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2007.07.31

『ねくろま』読了

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ねくろま』(平坂読/MF文庫J)読了。

頭脳明晰才色兼備と言う平坂読にあるまじき完璧超人っぽく見える主人公も、一枚皮を剥いてみれば、ややこしいコンプレックスを抱えた人間嫌いなツンデレと言う、まあいつもどおりの平坂主人公でありました。つーか、平坂読は普通に格好良い主人公は書けないのか…。まあ書けないんだろうな。さらにヒロインが○○だったりと、もう本当に期待通りの予想の裏切りっぷり。本当にこんなのばかり書いていていいのかなあ…また打ち切られなければ良いんだけど…と言う読者を余所にいい感じで飛ばしています。主人公が最初からハーレム状態でモテモテで裸の幼女とかと添い寝をされながら、これまたちっとも幸福そうではなくて自分のコンプレックスに悶々としてる萌え主人公は正直愛しいのだが、今回の主人公は歴代の平坂主人公の中でも際立って真面目なようで、ヒロイン(○○だけど)に対しては割と感情表現が素直になっているのが微笑ましいですね。括弧笑い。その所為か、物語も割合素直に進んで行き、最終的に主人公がヒロインに対して手を伸ばしていく、手と手を取り合っていくというラストに落ち着いたのには、あまりのストレートさに逆に驚いてしまうほどだった。変わらないなりに一般受けを狙っていると言うことか…。一巻できちんと終わっているので、平坂読の入門書としても最適ですな。

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2007.07.30

買ったもの

1.『ドロヘドロ(10)』 林田球 小学館
2.『レンズと悪魔Ⅳ 魔神幻世』 六塚光 スニーカー文庫
3.『契火の末裔』 篠月美弥 C☆ノベルスファンタジア
4.『医龍(14)』 乃木坂太郎 小学館
5.『ハルハルハル』 古川日出男 河出書房
6.『ゲーム的リアリズムの誕生 動物かするポストモダン2』 東浩紀 講談社現代新書
7.『思考の整理学』 外山滋比古 ちくま文庫

1.は相変わらず混沌としておるなあ。ついにカイマンの正体ががが。2.は新刊から。他のは様子見の段階です。3.これはけっこう評判がよいので買ってみた。まあ駄目元で。4.やべ、涙腺が超緩んできた。霧島のデレパートがキター!なんて喜んでいる場合じゃねえ!5.爆笑問題の太田光も絶賛、らしい。太田光ってなぜか僕と読書嗜好がときどき接近するんだよな。6.買っていなかったので。もうちょっと余裕が出てきたら読もう。7.衝動買いでございます。

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反応が遅れました…が

そういえばhobo_kingさんのブログの「私のラノベ購入~感想ルーチン」と言う記事で、うちがちょっとだけ紹介されていたことを補足し忘れていました。こんな需要の良く分からないブログを取り上げていただいてありがとうございます。あと、忘れていてすいません。

記事にすこし触れておくと、僕は、最近ではほとんど新刊のチェックはしなくなっています。ほぼ毎日本屋に寄っているので、そこで新刊を見つけたら買うと言うのが基本かな。ただまいじゃー推進委員会!は眺めて、買い洩らしで面白そうなものがあったら買うようにはしています。もっとも、まいじゃーさんとは、実はあまりライトノベルの好みが違うようで(と言うより、まいじゃーさんの許容範囲が広すぎるんだよな…)、ギャップが生じることがしばしば。まあ、まったく同じ感想なんてあるわけ無いんですが。でも、自分とは感覚が違う人の感想を読むのは大変に楽しいので、感想サイトはけっこう幅広く読んでいたりはしています。(hobo_kingさんが挙げているところは僕もけっこう読んでいるな…)。まあそんな感じかな。

しかし…ドロドロとした何かって…。まあなんと言うか、書いている本人も何を書いているのかさっぱり良く分かっていないので(感想ではないことは確かだな…)、そういう需要もあるんだなあと思わず感動。オレにも存在価値があったんだ!(うるせえ)(…ひょっとしてこういうところなのか?)(知らねえよ)

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2007.07.29

『十八時の音楽浴 漆黒のアネット』読了

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十八時の音楽浴 漆黒のアネット』(ゆずはらとしゆき/ガガガ文庫)読了。

ガガガ文庫の跳訳シリーズ。海野十三の『火葬国風景』と『十八時の音楽浴』を、ゆずはらとしゆきが設定を脚色し一つの話につなげたもの。大枠において、と言うよりもラスト以外はほぼ原作準拠なんだけど、そのラスト部分にゆずはらとしゆきの描き続けている空想東京百景の背景を持ち込んでいて、いつものフィールドに持っていっているのが巧妙だった。

「火葬国風景」
原作において存在しなかった露子の描写に注力し、彼女の存在から作品全体再構成しなおしたと言う作品かな。彼女の存在だけで、原作とはまるで別物と言っていい作品になっているように思う。と言うか最後の黒球には度肝を抜かれた。またそれまで状況に流されるままだった主人公が突然世界の外部存在と直結したのか、むしろライバルを圧倒しはじめるのにもびっくりした(いや、これはある意味原作の正しい解釈なのか?)。

「十八時の音楽浴」
童貞的妄想に満ち溢れたエロ改変によって、ただでさえ混沌とした原作がさらに大変なことになっている。原作の似非科学的描写が、すべてジュブナイルポルノ的な胡散臭さに置き換えられていると言うか…いや、これもまた原作の解釈の一つとして優れているのかもしれない…と言うのは間違いなく錯覚です。とにかく徹底した童貞的妄想への耽溺に対して手綱を取ろうと言う気がまったくないらしく、妄想を更なる妄想によって補強し、妄想によって構築していくのが凄まじかった。とにかく、これは”理”で読むべき作品ではなくて、奔放すぎる童貞、あるいは中二的妄想の暴走を、感覚としてとらえる事が求められており、その妄想に翻弄されることの興奮と喜びは確かにあると思うのだった。

「漆黒のアネット」
二つの短編をつなげる完結編。ここで「空想東京百景」と直結する。理論も理屈も越えて交わされる主人公と露子の会話が美しい。その後に生まれるものもまたかけがえのないもので、それは永劫回帰する円環の中で、しかし、別の螺旋へと繋がるものを提示しているのだった。時間と空間の奥行きが見えるような広がりがあって、人々の想いが繰り返されるところにひどく心が打たれるのだった。

ところで、この作品を作者のマスターベーション、自己満足とする表現は確かに正しい。なのでこの作品を楽しむには、作者のマスターベーションと同じマスターベーションをする人間にしか理解出来ないということなのだろう(おそらく、中村九朗を楽しむと言うのも同じような気もする)。この作品を楽しめるかどうかと言うのは純粋に生理的な領域のもので、性癖(…)が異なる人には理解は出来ないし、むしろ嫌悪を催すものに違いない。ただ僕はこの作者のマスターベーションを理解出来るし、その「気持ちよさ」を共有していると言う点が大きいのだと思う。

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2007.07.28

2007年上半期ライトノベルサイト杯

毎回恒例の『2007年上半期ライトノベルサイト杯』に投票してみんとす。毎回、締め切りギリギリですいません。

まずシリーズ部門は下記の通り。

『ジョン平とぼくと3 ジョン平とぼくらの世界』(大西科学/GA文庫)
【07上期ラノベ投票/複数/9784797341706】

一見地味でゆるい作風の中にある、ハードでソリッドなセンスに痺れた。

『シャギードッグ II 人形の鎮魂歌 ~defeated~』(七尾あきら/GA文庫)
【07上期ラノベ投票/複数/9784797336726】

超能力者的のオカルトと、サイバーパンク的テクノロジーと、伝奇小説的な超人など、異なる世界観を無理矢理融合させた、なんとも混沌とした、しかし、七尾あきららしい作品だと思う。

