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2007.07.10

『冬の巨人』読了

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冬の巨人』(古橋秀之/デュアル文庫)読了。

フルハシ先生の極めてリリカルな部分が表に出たファンタジーでありますが、とにかく極寒の冬の大地を歩む巨人の背に立てられた街と言うイメージを思い浮かべただけで涙が出てしまう変態にはぴったりの作品です。つまりオレ。なんか文句あるのかよう?そんなあまりに魅惑的な世界の中、主人公の少年が世界に対する無力感に打ちひしがれながらも、少女のであってボーイミーツガールで世界を革命するのか?と思わせつつ、実際には少年が少女と出会うことだけで世界の外に向かうことは出来なくて、あくまでも一人の老学者のあまりにも巨大なる知性と、少年の情熱が出会うことによって、新しい世界が生まれていくと言うことが主眼になっている点に思わず目からウロコが落ちた。実は古橋秀之と言う作家は、”人間の知性”と言うものに対する極限までの信頼があるのだ、と思う。例えば古橋デモンベインに出てきたシュリュズベリイ教授なんかも見事にこのタイプで、真の意味で完璧にして巨大なる知性と言うものは、世界を征服するのではなく、むしろ調和へ導いていくものであり、それは純粋な好奇心に裏打ちされた”世界に対する愛”そのものなのだ。無論、知だけでは何かを生み出すには足りなくて、その知に対して起爆剤となる情熱とが出会ったとき、世界は、そして運命は新しく生みなおされるのだと言うことを壮大なるスケールで持って描かれたこの作品にはとにかく感銘を受けざるを得ない。ボリュームが少ないとか起伏が足りないとか言う意見は甘んじて受けるが、このあまりにも感動的なテーマにラストの美しさの前には何の瑕疵もないぜ!

いかん、また涙が出てきた…。

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