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2007.08.31

『時載りリンネ!(1) はじまりの本』読了

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時載りリンネ!(1) はじまりの本』(清野静/角川スニーカー文庫)読了。

これはまたなんと言うか、非常に素直で爽やかな作品ですなあ。夏の日差しの強いある日の、不思議な力を持つ少年少女たちの冒険といった風情。これはライトノベルと言うよりも、ジュブナイルの系譜なんじゃないかしら。破天荒な女の子と、その行動力に引きずられる男の子の組み合わせとかも素直と言うかわかりやすいところなんかまさしくジュブナイル。もっともクライマックスの異能合戦にはいささかライトノベル的なフォーマットを感じさせられたけど、そこに至る幻想的な雰囲気、とりわけ良く晴れた夏の空気と言うべき感覚を紙面に再現しようとしているシーンは、これは才能と呼ぶしかないんじゃないのか、とか愚かなる言を述べたくもなる。最も作者の感覚で書いているところが多くて、今後も面白いものが書けるのか不安なところではあるけど。まあスニーカー文庫であることもあるし、自分の感性の赴くままに書いてもらえればもっと良い物語が生まれてくるのではないでしょうかね。今後が楽しみしたい作家だと思います。

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2007.08.30

『流血女神伝 喪の女王7』読了

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流血女神伝 喪の女王7』(須賀しのぶ/コバルト文庫)読了。

ルトヴィア、ユリ・スカナ、エティカヤの三国を巡る不穏な動向は留まるところを知らず。良きにつけ悪しきにつけ物語は怒涛の如き勢いで動き出していると言って良いでしょう。内政がぼろぼろの状態のままルトヴィアではドミトリアス、グラーシカが、長年のすれ違い末についに(吹っ切れたグラーシカの想いの力もあり)協力して(とも言い切れないが)、全力でルトヴィアの建て直しに注力し、ようやくその手ごたえをつかみ始めている。エティカヤでは覇道を突き進まんとするバルアンの策謀はいよいよ持って非情さを増し、ルトヴィアの崩壊を望んでいる。ユリ・スカナではザカリア宗教国家としての歩みつつもバルアンと手を取り合いながらその裏ではその牙を研いでいる。まさに三国間の緊張状態はもはやギリギリのところまで着ており、あとは爆発することを待つのみだ。一方、己を利用するものすべてから解き放たれようとするカリエはついにその精神の有り様を見定め、目的に向けて動き出す。ただセーディラに平和な一時を与えんがため、親しみを覚え始めたユリ・スカナ女王ネフィシカへの感情も振り切りひた走る。次の最終巻に向けて、彼女の戦いがどのような結末を迎えるのか楽しみにしたい。一方で次巻でこの3国の物語が決着がつくとはとても思えないほどに状況は錯綜しており、また、カリエの次の世代が芽吹き始めている。フィンルにスゥラン、もちろんセーディラにアフレイム。彼ら彼女ら自身にも、本人にはなんら責の無い運命が課せられており、さまざまな苦難が待ち受けていることは避けられないところである。カリエの物語は次で一幕となるのかもしれないが、この世界にはまだまだ語るべきものが残っている、否、作者は残している。新たな物語に向かうその時をお待ちしております。

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2007.08.29

『レンズと悪魔Ⅳ 魔神幻世』読了

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レンズと悪魔Ⅳ 魔神幻世』(六塚光/角川スニーカー文庫)読了。

今回は短編集と言うことで、エルバやテッキの日常を描写して物語とキャラクターを掘り起こしつつ、本編への伏線を張り巡らせることにも抜かり無いこと匠の技ですな。前巻で意識不明になってしまったファルナの事を気にかけつつ、八眼戦争の一つの結末を見ることで、エルバの戦うことの意義を問い直す話になっているように思う。とはいえ本当の結論は次の巻以降のようだけど。まあ今回はエルバのヘタレっぷりといろいろな意味でのひどさや、テッキの本気な情け容赦の無さなどキャラ的に見所が多く、単純に楽しいところもよいですな。

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2007.08.28

この解釈は無かった

[雑記]西尾維新の話|意味のないトリックの意味について。

単に途中の巻を飛ばして読んでもネタバレをしないためだと思ってたのだが、などど空気をまったく読んでいない発言をしてみる。

「な、なんだってー!」と言う気持ちと「嘘だろ!承太郎!?」と言う気持ちが3:7ぐらい。

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『狼と香辛料Ⅴ』読了

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狼と香辛料Ⅴ』(支倉凍砂/電撃文庫)読了。

アニメ化、コミック化も決まっているようでメディアミックス街道まっしぐらなこの頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。ロレンスとホロの旅にも終わりが見え始めてきたことから生じる漠然とした不安感に対して、その不安に直視せずには済ませられないほどに聡明な二人はその結末までもが用意に予測されてしまうために、だったらもっとも賢明な対応を取る事を選択するものの、ロレンス自身が自らの感情、望みに対して我儘を貫くことを決意するまでの葛藤が中心となって語られている。すでにロレンスは心ならずも波乱万丈な旅を終えて、実に商人としてしたたかに、狡猾になっていて一筋縄ではなく、もうけ話に隠されたさまざまな陰謀さえも直感と観察力でかぎわけ、己の有利になるように利用していくのだが、今回登場してきた女商人エーブと出会うことで、その己の望みに対する醜くも純粋なまでの欲求を感得することによって、ロレンスとホロの間にすでに了解事項とされていた旅の終わりに対して、見苦しいまでに足掻く事を決意すると言う流れが見事だった。ロレンスの葛藤と、そこからの克服、と言うよりも単なる開き直りでしかないのだが、エーブの人生を垣間見せることによって非常に感動的なまでの美しさがあるように思える。エーブの行いは決して褒められたことではないかもしれないし、むしろ往生際が悪いともいえるものなのだけれども、最後に見せたエーブの表情がそれらのすべてを補っている。彼女は自分が愚かな事をしているときちんと分かっている。でも、己の望みをそう容易くは諦めたくないし、そのためにはやらなくてはいけないことなのだ。ロレンスはその表情を見て、己の望みに我儘に生きる事を決めたのだと思う。

それはきっと夢と呼ばれるものなのかもしれない。

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2007.08.26

『ダークエルフの口づけⅢ』読了

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ダークエルフの口づけⅢ』(川人忠明/富士見ファンタジア文庫)読了。そういえば2巻の感想を書いていなかった。

これはいわゆるノワールものと呼ばれるジャンルのもので、まさかソードワールドノベルにおいてノワールが出来るとは正直なところ驚きであります。登場する人間はどいつもこいつも筋金入りの悪党ばかりで、お互いの隙を虎視眈々と狙い、隙あらば食らい尽くそうとする際どいバランスの中で繰り広げられる陰謀劇。この冷たい緊張感というべきものを、この作者はソードワールドの世界に生み出してる。その中で陰謀にも関わらず、非常にまっすぐな気性を持つアマデオを主要視点人物に配していることで、陰謀に翻弄される人間の姿を描くことで読者が作品に入り込みやすくしているところに作者の上手さを感じた。またアマデオを視点にすることで、ヒロイン的存在でありながら物語の陰謀の一端を担うダークエルフの密偵サラベラの揺れ動く心を、匂わせる程度にわずかな描写を見せているところもグッド。ツンデレとか言ってんじゃねーぜと言う感じだった。