『オイレンシュピーゲル 弐 FRAGILE!!/壊れもの注意!!』(冲方丁/角川スニーカー文庫)
【07上期ラノベ投票/複数/9784044729028】

そういえば感想を書くのを忘れていたけど、キッチュでグロテスクな世界でひた向きに拳を叩き続ける話。冲方丁ってこのテーマにやっぱりこだわりがあるんだろうなあ。

『えむえむっ!(2)』(松野秋鳴/MF文庫J) 
【07上期ラノベ投票/複数/9784840118569】

快楽のツボを突かれたと言う点では上半期最高の作品。や、やばい、楽しすぎる…なんだこれは。

『戦う司書と荒縄の姫君』(山形石雄/スーパーダッシュ文庫)
【07上期ラノベ投票/複数/9784086303521】

”想いを伝える”と言う行為を、形を変えて何度も何度も繰り返し作品の中で語っているのだが、その行為を唯一理解出来ないハミュッツと言う存在が、最終的にどうなるのかが非常に興味深い。

 
なんかシリーズ部門は面白くもなんともないラインナップになってしまったな…。まあいいや。
次は新人・新作部門。

『新興宗教オモイデ教外伝Ⅰ 桜月事件~祓除探偵Zの冒険~』(原田宇陀児/ガガガ文庫)
【07上期ラノベ投票/単発/9784094510027】

ハイテンションな鬱的志向。混沌とした大槻ケンヂの世界を見事にイマドキなライトノベルとして翻案しているなあ、と感心した。

『声で魅せてよベイビー』(木本雅彦/ファミ通文庫)
【07上期ラノベ投票/単発/9784757733282】

いやーこういう作品が存在できるんだなーライトノベルって。このジャンルの奥深さを思い知った気がする。ちょっと変わった恋愛小説で、青春小説で、ちょっぴりファンタジーで、もしかしたらサイバーパンク的な背景があるんじゃない?と言う感じ。わけがわかりません。

『冬の巨人』(古橋秀之/デュアル文庫)
【07上期ラノベ投票/単発/9784199051579】

『シスマゲドン』と迷ったけど、個人的好みではこれ。ビジュアルイメージが最高に美しい。もっと長く読んでいたかった、作品世界に耽溺してしたかったと言うのが読者としての我儘だけど…そこはあえて耐えることが必要なのか…。

『人類は衰退しました』(田中ロミオ/ガガガ文庫)
【07上期ラノベ投票/単発/9784094510010】

まあ田中ロミオである以上、信者である僕が反応しないわけにもいかないじゃない?(誰に言っているんだ)
まあ冗談はともかくとして、ごっついSF的な背景を持っていそうなんだけど、ひたすら妖精さんとのコミュニケーションを行っていくと言う点が面白いんだけど、どこか妖精さんの思考形態には”ひやり”とさせられるものがあって、その点は興味深いです。

『【新釈】走れメロス 他四編』(森見登見彦/洋伝社)
【07上期ラノベ投票/単発/9784396632793】

森見登見彦がライトノベルなのかと言う点については、この人の『夜は短し歩けよ乙女』がコミカライズされたという点を考慮すれば、森見登見彦は紛れも無いライトノベル作家だと思うのですがこれいかに。ともあれ、この作品はようするにガガガ文庫の跳訳シリーズなんですが、森見登見彦特有の叙情的な筆致とトホホ感溢れるユーモアから独特な幻想空間が創出されています。いや、本当に面白いんだって。


<結果>
なんかあまり面白くないラインナップになってしまった…。ちょっと読書傾向がライトノベルに偏りすぎていたかな…。あとラインナップに入っていない作品を取り上げてすいません。

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『殺×愛7 -きるらぶSEVEN-』読了

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殺×愛7 -きるらぶSEVEN-』(風見周/富士見ファンタジア文庫)読了。

またなんと言う気色の悪い作品を書いているのか…と読みながら慄然としてしまった。アダムやイブが時折口にしている”神”と言うのは、ようするにこれ、神=作者および物語を喜ぶ読者そのものの事を言っているんだよな?神の気まぐれでカーテンコールが始まったと言うことは、それってつまり、残酷で救いのないメロドラマ、絶望に直面した人々が見せる希望の輝き、そういった人間ドラマそのものを”エンターテインメントとして消費しようとしている視点”そのものが神であると。ようするにトゥルーマン・ショーですな。今まで作者はクールな計算に基づいて、見事に読者の”泣きどころ”を緻密に計算しつくした展開を進めておきながら、最後の最後に「へへ、読者はこういうのを楽しんでいるんだろ?」とぶちまけてしまいました。この作者は、実は、萌えや泣かせなどと言うものは大嫌いな人なんだ、と言うことがようやく了解出来ました。いやーなんという読者への嫌がらせ…これを言いたいがためにこの物語を8冊も紡いできたというのか…と思うと本当に感心します。いや、これはとても素晴らしい作品なんじゃないかと皮肉もお世辞も抜きにして思う。ここまで”萌え”や”泣き”に立脚したセカイ系と言うものに対して、あまりにも本質的な部分(他人の不幸は蜜の味)をここまでストレートに批評してしまったライトノベルは初めて読んだよ…。もうちょっとそっちの方向でも読み解かれるべきじゃないかしら、とどこかの誰かに丸投げしてみる吉兆でした(無責任)。

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買ったもの

1.『吉原手引草』 松井今朝子 幻冬舎
2.『真月譚月姫(5)』 佐々木少年 メディアワークス
3.『はやて×ブレード(7)』 林家志弦 メディアワークス
4.『続・殺戮のジャンゴ-地獄の賞金首』 ニトロプラス
5.『Bullet Butlers』 Propeller

1.とりあえず直木賞受賞作を読んでみることにする。読まないことにはいつまで経っても今回の直木賞について喋れねえからな…。2.志貴とアルクェイドの二人の感情の交流をしっとりと(もはや恋愛漫画の領域にすら届く深度で)描き続けている…。この巻の半分ぐらいは二人の恋愛描写で埋め尽くされているんだぜ!そういえばこれはギャルゲー(と呼ばれるもの)だったんだなこれ…。3.相変わらずバカの描写が素晴らしいなあ。もちろんクールで冷静なくせにバカという会長は相変わらず超ステキ。たまりません。4.ひさしぶりのエロゲーじゃい。なんか文句ある?まあそれはともかくとして、またニトロとプロペラがバッティングかよ…と言うことはすでに世間でも話題になっているので省略。し・か・し、こいつは最高のお話だな!!何しろ登場人物がすべてビッチか悪党(下品)しか出てこねえんだぜ!?もう友情も愛も正義もかなぐり捨てた悪党どもの饗宴を見よ!最高だ!強くて怖くてえろいおねいさんが大好きな人には激しくオススメのゲームです。5.またしてもエロゲーですいません。イマドキ流行の執事ものらしいですよ。気位が高くてツンデレお嬢様にお仕えしたいという人にはオススメです。しかし…またしてもニトロとプロペラのゲームは作品の明暗がハッキリと分かれそうだな…。片や流行を真後ろの逆走するかのごとき暴挙、片や流行の最先端のさらに極北。どっちがどっちなのかは言うまでもないよな。

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2007.07.27

『レヴィアタンの恋人』読了

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レヴィアタンの恋人』(犬村小六/ガガガ文庫)読了。

お手本通りのエログロ伝奇アクション小説。いやエロはそんなに無かったか。主人公に秘密の二面性があり実は最強設定とか、もう本当にこれは現代の小説なのかと疑ってしまうような昔懐かしい伝奇小説。こちらの方がライトノベル的なマイルドさを加味してはあるけれども、これは昔(確か小学生のとき)に読んだ平井和正とかキチク…じゃねえ菊地秀行と同じ香りがしやがるぜ。まあエログロと言うのはちょいと臓物とエロスが大人しめ、と言うかレーベルの限界と言うものでしょうが、それにしたってこんなものをライトノベルとして書こうという作者の熱意はたいしたものだ。だけど素直に伝奇小説系のレーベル(カッパノベルスとか講談社ノベルス)に持っていった方が手間はかからなかったんじゃねえかなあ…と言う気もしないでもありません(余計なお世話でございますね)。なにやら超能力をもった超人たちがひたすらお互いに潰しあうと言うだけのまったく潔い作品で、古きよき伝奇小説への志向が大変伝わってくるので、その点は評価したいところ。血と臓物とエロスが大好きな人にはわりと楽しめるんじゃないかと思うぜ(オレとか)。なお、こういう作品に興味があるなら、このまま菊地秀行に手を伸ばすのが正しい在り方何じゃないかとかしらー。個人的には妖獣都市シリーズが好きだった(古すぎる上にどうでもいい)。ええと脱線したまま収集つかなくなりそうなのでこれにて終了。

