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2007.04.03

『ROOM NO.1301 しょーとすとーりーず・すりー』読了

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ROOM NO.1301 しょーとすとーりーず・すりー』(新井輝/富士見ミステリー文庫)読了。

このシリーズにしてはわりと普通。まあ読んでいるこっちが毒されたのかもしれないけど。4つの短編が収録されているけど、一つのテーマを転がしていつの間にやらおかしなところに落ちると言う小説と言うよりも落語みたいな印象があるのが面白かった。

「私と綾さんと不埒な男」
誤解とは先入観から生まれるのだと言う話。言葉って言うものは常に変質するものと言うことなのかもしれない。同一人物について話しているのに、綾と鈴璃と刻也の間にまったく理解が噛み合わないところが面白いところなのだろうが、個人的にはあばたもえくぼと言うように、”好き”や”嫌い”などと言うものは相対的なものに過ぎないと言う結論が興味深い。それじゃあ恋愛感情ってなんなのさ?

「俺と鍵原とお試しの合コンプレイ」
タイトル通り健一と鍵原が合コンをする話…かと思ったらそれは本題ではなくて、普段からのあまりに理不尽な鍵原の態度は、おそらく鍵原本人も気がついていない感情をもてあましていて、そのもてあました感情を健一にぶつけているためだったのだと言う種明かしの話だったのね。鍵原よ、お前は小学生か!

「私と皆と一人の夜」
くそーこれだから天才ってのは…。狭霧と言い流輝と言い、どちらもある種の天才であって、そのために未来が完璧に見通してしまっているが故の孤独(そしてこの天才どもはその孤独を孤独として理解していない。おそらくこれが孤高と言うものなのだろう)が描かれており、そんな天才の悩みごとなんて周囲の凡人は知ったこっちゃないのだった。凡人は忙しいんだ。暇な天才はどっかに行ってろ!とばかりに暇をもてあます狭霧が同じ天才の流輝と出会って、ほんの少しだけ無聊を慰めると言う話なのかもしれんね。けど天才は孤高であるがゆえに天才なのであって、この二人はそのまますれ違ってしまうんだろうなあ、と言うことも感じられて、新井輝はやっぱりちょっとすげーなーと思うのでした。

「私と今西先生の本気のお仕事」
これまた色々と示唆に富むような単に詐欺師にでも騙されたような良く分からん読後感。なんかけむに巻かれたような気もする…。担当編集の薫沢は仕事と趣味の区別がついていない典型的ななんちゃって社会人だったりするんだけど、その無自覚な発言を情け容赦なく叩き潰していく今西先生があまりに格好良く、その理論は聞いた瞬間はなるほどなあと思わず感心してしまうのだが、よくよく考えると怪しげなような気もする…。まあいいか。それと薫沢は早くそんな編集部はやめたほうが良いと思う。社会人以前の問題だぜ。それとも編集部ってそんなものなの?夢がなくなるなあ。

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