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買ったもの

1.『ペンギン娘(2)』 高橋てつや 秋田書店
2.『連城訣(上) 菊花散る窓』 金庸 徳間文庫
3.『連城訣(下) 雪花舞う谷』 金庸 徳間書店
4.『トリプルプレイ助悪郎』 西尾維新 講談社ノベルス
5.『夏の教室』 大塚英志 徳間書店
6.『絶滅危惧ビデオ大全』 植地毅 三才ブックス
7.『ガコゼ(3)』 アントンシク 幻冬舎
8.『荒野に獣慟哭す(6)』 原作:夢枕獏 漫画:伊藤勢 講談社
9.『わが愛しき娘たちよ』 コニー・ウィリス ハヤカワ文庫SF
10.『コミック怪 Vol.01』 角川書店

1は買い漏らしていたので購入。しかしまあ、この作者の女の子を可愛く描こうという情熱は、それこそ狂気的なものがありますな…。2と3は買っていなかった金庸作品。金庸はいつになったら感想が書けるのだろう…。どうも手が回らないなあ。4は、たぶん僕の苦手な西尾維新っぽいので購入を控えていたんだけど…買ってしまいました。弱っ!5.まさか教室ってシリーズものだったとは全然知らなかった…。突然そんな事を言われても。買ったけど。6.林田球が表紙を描いているのを見て手に取ったのだけど、紹介されている映画のあまりのB級、否、C級ぶりに戦慄(「喜劇役者たち 九八とゲイブル」ってなによ?タイトルから内容が想像できねえ…)。気がついたら本を抱えていた。7.しっかし、この作者の絵はかっちょええのう。どこか不気味な陰影があるんだけど親しみやすい。8.原作とは全然関係ない方向に進んでいますね。原作をきちんと踏まえた上で、さらに踏み込んだ内容になっているのが素晴らしいです。9.コニー・ウィリスの代表作の一つだけど、実はまだ読んでいなかったので購入した。10.この手の雑誌系の本は買わないことにしているんだけど、志水アキ(京極夏彦原作)とか伊藤勢とか堤妙子とか豪華な執筆陣だったこともあり購入。これはおいしいなあ。

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2007.08.24

『脳Rギュル ふかふかヘッドと少女ギゴク』読了

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脳Rギュル ふかふかヘッドと少女ギゴク』(原作:夢野久作 構成:佐藤大/ガガガ文庫)読了。

夢野久作の『人間レコード』を佐藤大が翻案した跳訳シリーズ……って翻案しすぎだろこれ。全然面影をとどめてねえぞ。まあ夢野久作バージョンはちょっと変わったスパイもののイメージを、スパイ物の雰囲気だけをそのままに脳R人間と言うなんだか良く分からん怪生物とバトルするエージェントの活躍を描いたエンターテインメントになっております。無骨すぎるハードボイルドなおっさん主人公に、主人公を慕う女子高生とか、要素だけを引き上げればまったく良くあるライトハードボイルドアクション小説ではあるんだけど、擬似大正ロマンな世界観と、脳R人間のビジュアル的なおぞましさと、脳R人間を見分けることが出来るのは思春期の女の子(その直感)だけだったりと、悪夢的なもやもやしたリアリティのなさと言うか、あやふや感が立ち込めていてよろしいです。わりとキャラクターの陰影はハッキリしているのでわかりやすいのだけど、さまざまな勢力の思惑が絡み合い、騙し騙されるスパイもとしての面白さがきちんとあって、そこに脳R人間のグロさがまた不思議な味わいになっているんじゃないかと思う(原作の再現と言うよりは、夢野久作のもつ悪夢的で退廃的な描写を再現しようとしているのかもしれない。まあ原作は夢野久作にしてはまともっつーか小粒な作品なのでこの作品については元イメージ以上のものではないのだけど)。

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買ったもの

1.『邪な囁き』 大石圭 角川ホラー文庫
2.『処刑列車』 大石圭 角川ホラー文庫
3.『戦う司書と虚言者の宴』 山形石雄 スーパーダッシュ文庫
4.『薔薇色のチェリースカ』 海原零 スーパーダッシュ文庫
5.『ゼロの使い魔(12) 妖精達の休日』 ヤマグチノボル MF文庫J
6.『シグルイ(9)』 山口貴由 秋田書店
7.『へうげもの(5)』 山田芳裕 講談社
8.『怪物王女(5)』 光永康則 講談社
9.『創世の契約(2) 鋼の風』 花田一三六 Cノベルスファンタジア

1と2は突然ホラーが読みたいよう症候群が発症したので、まだ大石圭作品の内、読んでいなかったものを買ってきた。この人の作風はさわやかホラーと言うのが適当だと思うんだが、最近の作品はどうなっているのだろうか。ノベライズばかり書いているような気がするな…。3は例の戦う司書シリーズ。神溺教団との戦いも一区切りが付いて、新しい戦いのステージに上がりましたな。もうどこまで続くのか全然分からんが、とりあえず続けられるだけ続けて欲しい。4は…あー海原零がこんなの書いちゃうんだ…。まったく編集者も無謀なことするなあ。海原零がラブコメまたは学園異能を書いたところで面白くなるわけないじゃないか。この人、基本的にエゴイズムの権化しかキャラ書けんぜ?まあ書かないだけかもしれないから、読むまでは断言できないけど…。でも、普通の意味での萌えは書けない人だと思うんよ。5はまさしく海原零と対極に位置する作品だな。読者のマスターベーションとしてかなりの普遍性を獲得しているところが素晴らしい。流行の最先端でありながら、決して冒険をしない保守性を兼ね備えている(…それ、褒めてんのか…?)。6は、大分前に買ったのに書くのを忘れていた。ついに…ついにこの時が来たか!7は、まったく強欲極まりない人間としてどうしようもない人たちばかり出てくる戦国漫画。名物に対するこの意地汚いまでの執着を見よ!…人間って愛おしいなあ…。8は私の性癖にジャストフィット漫画。しかしこの人の絵柄でゾンビものをやられてもあまりおぞましさを感じないな…。

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2007.08.22

『扉の外(2)』読了

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扉の外(2)』(土橋真二郎/電撃文庫)読了。これまた感想を書くのを忘れていた。