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2007.07.26

『薔薇のマリアVII.SINBREAKER MAXPAIN』読了

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薔薇のマリアVII.SINBREAKER MAXPAIN』(十文字青/角川スニーカー文庫)読了。

罪破るものよ、大いなる痛みよ、か…。このあたりの言語感覚って、十文字青の独特なものだよなあ。普通、小説で使うような感じじゃなくて(特に英語関連)、やっぱりロックとか(詳しくないので適当)あっちの感覚のような気がする。ポップだけど間違っても詩的ではなくキッチュでさえある、そんな感じ。

ともあれジュードリ編完結。死んだ仲間を生き返らせるために、マリアたちは敵陣の真っ只中に潜入を開始する。時同じくしてジョーカーに率いられ、血塗れ聖堂騎士団へ反抗の牙を剥くジュードリの人々との壮絶な戦い。そしてそんな戦いに関係なくさまざまな策謀を繰り広げる人外のものたちの思惑が絡み合い、物語は最終局面に到達する。ジュードリ編の真の意味でのクライマックスと言うこともあるけれども、全編これ見所と言うべき凄まじいテンションだった。マリアの葛藤、トマトクンの秘密、ユリカの思い、ヒゲ…じゃないトワニングの後悔などZOOメンバーの葛藤が次々と明らかにされたり、パンガロファミリーの再生をかけてチーロ坊ちゃんが異様にはっちゃけたり、ロシュが降臨したりして世界観の謎もほんのちょっと明らかになったり、突然ソオルなる存在が表われたり、もう全然伏線がまとまらねえッ…!それぞれの壮絶なテンションを維持したまま最終決戦になだれ込む様は圧巻としか言いようがないな…。とても良い作品でした。ラブ。

ところでリクについては全然伏線が回収されなかったのは、次巻以降の伏線なんだろうか…。てっきりもうちょっと主要な役割を果たすかと思ったので、ちょっと肩透かしだった。

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2007.07.25

買ったもの

いい加減、ガス欠になってまいりました。気力が低下、と言うかギリギリ。

1.『シュヴァリエⅤ』 原作:冲方丁 漫画:夢路キリコ 講談社
2.『NHKにようこそ!(8)』 原作:滝本竜彦 漫画:大岩ケンヂ 角川書店
3.『ヒストリエ(4)』 岩明均 講談社
4.『機動旅団八福神(6)』 福島聡 エンターブレイン
5.『バガボンド(26)』 井上雄彦 集英社
6.『輝くもの天より墜ち』 ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア ハヤカワ文庫SF

1.やっぱり冲方丁のネームは異常にかっこいいなあ、と言うことを再認識した一作。アニメとは全然違うけど、これはこれでムチャクチャ格好良い。2.この作品も、存外まともなところに決着したなあ。途中で大岩ケンヂが大暴走をして物語はどこに行ってしまうのかと心配になったものですが。無理矢理、と言う気もするけどな…。3.ナニこの表紙の人妻。と言うか足を見せすぎですよけしからん。4.うおー。主人公が本当にヒーローになろうとしやがった。こいつ正義の味方を体現しようとしているようだな…。5.ううむ…面白すぎると言う言葉しか出てこないのだが、何しろ全然話が進まない。26巻目でようやく吉岡一門との決着がつくかもしれないところですか…。もう井上雄彦はこれを一生描いてくれてくれてもいいんじゃないかと思えてきた。6.ティプトリー、ティプトリーじゃないか!まだ未訳だった長編の初翻訳…だよな?まさかまだ読めるなんて…!…って『すべてのまぼろしはキンタナ・ローの海に消えた』を読むのを忘れてたな…。まあオレの記憶力なんてこんなもんだ。

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2007.07.23

『学園カゲキ!』読了

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学園カゲキ!』(山川進/ガガガ文庫)読了。

うへえ、気色悪い話だなあ(褒めています)。まあ要するに視聴者(≒読者)の盗撮魔的欲望の対象となった主人公の人生を玩具にしているんですけど、別に本人も周囲も視聴者も納得しているんだからそれでいいじゃない、と言う話か。もちろんそんなの良いわけでなくて、その盗撮魔的欲望の醜さと、それに翻弄されることの嫌悪と言うものに多少つっこんでいるあたりが独自性か。まあ主人公は、それでも世界フレームの外側へは目を向けることが無くて、あくまでも目の前の”現実”で行動しているわけですが(フレームは超えるにはあまりにも大き過ぎる存在であると言うことでもある)、それすらもエンターテインメントであると言うことを考えると、読書することのメタ的な意味でのどうしようもなさに入ってしまうので自重しておこうかな。ストーリーそのものはちょっと変わった恋愛青春ものと捕らえてもそんなに外れてはいないと思うけど、外側の存在がイヤな読後感を残してくれる。その意味で、
昨日感想を書いた『マージナル』よりもよっぽど悪趣味な話だよな…。まあそんなに深入りしているわけでもないけれども。

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2007.07.22

『マージナル』読了

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マージナル』(神埼紫電/ガガガ文庫)読了。

第1回ライトノベル大賞ガガガ文庫部門大賞受賞作。まあ大賞だとかそういう色眼鏡で見られているのがまず持って不幸なんだろう。過剰な期待と宣伝が作品内容と噛み合っていないということもあるかもしれない。でもまあ結局…僕にとっては読むには健全過ぎるお話でした。どういうところが健全なのかと言うと、この作品は”マージナル”と呼ばれる殺人者とそうでない者の境界に位置する存在であると自らを規定する主人公の話になっているんだけど、作者は明らかに”向こう側”を忌避すべきものとして扱っていて、踏み込もうとしていない。”汚らわしいもの”として殺人者を取り扱う視点が一環しているところに作者のモラルを感じた。例えばマージナルである主人公についても、けっこう分かりやすいトラウマを設定し、ギリギリのところで読者の感情移入の余地を作っているところなんて、けっこう技巧的な事をやっていると思う。”異常心理”とやらを分かりやすく描きすぎていると批判することも出来るけど、そんなものライトノベルで突っ込むべきところじゃねえもんなあ(何を今更と言う感じだ)。まあ分かりやすく整理されている分、非常にまともな作品になっていると思う。まあ僕の趣味からすると人間の”闇”とやらが分かりやすいのであまり評価は出来ないんだけど。ちょっと健康的過ぎるんだよな…。

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2007.07.21

『プリンセスハーツ 麗しの仮面夫婦の巻』読了

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プリンセスハーツ 麗しの仮面夫婦の巻』(高殿円/ルルル文庫)読了。

現時点では唯一のルルル文庫。まあそれはおいておくとしても、高殿円の円熟と言ってもよい手腕によりファンタジーラブコメとしての出来栄えは見事なもので、タイトルにもある麗しの仮面夫婦は、結局のところ双方がツンデレだったんだよ!なんだってー!!と言う話だと読んだ。しかし、この人は少女向けに書いているときと、そうではないときの筆致に差がありすぎるなーと思った。女性向け感性と男性向け感性を上手く使い分けているよなー。『銃姫』などと比べると作風にずいぶん差があって、もともと作品の視野が非常に狭いところに向いているのが高殿円の特徴だと思っているんだけど(たとえ国家が舞台でも、あまり国そのものには興味がなくて、あくまでも人間関係のもつれにしか舞台が動かないところとか、女性的な感覚なのかな)、少女向けだとそれがかなり徹底されている気がするのだな。『銃姫』とかだと、個人の物語への志向を持ちながらも、逃れようもなく国家とか、そういう大きな組織を意識してしまうところがあって、その意味では方向性が真逆なんだよなー。その辺を意識しながら読むのも面白いなあと思うのだった。

