『カッティング~Case of Mio~』読了

『カッティング~Case of Mio~』(翅田大介/HJ文庫)読了。
いやーHJ文庫は読む本読む本がとにかく面白いのでどうなっているのか本気で心配です(僕が)。良く分からんが、HJ文庫が想定する読者層に完璧に僕が該当しているんだろうな…。恐ろしいことですが、もしかすると面白がっているのは僕だけかもしれん。まあ別にいいんだが。んで内容ですが、頭の良さげでいい感じに未熟な主人公が、わけありの少女と出会い、少女の傍らで本を読み、ぽつぽつと交わされる洗練された言葉のやり取りをする、と言うあたりで僕の自己投影的理想像が現出しているわけで面白くないわけが無いんですが(いわゆるライトノベルにおける男性的主体に対する自己投影と言うやつです)、ある出来事から日常が反転し、自己を規定するものを失う少女を前にして立ち尽くす少年の無力感、世界に対する絶望感の描写が良かったと思う。まあ世界に対してそのまま敗北してしまってはライトノベル的な主人公の存在意義はなくなってしまうのだけど、たとえ主人公が世界と対峙し打ち勝ったとしても、それはあくまでも世界の一層に過ぎないという点を押さえているのでご都合主義を感じさせないのも見事だった。決して(まあ現代科学で再現可能なのかはともかく)超自然的な要素を取り込んでいるわけではなく、ライトノベル的な悪が存在しているわけではないのだけど、己自身に押しつぶされそうになる不安定さ少年少女の姿を見事に描いたこの作品は青春小説としても評価していいと思うのだった。とにかくこれは僕がライトノベルに求めるものに満たされている作品なので、ただ好きとしか言えません。良いなあ。
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