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2007.06.29

『大帝の剣(1)天魔の章 天魔降臨編 妖魔復活編』『大帝の剣(2) 天魔の章 神魔咆哮編 凶魔襲来編』読了

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大帝の剣(1)天魔の章 天魔降臨編 妖魔復活編』『大帝の剣(2) 天魔の章 神魔咆哮編 凶魔襲来編』(夢枕獏/角川文庫)読了。

なんとー。夢枕獏先生の伝奇小説と言うからどうせまた神とか宇宙とかの話になるんだろうなあと思ったら実はSFだったは…。昔々に一巻だけ読んだ記憶があったのだが、すっかり忘れていたので改めてびっくりした。素晴らしいですなあ。とりあえず現時点では豊臣家の遺児を巡る伝奇アクションが中心になっているものの、それ以外に天○四郎(無意味な伏字)や宮本○蔵(同左)に挙句の果てには佐々木○次郎(同…もういいか)まで登場させてしまって、これから一体どうなっちゃうの!?と言うところ。大胆不敵で無敵な主人公の持つ剣(なぜかアレクサンダー大王が使用したと言うすごいんだかそうでもないんだかな由来持ち)の謎も明かされつつあるものの、結局、物語は宇宙的生命体とエンゲージした主人公が広大なるユーラシア大陸を目指すと言う展開になりそうな感じ。獏先生が書く話は最終的に日本を飛び出して悠久の大陸に向かってしまうのですね…と言うわけで日本脱出編をとっとと書いてくれないとこの話が終わらないんで何とかしてください。土蜘蛛なんぞとちまちまやり合っている場合じゃねーズラよ。

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2007.06.28

『龍族 創世の契約(1)』読了

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龍族 創世の契約(1)』(花田一三六/C・NOVELS Fantasia)読了。

おおお、これは良い花田一三六だ!龍族を頂点とした厳密なヒエラルキーが確立されている世界における、ある街を舞台にした連作短編集になっている。短編ごとに主人公が異なりながらも、それぞれの登場人物たちは時には密接に、あるいはそこはかとないつながりを持ちつつ、さまざまな事件が語られているのだけど、やはり花田一三六は短編がムチャクチャうめえ!と言うことを再認識させられた次第だった。花田一三六の作品における登場人物の格好良さと言うのは、実のところいわゆる”ヒロイック”な物ではなくて、むしろ日常に根ざした、地に足がついた人間の持つ誇りを描いているところが特徴だと思う。まさにこの話はそれが十全に表われていて、何しろそれぞれの主人公が、出国審査官だったり、酒場の親父だったり、やり手の女銀行員とその執事だったり、若手新聞記者だったりするのだ。しかも、決して超人的な能力も持っているわけでもなく、普通の意味で有能でこそあれ、単なる一般人でしかない。そんな一般人の物語がまた大変面白いのである。それぞれに自分の仕事に誇りを持ち、信念を持って生きていた職業人たちが、さまざまに事件に巻き込まれたり、時に自分から事件に飛び込んで行きながらも、事件を通じて得た痛み、実感、思い出などを受け止めていく姿を描いているのだが、その過程における自らの信念、それも別段大袈裟な葛藤を経て得たものではなく、日常を生きる中で培ってきた信念で立ち向かう姿がたまらない。決して偉大でもなければ格好良くもなく、むしろ泥臭いそれらを、花田一三六は完結に、無造作にさえ見える無骨さで持って切り出している。そこには荒削りで不恰好な、しかし、たまらない美しさに満ちている豊かさがあると思うのだ。

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2007.06.27

『哀しみキメラⅣ』読了

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哀しみキメラⅣ』(来楽零/電撃文庫)読了。

お、面白い。おそらくは打ち切りであろう『哀しみキメラ』の4巻目なんだけど、見事なまでに綺麗な終わり方をしている。うーん、見事過ぎて見事と言う言葉しか出てこない。無論、それは作者の制御が行き届いていることから生じる予定調和的と言うか、おそらくはこれ以外の結末は無かろうという読者の予想を超えないと言えなくもないのだが、それを考慮した上でも、もっとも美しい終わり方だったと思う。奇跡は起こらず、しかし、それぞれがよりベターな結末を模索した結果であり、乾いた中にも一片の”哀しみ”があるのだ。まあ、打ち切りの影響か、七倉文尋に代表される同情と言う名の差別を初めとする、差別するものとされるものについての話しが、匂わされるだけに留まっていて、上手く回避されてしまった印象もある。ちょっと勿体ないような気がするけど、この作者の成長ぶりには、1巻から比べると雲泥と言うか、すごく上手くなった印象があって、次回作が楽しみになった次第です。

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何かに対処し続けること

生きることは問題解決の連続である、などと言う手に垢のついた表現を使うのは気が進まないのだが、もしそうだとすると何かに対処し続けることのエネルギーってのはどこから生み出されていくんだろうなあ、とか良く思うエネルギー切れ気味な日々。上手く自分の中の内燃機関まわしていくことが必要なんだろうがなー。

1.『呪街(1)』 惣本蒼 講談社
2.『マリア様がみてる フレームオブマインド』 今野緒雪 コバルト文庫
3.『夜愁(上)(下)』 サラ・ウォーターズ 創元推理文庫
4.『天使の牙から』 ジョナサン・キャロル 創元推理文庫

『呪街』。お、おもしれー。なにやら僕がよく巡回しているところ(だけ)で評判が良かったので買ってみた。思った通り(僕にとっては)超おもろい。狂気的な描写に目が行きがちだけど、呪いと言うどうしようもないものを背負った各キャラクターの陰影が非常に魅力的だ。だが、もちろん狂気と暴力に満ち満ちた作品なので読もうと思う人は最低限”シグルイを食事中に読める”ぐらいの耐性を持っているべきだろう。

『マリア様がみてる』。蔦子さんが初めての表紙か。けっこう登場頻度は高いのに、常に傍観者として一歩引いた立場にいる彼女にしては珍しいポジションだなあ。

『夜愁』。出ていることに全然気がついていなかった…。

『天使の牙から』・ジョナサン・キャロル。いつもと同じように本屋によっても、探そうと意識すると不思議と目に付くことってあるよね?たぶん。そんな感じ。

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2007.06.26

『世界平和は一家団欒のあとに(2) 拝啓、悪の大首領さま』読了

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世界平和は一家団欒のあとに(2) 拝啓、悪の大首領さま』(橋本和也/電撃文庫)読了。