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『樹海人魚』読了

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樹海人魚』(中村九郎/ガガガ文庫)読了。

いやー相変わらずこの人は何を書いているのかわからんね。まあ人魚と呼ばれる不死身の怪物となった少女と、それを操る指揮者の少年が、さまざまな特殊能力を持つ人魚とバトル話と考えればいわゆる戦闘美少女の系譜でガンスリンガーガールなわけです。ですが、相変わらず言うこととやろうとすることとやったことがころころ変わる登場人物たちや、連想ゲームを思わせる飛躍の多い場面展開は読者の事をまったく考えていない作風は健在で、そこはまあ安心してもいいと思んだけど、ただ、前回の『アリフレロ』のときにも少し感じたことなんだけど、今回、ストーリーラインそのものはわりと分かりやすくなっているのでとっつきやすくはなっている。ただ、そこに付随するキャラクターの感情の流れが、かえって分かりにくくなっているように感じられるのか気になった。初期の中村九朗は、とりわけ感情と感覚のみに奉仕した表現を駆使し、ストーリーなどは人間の感覚の奴隷であり、世界は主観によっていかようにも変化するのだ、ときっぱりと切り捨てていたために、何をやっているのかさっぱりわからんのだが、なぜか登場人物たちが何を感じ、テンションを炸裂させているのかは理解出来ていたのだけど、今回は”おはなし”は分かるものの、主人公たちの”感覚”、言い換えれば”現実認識”がどのようなものなのかが分からなかったのが残念だった。いや、たぶん読解力と根気があれば分かるんだろうけど…。これは、かなり読み込むのにエネルギーが要るタイプの作品だと思う。僕にとってはなかなか難儀な読書でした。

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2007.07.20

買ったもの

1.『脳Rギュル ふかふかベットと少女ギゴク』 原作:夢野久作 構成:佐藤大 ガガガ文庫
2.『スプライト・シュピーゲルⅡ Seven Angels Coming』 冲方丁 富士見ファンタジア文庫
3.『アマデウスの詩、謳え敗者の王 黄昏色の詠使いⅢ』 細音啓 富士見ファンタジア文庫
4.『ダークエルフの口づけⅢ』 川人忠明 富士見ファンタジア文庫

1.は、いわゆるガガガ文庫の跳訳シリーズ。夢野久作に挑むとはずいぶん無謀なことをするな佐藤大…。まあ言いだしっぺが楽をするわけにもいかないのか…。2.冲方丁のシュピーゲルプロジェクトの第4弾。しかし、つくづくすごい事をしているな…。まったく同じ事件を二つの視点から”見る”と言う行為が、単にザッピングと言うわけではなく”思想的”な側面を含めた”視点”に立脚していると言うか…。上手く言えねえなあ。3.(個人的には)黄昏色の詠使いシリーズの正念場。これで2巻で感じた問題点(まあ、問題だと思っているのは僕だけかもしらんが)にある程度の糸口が無かったら…たぶんこのシリーズは読まなくなるだろうなあ…。4.それにしても今頃になってソードワールドノベルにここまでドハマリするとは思わなかった。これ面白くて面白くてたまらんぜ。とにかく素晴らしすぎます。

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『新興宗教オモイデ教外伝Ⅰ 桜月事件~祓除探偵Zの冒険~』読了

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新興宗教オモイデ教外伝Ⅰ 桜月事件~祓除探偵Zの冒険~』(原田宇陀児/ガガガ文庫)読了。

おおおお………このなんとも言えぬ奇怪なテンションは………いやすごいんだが…。しかし、なんと言ったら良いものか非常に困る。エログロに満ちた青春妄想小説であった原作小説を、原田宇陀児の手を潜り抜けた結果、原作の方向性を、見事に現代的に再現しているように思う。後半に向かえば向かうほどに高まっていくマグマのような焦燥が作品を更なる混沌に叩き込んでいく過程がまさしく圧巻で、その上で若者の鬱屈した苦悩が中心となっているところが、原作へのリスペクトに溢れて素晴らしかった。
ただ、原田宇陀児は大槻ケンヂに比べるとやや作品がイケメン過ぎるようで、探偵小説的な意匠を持ち込むことでメタミステリで作品を処理しまった結果、原作と比べると作品としての完成度が高すぎる。言い換えればおしゃれな作品になっているあたりに、作者のカラーが感じられるのが興味深かった。

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2007.07.19

異世界の中での外来語だと認識しています

『精霊の守り人』のアニメの中で、いかにも和風ファンタジー的な世界観でありながら「フォーメーション」とか「メンテナンス」とか横文字が出てくることがあって、当初はものすごく違和感を感じていたものですが、さすがに慣れてきたかな。よくよく聞いてみると、この横文字を使用しているのって、基本的にヨゴ人ではないバルサしか使っていないことを考えると、きっとヨゴ語ではなく、外国の言葉なのだろうな(実際、バルサのその単語を聞いて、いぶかしげな表情をしている人もいたし)。関係のない雑談でした。

買ったもの。
1.『銃夢 LastOrder(10)』 木城ゆきと 集英社

1.『銃夢 LastOrder』って一年間に一冊~二冊しか出ないんだなあ…。そうなると少なく見積もってももう5年も買い続けているのか…ちょっとびっくりだ。

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2007.07.18

『人類は衰退しました』読了

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人類は衰退しました』(田中ロミオ/ガガガ文庫)読了。

今頃になって田中ロミオの感想を書いてみんとす。まあ僕は田中ロミオ信者であって、田中ロミオを全肯定出来るような人間だからして(米笑)面白くないわけが無いんですが、正直なところかなり手癖だけで書いているなあと思わないでもない。見た目清楚なお嬢様風の主人公が、結局、後ろ向きで衒学的で韜晦癖のある田中ロミオ的主人公の造型そのままだったりするだけでもファンには面白かったりするし、ついでに人類にかわって地球の支配者になった妖精さんのコミュニケーションを描きつつ、同時に人類との”異質さ”と”断絶”が滲み出てくるあたり、相変わらずの田中ロミオ的テーマで書いているんだなあと思ったりもするんですが、逆に言うとそれだけの小説だからなあ。そのコミュニケーションの断絶の向こう側をいかように描くのかが田中ロミオテーマの重要なところだと思うので。まあ作者本人も言っているけど、これは続編前提の話ってことなんだろうな。妖精さんと人類の現状を描いた上で、今度はその断絶がどのような意味を持ってくるのかが主眼になってくるんじゃないかなーと妄想。今回は読者がついてこれるのかの小手調べの巻ってことか(相変わらず傲慢だなー田中ロミオってHAHAHAHA)。まあ、とにかく続きを書いてくれれば良いと思うよ。

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買ったもの

1.『結界師(17)』 田辺イエロウ 小学館
2.『ハヤテのごとく!(12)』 畑健二郎 小学館
3.『屋根の上の魔女』 武富健治 ジャイブ
4.『月蝕島の魔物』 田中芳樹 理論社

1.は相変わらずおもしれえなあ…。主人公兄弟の、兄弟愛と嫉妬とコンプレックスによって、上手く形容できない複雑さを軽やかに描いてみせるところにこの作者の凄みを感じる。2.ついうっかり初回限定版を買ってしまった…。3.武富健治の初期作品集。こ、これはすげえ!まあ方向性が錯綜していると言うか、混迷している作品もあるので一概には褒められないのだけど、最後に収録されている「蟲愛ずる姫君」があまりにも面白すぎてまいった。周囲に対して常に違和を感じ続ける一人の貴族が、美や物語と言うものを通じて己の在り処を確かめていく物語としてここまでの物を見せられるとは思わなかったぜ!主人公に明確なモチーフをもたらしてくれる蟲愛ずる姫の存在力も強くて良い。久しぶりに漫画を読んで泣いた。あれ…これってひょっとして感動ってやつか…?4.田中芳樹の久しぶりの作品。あらすじを読んでいると、懐かしき冒険小説の香りがしてくるなあ。

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なんとー

137回芥川・直木賞が決まったそうですが。

予想を思いっきり大外し。びっくり。

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2007.07.17

『ブラス城年代記Ⅱ ギャラソームの戦士』読了

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ブラス城年代記Ⅱ ギャラソームの戦士』(マイケル・ムアコック)読了。

弱ッ!アリオッホ弱ッ!エルリックサーガでは、「地獄の公爵」やらやたら無駄格好良い二つ名があったり、不遜で傲慢できまぐれでやさしいとお前はどこの耽美小説キャラですかと言いたくなるアリオッホさんも、超自然的な現象がどっちかと言うと冷遇されているホークムーンサーガの領域(およびその平行、多層世界を含む)ではたいしたことも出来ないようで…。主人公たちを一時的に危機に追い詰めるものの、そこは主人公補正によって一発逆転ハイ終わり。これじゃあただの中ボスレベルじゃあないですか。やっぱり、本来の自分の領土から離れると(あと本人の知名度が無い世界であると言うこともあるのかもしれない)能力に制限がかかるんだな…。上方世界の神々も、自分の領土を広げるためとは言え、こんな遠くまで出張って大変ですなあ。アリオッホに親近感が沸いて来た今日この頃でした。

