『黄昏色の詠使いⅡ 奏でる少女の道行きは』読了

『黄昏色の詠使いⅡ 奏でる少女の道行きは』(細音啓/富士見ファンタジア文庫)読了。
うーんうーん。最初に大変に完成度の高い作品を書いた人特有の罠に嵌っているなあ。最初にあまりにもきちんと作りすぎると、続編を書くときに前作を超えなければならないと言う気負い生まれてしまうものだが、その気負いが背伸びに繋がってしまっているような。なんつーか、前作で主人公たちの挫折と葛藤、克己を完全に描いてしまった反面、今のところ、その先に新しいビジョンが生み出せていないように思う。成長した先に何があるのか、っていうのはけっこう難題ではあるのだが…。
そのビルドゥンクスのあり方があまりにもストレート過ぎるところに危惧を感じるところがあって、例えば今回の主人公格であるエイダについても、正直なところ彼女の葛藤はしょせん(と言うのは一方的過ぎる言い方かもしれないけれど)持てる者の悩みに過ぎないわけで、彼女の選択と言うのは単に出来ることをやるかどうかのものでしかなくて、やれることをやったからと言ってそれはを生み出したことになるのか、とか。えーと、上手い言い方が思いつかないのだけど、この作者の描写する”成長”と言うのは、今のところ”課題を解決する”以上のものになっていないと言うことも出来るので、主人公たちの感情(あるいは実感)が伴っていないように思える。前回はかつての”約束”と主人公の克己がロマンティズムと結びついて行く過程が圧巻であったのだが。単に問題を解決するだけではいささか納得がいかないなあ。
まあ僕の個人的な感覚でしかないんですけど。うーん。
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