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2007.04.30

潜伏中ながら言わずにはいられない

『ヒロイック・エイジ』がやたらと面白い。冲方丁が繰り返し語っているところに「生きること=暴力」であり、ただ命を永らえようという人類のささやかな願いのためだけだけに、他のあらゆるすべての種族を征服し、打ち滅ぼさざるを得ない、と言うよりも打ち滅ぼすことを積極的に成し遂げようとする人間の根本的悪がはっきりと打ち出されている。それが故郷を奪われた復讐心から存在するものではあり、人類にとってまったくの考慮すべき余地が無いというわけではないが、その望みのために生み出された”12の契約”こそがその際たるものだ(だがここで忘れてはならないのは、これは人類に対する他者の存在がはっきりとあることか。人類の”12の契約”とは、まさしく見知らぬものに対する恐怖と反抗の表明に他ならない)。おそらく”ヘラクレスの12の難行”からとられたと思われる名称は、まさにエイジという英雄にたいする一方的な契約であり、エイジはその契約に殉じる贖罪の羊である。人類は(少なくともその指導者層は)エイジを利用し使役をそしてうち捨てることになるであろう未来を知りつつ、根本的悪をなしていくのである。冲方丁の作品として帰結するのであれば、おそらくはこの生きることの暴力性を律することそのものが決着点となるのであろう(その意味では銀の種族との戦闘と言うのは主体的な意味を持ちえないかもしれない)。エイジはまさしく神(≠黄金の種族?)につかわされた存在であり、人類を試す試練そのものでもあるのだ。

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