そんなアリオッホたん(たん言うな)のある意味衝撃的なお姿にびっくりしつつ、今回はエターナルチャンピオンの中でも珍しい女性のエターナルチャンピンであるギャラソームのイリアンが登場したり、ホークムーンがエレコーゼばりに他者への転生を果たしたり、幻と思われていたイッセルダが再登場したり、何かと動きがある話だった。当初、イッセルダを失ったことによって狂気に蝕まれるホークムーンの魂を得て、魂の死から蘇ったイリアンの冒険が中心になって語られているわけですが、たぶんこれ、エレコーゼサーガでも語られていた、エターナルチャンピオンの魂の普遍性(同一のソフトウェアで動く別機種)と、平行および多層世界の存在を定義しているわりと重要な回なんじゃないかなーと言う気がする。というか『ブラス城年代記』と言うシリーズそのものが、それを突き詰めていく構造になっているような気もする。勘だけど。

ともあれ、ホークムーンの最愛の女性であるイッセルダがあっさり見つかって、ホークムーンと再会できたのは意外な感が強いです。永遠の戦士たちって、ほら、大抵は求める愛が得られないじゃないですか…(良く考えるとひどい話ばかりだ)。次回は未だ行方不明の子供たちを捜し求めてホークムーンと次元を超えた旅が語られるのだろうな。なんと言う家族愛か。こんなにも(ムアコックにしては)心温まるおはなしだったとは、昔々に読んだ時は全然気がつかなかったよ…。

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牧野修に山本ヤマトの組み合わせは明らかに罠です

楽園の知恵』の表紙を山本ヤマトが描いていてものすごくびっくりした。なんですかこのえろいお姉さんは…。どう考えてもただのライトノベルにしか見えませんな。そういえば『傀儡后』も山本ヤマトだったな…。

1.『グランド・フィナーレ』 阿部和重 講談社文庫
2.『ネギま!(19)』 赤松健 講談社
3.『超人ロック(2)(3)』 聖悠紀 メディアファクトリー

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2007.07.13

『月光のカルネヴァーレ ~白銀のカリアティードⅠ~』読了

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月光のカルネヴァーレ ~白銀のカリアティードⅠ~』(J・さいろー/ガガガ文庫)読了。

最初に感想を書くガガガ文庫はあえて『月光のカルネヴァーレ』で。J・さいろーは僕はわりと好きな作家だったりするんだけど、およそイタリアマフィアの話をどのように料理するのか興味があったのでした。いや、やっぱり面白いですな。ゲームとは主人公を一新して、一人のはぐれマフィアを主人公にした”人間”の物語になっている。ゲーム本編があくまでも人狼と人形の物語であったのに対し、小説では当たり前の野望を胸に秘めた男が、目の前の現実(子供や人形たちに対する情など)に苦悩していくと言う話になっていて、その裏側で失われた錬金術の秘奥を巡って欲望が渦を巻いている。男はこの先、自分の理想を取るのか、それとも目の前の現実を取るのかと言う選択が提示されていくことになると思うんだけど、その選択をするには、醜くて穢れつつも精一杯に生きているストリートチルドレンたちの姿はあまりにも現実が哀しくも愛おし過ぎる。おそらくは、どこか人の良さを残している男は、子供たちを、あるいは人間になろうとしている人形を見捨てることなんて出来ないだろうし、なんとも茨の道を進むことになるのだろう。なかなかに見事な作品だと思う。

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ようやく出るのか

マルドゥックスクランブル以前のある意味貴重な冲方丁が読める『ばいばい、アース』がようやく文庫化されるのか…。

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2007.07.12

『忌憶』読了

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忌憶』(小林泰三/角川ホラー文庫)読了。

洋伝社文庫で刊行された『奇憶』に書き下ろし2編を加えた中短編集…でよいのかな。ホラーのくせに量子力学バリバリで理系的な想像力を駆使しつつ悪趣味な結論に落ち着くと言うまさに小林泰三らしい作品でございます。いやんいやん(←バカ)。とにかくやたらと面白い。小林泰三を読まないのは、人生の何分の一を損していると思うね。

「奇憶」
再読。相変わらず主人公の駄目人間ぶりのあまりのリアルさに驚愕。現実を拒否しようとする心が生み出す幻想譚…のように見えて、平行世界と量子力学的な領域につっこんで語られ、なぜかそこにクトゥルー神話が挿入されつつ驚愕のラストを迎えていく。いやー相変わらず素晴らしく厭な小説だなおい。


「器憶」
まーこれまた駄目人間の描き方が完璧でありますけれども、まあそこはあまり主題にはなっておりませんなあ。結局、自分が自分であると言うことを証明する手段と言うのは多くはなくて、それが失われていくと言うのは恐怖なんだけど、それ以前にこいつら(主人公と恋人)はいろいろなことに無頓着過ぎると言うか、悟りを開きすぎだ!い、いや、確かに彼が彼であると言うことを証明する手段が無い以上、人間なんてどんな姿をしていても、その人ではないと言うこともまた証明できないわけだけど。しかしなんと言うハッピーエンド…。

「垝憶」
あー。えーとね。これ傑作でございます。こうやって傑作傑作と連呼するとありがたみがなくなっちゃうけど、これを読んでしまっては言わざるをえない。これはいわゆる前向性健忘症(長期記憶が出来ず、数分間しか記憶が持たないと言う映画にもなった例のアレ)をモチーフにされていて、これまた人間を人間たらしめるのは、その人間の残してきた足跡、言い換えれば存在意義と呼べるものであると言うことにまつわる哲学的な考察を、小林泰三の悪趣味で邪悪で残酷な筆致でサスペンスフルに描きぬいたこの作品を傑作と呼ばなくてなんだと言うのか。なんだと言うのか!(2回も言うな)

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買ったもの

今日の検索ワード。

「セルフプレジャー 女」

まあ気持ちは分からんでもない。
 
 
「ボーイズラブ ヤクザ小説」

それはただのガチホモ小説だと思う。
 
 
「西尾維新のパクリ」
「西尾維新の劣化コピー」

まあとりあえず少し落ち着こう。

うーん、昨日のように問答無用に面白い検索はなかなか来ないものだなあ。

以下、今日買ったもの。

1.『魔女を忘れてる』 小林めぐみ 富士見書房
2.『神話の島』 久綱さざれ ミステリ・フロンティア
3.『神曲奏界ポリフォニカ レゾリューション・ブラック』 大迫純一 GA文庫

1.『魔女を忘れてる』を買うことを忘れていたことを思い出した。2.予備知識なし。あらすじを読んでいると、何かセンサーに引っかかってしまったので、つい購入してしまった。3.いい加減、ポリフォニカシリーズの感想も書かねばなあ…。自分に対する宿題がどんどん増えていく…。

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2007.07.11

『永遠の戦士エレコーゼ 黒曜石の中の不死鳥』読了

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永遠の戦士エレコーゼ 黒曜石の中の不死鳥』(マイケル・ムアコック/ハヤカワ文庫SF)読了。

エターナルチャンピオンの中でも、すべての転生の記憶を持っているエレコーゼ・サーガの新装版。どうもエターナルチャンピオン(新訳にあわせるのならば永遠の戦士)と言うのはソフトウェアみたいなものらしく、器(ハード)が在れば、別の器からソフトウェアを引っ張ってきてもとりあえずちゃんと機能するらしいです。エレコーゼと言うのは、永遠の戦士の中でも万能スペアみたいな存在らしくて、なんらかの理由で正常に機能しなくなった永遠の戦士にインストールされて、その代役を務めるのが運命らしい。英国人、ジョン・デイカーは、人類と非人類(エルドレン)における種族の最後の対決を前に、人類の希望として、太古の英雄、エレコーゼとして呼び出されるが…と言う話(このエルドレンってのは、メルニボネとなんか関係があるらしいけど、詳しいことはわかりまっせーぬ)。結局は運命と愛に翻弄されて、無残な展開に陥ってしまうんだよな…と言うのがエレコーゼ・サーガの一作目、「永遠のチャンピオン」。戦いを終え、穏やかな日々を過ごしていたエレコーゼが、再び戦いに日々に召還されるのが「黒曜石の中の不死鳥」。今度は極寒の氷原における英雄ウルリック・スカーソルとして降臨し、なんか宇宙人っぽいやつらと戦ったりする。別に嘘でもなんでもないところが恐ろしいことですが、ここでも「黒の剣」が存在して、身近な人々を殺戮してしまうのでした。運命に翻弄されまくりですが、一応、エレコーゼも運命に抗おうとはしているんですよ。抗おうとすると余計に事態が悪くなってしまうと言うのが問題なんですけどね…。と言うわけで、全編、運命に翻弄される英雄の苦悩が描かれている話で、まあ端的に言ってヒドイ話ですな。面白かったけど。

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買ったもの

1.『食卓にビールを(6)』 小林めぐみ 富士見ミステリー文庫
2.『学校怪談(6)』 高橋葉介 秋田書店

1.は最終巻らしい。えーマジでー。もう終わりかよー。ショックー…と言いつつもここまで売れ線を度外視した作品が良く6巻も持ったなあ…と思わないでもない。2.いちおう主人公的存在である山岸くんはいい加減本命は立石さんなのか八千華なのか九段先生なのかハッキリした方がいいよ。いつか刺されるぜ。う、うらやましくなんかないやい!