ふひひ。それにしても楽しいのう。主人公が自己中心的で他人に無関心で、それでいながら奇妙に感傷的なところもあったりするのがたまらんのう。計算高くて他人を利用することにまったく躊躇いがなくて、やたらと要領がいいくせに(オール10の男だもんな…)、根本的な動機そのものが理屈になってねえあたりが少年ですなあ。前回の主人公は集団に馴染めず早々にドロップアウトしたタイプだったけど、今回はわりとこういう競争原理には強くて、上手く世渡りしそうなタイプですな。しかし、ある一つの事柄のために、そのすべての能力を使おうとするのだった…って話なんだろうなあ。駆け引き主体でありながら、痛々しくも青臭い少年少女の関係を描いているところがたまらんところであります。内容としては、上に上るか下に留まるか、と言う選択肢が生まれてきて、いろいろと話が広がってきたとような気がしますな。ルールの外へ抜け出した人たちの動向も気になるし、下に留まる正樹愛美とか。しかし、愛美ある意味賢明ですな。上を目指し続けることをあっさり諦めて、自分の手の届く領域で王様になろうとは…。たぶん、この人は自分がトップに立っていることそのものが目的なんだろうなあ、と言う気がする。勝利よりも安定、トップよりもリーダー、みたいな。それとまったく正反対の選択をしたのが蒼井典子で、彼女は可能性があるうちはひたすら空へ空へと目指すわけだ。これも一つの選択で、どこかも分からない荒野に自らを投げ込むことが出来る彼女は本当に偉大な人間だと思う。自分の知らない、新しいことを実行できる人間は、僕は無条件で尊敬します。たとえその方法がどんなものであれ、その行為を行おうとする精神は褒め称えてしかるべきものだと思う。えーと何の話だっけ?まあとにかく、いろいろと作者は思考実験を繰り返していて、その論文を読んでいる気分になるんだけど、その乾いた文章の中から滲み出てくるような情感、と言うか未成熟な感情のほころびが大変好ましいと思うのです。

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『とらドラ スピンオフ!幸福の桜色トルネード』読了

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とらドラ・スピンオフ!幸福の桜色トルネード』(竹宮ゆゆこ/電撃文庫)読了。そういえば感想を書いていなかった。

とらドラシリーズの番外編と言うか、登場人物を変えただけで全然作品から受けるイメージが変わらないのは驚きですな。いや、まったく話は違うはずなのだけど、主人公とヒロインの間に生まれる勘違いと思い込みとすれ違いがお互いの関係を変化させていくと言う点においては、いつもの竹宮ゆゆこらしさを感じさせられるように思うのだった。きっとこの作家はそういう話ばかり書いているんだろうなー…。ともあれ、自らの不幸体質に悩む主人公が、そんな彼のコンプレックスに対して何の偏見も持たない天然エロティカル少女の許容されるまでの話と、そこれから主人公に対する意識の変容によって天然であり続けられなくなったヒロインが、主人公との齟齬から生まれる葛藤、そしてお互いに気持ちをきちんと伝えることによって、それを乗り越えると言う極めて基本的なストーリーラインに対して、その周囲に、今まではサブキャラとして本編の背景に位置していた見た目は美少女、心は頼りがいのある兄貴な生徒会長の狩野すみれと、本編でも活躍(?)中の北村祐作と言うパワフルでお節介な変人がドタバタしており、それぞれの思惑が絡み合うことで物語にさらなる深みを与えているように思うのだった。ところでその変人コンビことすみれと祐作については、あーこりゃ大河に勝ち目はなくねーか?と言わざるえないところであった。ラストシーンの描写を見るに何らかの結論を出してしまっているような。まあまだわからんかな。

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2007.08.21

『黄昏色の詠使いⅢ アマデウスの詩、謳え敗者の王読了

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黄昏色の詠使いⅢ アマデウスの詩、謳え敗者の王』(細音啓/富士見ファンタジア文庫)読了。

えーと。うーんと。さあどうしたものか…。とりあえず3巻まで読んでみたんですが、結局、2巻で感じた成長物語としての歪さが解消されていない感じだった。まあ簡単に言えば天才の苦悩なんて僕には理解出来んよ、と言うのが正直なところなのだ。まあもうちょっと補足すると、主人公たちが悩み苦しむ過程は、すでに1巻の時点で通り過ぎてしまっているのに、2巻、3巻といまだに1巻のテーマを繰り返し続けているといえる。例えば2巻のエイダの存在がまた僕には良く分からなくて、要するに出来ることとやりたいことの狭間で苦しんでいると言うのは分かるのだが、そこで何故自己否定に繋がるのかが良く分からない…。ネイトもクルーエルも、もはや目指すべきところが見定まってブレがなくなっていて、人間って一瞬で成長することはあるんだろうけど、ここまでブレがなくなってしまうことは、正直なところ(言い方が悪くて申し訳ないのだけど)気味が悪いのだった。まあそれはちょっと言い方が悪いんだけど、まだまだ少年少女であるところの主人公たちが、自分たちの歩むべき道を明確に認識していることと、それを行うことの是非まで綺麗に割り切れており、その割り切れ方に対して作品中において非常に肯定的に描かれている点に馴染めないところがある。割り切れるというのは確かに強いけど、それは悩みを放棄している(それ以外の選択肢を排除している)と言うことにも繋がってくるので、あまりにも主人公たちの悩みのなさに対して、「本当にそれでいいと思っているの?」と思わず詰問したくなってしまうのは、僕の性根が歪んでいるからなのか…。まあ、難癖に近いものだということは理解しておりますが、僕の感覚からすると…どうも違和感を拭いきれないなあ…このキャラクターは…。

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2007.08.20

買ったもの

1.『夕日ロマンス』 カトウハルアキ ソフトバンク
2.『ヒャッコ(1)』 カトウハルアキ ソフトバンク
3.『反社会学講座』 パオロ・マッツァリーノ ちくま文庫
4.『108年目の初恋。』 末永外徒 ファミ通文庫

1と2は例によって僕がよく見てまわるところで(だけ)評判の良かった本。これがもう素晴らしく面白くてたまりません。1はまあ弟大好きお姉ちゃんが禁断の恋に悶々と…はあまりしないで大暴走しているところがたまりません。素晴らしい姉萌え漫画ですな。2の方はちょっと変わった学園漫画。しかし良く分からんヒロインズのテンションがたまらんとですたい。なんとも小気味よいですなー。3.は友人が面白いと進めてくれたもの。これはたしかに…素晴らしいDISっぷり(いろいろなものに)。このDISり方は芸術的とさえ言ってもよいやもしれぬ。4.えーとこれも友人(3とは別)が面白いと言っていたもの。あんまり出た当初は関心がなかったんだけど、これはまたなかなか。らぶゆくてよろしいですな。

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2007.08.19

『月蝕島の魔物』読了

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月蝕島の魔物』(田中芳樹/理論社)読了。

田中芳樹お得意の冒険物。ここで言う冒険ものと言うのは、19世紀ぐらいの空想冒険小説(ゼンダ城の虜とか)のノリで、田中芳樹のこのジャンルへの偏愛が伺われる内容になっています。とは言え物語の前半は、クリミア戦争に従軍し、心の傷を負った主人公ネッドと、その明るく元気な姪メープルのユーモア溢れるやりとりに従事している。仕事の無いネッドは再就職の伝手を探してまわり、メープルの機転によって上手く大手貸本屋(この頃は本は高価なものなので、出版社と貸本屋が同じ)に就職することが出来た。そんな彼が文豪チャールズ・ディケンスの担当を代行することになる。ディケンズの屋敷を訪れたネッドとメープルは、そこで破天荒な童話作家、アンデルセンと出会う。そしてネッドとメープル、ディケンスとアンデルセンが、とある理由で月蝕島に訪れて冒険を繰り広げるのだった…。と言うわけで、こういう冒険物のあらすじを読むとわくわくしてくるような人には必読の作品と言えるでしょう(まあ、僕のことなんだけどさ)。このお話には、超能力も超人もわかり易いモンスターも出てこないし、悪役の造詣もステレオタイプで、新規で現代的な刺激を求めるものではない。もちろんこの作品はそんなものを求めてはいなくて、ユーモア溢れる個性的な主人公たちが、さまざまな危機に陥いりつつも知恵と勇気と機転で乗り越えていくと言うところにロマンがあると思うのである。予定調和でけっこうけっこう。ステレオタイプでけっこうけっこう。どきどきわくわくの物語がそこにはあるのだ。