これはまた楽しい作品だった。悪の組織や正義の味方と言うものの価値が転倒していること自体は特に目新しいことでもないのに、そこに家族の問題が関わってくるとこうまで愉快でおかしく、ちょっとほろりとさせるような物語になってしまうとは、正直意表をつかれた感がある。ぶっちゃけてしまうと斜に構えているくせにお節介でお人よしな主人公が、家庭崩壊に危機にさらされた家族に関わることから生じるドタバタが描かれているのだが、その家族と言う小さな単位のテーマと、世界征服を目論む悪の組織とそれに対抗する正義の味方と言う舞台背景が完全に噛み合っていてブレがないのが良いですね。平凡で、それゆえに深刻な問題を、非常識な力で解決しつつ、それでも本当にその問題に向かいあうのはそれぞれの当たり前の決意だったりするバランス感覚がすごいと思った。まあ、なんか楽しくて、僕は好きなおはなしだなあ。

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妄言に似た何か

もちろん妄言に決まっている。

1.『月の骨』 ジョナサン・キャロル 創元推理文庫

本屋をいつものように徘徊していたところ、ジョナサン・キャロルがたまたま目に付いたので購入。そういえば『黒いカクテル』がやたらと面白くて、集めてみようかと思ってたのをすっかり忘れていた。まあ良くあることです。

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2007.06.25

『ぼくと魔女式アポカリプス(3) Nightmare Crimson Form』読了

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ぼくと魔女式アポカリプス(3) Nightmare Crimson Form』(水瀬葉月/電撃文庫)読了。

相変わらず大変に趣味が悪くてたまらん。新たに登場した(正確には2巻でも登場していたわけだが)双子姉妹の極端にカリカチュアライズされた最悪な人格を、きっと作者は楽しんで書いているんだろうなーと思わせる執拗な描写が大変に素晴らしく、思う存分不快な気分に浸らせていただきました(褒めています)。まあ、割合にその他の点では主人公がまともに主人公っぽく行動しているんだけど、彼が受け継ぎ、提示する選択肢は結局のところ誰も救うことは出来ずにあらゆる人間は己の望みのままに暴走して行くのだったーと言う話で、まあこのシリーズらしいかな。しかし。主人公には誰も救えず、それぞれが自分勝手に生きて死ぬだけに過ぎない、と言う作者の認識はいささかシニカル過ぎていて誰も救われない結論だと思う。フィクションだからって、いつまでも袋小路に留まっていてはいけないと思うので、作者がどのように物語に決着を付けるのかが非常に気になるので、ちゃんと最後までやってくれると良いのだがなあ。

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図書館で貪るように読んでいました

ソノラマ文庫の解散については、また一つの時代がなくなってしまったんだなーと思うと感慨深い。まあレーベルとしては残るのはありがたいのだけど、影響がまったくないと言うことは考えられないので、やはり覚悟しておくべきなんだろう…いろいろと。思えば十代のころの自分にSFと言うものを教えてくれたのはソノラマ文庫だったし、またいろいろなジャンルの作品が入り混じって実に混沌とした雰囲気がとても好きだったものだ。これも時代の流れと言うものだろうか…。

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2007.06.24

『リヴァースキス』読了

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リヴァースキス』(佐野しなの/電撃文庫)読了。

トランスセクシャルものとしてはわりとガチ。何だけど、冒頭から後半にかけての主人公の拒否感が強すぎてやや物語が疎外されている感覚があったのが気になった。まあ確かに自分の顔をしたやつにキスをすることなど、かなり想像を絶する状況ではあるのだが、主人公の拒否感に理由と説明がないため、読者としては非常にイライラさせられる。無論、それについては最後で説明らしきものが与えられるのだが、しかし、あれは説明になっていないような。散々ひっぱられた挙句そんなものですか、と言う印象を受けてしまうのが惜しいと思う。トランスセクシャルを巡るドタバタも、けっこうギャグに走っているところもあって、僕の趣味からすると健全に過ぎるところもあるけど(変態ですね)、まあジュブナイルポルノじゃないんだし、それは言いっこなしでしょう。

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寝言みたいなもの

1.『群青学舎(2)』 入江亜季 エンターブレイン
2.『ダンス イン ザ ヴァンパイアバンド(3)』 環望 メディアファクトリー

ザ。人外ロリ漫画こと『ダンス イン ザ ヴァンパイアバンド(3)』に登場するミナ姫さまがあまりにも熱いリーダー過ぎてイカス。何たるかっちょええ人外ロリか。

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数日前からこっそりと

アクセスカウンタなるものを設置してみたところ、ついに30万ヒット達成。トラックバックもコメントもめったにしないひきこもりブログにしては、3年で30万というのは多いのか少ないのかよくわからないのだけど、どちらにせよこんな思考を垂れ流しているだけの文章を読んでくださる方がいるという事実がいちばんよく分からない。というより信じられんなーマジで。といいつつカウンタの数に一喜一憂する俗人吉兆でした。

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2007.06.23

『戦塵外史(3) 大陸の嵐』読了

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戦塵外史(3) 大陸の嵐』(花田一三六/GA文庫)読了。

”大陸”シリーズ第三弾。新作がこのあと三部作続くってマジですか。文庫未収録のアレとかソレとかも本になるってことですか。いやーいい時代になったもんだなーと素直に思う。それはそれとして『大陸の嵐』であり、旧版においては”大陸”シリーズの最後を飾ることになってしまったこの作品だけど、やっぱり花田一三六の長編だけあって、別にやらなくても良いような場面変換とか状況描写とかエピソードとかが山盛りで、非常にバランスが悪い内容になってしまっている印象がある。とにかくいろいろなものを詰め込もうと言う熱情は感じられるのだが、バラバラのエピソードがきちんと一つの物語として統一されていない印象が強く感じてしまうのが残念だった。しかし、その個々のエピソードから生まれる人物の格好良さは尋常ではなく、皇帝セヴェロスの前に召し上げられた一介の遊女、セシリアのやりとりなど(正直なところ必然性と言うものがよくわからないのだが)とにかくかっちょいい。このセシリアと言う登場人物は、並み居る英雄、覇王、間者を前にしてトップクラスの格好良さがあって、描写も最も深い。国家の存亡を描きつつ、遊女と言う虐げられるものの視点を保とうとするところにこの作者の大きな魅力があると思うのだった。

(あー、久しぶりに読んで思った事を一つ。鉄血の軍師にして今回の黒幕の一人であるフーシェって、マジで軍師に向いてねえ…。頭は良いんだろうが、わりと感情に流されるわ、根本的なところでお人好しだわ。うーん…)