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世の中には面白い発想をする人がいるものだ。

このブログに訪れる人がどんな検索ワードで来ているのかを調べると言う、いかにも不毛で自意識過剰な行為をときどき日課として行っているのだが(それはすでに日課ではない)、今日は珍しく面白い検索ワードで来ている人がたくさんいてテラ吹いた。

「狩野すみれ 陵辱 奴隷」

絶望した!なにに絶望って、こんな検索ワードで引っかかるブログがグーグル様でわずかに2件しかないという事実に絶望した!
 

「えろいやつ」

絶望した!あまりにもストレート過ぎるワードに衒いも何も感じないことに絶望した!
 
 
「超妹大戦シスマゲドン 石川賢」

まあみんなが思うふつーの気持ち。
 
 
「世界一かっこいいラブコメの主人公」

誰だよ。
 
 
「風神秘抄 草十受け 小説」

お、お前、オレの草十郎さまになんてことしやがる!
 
 
「フルメタル・パニック! ホモ 漫画」

ガウルン×宗介なんて…わ、わたしには刺激が強すぎるっ。
 
 
「ハイパーセルフプレジャー」

師匠!こんなフレーズでこのブログが引っかかるようになったのは貴様のせいだぞ!
 
 
「児童虐待感想文」

な、なんでこんな検索ワードで引っかかるんだ…うちは…。
 
 
「露悪塵芥此岸」

なんだか良く分からんがとにかくすごい自信だ。
 
 
「人間の不確かさ」

哲学って面白いよね、と言う話。

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2007.07.10

『冬の巨人』読了

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冬の巨人』(古橋秀之/デュアル文庫)読了。

フルハシ先生の極めてリリカルな部分が表に出たファンタジーでありますが、とにかく極寒の冬の大地を歩む巨人の背に立てられた街と言うイメージを思い浮かべただけで涙が出てしまう変態にはぴったりの作品です。つまりオレ。なんか文句あるのかよう?そんなあまりに魅惑的な世界の中、主人公の少年が世界に対する無力感に打ちひしがれながらも、少女のであってボーイミーツガールで世界を革命するのか?と思わせつつ、実際には少年が少女と出会うことだけで世界の外に向かうことは出来なくて、あくまでも一人の老学者のあまりにも巨大なる知性と、少年の情熱が出会うことによって、新しい世界が生まれていくと言うことが主眼になっている点に思わず目からウロコが落ちた。実は古橋秀之と言う作家は、”人間の知性”と言うものに対する極限までの信頼があるのだ、と思う。例えば古橋デモンベインに出てきたシュリュズベリイ教授なんかも見事にこのタイプで、真の意味で完璧にして巨大なる知性と言うものは、世界を征服するのではなく、むしろ調和へ導いていくものであり、それは純粋な好奇心に裏打ちされた”世界に対する愛”そのものなのだ。無論、知だけでは何かを生み出すには足りなくて、その知に対して起爆剤となる情熱とが出会ったとき、世界は、そして運命は新しく生みなおされるのだと言うことを壮大なるスケールで持って描かれたこの作品にはとにかく感銘を受けざるを得ない。ボリュームが少ないとか起伏が足りないとか言う意見は甘んじて受けるが、このあまりにも感動的なテーマにラストの美しさの前には何の瑕疵もないぜ!

いかん、また涙が出てきた…。

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買ったもの

1.『シンシア ザ ミッション(5)』 高遠るい 一迅社
2.『罪と罰(1)』 落合尚之 双葉社
3.『秘曲 笑傲江湖(2) 幻の旋律』 金庸 徳間文庫
4.『永遠の戦士エレコーゼ(2) 剣のなかの竜』 マイケル・ムアコック ハヤカワ文庫SF
5.『明石沢教室の実験』 田代裕彦 富士見書房
6.『鴨川ホルモー』 万条目学 産業編集センター
7.『青年のための読書クラブ』 桜庭一樹 新潮社
8.『フリクリ(上)(下)』 原作:GAINAX 漫画:ウエダハジメ 講談社BOX

1.はとにかくバキが好きで適度に思弁的で激しく悪趣味でファッキンな漫画が好きなら何が何でも読むべし。具体的にはチャンピオンRED的なものが色濃く出ております。2.ぬがががが。ふう。ふぬがががが。はあ。駄目だ、これはトイレや電車など密閉空間では読めない類いの漫画だ。ときどき本を放り捨てたくなる。でも拾い上げてまた読む。3.ライトノベル読者に金庸を進める常套句はわりといろいろあるんだけど、この『秘曲 笑傲江湖』の2巻をオススメする際の惹句としては、「うれしはずかしカップルに降りかかるザ・修羅場の嵐に君は時の涙を見る!」で決まりだ。4.エレコーゼの2巻が早速でてくれて嬉しいのだけど、帯を見て仰天。「永遠の戦士フォン・ベック」刊行ですと…。5.生粋のタシラーである吉兆としてはこれを買わないわけにも行きますまい。どんだけストイックにミステリを突き詰めてくださるのかいまから期待だ。6.すいません、実はまだ読んでいなかったのです。とりあえずまだ2作しか出していないのに直木賞にノミネートとはどんだけーと思い購入。7.桜庭一樹の本は見かけたらとりあえずは買おう会としては購入せざるをえない(これも久しぶりだ)。8.講談社BOXは二度と買わねえ、と思っていたのだが、フリクリ(ウエダハジメ版)が出てしまっていてはなあ…。ついふらふらと手が…。

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2007.07.09

『超妹大戦シスマゲドン(2)』読了

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超妹大戦シスマゲドン(2)』(古橋秀之/ファミ通文庫)読了。

感想を書くのをすっかり忘れていた例のアレ。まあ感想なんて書く必要があるものでもないようなアレ。仮にもマジキューなる萌雑誌に連載されていた作品のくせに、読者に萌えを提供しようなんて意図をナユタの彼方に投げ捨ててしまったアレ。だが一騎当千のフルハシ信者にとっては果てし無くインフレする熱血バトルをどう考えてもおかしな方向に持って言ったフルハシ先生の手腕に萌えざるをえないというアレでございます。本当になあ。少年漫画的なアレを妹的なもので良く分からない方向に投げ込んで石川賢状の何かに持っていった作品と言う印象ですな。捻れたユーモアの際限の無い悪乗りと、その悪乗りをきちんとコントロールをしている冷静さがあって、この冷静さについては賛否両論がありそうな感じもするが、その辺はフルハシ先生の含羞なんだからしょうがないよね、と言う。えーと、内容としては大会の黒幕が判明したり、超古代妹が復活して世界のピンチがピンチだったりするのを(兄妹)愛の力で乗り越えたりしつつ”空より来るもの”に向けてチェェェェンジゲッタァァァァー!じゃなくて弥勒菩薩が降臨しそうな妹力で「敵、無量大数!」(最近のネタ)とか。ぼく、うそをついていないよ?と可愛く言ってもこの興奮を伝えるには足りない(当たり前だ)。まあ気になる人はとにかく読んでみれば良いんじゃなーい?(なんてなげやりな感想)

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2007.07.08

『レンズと悪魔(3) 魔神攘戮』読了

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レンズと悪魔(3) 魔神攘戮』(六塚光/角川スニーカー文庫)読了。