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2007.08.18

『青年のための読書クラブ』読了

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青年のための読書クラブ』(桜庭一樹/新潮社)読了。

こいつはキテるなあ…。これって要するに”異形化”した『マリア様がみてる』だと思うんだけど。『マリア様がみてる』では意図的に省かれた少女たちの楽園の暗部。楽園から追放された、あるいは楽園を拒否した人々が引き起こす動乱の有様を描く。あまりに美しく、あるいはあまりにも醜く、楽園で生きるには、砂糖菓子のみで生きるにはあまりにも実弾に親しむ少女たちは、ただ楽園にあるだけで閉ざされた世界に波紋を投げかける。繰り返される比喩に彩られた異形の少女たちの、繊細と言うにはあまりにも暴力的なものを秘めた感情の揺らぎが、たびたび世界を揺るがし、そして世界に取り込まれ、彼女たちは打ち折れてしまう。自らを束縛するものから解き放たれようとした少女は石を持て追われる。世界はかくも強固なものなのだ。ただ彼女たちが為した足跡は、秘めやかに、淡々と記録が残され、読書クラブの中だけで語り継がれるのだ。100年目のあの日、”世界”が終わるそのときまで。終わった”世界”で、彼女たちの一瞬の衝動は、解き放たれ、あるべき人々の元へ戻るのだった。

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『赤石沢教室の実験 Style‐F』読了

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赤石沢教室の実験 Style‐F』(田代裕彦/富士見書房)読了。

田代裕彦渾身の本格ミステリ・・・のような気がする。今までのキャラクター小説っぽいところを抑え目にして、トリックに全力を注いでおります。いわゆる物理トリックは重視していなくて、どちらかと言うとその殺人に至る動機の構築に目が向かうと言うのは、確かに京極夏彦の系譜の人なんだなあと思った。京極夏彦の流れってのは、実のところメフィストおよびファウスト系では受け継がれていなくて(かろうじて西尾維新がそれらしいところがあるような…ないような…。勘ですすまん)、どこに行ってしまったのかと思えば富士ミスに受け継がれていたのでした。死と言うものに縋り付こうとする男の永遠を巡るお話に、若竹七海を思わせる人間のゾッとするほどの暗黒をきっちり描いている。思った以上に端整な作品で、やや冗長なところもあるものの、作者の成長(あるいはこっちが地なのか?)を感じられる作品だった。ただどうしても看過出来ないところがあって、と言うのは最後の最後のラストシーンなんだけど、このシーンを書きたい気持ちは確かに分かるんだけど、どう考えても書き過ぎだ。もう蛇足という格言を現代に蘇らせているくらいに蛇足。いや、本当に書きたくなる気持ちはわかるんだけど…このシーンが無いとすっきり来ないし。でもこのシーンを入れては作品全体の美観を明らかに損ねている・・・。完成度を取るか、分かりやすさを取るかといえば、分かりやすさを取ってきたのが田代裕彦だとは言え、これはあまりにも蛇足過ぎて「もったいねー!」と読み終えた瞬間に叫んだ。もったいねー!まあそれだけ。

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2007.08.17

買ったもの

1.『月光のカルネヴァーレ~白銀のカリアティード~Ⅱ』 J・さいろー ガガガ文庫
2.『やさしい煉獄』 森岡浩之 徳間デュアル文庫
3.『超人ロック 久遠の瞳(1)』 聖悠紀 メディアファクトリー
4.『バイオメガ(3)』 弐瓶勉 講談社

1.カルネヴァーレ小説版。しまった、ゲームはまた途中だ。2.山本ヤマトのイラストに引かれて思わず買ってしまったが、よくよく読んでみたらこれ持っているじゃん…。ま、まあいいか。口絵はえろいし(いや駄目だろう…)3.ジュナンの子らのリメイク作品ですな。これも実は持っているような気がするんだよなあ…。4.あ、ありのまま起こった出来事を話すぜ!バイオメガの新刊が出ていると喜び勇んで手に取ったら表紙のカーダルに萌えてしまった…。な、なにを言っているかわからねーと思うが、俺にも何が起こったのかわからなかった…。頭がどうにかなりそうだった…。弐瓶勉の絵は萌えないなんて先入観を吹き飛ばすほどの、恐ろしいものの片鱗を味わったぜ・・・。

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2007.08.16

『食卓にビールを(6)』読了

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食卓にビールを(6)』(小林めぐみ/富士見ミステリー文庫)読了。

これで完結と言うことだけど、もうなーんにも今までと変わったこともなく、いつも通りの食卓でした。本当に何も変わらない。大人の事情か。うひゃひゃ。だがまあ、それもまたこのシリーズらしいと言えなくも無いでもないような気もする(どっちだ)。いつ終わってもいいし、何食わぬ顔をして復活しても良いし、まあそんな程度の認識でいいんじゃねーかな。

内容は相変わらず日常の不条理コメディが突如として宇宙の存亡に関わる真剣な危機に直結し、主人公のどこか常人とは異なる脳の配線から生まれる機転によってからくも地球は救われるのであったと言う話であります。この主人公、ご近所で宇宙の危機を救い過ぎですな。さすが新時代のスーパーヒロインにしてカリスマ主婦(見習い)女子高生作家さまだぜ!属性を適当につければいいと思えば大間違いだぞ!?(お前がな)。あと、旦那さんがイラスト化されたのって初めてじゃね?今までに出てきていたっけ?とかどうでもいいところをつっこんでみる。

「食卓にビールを☆養殖篇」
本当になあ。生き物を飼うのってムチャクチャ大変だよなー。オレも昆虫は苦手。すぐ死ぬから。

「食卓にビールを☆太陽電池篇」
い、いや、そもそもそんなものが展示されている小学校の自由研究発表会ってのはなんなのよ!?…と言うツッコミは無粋極まるので自重すること。そこが良いんじゃないか。

「食卓にビールはありません☆双六篇」
銀河の危機を救う美少女戦士が凶悪なる魔と戦い世界を救うと言う物語のプロローグとエンディングに巻き込まれた主人公の前にあるのは心霊現象で、やっぱ銀河の危機より目の前の幽霊の方が怖いよね、と言う話だ。たぶんな。

「食卓にビールを☆探偵篇」
へっぽこ探偵に協力する主人公。なんと普通の探偵ものになっている…。主人公はとにかく頭が良すぎですね。カリスマ主婦には勿体無い。

「食卓にビールを☆おばあちゃん仮説篇」
主人公のコロンブスの卵的な発想により、とある民族紛争を終結に導いたネゴシエーターカリスマ主婦の未来に栄光あれ!あとこの数十年連れ添った夫婦の会話に、10代で何故到達しているのだ主人公…。

「食卓にビールはありません☆アニテク篇」
タイトルに意味がありません、と言うのは無粋なので控えること。まあ身内びいきはみっともないよーと言う話か?まあきちんと大人になれなかった駄目人間は全宇宙共通と言うことか。まあ家族も良くないよね、これ。何の話だ。

「食卓にビールを☆秘密基地篇」
ジョジョか!ジョジョネタが来るとは思わなかった!あと配管工。まあ不動産屋の甘言に乗るとろくなことはないから、きちんと取引する相手は選んだ方がいいよ。ところで秘密基地を取り扱ってくれる不動産屋ってどこにあるのさ?ねえ?