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なにか分かるような気がする

1.『無限の住人(21)』 沙村広明 講談社
2.『敵は海賊・正義の眼』 神林長平 ハヤカワ文庫JA
3.『もやしもん(5)』 石川雅之 講談社
4.『覚悟のススメ(4)』 山口貴由 秋田書店
5.『ウェディングドレスに赤いバラ』 田中芳樹 スーパーダッシュ文庫
6.『夜空の双子座に赤いバラ』 原案:田中芳樹 著:岡崎裕信 スーパーダッシュ文庫

『もやしもん』。”酒屋の息子←戸籍上ね”ってどういう意味だコラァァァァァァ!!とひたすら気になるのはともかくとしても、『滅びのマヤウェル』の岡崎裕信が田中芳樹原作の『ウェディングドレスに赤いバラ』の続編を描くと言うのは、一見、作家としての方向性があまりにも異なるのでミスマッチにようにも思えるが、なんとなく分かるような気もするのである。まあ言うまでも無く妄想ではあるのだが、物語の手順とか伏線とか一切無視の岡崎裕信に、小説巧者の田中芳樹のプロットを学ばせようと言う編集部の配慮なり目論見なりがあるんじゃないかな。あんな背水の陣でばかり小説を書かれてしまっては、編集部としても気が気でないのだろう…。

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2007.06.21

なんてわかり易い人なんだ…

まったく期待に違わぬとはこういうことを言うんだろうな…。

1.『ねくろま』 平坂読 MF文庫J

ヒロインは常に裸。そんな言葉をせせら笑っていた日々が僕にもありました。この作者の言うことだからどうせ嘘八百なんだろうと思って期待などまったくしていなかったにもかかわらず、その真実が分かった時のこの脱力感をどう説明したらいいのか…。恐ろしいことです。あと平坂読よ、あなた冲方丁の影響を受けすぎと言うかパクリ過ぎですよ!とか言うと「オレはエルロイをインスパイアをしているんだよッ!」とか平気で言い返されそうなので自重します。以上。

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『クジラのソラ03』読了

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クジラのソラ03』(瀬尾つかさ/富士見ファンタジア文庫)読了。

お、面白れー。ものすごい勢いで話のスケールが拡大中で大変イカス。宇宙人のもたらしたゲームによる戦艦バトルものであったはずのジャンルをあっさりと無視して太陽系どころか銀河系、いやいや宇宙全体を舞台にした超バトルへ物語が移行しております。いきなり冬湖がそれまでのパワーバランスをぶち壊す超パワーに目覚めてあっという間にジャンルを粉砕。物語は更なるインフレへ。もの凄まじい展開の力技には正直絶句・驚嘆・大興奮するしかない。

背後には”ゼイ”すら超える強大なるものの存在が示唆され、人間はそれに立ち向かうべく、単なる惑星人であることを超えて新たなステージへ、それこそ宇宙すらも越えた神の領域へ進化することが必要となる。否、神を超えなければ生き残ることさえ出来ないのだ!…と言う内容のはずなのに、相変わらずストーリーは高圧縮高速で展開されていくので読むのが大変だ…。ちょっと読み飛ばすと、何の話をしていたのかすぐに分からなくなる…。”イーター”初めとする良く分からん超存在といつ果てるとも知れない戦いを繰り広げつつ、ゼイ内部でも内紛があって、冬湖の両親と言うのは(本人かどうかも実は良く分からんのだが)ゲームの主催者側とはまた別に思惑があって、地上においても妹命のあんちゃんが画策しつつ謀略が謀略を生んでいく。こんなの、一冊の本でまとまるわけねーだろッ!とつくづく思うのだが、でもこの作家はやってしまうんだな…。と、とにかくこの物語がどこまで突き抜けるのかものすごく楽しみなので最後までついていくよ!かなりの高い確率で石川賢エンドだと思うけどな!

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2007.06.20

『トリックスターズC PART1、2』読了

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トリックスターズC PART1・2』(久住四季/電撃文庫)読了。

今まで感想を書くのをすっかり忘れていたんだけど、このシリーズは見事なものだ思います。主にライトノベルの領域できちんとミステリ小説として成立していると言う点で。キャラクター小説とミステリ小説の融合と言うテーマはわりとメフィスト系が嚆矢と言えなくも無いけど、あれをさらにライトノベルと深度を深め、かつミステリ小説としての様式を失わぬ。いや、本当に素晴らしい。まあミステリを読んでもそのトリックの出来の良し悪しがいまひとつ分からない僕が言ってもあまり説得力はないのだが…。まあそれはともかくとしても、主人公の葛藤とミステリとしてのトリックがきちんとリンクしているのはキャラクター小説的にグッドだと思う。うーん、ここまでキャラクターが魅力的になるとは、1巻を読んだ時は想像していなかったな…。実はミステリ的な側面がもっと強くなって、キャラクター小説としては破綻するのではないかと思っていたんだけど、これは予想を上回られたと思う。そもそも主人公の周くん(ま、こう呼ぶしかないわな)がここまでキャラが立つとは…。あとライトノベルではわりと珍しいキャンパスライフを舞台にしたライトノベルと言う意味でもわりと希少だと思うので、これで大学編は一区切りっぽいところなのがやや惜しいような気もするなあ。まあ続きが読めれば何も言わないけど(言っているじゃん)。

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君子豹変す

確固たる思想などと言うものにさしたる意義を認めない僕であるからして、読書の好みなどと言うものはいくらでも変ってくるもので、一年前に「クズが!」と吐き捨てていた本が、実は今になって読み返した見たらムチャクチャ面白かったりすることなど普通にあることだったりするのだけど、ひょっとしたら築地俊彦はもう少しきちんと評価した方がいいのかも知れない…と『神曲奏界ポリフォニカ ふゅーじていぶ・ぶるう』を読みながら思った。『まぶらほ』が大変つまらないと言うか不愉快な作品だったので、この作家を読むことは二度とないな、と思ってから数年。この作家の”読者を不愉快にさせよう”と言う”小説嫌い”な”ヒネクレた”ところが理解できてきたのか、奇妙に面白い…。常に定型を倫理的にありえない方向に逸脱しようとしつつ抜けきれないところとか、何かと興味深い、ような気がするなあ。

1.『ULTRA JUNP MEGAMIX』 木城ゆきと他 集英社
2.『ハチワンダイバー(3)』 柴田ヨクサル 集英社
3.『史上最強の弟子ケンイチ(25)』 松江名俊 小学館
4.『クロスゲーム(8)』 あだち充 小学館
5.『オレはキャプテン(14)』 コージィ城倉 講談社
6.『超人ロック ライザ』 聖悠紀 少年画報社
7.『ブラス城年代記Ⅱ ギャラソームの戦士』 マイケル・ムアコック 創元推理文庫
8.『レヴィアタンの恋人』 犬村小六 ガガガ文庫
9.『十八時の音楽浴 漆黒のアネット』 ゆずはらとしゆき 原作:海野十三 ガガガ文庫
10.『封仙娘娘追宝録10 天を決する大団円(上)』 ろくごまるに 富士見ファンタジア文庫
11.『殺×愛7 -きるらぶSEVEN-』 風見周 富士見ファンタジア文庫
12.『サマーバケーションEP』 古川日出男 文藝春秋