相変わらずきちんと面白いのはさすが。八眼争覇は順調に進み、新たな敵、虐殺者ガーディアンの登場。しかし、この男、世間の評判とは違ってずいぶんとお人好しで…というあたりから、少しずつ単純なバトルロイヤルものであるだけではなく、その裏側の出来事や、さまざまな人間の思惑などが混じってきた。そろそろ単に勝利するのではなく、参加者それぞれの思惑が表層に現れ、最終的には八眼争覇って結局なんなの?と言うところに執着するのかな。相変わらずコミカルなくせに乾いた筆致でバッサバッサと人が死んでいくわりに、主人公やテッキ、ファルナなど主要人物たちの背景は情感たっぷりに描いているあたり、やはり見事なバランス感覚であると思った。

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独り言

そういえば桜庭一樹は、直木賞ノミネートですね。他にも森見登見彦など個人的に注目している作家がノミネートされているので、密かに注目しています。まあ実績から考えてみても北村薫が受賞の可能性が高いと思うけど。しかし分からんのは、万城目学がノミネートされているってことだよな…。

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2007.07.07

『GOSICKs Ⅲ 秋の花の思い出』読了

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GOSICKs Ⅲ 秋の花の思い出』(桜庭一樹/富士見ミステリー文庫)読了。

相変わらず武田日向氏のイラストが素晴らしい。思うに武田日向の絵は単に可愛らしいというだけではなく、濃密で奥行きのある空間の描写が深く、思わず目が引き込まれる力があるように感じられる。ライトノベルの挿絵をやっているイラストレーターで背景が素晴らしく描ける人ってほとんどいないけど、武田日向は数少ない例外であると思う。

それはともかく。

少年が花にまつわる物語を少女に聞かせ、少女がその物語の隠喩を読み解き、そうして生まれた感慨を二人で共有する。その様式があまりにも美しくて、少年に恋するもう一人の別の少女が、その二人の世界に入り込もうとしようとしても、どうしても入り込めずに排除されてしまう姿にすら象徴的な美を感じずにはいられない。かようにこの作品は、一つ一つの挿話ではなく、それら挿話を語り語られる少年と少女が生み出す世界こそが主眼であろう。どこまでも細緻に、まったき美に支配されたその空間は何者の進入も許さないのだが、しかし、その世界は外部の侵攻による危機もまた迫っている。それはアブリルによるものもあるが、何よりもコルデリア・ギャロの存在が大きい。彼女の存在は、その好悪に関わらず、二人の世界からは明らかな異物として存在し、外界の象徴である。彼女の登場により、おとぎ話めいた二人の休暇は終わり、再び現実に帰還することが実感として感じられるのだった。二人のバカンスはこうして終わりを迎え、再び、彼らは大いなる嵐に直面していかなくてはならないのだ。幸福なおとぎ話と、その裏側に存在する冷たい現実。彼岸と此岸の交流を軽やかに、そして美しく描かれたこの作品は、素晴らしい幻想小説の片鱗すら伺える。読み終えた僕はただ嘆息をつき、現実に帰還するしかないのだった。

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買ったもの

1.『鬼切り夜鳥子(3)』 桝田省治 ファミ通文庫
2.『カッティング~Case of Mio~』 翅田大介 HJ文庫
3.『SAS スペシャル・アナスタシア・サービス』 鳥居羊 HJ文庫
4.『サムライうさぎ(1)』 福島鉄平 集英社
5.『アイシールド21(25)』 原作:稲垣理一郎 漫画:村田雄介 集英社
6.『学園キノ(2)』 時雨沢恵一 電撃文庫
7.『悪魔のミカタ666(2)』 うえお久光 電撃文庫
8.『バッカーノ!1705』 成田良悟 電撃文庫
9.『私立!三十三間堂学院(6)』 佐藤ケイ 電撃文庫

1.は前回の購入報告に漏れていたもの。すでに読了済み。2.は『たま◇なま』があまりにも面白かったもので、HJ文庫の新人賞系をあさってみることにした。冒頭を読んだだけでまたしても悶絶。HJ文庫は化け物か!どこまでオレの嗜好に合致していやがる!3.も同じくHJ文庫新人賞。これまた面白い。おかしい…ひょっとしてHJ文庫と言うのはオレのためにあるレーベルなのだろうか…。4.ジャンプ漫画なのに面白さの肝はジャンプ漫画らしくないところにあるという奇妙な作品。『クレイモア』が週間に移籍することも含めて、少年ジャンプもいろいろな方向性を模索しているようだ。5.王城との決戦が続く。毎回が総力戦という感じのテンションがたまらないなあ。6.まさかまさかの2巻。本当に続きが出るとは…いや自分は大変嬉しいですはい。7.うえお久光はすげえ!この作品では”戦い”というフィールドが重層的に構築されているんだよなー。8.アニメも決まったバッカーノ。今回は外伝か?…まあ番外編とか関係ないけどね…これ。9.相変わらず面白いんだけど、もう一つのシリーズはどうなんってんの?

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『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 幸せの背景は不幸』読了

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嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 幸せの背景は不幸』(入間人間/電撃文庫)読了。

あー。ああー。あああー。これはこれは。アレだ。なんだ。それだよそれ。指をさしてえんがちょーと面白がって隔離するか、顔をしかめつつ不謹慎だと真面目ぶるかの二択、あるいはウヒィ!と心の底から喜ぶか、クダラネーと言いながらニマニマするか。あらゆる読み方をしてもすべて悪趣味と言う形容にしか当たらない類いの話ですわ。内容も悪趣味ならこれを喜ぶ読者も悪趣味。悪趣味ですいません。まあ別に悪趣味だって良いんだけど、思わずなんか語りたくなってしまうタイプの作品ですなあ。饒舌で露悪的な主人公は、まあ要するにうそつきなんだけど、一番の嘘は、コイツ人間嫌いでしょ?と言うより他者に自らの中に踏み込まれる事を病的に恐れることをひたすら隔しているところですわな。この主人公は、”誰かに触られる”だけで全身に鳥肌を立てるほどに他者と嫌悪しているのに、嘘でもって他者と関わらずにいられないと言うかなりどうしようもないタイプのやつ。他人が嫌いなのに、残り少ない人間性を大事に守り続ける痛々しさとでも言うのかね。いろいろな人物が出ているけど、明らかに一番病んでいるよなー主人公。あー、まー、それはともかく。絶対多数のどうでもいい塵芥の中で、大切な何かの存在を、例えそれが幻想と嘘で塗り固められたものだとしても、捜し求める人たちの話で、まーちゃんも、”犯人”もそういう存在を求めていただけなんだけど、そこに”みーくん”が表われて、嘘っぱちの特別な何か”ヒーロー”にならんという話なんだけど、その”ヒーロー”は嘘っぱちで、と言う話でもあるわけで。殺人鬼と戦うのは黒マントの糸使いの役目のはずなんだけど、それにお前はなろうとしたんじゃん。文句言うなよ主人公。嘘に嘘を重ねて正義の味方で、これからも頑張るべきか、頑張らないべきか、それが問題だ。嘘だけど。

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2007.07.05

『星界の断章(2)』読了

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星界の断章(2)』(森岡浩之/ハヤカワ文庫J)読了。

久方ぶりの星界の紋章の新作が出たと言うことで読んだものの感想を書くことをすっかり忘れていた。まあ久しぶりに読んだ星界シリーズでありますが、今回は短編集となっていて、相変わらず本編は進んでいません。しかし、すでに続巻を待って数年と言う作品などいくらでもあるからして、心穏やかに待つだけの日々である。無論、わざわざこんなことを書いている時点で心穏やかであるはずもない。

前置きが長いと言うか、実を言うとあまり感想を書くべきものがないのだが、星界シリーズの登場人物たちの何気ない日々の日常を描いている作品になっていて、世界観を広げていくと言う意味ではなかなかに意欲的な作品であると思う。一篇あたりの分量は少なく、短編と言うにもやや足らないぐらいなのだけど、その分バリエーションに富んでいる感じ。アーヴの歴史、一族の歴史、文化的生活などなど、物語を追っていてはどうしてもないがしろになっていく細部にスポットが当たっているところが面白かった。まあその分、物語的には他愛もないというか、ワンアイディアのみで小説を作っている感じなので、そのあたりはあまり期待しないほうがよろしいでしょうな。