「食卓にビールを☆磁石篇」
……これ……バットエンドじゃねえのか!?いいのかこの終わり方で!?まあ運命の女と一緒になれたんだから、ある意味ではいいのかもしれないが…。騙されん、騙されんぞー。

「食卓にビールはありません☆3K篇」
恐怖の大王とアンゴルモワの大王の関係は素で知らなかった…。別の存在だったのか…。しかし、アンゴルモワは一体何をしに出てきたんだ?なんか浴衣の女子高生を書きたかったとしか思えん話だな・・・。

「食卓にビールを☆クリーニング篇」
お前はオレか!?クリーニング屋はもう一つのオレのクローゼット~とか。すいません。つか、重曹ってマジで最強!!あー今度世界が終わりそうになったときは重曹を用意しておけばいいじゃない。

「食卓にビールを☆相棒篇」
ハードSFミステリ…なんじゃないの(てきとー)。まあミステリの謎を解いたことで、事態が全然改善されなかったのは別の意味で驚いたが。

まあ、そんな感じでした。本当に終わったような気がしないのだが、それはそれでよし。ゆるーいゆるーい終わり方でした。だらだら家の中でビールを飲むような緊張感の欠片も無い話ですな。

…オレも酒でも飲むかな。

そんなかんじー。

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2007.08.15

『永遠の戦士エレコーゼ(2) 剣のなかの竜』読了

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永遠の戦士エレコーゼ(2) 剣のなかの竜』(マイケル・ムアコック/ハヤカワ文庫SF)読了。

あれ・・・?これを読んだ記憶が無いぞ・・・。と言うわけでどうやら読むのを忘れていたのか、読んだことを忘れたのかわからんが、とにかく新鮮な気持ちで読めた。

またしても新たな世界に召還され、フラマディン王子としてよみがえったエレコーゼの冒険がつづられるのだけど、今回の冒険は前作までとは大分方向が異なっている。エレコーゼに降りかかる苦難は変わらずあるけれども、人間と言うものに対する希望とでも呼ぶべきものがあって、英雄として世界の供犠に供されるエレコーゼが、英雄ではなく、ただの平凡な一人の人間として生きる事を選ぶと言う、ある意味、永遠の戦士と言う存在そのものを否定する結末になっていて、もはや一人の英雄に罪と重荷を背負う時代は終わったのだと言うムアコックのテーマの変化が見受けられるのが興味深かった。エルリックの新サーガや、永遠の戦士フォン・ベックと深いかかわりを持つ名前も同じフォン・ベックと言うキャラクターが、今までの英雄の介添人と異なり、現代的な合理主義とヒューマニズムを持ち合わせた人物で、彼と交流することで、半ば英雄としての責務を(諦めつつも)受けれていたエレコーゼに新たな認識をもたらしているんだな。フォン・ベックとエレコーゼの熱い友情と、それによって精神の死から蘇るエレコーゼのシーンはたぶんこの作品中、と言うかムアコック作品中でも最高に熱いシーンと言えるでしょう。そして混沌の大公爵、バラリザーフとエレコーゼ率いる時の果ての戦士たちの凄まじい激闘!本当にこれってムアコックなのかー…。英雄的で、それでいながら英雄を否定して、そして己を肯定することが出来たエレコーゼ。いやーマジで涙が出てきた…。そしてラストシーンのサプライズ。こ、この二振りの剣は…と言うことはこのエルドレンの人たちはメルニボネの…で、フォン・ベックは…。マジでか。まあそれはともかくラストシーンの孤独さと穏やかさといい、発表時期を考えてみると、おそらくムアコックの転換点に位置する作品だったんじゃないかなあ。単に人間を否定するのではなくて、なんと言うか、”愛”と呼ぶべきものが作者の視点にあると思うのだった。

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2007.08.13

『悪魔のミカタ666(2) スコルピオン・テイル』読了

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悪魔のミカタ666(2) スコルピオン・テイル』(うえお久光/電撃文庫)読了。

うーん…いやすげえな…。”戦い”と言うものは、実際に剣を交えた時にはすでに決定されていると言う言葉通り(うろ覚え)、この巻においては、戦いに至るまでのフィールド作り、言い換えれば戦いの前段階である”勝利条件を設定”することに一冊まるごと費やされているようだ。それぞれが持つ”目的”が異なる以上、必然的に勝利条件が異なることは当然なんだけど、ライトノベルでそのことを明確に描いたのって、しかも、その過程が面白いとなると皆無に等しいよな・・・。勝利条件が設定されていないと言うことは、自分が本当にやりたいことが明確になっていないと言うことで、そこにはつまり迷いがあり、迷いがあるということはそれをもたらす原因があり、何故その原因が生まれてしまったのかと言うところは、結局のところ当人が(良しにつけ悪しきにつけ)それまで生きて積み上げてきたものであり、その部分をはっきりさせることなく勝利条件を明確にすることが出来ないのであるが、それはまさに悪魔のミカタ一学期編で13巻かけて描かれてきたものそのもので、それだけの長さ、重みを積み上げてきた背景を、咀嚼し消化し受け入れると言うことは容易ではないのは当然であるわけで、それぞれのヒロインが勝利条件を定める(自らを受け入れる)までを描くと言うことは、それだけで凄まじい濃度のドラマが生み出されるのだと言うことを思い知らされた思いである。しかし、それだけの濃度を描く事を、数多く登場する人物それぞれが絡み合いながら複雑化していく関係そのものを描くに至っては、ひたすら読者としては圧倒されっぱなし。あまりにも巨大な大伽藍の如き壮麗さと換言しても物足りぬ。どこまで行くんだこの作品は…。

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買ったもの

1.『DDD2』 奈須きのこ 講談社BOX
2.『かんなぎ(3)』 武梨えり 一迅社
3.『ワールドエンブリヨ(3)』 森山大輔 少年画報社
4.『秘曲 笑傲江湖(3) 魔境の美姫』 金庸 徳間文庫
5.『ミステリクロノ』 久住四季 電撃文庫
6.『お茶をにごす(1)』 西森博之 小学館
7.『絶対可憐チルドレン(10)』 椎名高志 小学館
8.『ドミノ』 恩田陸 角川文庫
9.『村田エフェンディ帯土録』 梨木果歩 角川文庫
10.『「世界征服」は可能か?』 岡田斗司夫 ちくまブリマー新書