それにしても…ガガガ文庫の跳訳シリーズはなんかいいわあ…。強烈なパロディとそれに洗い流されぬ原典の強靭さが生まれるコラボレート!…と言うのはさすがにハッタリを効かせ過ぎか。でもなんかいいわあ…。

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2007.06.19

『サイレント・ラヴァーズⅡ 鋼鉄の英雄』読了

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サイレント・ラヴァーズⅡ 鋼鉄の英雄』(吉村夜/富士見ファンタジア文庫)読了。

相変わらず堅実に面白いんですが、主人公にプレッシャーをかける展開がひたすら続いていくのがなんともどかしいですな。わずかな希望とそれら希望をすべて粉砕する残酷な現実の描写が執拗で、作者のクレバーな計算が伺えます。2巻目にしてようやく救いらしきものをもたらされた主人公だけど、これすらも以後の転落の布石のようなので、どこまでも救いがなさそうです。とはいえこの巻を単独で見てみれば、残酷な予感を感じさせつつも、主人公が戦う動機を見出していくことによって活力を取り戻していく過程がきちんと描かれているので鬱々とした気分にはならないのはさすがに上手いなあと思いました。

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2007.06.18

『ジョン平とぼくらの世界 ジョン平とぼくと(3)』読了

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ジョン平とぼくらの世界 ジョン平とぼくと(3)』(大西科学/GA文庫)読了。

おおー、面白い。3巻目にしてようやくこの作品の真の面白さが理解出来たような気がする。今までは、ゆるいストーリー展開と裏腹の理知的な筆致が自分の中で上手く噛み合わないようなところがあって、不思議な作品だなあと言う印象がついてまわっていたのだが、ここに至って”ゆるさ”の中の理知的さ、クレバーさが見えてきていて、読んでいて実に格好良い。物語の肝に当たる世界観のネタばらしにさらっと人為選択なんてフレーズが出てきたりして、なんつーか、理系的ハッタリズムここに極まれりと言う感じなのが好ましいなあ。他にも理科的知識が随所にちりばめられていて、妙に筋道たっているのがまたハッタリズムを補強しているのだけど、その理科的知識はせいぜい高校生ぐらいの知識なので、読者にとってもわかりやすい。やー頭のいい人って言うのは、簡単な言葉で難しい概念を説明出来るもんだよなあ、やっぱり。ハッタリにわざわざ偉い学者の難しげな理論を引用する必要なんてないんだよなあ…。ここで一区切りらしいんだけど、正直まだまだ続けて欲しい作品なんで、そのうち続きを書いて欲しいと思います。

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2007.06.17

『ブラス城年代記Ⅰ ブラス伯爵』読了

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ブラス城年代記Ⅰ ブラス伯爵』(マイケル・ムアコック/創元推理文庫)読了。つーか、これも井辻朱美氏の翻訳なんだなー。読むまで前々気がついていなかった。

一見、ありがちなヒロイックファンタジーのふりをしてSF、と言うかスターウォーズになっているという無意味にひねくれた物語であった前シリーズと比較して、これは本当にそのまんまSF(スペースオペラとは言い難いのがポイント)になっているのがあきれるやら笑えるやら。もうムアコック先生はやりたい放題好き放題に物語をいじくり倒していて、読者の事を考えていらっしゃるのかしら。暗黒帝国との戦いを終え、平和に過ごしていたホークムーンだったが、卑劣な陰謀にその命を狙われていく。今回は平行世界とタイムスリップに巻き込まれ、ホークムーンの世界とはいささか異なる世界から召還されたブラス伯たちと出会い、その刃交えあったりしつつも冒険を繰り広げていくのだけど、その冒険の末路において、あまりにも残酷で不条理な『真実』を知ってしまうことになる。それは『現実』なのか?それともいかなる並行世界に陥ってしまったと言うのか。愛するものの”存在”そのものごと失ったホークムーンの悲嘆により、この作品は一幕を閉じることになる。登場人物たちへの容赦の無さはさすがだなあ、と思った。存在そのものが無かったことにされた相手を取り戻すことが出来るのか。あるいは自らの見ている世界そのものが真実本当の世界なのか。古典SFの領域に足をつっこんでいるけど、このまま認識論のところまで言っちゃうとイーガンにまで行ってしまうからなあ。一応、ヒロイックファンタジー的なところで落とどころをおいた…ような気がする。前に読んだ時の記憶だけど。自信ないけど。

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『マリア様がみてる あなたを探しに』読了

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マリア様がみてる あなたを探しに』(今野緒雪/コバルト文庫)をそういえば読了していたのだった。

「薔薇さまのお宝探し大会」の決着編。大会を勝ち抜いた勝者と次期薔薇候補の半日デートにおけるそれぞれの行動とその結末を描く。また祐巳と瞳子の妹問題についても大きな動きを見せつつあり、物語は大きく動き出している…のかなあ。ともあれ半日デートと言う局所的なイベントで読者を楽しませつつ、前々々…どれくらい前からかは忘れたが、継続している問題である祐巳と瞳子の話でさらに話を引っ張るところがなかなか上手いなあ。物語の緩急の付け方が手馴れている。そして読者は相変わらずの引き伸ばしに悶絶するのでした。まる。ともあれ、赤薔薇白薔薇黄薔薇それぞれのデートが、叙述トリックあり爽やかな友情ありちょっとラブな雰囲気ありとサービスサービス大盤振る舞いで大変読者としては楽しいことこの上ない。相変わらずガールズユートピアの描き方が大変好ましいと思うのでした。

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2007.06.15

『シャギードッグⅡ 人形の鎮魂歌~defeated~』読了

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シャギードッグⅡ 人形の鎮魂歌~defeated~』(七尾あきら/GA文庫)読了。

こ、このヒキはありえねえっ!と、ものすごい終わり方に開いた口が塞がりません。本当に「来週をお楽しみにっ☆」な終わり方じゃないですか!いや、さすがに☆はないけど、本当に来月あたりに続きが出てくれないと読者のこっちが飢餓に陥るってものなので、続きを早くお願いします。

