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2007.08.15

『永遠の戦士エレコーゼ(2) 剣のなかの竜』読了

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永遠の戦士エレコーゼ(2) 剣のなかの竜』(マイケル・ムアコック/ハヤカワ文庫SF)読了。

あれ・・・?これを読んだ記憶が無いぞ・・・。と言うわけでどうやら読むのを忘れていたのか、読んだことを忘れたのかわからんが、とにかく新鮮な気持ちで読めた。

またしても新たな世界に召還され、フラマディン王子としてよみがえったエレコーゼの冒険がつづられるのだけど、今回の冒険は前作までとは大分方向が異なっている。エレコーゼに降りかかる苦難は変わらずあるけれども、人間と言うものに対する希望とでも呼ぶべきものがあって、英雄として世界の供犠に供されるエレコーゼが、英雄ではなく、ただの平凡な一人の人間として生きる事を選ぶと言う、ある意味、永遠の戦士と言う存在そのものを否定する結末になっていて、もはや一人の英雄に罪と重荷を背負う時代は終わったのだと言うムアコックのテーマの変化が見受けられるのが興味深かった。エルリックの新サーガや、永遠の戦士フォン・ベックと深いかかわりを持つ名前も同じフォン・ベックと言うキャラクターが、今までの英雄の介添人と異なり、現代的な合理主義とヒューマニズムを持ち合わせた人物で、彼と交流することで、半ば英雄としての責務を(諦めつつも)受けれていたエレコーゼに新たな認識をもたらしているんだな。フォン・ベックとエレコーゼの熱い友情と、それによって精神の死から蘇るエレコーゼのシーンはたぶんこの作品中、と言うかムアコック作品中でも最高に熱いシーンと言えるでしょう。そして混沌の大公爵、バラリザーフとエレコーゼ率いる時の果ての戦士たちの凄まじい激闘!本当にこれってムアコックなのかー…。英雄的で、それでいながら英雄を否定して、そして己を肯定することが出来たエレコーゼ。いやーマジで涙が出てきた…。そしてラストシーンのサプライズ。こ、この二振りの剣は…と言うことはこのエルドレンの人たちはメルニボネの…で、フォン・ベックは…。マジでか。まあそれはともかくラストシーンの孤独さと穏やかさといい、発表時期を考えてみると、おそらくムアコックの転換点に位置する作品だったんじゃないかなあ。単に人間を否定するのではなくて、なんと言うか、”愛”と呼ぶべきものが作者の視点にあると思うのだった。

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