1.しかし、アリカじゃないけど、マトさんはいつもは鉄の女なのに、不意を突かれるとやたらと可愛らしい事を言い出すから困る。普段は冷酷で男性的な口調なのに、そういうときほど女の子っぽい事をいうんだもんな…。しかもそのさじ加減が絶妙で、あざとくならないギリギリの線なのが見事だった。2.ようやく物語が動き出してきた印象。主人公いじり漫画としてのスペックも高いが、鼻水まで出して泣くヒロインのラブリーさには参った。3.相変わらずテンションたけーぜ。しかし、ヒロインのあれには、たしかにどういうキャラ!?とか思った。読者の心境を代弁した主人公のつっこみには笑った。4.主人公の艱難辛苦はまだまだ続く。内障を負い、武芸を封じられ、武林からも追放されてしまった主人公の前に、またしてもややこしいツンデレが登場。善意でやってんのにどんどん主人公が追い詰められていくと言うのは一体何故なのか…。5.落ちモノにしてミステリ。キャラクター小説としてもわりと面白い。ミステリとしてはまだよくわからんなあ。ミステリと言うより、戯言シリーズみたいな駆け引きものになりそうな気がするなあ。6.主人公を勧誘する茶道部部長がいいんだなあ。優しく礼儀正しいんだけど、聖人と言うわけじゃなくて、主人公に思いっきりビビりながらも、己を律していこうとするところが立派だと思った。7.兵部がなかなかに複雑なキャラになってきて頼もしい。悪役でも味方でもないところがいい感じ。8.恩田陸を読むのも久しぶりだなあ。9.梨木果歩を見つけたので買った。でも読んでいない本が他にもあったような…。10.タイトルに惹かれて買いました。

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2007.08.11

『私立!三十三間堂学院(6)』読了

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私立!三十三間堂学院(6)』(佐藤ケイ/電撃文庫)読了。

相変わらずこの作者は萌えに対する愛が全然ないところが素晴らしいと思う。この作者にとって、萌え(それを生み出すキャラの記号化)というものは物語を動かすためのツールであり、それ以上でもそれ以下でもない。作者が事前に想定する物語に必要なキャラクター(≒萌え要素)を、逐一投入していく手つきがあまりにも自然で、巧みの技だとさえ思える。んで、佐藤ケイのすごいところは、萌えをツールとして使いながらも、少女たちのどきどきとかわくわくとか、そういう記号的ではない内面的な部分の描写が上手くて、群像劇としても作品を作り上げていると言う点だと思う。このシリーズにおいては、多くの登場人物たちが登場し、入り乱れ、それぞれが選んだ選択がそれぞれの歩みに影響し、多いなる運命とでも言うべき大河を生み出しており、見事なまでにその群像劇として確立しているのだ。6巻まで読んでみて、さまざまな登場人物たちの新しい側面が魅力的に描かれてきていて(花音って実は完璧超人のお嬢様だったのか…)、人間関係も重層的になってきているし、この作品はどこまで進化するのか、佐藤ケイがコントロールしきれるのかと思うと物語の展開そのものも含めてハラハラしてくる。わりと”萌え”とか興味が無いという人にも読んで欲しいシリーズであります。

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『バッカーノ!1705 The Ironic Light Orchestra』読了

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バッカーノ!1705 The Ironic Light Orchestra』(成田良悟/電撃文庫)読了。

アニメの出来映えはなかなかに良いものではないかと思うバッカーノ!ですが、今回は現時点のバッカーノ!本編におけるラスボス級キャラ、ヒューイと、その親友エルマーの若かりし頃のおはなし。ヒューイが世界を憎悪しながらうじうじうじとルサンチマンを募らせながら自分の内側にこもっているある日、相手の善意も悪意も正義も悪も、究極的には幸福か不幸かさえ無視して世界を笑いで満たそうとする無垢なる狂人エルマーと出会います。本編ではすっかり不気味なラスボス然としたヒューイも若い頃は世界と人間を憎む普通の少年だったとは驚きました。いろいろなものを憎みながら、そのどこかで憧憬を抱き、そのことに自分でも気がついていて、気がついていることでさらに怨念を滾らせるヒューイには親近感さえ覚えるなあ。いや、少年の頃は、誰だって世界を滅亡させようとか一度や二度は考えるじゃん?と言う話。まあヒューイの場合、それを実行に移せるだけの行動力があるだけと言う話でもある。そんな世界を変えようと本気で考える少年少女が出会って走り出すと言う話であるわけで、おおなんと、プロットだけを見てみると普通の青春ドラマじゃないですか。まあそういった世界と対峙する少年少女の話ってのは、大抵の場合敗北するのがセオリーなので、その敗北が本編のヒューイたちに繋がっているんだろうなあと思うと腑に落ちるものがありますな。彼らは敗者復活戦を延々とやっているわけ。そう考えるとちょっと切ないやつらだなー。ヒューイとエルマー。

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2007.08.10

『カッティング~Case of Mio~』読了

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カッティング~Case of Mio~』(翅田大介/HJ文庫)読了。

いやーHJ文庫は読む本読む本がとにかく面白いのでどうなっているのか本気で心配です(僕が)。良く分からんが、HJ文庫が想定する読者層に完璧に僕が該当しているんだろうな…。恐ろしいことですが、もしかすると面白がっているのは僕だけかもしれん。まあ別にいいんだが。んで内容ですが、頭の良さげでいい感じに未熟な主人公が、わけありの少女と出会い、少女の傍らで本を読み、ぽつぽつと交わされる洗練された言葉のやり取りをする、と言うあたりで僕の自己投影的理想像が現出しているわけで面白くないわけが無いんですが(いわゆるライトノベルにおける男性的主体に対する自己投影と言うやつです)、ある出来事から日常が反転し、自己を規定するものを失う少女を前にして立ち尽くす少年の無力感、世界に対する絶望感の描写が良かったと思う。まあ世界に対してそのまま敗北してしまってはライトノベル的な主人公の存在意義はなくなってしまうのだけど、たとえ主人公が世界と対峙し打ち勝ったとしても、それはあくまでも世界の一層に過ぎないという点を押さえているのでご都合主義を感じさせないのも見事だった。決して(まあ現代科学で再現可能なのかはともかく)超自然的な要素を取り込んでいるわけではなく、ライトノベル的な悪が存在しているわけではないのだけど、己自身に押しつぶされそうになる不安定さ少年少女の姿を見事に描いたこの作品は青春小説としても評価していいと思うのだった。とにかくこれは僕がライトノベルに求めるものに満たされている作品なので、ただ好きとしか言えません。良いなあ。

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2007.08.08

『夜空の双子座に紅いバラ』読了

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夜空の双子座に紅いバラ』(岡崎裕信/スーパーダッシュ文庫)読了。

田中芳樹原作の『ウェディングドレスに赤いバラ』の続編を岡崎裕信が書きました。正直、田中芳樹と岡崎裕信は作家としての方向性が違いすぎるのでどうなることかと心配になってしまったけれど、読んでみたら思ったほど違和感が無いことに驚きました。無論、田中芳樹マニアとしては年季(だけ)は入った吉兆めといたしましては、全体的に性格が過剰になっている感触は受けるものの(伯父さんとか)、概ねにおいて原作キャラを上手く取り込んでいるように思います。双子の美少女キャラを出してあからさまにテコ入れを出したりしているところは、いかにもな印象を受けるのだけど、伝奇アクションではありながらもどこかのほほんとしていて、生死をかけたバトルをしていても不思議と深刻になり過ぎないところなど、原作の雰囲気を良く出ていると感じられるのですが、良く考えてみると、もともと岡崎裕信と言う作家にはそういうところがあって、壮絶なバトルを繰り広げていても、奇妙に切羽詰ったものを感じさせないところがあり(それは長所でもあり短所でもあるのだが)、どこか深刻になりきれないユーモアと言う点では田中芳樹と似通ったところもあるのだなあ、と、今まで気がついていなかった作者の側面にも気付かされた思いです。結局は見せ方の問題なわけで、今回のように過剰なキャラ付けを敢えて封印し、エピソードを積み重ねていく手法をとることで、同じ作者でもここまで印象が変わるのか、と、驚きを禁じえないのでした。意外と面白いですよ、これ。