ところで順調に続きが出て、デビュー当初から読み続けている七尾あきらファンとしては大変嬉しい限りで、この調子で出来るだけ長く続いて欲しいですな。んで、ファンとしてはまったく嬉しいというか、とても面白かったんだけど、改めて七尾あきらを読んでみたところ、実はこの作者の”面白さ”って言葉にし難いなあと思ったりしたのだった。この作品は、僕はかなりガチなサイバーパンクだと思っていて、正しく”現代的”な意匠で生み出されたSFであるとおも思っているのだけど、しかし、それは作品上において本題なく、ただの背景に過ぎない。また、登場人物たちの魅力と言うものも際立っていて、オズの冷酷さと裏腹の幼な子のような無邪気さと愛らしさや、明るく元気で、そのくせ凶暴なまでの果断な意思力を持つ”まりん”の強さや、穏やかなむく犬の風情でありながら凶暴な怪物を抱え込んだ大介の正しくヒーローっぷりとか、それ以外の登場人物たちはすべて”単純ではない”造型があって、そこが大変素晴らしいと思うのだけど、やっぱりそれはこの作品の一部でしかない。他にもサイバーの領域に至ったハイスピードバトルとか、甘く切ない恋愛模様とかもあったりするし、痛ましくなるような残酷な現実とかもあったりするんだけど、やっぱりそれすらも『シャギードック』と言う物語に包括されているように感じられるのだった。どれか一つが突出しているのではなくて、多種多様な要素を作品から乖離させることなく統一させることが出来る不思議な違和感の無さは、確かにデビュー作である『ゴッド・クライシス』からあるもので、七尾あきらの優れたところであると思うのだ(ちなみにこのデビュー作、科学の粋を凝らしたサイボーグと本物の妖怪である”鬼”が同じ世界で存在していると言うこれまた混沌とした作品であって、実にこの作者らしい)。

<追記>
冷静になって考えてみると…要するに七尾あきらの全部が好きだと言っているようなものだなこの文章。まあ、そんなに間違ってはいないが。

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2007.06.14

『コードギアス 反逆のルルーシュ STAGE-0-ENTRANCE』読了

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コードギアス 反逆のルルーシュ STAGE-0-ENTRANCE』(岩佐まもる/角川スニーカー文庫)読了。

あら、これはやたらと出来の良いノベライズじゃないですか。著者の原作への愛情っつーか、楽しみながら書いているのが良く分かる感じ。そういえばCDドラマも買っていたけど、まだ聞いてないなー。これを読んでいたら思い出した。まあそんなことはどうでも良いんだけど、ルルーシュとスザクの幸福だったころの記憶とでもいうべきお話で、まあ、ストーリーそのものは単純で、原作を崩すことのないラインを保持しているものの、主人公たちの描き方が丁寧で好感がもてる。原作ファンならば買って損はないかな。まあそれ以上のものではないけど、アニメのサイドストーリーとしては十分すぎるだろうな。そういや25、26話の先行公開もやるんだっけ…すっかり忘れていた…。7月までまだ待たねばならんのかー。

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あるのは知っていたが…

本当に描いているとは…都市伝説の類いかと半分思ってた。

1.『マップス ネクストシート(1)』 長谷川裕一 ソフトバンク
2.『監禁』 福田栄一 講談社ノベルス
3.『のだめカンタービル(18)』 二ノ宮和子 講談社
4.『シャギードックⅡ 人形の鎮魂歌~Defeated~』 七尾あきら GA文庫
5.『大陸の嵐 戦塵外史(3)』 花田一三六 GA文庫
6.『神曲奏界ポリフォニカ ふゅーじていぶ・ぶるう』 築地俊彦 GA文庫
7.『ジョン平とぼくらの世界 じょん平とぼくと(3)』 大西科学 GA文庫

まあ、1の『マップス ネクストシート』の話なんですがー。まさか本当に新作を描くとは…。

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2007.06.13

『黄昏色の詠使いⅡ 奏でる少女の道行きは』読了

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黄昏色の詠使いⅡ 奏でる少女の道行きは』(細音啓/富士見ファンタジア文庫)読了。

うーんうーん。最初に大変に完成度の高い作品を書いた人特有の罠に嵌っているなあ。最初にあまりにもきちんと作りすぎると、続編を書くときに前作を超えなければならないと言う気負い生まれてしまうものだが、その気負いが背伸びに繋がってしまっているような。なんつーか、前作で主人公たちの挫折と葛藤、克己を完全に描いてしまった反面、今のところ、その先に新しいビジョンが生み出せていないように思う。成長した先に何があるのか、っていうのはけっこう難題ではあるのだが…。

そのビルドゥンクスのあり方があまりにもストレート過ぎるところに危惧を感じるところがあって、例えば今回の主人公格であるエイダについても、正直なところ彼女の葛藤はしょせん(と言うのは一方的過ぎる言い方かもしれないけれど)持てる者の悩みに過ぎないわけで、彼女の選択と言うのは単に出来ることをやるかどうかのものでしかなくて、やれることをやったからと言ってそれはを生み出したことになるのか、とか。えーと、上手い言い方が思いつかないのだけど、この作者の描写する”成長”と言うのは、今のところ”課題を解決する”以上のものになっていないと言うことも出来るので、主人公たちの感情(あるいは実感)が伴っていないように思える。前回はかつての”約束”と主人公の克己がロマンティズムと結びついて行く過程が圧巻であったのだが。単に問題を解決するだけではいささか納得がいかないなあ。

まあ僕の個人的な感覚でしかないんですけど。うーん。

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2007.06.12

『セカイのスキマ(3)』読了

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セカイのスキマ(3)』(田代裕彦/富士見ミステリー文庫)読了。

今回は怪異そのものへのアプローチは控えめで、どちらかと言うと主人公とヒロインの関係に視点があたっている。相変わらず”他者”への無関心さ(未熟さ?)を抱えた主人公と、過去の出来事ゆえに他者と言うものを恐れるようになったヒロインは、言わば同じカードの表裏であろう。違いがあるとすれば、彼女は”誤って”、彼は”誤らなかった”だけなのだ。同類であるがゆえにお互いを求めるが、しかし、求める方向性がまったく異なる二人はいつまでもすれ違う。周囲の人間はそのすれ違いに気がついていても、本質的な部分が理解できず、二人の世界は孤独のままだ。そのすれ違いがある以上、おそらくはこのラストは不可避のものであったのだろう。物語を解決すること。事件に決着をつけること。それは一体誰のためで、何のために行うのか。すべてに”正解”をもたらす主人公は、最後の最後についに”誤る”。それは”己”のみで”他”を振り返らなかったものと、そうでないものの差であるのだろう。ついに彼は彼女を失うその瞬間まで”他者”を理解しようとしなかったのだ。すべてを失った彼は、自己に埋没するのをやめ、周囲に目を向けるようになる。それは単に社会性を獲得する行為であるだけに留まらず、彼女の為そうとしていたことを引き継ごうと言う行為であり、彼女の存在を風化させないために必要なこと。”己”のみで存在するのではなく、”他者”と繋がって行くと言うこと。それこそが、彼が”彼女”を決して失わないための決意であり、希望そのもののように、僕には思えるのだ。

