新がそれらしいところがあるような…ないような…。勘ですすまん)、どこに行ってしまったのかと思えば富士ミスに受け継がれていたのでした。死と言うものに縋り付こうとする男の永遠を巡るお話に、若竹七海を思わせる人間のゾッとするほどの暗黒をきっちり描いている。思った以上に端整な作品で、やや冗長なところもあるものの、作者の成長(あるいはこっちが地なのか?)を感じられる作品だった。ただどうしても看過出来ないところがあって、と言うのは最後の最後のラストシーンなんだけど、このシーンを書きたい気持ちは確かに分かるんだけど、どう考えても書き過ぎだ。もう蛇足という格言を現代に蘇らせているくらいに蛇足。いや、本当に書きたくなる気持ちはわかるんだけど…このシーンが無いとすっきり来ないし。でもこのシーンを入れては作品全体の美観を明らかに損ねている・・・。完成度を取るか、分かりやすさを取るかといえば、分かりやすさを取ってきたのが田代裕彦だとは言え、これはあまりにも蛇足過ぎて「もったいねー!」と読み終えた瞬間に叫んだ。もったいねー!まあそれだけ。

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