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2007.08.07

『ウェディング・ドレスに紅いバラ』読了

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ウェディング・ドレスに紅いバラ』(田中芳樹/スーパーダッシュ文庫)読了。

田中芳樹作品はよく新装版にして再販を行うケースがあって、この『ウェディングドレスに赤いバラ』も何度も再販されていて、実のところまたかと思わなくも無いのだが、スーパーダッシュ文庫で、表紙が小林立だったりしたのを本屋で見た瞬間の衝撃はかなりのものだった。そのときの心理状態を表現するならば、まあ「な、なんじゃあこりゃあ…」と言うしかないのだが、それにしたってあんまりと言えばあんまりすぎじゃろ?とはいえ、こういう挿絵のもと改めて読んでみると、これがきちんと(と言うのも変な感じだけど)ライトノベルっぽくなってくるのが不思議と言うか。もしかすると、ライトノベルと言うのは作品の質がどうこうと言うものではなくて、やはりパッケージによるものなのではないだろうか、と思うのだった。

作品の内容については、まあたぶんこれで3回目くらい読む作品なので今更何をか言わんやと言う心境で、何を言っても白々しいことこの上ない。まあ敢えて言うとすると、いつも通りの田中芳樹だったなあ、と。ただ、田中芳樹はときどきこういう、のほほん伝奇アクションものを書くことがあるんだけど、その中でも、まあ普通だと思う。田中芳樹は”キャラクターを立てる”と言うことに関してはある種の職人芸的なところがあるんだけど、この手の話ではその手腕を封印している感じで、また、この人は物語の視野が広いタイプの作家なので、なかなか登場人物たちの目線に物語が降りてこないこともあり、普通に伝奇アクションを書こうとするとどことなく平面的な印象を受けてしまうところがあると思うので、やっぱり田中芳樹には歴史物を書いてもらったほうが好きだなあと言うことを再認識したのだった。まあ面白いんだけど。

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買ったもの

1.『タネローンを求めて ブラス城年代記3』 マイケル・ムアコック 創元推理文庫
2.『ひぐらしのなく頃に 第一話鬼隠し編(上)』 竜騎士07 講談社BOX
3.『狼と香辛料Ⅴ』 支倉凍沙 電撃文庫
4.『とらドラ5!』 竹宮ゆゆこ 電撃文庫
5.『時載りリンネ!(1) はじまりの本』 清野静 角川スニーカー文庫

1.ホークムーン・サーガもクライマックス。しかし、エレコーゼ・サーガの新装版の刊行ペースを考えると、ハヤカワと打ち合わせでもしているんじゃないかと言う気がしてくるなあ。2.…買っちゃったよ…。すでにゲームをとっくの昔にクリアしていると言うのに、何で今更買っているんだよ…。講談社BOXと言うところがことさらに腹が立つ。相変わらず殺意の沸く商売をやってやがんなあ…(負け犬の遠吠え)。3.アニメ化らしいですがさてどうなるか。どうでもいいか。4.こっちはアニメになんねーの?5.ハイ、慎重に読んだ人の評判を確認して、ようよう面白そうだと言う予測が立てられたので購入した。チキン?いえいえ戦略ですよ。

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2007.08.06

『鬼切り夜鳥子(3) みちのく血煙慕情』読了

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鬼切り夜鳥子(3) みちのく血煙慕情』(桝田省治/ファミ通文庫)読了。

あ、面白い。前回感じていたお祭り気分な楽しいエンタメを基調に、夜鳥子の一人の女としての情念と彼女を中心とした人々(人ではないものもいるが…)の触れ合い、すれ違いをシリアスに描いていて、以前、ちょっと引っかかっていた(物語の表層を掬い取っているような)軽さが大分薄れているように思う。きちんと夜鳥子と求道の物語になっているのは見事だった。妖怪退治道中記の体裁をとりながらも、その過程で生まれる人々との関わり、そして夜鳥子の変化を描いているところが僕の好みだったのだが(これは純粋に個人的な嗜好なのだけど、僕は人間関係の変化を描いた小説が好きなのです)、まあそういうのを抜きにしても、夜鳥子と求道がひたすらいちゃいちゃいちゃいちゃしまくっており、ほんのりどころではないエロスも加えてなんと言うラブエロ小説かと戦慄したりもするのですが、とりあえず作者のエンタメ嗜好には頭が下がります。ご馳走様でした。

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『SAS スペシャル・アナスタシア・サービス』読了

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SAS スペシャル・アナスタシア・サービス』(鳥居羊/HJ文庫)読了。

なんでもない平凡な日常を、妹とともに謳歌していた主人公が、突然やってきた戦闘美少女たちによって非日常に叩き込まれるのだった、と言うあまりにもありがち極まるあらすじでありながらも、この作品が特異性を保持している点は、やはりアナスタシアたちバトルヒロインたちの戦闘員的な描写に軍事的知識を駆使して説得力を持たせているところなんだろう。作者の愛が、戦闘美少女とミリタリーへ等量に注がれていることもあって、美少女いっぱいのハーレムラブコメと、(知識の乏しい僕にとっては)特殊部隊ものとしてのリアリティの双方を、かなりのレベルで保持しているように思った。主人公の成長を主軸にして双方を結び付けているので、当初僕が思っていた以上に物語のカタルシスを生み出しているように思う。もっとも双方を成り立たせようとするあまり、どちらも中途半端になっていて、ファンタジーさを強調してしまっている感じはあるのだけど(いくらなんでも素人の主人公がいきなり実践なんて無理だろ、とか)、それを含めても大変面白かった。

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2007.08.04

『たま◇なま 生物は何故死なない?』読了

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たま◇なま 生物は何故死なない?』(冬樹忍/HJ文庫)読了。