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2007.06.11

『かくてアダムの死を禁ず』読了

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かくてアダムの死を禁ず』(海冬レイジ/富士見ミステリー文庫)読了。

ほとんど松竜氏のイラストが目当てで買ったようなこの作品ですが(表紙買いをしている人がここにいますよ)、正直なところやっぱり表紙買いはやめたほうが良かったと思った一作。つるつる滑りまくるギャグにはどう反応したらいいのか本気で困るんだけど、それはそれとしても胡蝶の夢的な解釈としてはツッコミが足らんと言うか単にラノベ的世界観を説明しているに過ぎないので、別に無くても良かったのでは…とか思った。まあハッタリは大事ですが。

ついでに言っておくと、どうもこの人の書くキャラクターは上手く把握出来ない…。キャラクター性が完全に記号化されていないことから生じる不安定さとでも言うものを感じてしまった。どういうことかと言うと、真面目でシリアスな顔をしていたら、いきなり2頭身のギャグキャラになってしまうギャップがあって、それが単にギャグパートだけでやっているわけではなくて、全体的にそんな印象を感じる(まあ、こっちでギャグとシリアスの線引きが出来なかっただけなんだけど)。ただギャップ萌えと言うものは、それまで積み上げたキャラクターの前提があってのものなので、突然表われた登場人物がいきなり壊れられてもついていけないなー、と言う感じ。なんか、この作品内におけるキャラの原型がつかめないんだよな。なんか文化的背景が存在するのかしらん。

ライトノベルって難しいなあ。

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2007.06.10

『彩雲国物語 青嵐にゆれる月草』読了

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彩雲国物語 青嵐にゆれる月草』(雪乃紗衣/角川ビーンズ文庫)読了。なんか…相変わらず重い…。

自分の信じていることが単なる理想論である事を何度も思い知らされ、そのたびに無力感を味わう秀麗の衝撃はいかなるものか。自分が全然なっちゃいない、と言うことをよりにもよって清雅に指摘されることの屈辱は耐えがたいよなあ。ぶち切れながらもけっこう前向きな秀麗ってとても偉いなーとか思う。まあ清雅が秀麗のことが好きなのは第三者から見ると明白っつーかお約束なんだけど、わりと侮れないのは惚れた女でも必要とあれば切り捨てられそうな精神力を持っていそうなんで、これからどのように動くのか読めないところがあるんだけど、清雅は。味方にも敵にもどちらにもなりそうだよなー。あと、秀麗の体の秘密とか(うーん、やっぱ子供が産めないとか、そういうことなんだろうか?)、楸瑛の決断とか、劉輝がついに積極的に動き出そうとしてるところとか、状況が大きく動き出しそうな気配があって、まあ次巻あたりは注目、かもしれない。

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何も起こらない日々

何も起こらないというのは言い過ぎなんだけど。なんか自分自身にインプットが何も起こらないというのはどうしたものなのか。年々頭が悪くなっているような気がするなあ…。

1.『THE Slasher』 三津田信三 講談社ノベルス
2.『小説こちら葛飾区亀有公園前派出所』 原作:秋本治 著:大沢在昌、石田依良、今野敏、柴田よしき、京極夏彦
逢坂剛、東野圭吾 集英社
3.『秘曲 笑傲江湖(1) 殺戮の序曲』 金庸 徳間文庫

そういえば『神鵰剣侠』の感想を書いていないなあ。すっかり忘れてた。

『亀有公園前派出所』の小説版は、本来は買うつもりは無かったんだけど、その作者たちのあまりの豪華さに驚愕し、そのショックのあまりについ買ってしまったと言う。まさに衝動買いでござるな。

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買ったもの

『300』を見て酒を飲んでへべれけ状態。更新する気力もわかないのでとりあえず購入したものだけ。

1.『大久保町は燃えているか』 田中哲弥 ハヤカワ文庫J
2.『24のひとみ(3)』 倉島圭

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2007.06.07

『バッカーノ!1934 完結編 Peter Pan In Chains』読了

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バッカーノ!1934 完結編 Peter Pan In Chains』(成田良悟/電撃文庫)読了。

この作品内で何か一つ絶対に語らなければならないものがあるとすれば、一瞬の躊躇い無くあの”ドルチェ”のシーンで老夫婦が頭を抱えるシーンをあげるべきであり、ここは個人的にいっそ感心するぐらいの素晴らしい悪乗りで、最高に楽しい。そもそも成田良悟の良いところにして悪いところと思うのは、物語とかそういうものをそっちのけにしてノリだけで話が進められるところであるのだが(泥縄とも言う)、ここなんかまさにその典型。とにかくいつまでたっても話が収束しないものだから、とりあえず主要な登場人物を一箇所に集めて、ほら、お前ら決着付けてくれよと言わんばかりの展開はさすが成田良悟だぜと感心する。このある意味での物語に対する不真面目さとでも言うべきものが、無理矢理に話を終わらせようと躍起になるあまりだんだんと成田良悟の手からキャラクターがどんどん零れ落ちてくと言うような奔放さに繋がっているように思う(分かり難い言い方で申し訳ないけど褒めています)。いささか現時点ではライトノベルのフォーマットに囚われすぎているので(例えばきちんとキャラを活躍させないといけないとか)、この作者の描くクライマックスのシーンはいつも退屈だと思っているのだが(正直、フィーロのパートはあまり感心せんなー。無理矢理フィーロを格好良くしなくても…)、悪乗りが過ぎて何がなんだか分からなくなる混沌とした領域にまで到達すればこの作家はものすごいものになるんじゃないかと常々思うのだった。

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こんなに信憑性の無い宣伝も滅多に無いが逆接的に信憑性があるような気もする

平坂読、6月の新刊の宣伝をす。読んだ瞬間に嘘だと分かる嘘ばかりをつくというのは、つまり、ものすごい正直者と言うことに他ならず、その意味では氏は稀に見る正直マスターであることに相違ないと思うのだが世間一般の価値基準に照らし合わせていかがなものだろうかどうでもいい。

本日の購入物。
1.『狐とアトリ-武田日向短編集-』 武田日向 角川書店
2.『ぼくと魔女式アポカリプス(3)』 水瀬葉月 電撃文庫
3.『リヴァースキス』 佐野しなの 電撃文庫
4.『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 幸せの背景は不幸』 入間人間 電撃文庫