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2007.07.04

『えむえむっ!(2)』読了

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えむえむっ!(2)』(松野秋鳴/MF文庫J)読了。

なんだろう、この良く分からない楽しさは…。結局、主人公がM男子であると言う設定を始めとして、登場人物は皆、頭のネジが何本か外れている人たちが多いのだけど、結局のところ、それら設定によって苦労している砂戸太郎と結野嵐子が少しづつ歩み寄っていく普通のラブコメとしても読める窓口の広さがポイントですな、などと言ってみる。なんかこの二人が主人公のようにしか見えなくて、石動美緒はどう考えてもトリックスターの位置に留まっていて、あんまりラブコメ的な展開にならないあたり、奇妙なところで硬派だなあとかも思ったりして。変態的なキャラクターたちをユーモラスに、かつ”疎外されるもの”としての哀しさにも逃げることなく取り組んでいるあたりにこの作者の誠実さを感じるのですが、その辺はみなさまいかがでしょうか(聞くなよ)。変態ってのは、要するに絶対多数からは外れているということで、でもそれは別に”治療”するものじゃなくて、むしろ受け入れることが必要なのだ、とか。まあこの主人公がそこまで到達するのは難しそうだけれどもね。イラストもいかにもイマドキの美少女絵に見えて、微妙に外している感じがまたいいんです。ディフォルメのかけかたがどういうわけか僕の性癖(性癖言うなや)にスマッシュヒットしており、とにかく読んでいると僕の快楽のツボが押されまくってヤバイです。とにかく僕は好きです、これ。

(感想としては何も言っていない感想ですが、とにかく好きと言う以外に言うべきことが見つからないので勘弁してつかーさい)

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2007.07.03

『ゼロの使い魔(11) 追憶の二重奏』読了

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ゼロの使い魔(11) 追憶の二重奏』(ヤマグチノボル/MF文庫J)読了。

相変わらず面白くて面白いのだが他に感想は出てこないなあ。いつものことだけど。とはいえ、主人公の精神的な問題についての話は、正直なところ今更そんな話をするのかよ…と驚かされる。大体、主人公があっさり異世界に順応してしまったのだって、まあヤマグチノボルだしなあ、で自分の中で済ませていたもので、実はそこに理由があったなんて…。まーそのー、盲点をつかれたなあ。あとタバサがものすごい勢いでヒロイン化が進んでいるんだけど、どうもサイトの三角(あるいは四角)関係に参戦すると言うわけではなくて、仕えるべき勇者としての方向性が強いようであるのだけど、まあそれはそれで何かとおいしいポジションではありますな。ずいぶん感情的な揺らぎを見せるようにもなってきたし、ルイズも悪魔的な自分の性癖に目覚めている場合じゃねーぜ、とか思った。なんて適当な感想か(他人事のよーに…)。

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2007.07.02

なにかの罠か…

今日の16:00~17:00(だけ)に800人以上(通常一時間に20人ぐらい)のユニークアクセスがあったんだけど、これは何かの攻撃か。その時だけで、他の時間はいつもどおりだったからなあ…。アクセス元を見ても不明だし…。謎だ…。

面白いから証拠を残しておく。
Stats

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『つばさ(3)』読了

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つばさ(3)』(麻生俊平/MF文庫J)読了。

本当にもうびっくりするぐらいに清く正しいジュブナイル。なんのとりえもない主人公が、少しづつ成長していく姿を堅実に書いていて、MF文庫ってずいぶん懐の広いレーベルだと思った。ヒロインの描き方も記号的じゃなくて、こんな純粋な女の子いねーよ!と思わず口にしたくなるぐらいに理想化の度合いが激しく、まさに(大人が書いているという意味で)児童文学的だった。しかし、その一方で今回の主人公たちは、地に足のつかない夢追い人たちが現実に打ちのめされていった姿を目の当たりにすることにもなり、すなわち夢と言うものは容易く敗れるものでもあるというジュブナイル的なものとは相容れないテーマを掲げてもおり(無論、その現実に対して何が出来るのかと言う点も重要ではある)、相変わらずどこに受容があるのか良く分からない作品だなあと思った。いや、僕はけっこう楽しいんだけどね。

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買ったもの

1.『棺担ぎのクロ』 きゆづきさとこ 芳文社
2.『ホーリーランド(15)』 森恒二 白泉社
3.『五日性滅亡シンドローム(1)』 ヤス 芳文社
4.『コードギアス ナイトメアオブナナリー』 たくま朋正 角川書店
5.『amato amaro』 basso 茜新社
6.『コードギアス 反逆のルルーシュ』 岩佐まもる 角川スニーカー文庫
7.『戦闘城塞マスラオvol.2 神々の分水嶺』 林トモアキ 角川スニーカー文庫
8.『桜ish(チェリッシュ)-推定魔法少女-(1) 桜舞い降りた』 一肇 角川スニーカー文庫
9.『たま◇なま 生物は何故死なない?』 冬樹忍 HJ文庫
10.『1000の小説とバックベアード』 佐藤友哉 新潮社
11.『虐殺器官』 伊藤計劃 ハヤカワJコレクション

1.は、きゆづきさとこの連作4コマストーリー。やわらかい絵柄に夜のほの暗さが重ねあわされた感覚が良いのですね。2.はとにかく土屋さんかっけーと言う話。あと思うんだけど、主人公の神代ユウってのは”弱者の心を持った強者”なんだなーってこと。こういう人間が最強なんだろうな。3.『私たちの田村くん』など竹宮ゆゆこ作品のイラストを描いているヤス氏の4コマ。正直、この人の漫画家としての力量は未知数なんで、内容も知らずに買うのはリスキーだとは思うんだが…まあ気になったときに買えと言うことで。4.『コードギアス』派生漫画の一つ。今度の主人公はナナリーだ!と言うわけでいい感じに暴走しています。いきなりルルーシュが死ぬし(本当)。5.オノ・ナツメの別名義の作品。まあようするにホモセクシャル漫画なんですが、そっちに興味が無くても面白い。空気感を楽しむべき。6.『コードギアス』のアニメ版のノベライズ。今回はナリタ攻防戦を中心にアニメでは描かれなかったエピソードを拾い上げる手法の様子。しばらくはこの方向へ行くのかな。7.なんか知らんがやたらと面白い。不思議。8.なんか表紙を見ていてニトロっぽい塗りだなあと思っていたら本当にニトロのグラフィッカーの人だった…。この色の塗り方はニトロ特有のものなのだろうか…。9.こ、これは…冒頭の数ページを読んだだけでビンビンくるぞ!すげえ!まだ5ページしか読んでいないけどこれは傑作かも知れねえ!わからんが。でももしかしたら。10.あまり積極的に買おうとは思っていなかったんだけど、たまたま見つけてしまったからなあ。11.(ごく一部の)流行に流されて買ってみた。そのうち読む。

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2007.07.01

『砂の城の殺人』読了

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砂の城の殺人』(谷原秋桜子/創元推理文庫)読了。

美波の冒険心のたくましさには読むたびに驚かされる。事件に対して気弱で怯えるばかりの美波は、一方で毎回毎回、新しい、経験も無いアルバイトに取り組む(無謀な)冒険心を持っていて、何の経験も無い美波は失敗を繰り返してへこむ。それでも何とか立ち直ってまた新しいバイトをやってまた失敗して…って修矢で無くても見てられんわ!と言うか、読むのがきつい。まー慣れない仕事なんて大抵失敗ばかりなもんだけど。慣れるほどバイトが続かないのは、この作品の構造上しょうがないところなんだけど(殺人が起こるからな)。

あー、このシリーズってひょっとしてこれで終わりか。お父さんを探しに行くにしても、すでにアルバイトによって事件に巻き込まれると言う様式美は使えなくなるし、修矢との関係も一歩進んでしまっているからいままでのようなつかず離れずのラブコメ関係も維持しにくい。そもそも、これはお父さんの存在がキーになっていて、この人が美波のところに戻ってくれば、彼女がバイトを行う必要もなくなるので、非日常的な事件に巻き込まれることも無い(まあ事件に巻き込まれるのが彼女の特性であるのならその限りではないが)。その意味では、お父さんと言うのは日常の象徴であって、日常への回帰を予感させるこの巻の終わり方は、この上なく美しいと思ったのだった。

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