いやーヤバイね。オレ、これ大好き。冒頭から主人公とヒロインの噛み合っていないようで絶妙なまでに噛み合った会話からして大好物。だってオレ、生きることや死ぬことをだらだらと対話して会話してループする話って大好きなのであり、その嗜好にスマッシュヒットっすよ(狭い嗜好だな)。まあヒロインがだんだんわかり易い人外ツンデレ(造語)になっていくあたりは物語の要請といえなくもありませんが、対話することによってお互いの論理が変わっていくものだと考えれば問題なし。おっけー、おっけー。まあそういう萌え的要素を適度に使いつつ、やっぱり最高にして素晴らしいのは主人公とヒロインの会話な(またそれか)。どれくらい素晴らしいのかと言う点については、語り始めたらすべてを引用するしかなくなる類いの話であり、細かいところまで突っつくと本一冊ぐらいかけてしまうんじゃないかと思えるぐらいなので不可能なのだが、とにかく、人間の常識をわきまえないヒロインの鉱物娘(推定年齢は数万年)が人間社会の征服を本気で企みながら(3世代ぐらいで征服するという気の長い話。ほら無機物だから)、人間社会のことを学んでいく課程に生じるギャップを、ヒロインの種付け担当にされた主人公(世界の悪意にさらされ天涯孤独になった無気力無感動なやつ)とのどこに飛んでいくのか分からないズレた会話に爆笑しつつ、いつの間にか一周して物事の核心を突いたシリアスな会話になっていたりして、本当にこの面白さをどのように伝えればいいのか分からない!この物語の核心にあるのは、やはり短い生涯しか持たない有機生命体の持つ”儚さ”そのものであり、人は何故、生に意味を求めるのか、人は何故、大切な何かを求めてしまうのかと言うことへの問いかけがある。それらの”想い”こそがなければあらゆる悲劇は生まれることは無いというのに、それでも何故、求めてしまうのかと言うひどく深刻な疑問がテーマとしてあり、そしてありふれた悲劇に打ちのめされた主人公がどのように答えていくのか、と言う再生の物語にも繋がっている。いやー素晴らしい。まあケチをつけるとするならば、主人公が答えを見出していく課程が相当に飛ばされていることぐらいか。戦闘が面白くないという批判もありそうだけど、それはたぶん読み方を間違っている。これは徹底して対話の話であり、(敵との戦いも含めて)すべて主人公と外部との対話で成り立っており、それによって主人公が答えを見つけていくと言うところが重要なのではないかと思うのだった。あと、タイトルの意味だけど「たま」→「鉱物」、「なま」→「生物」、「◇」→「交差」を意味しているんじゃないかと思う。妄想だけど。

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買ったもの

1.『それでも町は廻っている(3)』 石黒正数 
2.『PRESENT FOR ME 石黒正数短編集』 石黒正数 少年画報社
3.『スクールアタック・シンドローム』 舞城王太郎 新潮文庫
4.『流血女神伝 喪の女王7』 須賀しのぶ コバルト文庫
5.『NARUTO(39)』 岸本斉史 集英社
6.『銀魂(19)』 空知英秋 集英社
7.『魔人探偵脳噛ネウロ(12)』 松井優征 集英社


1.なんか漫画でページをめくるたびに腹を抱えて笑ったのって久しぶりだ…。それはそれとして紺先輩は可愛いなあ…歩鳥はバカ可愛いなあ…タッツンはツンデレ可愛いなあ…ばあちゃんも鬱陶しいぐらいに可愛いなあ(なにそれ)。2.真面目だったりとんがっていたりする石黒正数の短編集。若い…思った以上にこの作者って若いんだなあと驚いた。ほんの5~6年前の作品なのかよこれ…。もっとベテランのような印象があった。3.舞城王太郎の短編集…かと思ったら再録が多いなあ。書き下ろし一編あるし、まあいいけど。4.あー。これはもう何がどうなろうとあと一巻ですべてに決着をつけるのは無理だよな…。まあここまでこじれた争いを解決することなんてどだいが無理な話ではあるが。5.兄貴が瞬殺したダイダラに対してサスケが苦戦しすぎ、と言う意見もあるけど、兄貴はほとんど不意打ちだったの対して、サスケは不意打ちをされた側なわけだしさ…大目にみようぜ!6.空知英秋3万字インタビューが収録されていてものすごくお買い得感がある。いや、こういうどうでもいい、作者の生の声が聞けるだけで読者にとってはすごく嬉しいことなんだよな。7.弥かねちゃんモードが異様に萌えるんですが…。あと幼女(説明終了)。

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『桜ish(チェリッシュ)-推定魔法少女-(1) 桜舞い降りた』読了

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桜ish-推定魔法少女-(1) 桜舞い降りた』(一肇/角川スニーカー文庫)読了。

変則魔法少女物と言ってしまえばそうなんだけど、主人公のどうにもならない鬱屈と現実を、魔法少女、すなわち”変身”を支えとして試練に立ち向かうと言う話であって、見た目と設定の奇抜さに比べて実にまっとうと言うか、爽やかな話になっているところに好感が持てる。なにより、”魔法少女”の存在は、決して主人公の外部から来ている存在ではなく、彼の中で眠っている強さの具現化であるというところも良い。それは言うなれば自転車の補助輪のようなもので、主人公が真の意味で成長するときまでの”杖”のような存在なのだろう。いつかは”魔法少女”を必要としなくなるときが必ず来るのだろうし、それは必要なことなのだ。”魔法少女”と言う夢から覚め、自分の力で乗り越えることが、きちんとテーマとして掲げられているところがなかなかにシビアであるし、健全な物語であるとも言える。うん、僕はけっこう好きだよこれ。

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2007.08.03

『戦闘城塞マスラオvol.2 神々の分水嶺』読了

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戦闘城塞マスラオvol.2 神々の分水嶺』(林トモアキ/角川スニーカー文庫)読了。

いやー相変わらず主人公がマジ格好良いなー。史上最弱、子供にも負ける戦闘力であり、金なし職なし友達なしの引きこもりであったヒデオがハッタリと目力だけでバトルロイヤルを勝ち抜いていくと言う話なんだけど、このヒデオ、引きこもりのくせに(ヒデエ)むやみやたらに格好良い…。格好付けているんじゃなくて本当に格好良い…。クールでニヒルで寡黙で口にする言葉は警句に満ちていると言う、コイツの天職はハードボイルド探偵としか思えない。しかし、能力は一般人(以下)なんだよなー。2巻目に入って前作の登場人物(魔殺協会とか)が縦横無尽に暴れ始めていくのもいい加減にしやがれという感じだが(プー勇者には正直がっかりだ!)、ついに就職(他人には言えない職業)を果たしたヒデオが、持ち前の目つきの悪さと機転で売り上げを上げていくに至ってはもうオレは一体何を読んでいるのかと…。キャラクター小説のある種の極み。欠点ならいくらでもあるが、それはあげつらうべきじゃないタイプの作品ですな。

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2007.08.01

『マリア様がみてる フレームオブマインド』読了

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マリア様がみてる フレームオブマインド』(今野緒雪/コバルト文庫)読了。

蔦子さんが表紙で何事かと思いきや短編集でした。なんだよ期待させやがってーと言うのは冗談です。なんともバラエティに富んだ作品集になっていて、なんでこんな女の子たちが泣いたり笑ったりしているだけの作品が面白いのか不思議な気持ちになります。いや、面白いと言うのともちょっと違っていて、ただ安心感があるといいますか…悪意と呼ばれるものから遠ざけられた世界で戯れる異世界感が良いといいますか…。まあそんな感じ。きもーい(オレが)。10篇もある短編集で一作一作はそれほどの厚みは無いけど、切り口が一般生徒の日常だったり事件だったりと薔薇さま周辺ではなかなか見られない、脇役の視点からの話が充実していて、作品世界のも広がりが出てきているように思う。と言うか、マリみて世界でミステリーが出来るんだな…「四月のデジャブ」は良い意味で意表をつかれた。前にも叙述トリックがあったような気がするけど、今回ほどトリック中心じゃなかったもんなー。あと、「温室の妖精」の幻想性もけっこう高く評価したいところがあって、こういうのももっと書いて欲しいなあ、と思った。他の作品もけっこう粒が揃った短編で、充実してると思う。ノッてんなー作者。

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