…『アポカリプス』だけを買うつもりだったのだが、どういうわけか3と4も一緒にレジに持っていってしまったというミステリーには正直不可解としか言いようがない。まあ新人だし、感じ感じ(適当)。あと武田日向短編集が出ているのはびっくりしたのだが、相変わらず凄まじい書き込みにオレ内部が震撼。のた打ち回りたくなるぐらいに甘くて、ちょっぴりなビターさが心地よい作品ですなー。

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2007.06.06

『パラケルススの娘(6) 薔薇と小鳥たちの輪舞曲』読了

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パラケルススの娘(6) 薔薇と小鳥たちの輪舞曲』(五代ゆう/MF文庫J)読了。

本当に今更の感想で申し訳ないのだが、五代ゆうのあまりの本気っぷりに開いた口が塞がらない。なんて完璧なハーレム小説なんだ!主人公の遼太郎くんが女の子たちに振り回されつつちょっぴり格好良いところを見せつつなんだかんだで女の子たちは仲が良いよねーと言う感じで見事にハーレム。もう全員と付き合っちまえ!しかもシシィやレギーネ等、幼女や無口系美少女まで完備して、どこまで(ラブコメライトノベルとして)完璧なんだ!ん?クリスティーナ?あれはヒーローだろ?まあそんなことを言いつつリース警部(おっさん)が頑張る話を平行で書いているところが五代ゆうのバランス感覚なのかしら。まあとにかくジンジャーがギガラヴいと言うことはみんなも言っていることだけど僕も言っておきたい。

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おゆらのあまりのエロスにはびっくりでございます

1.『Y十M(7)』 原作:山田風太郎 漫画:せがわまさき 講談社
2.『神様のメモ帳(2)』 杉井光 電撃文庫
3.『哀しみキメラⅣ』 来楽零 電撃文庫
4.『世界平和は一家団欒のあとに(2) 拝啓、悪の大首領さま』 橋本和也 電撃文庫 

『ぼくと魔女式アポカリプス』が売ってねえ。何故だ。とりあえず明日は別の本屋に行くことにするか。
それはともかくとして『Y十M』に新たに登場した(正確には前巻のラストで登場した)”おゆら”があまりにもかわいやらしく無邪気で無残なキャラで素晴らしい。せがわまさきの絵には何かが降りてきているな…。あとお笛がビジュアル変り過ぎ。作者に贔屓されすぎです。あとヒゲ。

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2007.06.05

『フルメタル・パニック!つどうメイク・マイ・デイ』読了

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フルメタル・パニック!つどうメイク・マイ・デイ』(賀東招二/富士見ファンタジア文庫)読了。今頃だが感想を書く。

言わずと知れたフルメタ最新刊、と言うには時間が経ってしまったがとにかく最新刊。ついにシリーズ…何巻目だ?覚えてねえ。まあそんなことはともかく、たった一人の地域紛争を経た宗介が、ついに仲間と出会い、半身とも言える相棒を得て復活する!と言うやたらとハイテンションな話になっております。アマルガムにさらわれ、囚われのお姫様状態にあった我らがヒロイン、かなめもついに現状に留まることなく動き出し始めて、いやーなんかみんな頑張っていますね。軍事バランスとか戦力差とか、戦略戦術を重視しておきながらクライマックスはスーパーロボットになっていたりする大胆不敵さはさすがだった。読者が欲しいと思うものを熟知していますね…。あといつの間にか宗介とかなめが運命に引き裂かれた恋人たちになっているのには、実はわりとびっくりしているんだけど。これは引き裂かれたからこそ燃え上がる愛と言うやつだろうか?いろいろと良くわかってんなーこの作者。とにかく面白かったとしか言えませんね。

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2007.06.04

『フレイアになりたい 2 ハーデスが泣いている』読了

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フレイアになりたい 2 ハーデスが泣いている』(岡崎裕信/スーパーダッシュ文庫)読了。

いやあ、もう…相変わらず酷いなあこれ(褒めています)。なんつーか、作者の快楽要素を、作劇上の演出とか手順とか一切を無視してひたすらハイテンションでばらまくだけと言う、この作者らしい自爆的な作風は健在です。作家としての後先とか、作品の完成度とか何にも考えていないよね!そこが素晴らしい!でもこの作者が何を考えているのか全然わかんねえ!意味不明!

いやあその…僕にはこの話がなんなのか全然分からんのですよ。ポップな、あまりにポップすぎて会話になっていない日常シーン、僕の想像の斜め上を行くモチーフを持って生きていく登場人物たち、そして容赦なく萌えキャラをぶち殺して涙を誘うあまりにもあざとすぎる(と言うよりも、作者の快楽要素っぽい)ストーリー!ここの要素を挙げておくと、僕の読書観からすれば、およそ作品に”骨子”と呼べるものが無く、作品的には”下品”極まりない作品と言えるのに、ただただ自分の面白いものを全力でぶち込んだぜヒャッハァ!と言わんばかりの作品のパワーは凄まじい!うーん、面白いけど、素直に褒め難い…が面白い。

あと、個人的に興味深いのは、本来なら不愉快に感じてもいいはずのタイプの作品なのに、この作家だけはなぜか不快感を全然感じないという。何故だ!?自分でも良く分からないけど、たぶん、この作者には”計算”が無くて、ただただ自分の面白いと言う感性に忠実だからとか。見え透いた下心が無いというのはあるかもしれないなあ。でもそれだけだとこの作者は上手く説明できないよなあ…。うーむ(この作者の不思議さは、直接的には関係ないけど、このあたりの話とも関連していそうな気もする。気がするだけ)。

なんていうか、この作者、すごい良い人のような気がする。

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2007.06.03

『撲殺天使ドクロちゃん(9)』読了

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撲殺天使ドクロちゃん(9)』(おかゆまさき/電撃文庫)読了。

(良い意味で)だらだらと特に目的も無く続いてきたドクロちゃんもついにクライマックスが近い!ような気がする9巻。今までもハイテンション脱力系ギャグの中に真面目でほろりとさせられるオチを神業的なセンスで融合を果たしていたドクロちゃんにおいて、ついに主人公の身にマジの危機がやってきたのだった!括弧笑い。

まあ、真剣に消滅の危機にさらされながら、だらだらと相撲ゲームをやったり最後の対決のバカバカしさなど、ドクロちゃん的な要素は失うことなく、本当に愛と感動の物語になっている(ような気がする)のはさすがだった。うーん、おかゆまさきをちょっと過小評価してたかなーと言う印象。いや、別に小説が上手くなっているとはあまり思わないのだけど(マジかよ)、どんな展開になってもほのぼのユルユルを貫けると言うのは、ある意味にすごいんじゃなかろうか(…いや、気のせいかもしれんが)。

相変わらず面白いともつまらないとも表現しにくく、ただ快楽と言う意味では、相変わらず最大瞬間風速をマークする作品でした。まー個人的には僕がいちばん好きなバベルちゃんがわりと活躍してくれただけでも満足でございますが。

安いな、オレ…。

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『楽園ヴァイオリン クラシックノート』読了

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楽園ヴァイオリン クラシックノート』(友桐夏/コバルト文庫)読了。

相変わらずこの人の書く作品は尖がっているなあ。タイトルから分かるように、『特別な塾』を舞台にしたシリーズの最新作。今までの作品群とのリンクっぷりは尋常ではなく、人間関係がどんどん錯綜してきております。リリカルな叙情とどす黒い人間の権力闘争が平行に語られるところがこのシリーズのすごいところでありますが、今回はその中で培われた友情が重要な役目を果たしていて興味深い。今までの人間関係は、基本的に相手を陥れることが基本だったからな…。おかげで読んでいるこっちが猜疑心を持ってしまって、盟、巴、沙耶、拓斗の4人の関係も、どうせ壊れるんだろうなあとか読んでしまったもので、逆に裏をかかれた格好だ。作者の手のひらに踊っているなあ…。

あー。お話としては、これまた錯綜しまくっていて。一応、主人公は盟で、彼女の視点から物語は動いているのだけど、彼女の周囲で物語がいろいろと動きまくっていて、彼女が中心の動きもあれば、実は彼女自身には全然関係の無い話が動いていたりして(前2作の話とか)、なんかすげーことになっているなーと言う。どうも作者はいろいろな別個の長編を組み合わせていくことで、一つの大きな絵を描こうとしているようだ。前作までの登場人物たちの動きを、今回の主人公である盟を中心に関連づけていて、今後、どのような動きが生まれてくるのかなーとか。この作品だけでも楽しめるけど、今後、この作者が紡いでいくであろう”サーガ”も非常に魅力的だ。その全景を夢想しつつ、続きを待ち望みたい。

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2007.06.02

『リリアとトレイズⅥ 私の王子様(上)(下)』読了

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リリアとトレイズⅥ 私の王子様(上)>(下)』(時雨沢恵一/電撃文庫)読了。

時雨沢恵一の反逆ぶりが顕著に現れた一作であった。と言うかこれで完結編であるということを考慮すると(そんな事を匂わせるあとがきは、この作者のことだからネタで釣りの可能性が高いのであまりまともに受け取る気は起こらないにしても)驚愕に値する。

例えばいかにも親と子の、その世代交代の物語になるっぽい舞台設定をしておきながら全然そういう方向にいかないところとか。偉大すぎる親を乗り越えようとする親殺しの物語になるのかと思っていたのだが…親は親、子は子です、とばかりにそんな葛藤をあっさり放置してしまうアバウトと言うかドライと言うか、とにかくものすごい親子関係。特にトレイズ。実はトレイズってものすごい大物なんじゃないかと僕は思っているのだけど、と言うのは、トレイズの親と言うのは世界トップクラスの有名人であるわけなんだけど、一方トレイズは生涯を日陰者として生きてかなければならない人生を歩まなければならないわけで。それなのに、そのことに対してまったく屈託を持っていないという時点ですでにおかしい。おかしいと言うか、超絶的な大物か、並外れた馬鹿なのか。その判断をするにあたっては、3、4巻で、トレイズは大切なもののためならば、一切の躊躇いを持たずに人殺しが出来る人間であると言うことが描写された点を考慮する必要があるだろう。…トレイズ…コイツ、テラやべー。しかし、作中ではそういう扱いは全然されないと言う点がすごい。ヘタレヘタレと作中で連呼されていて、実際、リリアに関すること(だけ)を見ると優柔不断な点が多いからつい見過ごしがちだけど。実際に作中でトレイズが相手にしているのって、プロばっかなんだよな。…作者の作為をかんじるぜ。

他にも、ものすごく深刻な問題であるのに、ちっともそんなように見せていないところがあって。まートラヴァス少佐ことかつてのヴィルとその娘のリリアの間にまったく、全然、少しもドラマが発生しなかった件なんですが。つか、普通、死んだと思われていた父親が実は裏の世界で生きていた、なんていかにも冒険小説のお約束じゃないですか。期待するっしょ?ところがかつてのヴィルで今のトラヴァス少佐は、自分の私的な感情なんて容易くねじ伏せることが出来る鋼鉄の男なんでした。だから娘に自分の正体がばれるような失敗は絶対にしないし、そもそも、すでに自らを闇での暗闘の中で朽ち果てる覚悟をすでにしてしまっている。それに、名乗らない理由についても娘を巻き込まないため…と言う感傷だけではなく(まあまったく無いわけじゃないみたいだけど)(だから余計に性質が悪いわけですが)、自分が死んだとしても、その敵討ちをさせないためらしいと言うことが、今回のエピソードで感じ取れる。殺して殺される憎しみの連鎖。そんなものに意味はないと言い切る精神。何たる超絶ハードボイルド!だから親子の話には絶対にならないんです。鋼鉄の男だから。親子の情などと言うもので自らの大義は見失わないのです。

んで、僕がもっとも恐ろしいと思ったのは、最初に書いたトレイズの(本当は)恐ろしい部分やトラヴァス少佐の鉄血ぶりなど、深刻で残酷な部分をいっそ”ほのぼの”と描いていてしまっているところ。この作者、きっと”深刻な問題を深刻に描くことに興味が無い”んですな。一読では気持ちの良い、爽やかなおはなしを読んだような気がするのだけど、よくよくおはなしを思い出してみると、えらく残酷無残な描写しかないような。例えばギャグキャラクターとして素晴らしき輝きを放つ囚人四十二番とか。僕はコイツのやることなすこと言動が超面白くて好きなのだが、よく考えてみると(考えなくても)、コイツ、ナチュラルにサイコパスじゃね?作中で何人殺しているのかと。つーか作品全体でも何人死んでいるんだよ、と言う。いや、別に小説内における命の描写の軽さとかが言いたいわけじゃなくて。ただ、そんなシャレですまん内容を、なぜか”ほのぼの”とした描写になってしまう(あるいはしてしまう)時雨沢恵一と言う作家の特異性に驚嘆したと言うか。面白く、爽やかな中に、何食わぬ顔でものすごい毒が隠し味になっていて。”深刻で残酷な話をニコニコ笑いながら話している”ような底意地の悪さを感じるのだった。

まあ、キノの旅のことを考えれば、今更と言う感じでもあるのだけど。とにかく性格の悪い作家だぜ!

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