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2007.04.30

潜伏中ながら言わずにはいられない

『ヒロイック・エイジ』がやたらと面白い。冲方丁が繰り返し語っているところに「生きること=暴力」であり、ただ命を永らえようという人類のささやかな願いのためだけだけに、他のあらゆるすべての種族を征服し、打ち滅ぼさざるを得ない、と言うよりも打ち滅ぼすことを積極的に成し遂げようとする人間の根本的悪がはっきりと打ち出されている。それが故郷を奪われた復讐心から存在するものではあり、人類にとってまったくの考慮すべき余地が無いというわけではないが、その望みのために生み出された”12の契約”こそがその際たるものだ(だがここで忘れてはならないのは、これは人類に対する他者の存在がはっきりとあることか。人類の”12の契約”とは、まさしく見知らぬものに対する恐怖と反抗の表明に他ならない)。おそらく”ヘラクレスの12の難行”からとられたと思われる名称は、まさにエイジという英雄にたいする一方的な契約であり、エイジはその契約に殉じる贖罪の羊である。人類は(少なくともその指導者層は)エイジを利用し使役をそしてうち捨てることになるであろう未来を知りつつ、根本的悪をなしていくのである。冲方丁の作品として帰結するのであれば、おそらくはこの生きることの暴力性を律することそのものが決着点となるのであろう(その意味では銀の種族との戦闘と言うのは主体的な意味を持ちえないかもしれない)。エイジはまさしく神(≠黄金の種族?)につかわされた存在であり、人類を試す試練そのものでもあるのだ。

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2007.04.26

潜伏継続中

ひっきりなしに頭痛が止まらない。完全に不調。相変わらず手が回らない~。

1.『戦う司書と荒縄の姫君』 山形石雄 スーパーダッシュ文庫
2.『ブラス城年代記Ⅰ ブラス伯爵』 マイケル・ムアコック 創元推理文庫
3.『くじびきアンバランス(1)』 原作:木尾士目 漫画:小梅けいと 講談社

『戦う司書』シリーズは相変わらず先が読めん…。まさかこんな展開だとは…。『ブラス城年代記』…はおいておいて。『くじびきアンバランス』おもしれー。小梅けいとは良い仕事をしていおりますな。無論、木尾士目の手腕も忘れてはいけないけど。特に4籤目の展開の転がせ方は、過去の回想と現在の状況のすべてが一つに繋がる瞬間の美しさといい、芸術品といってもいい。美しすぎる…。

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2007.04.24

潜伏中…

色々と忙しくなりブログを更新するための余裕が時間的にも精神的にも無い状態が続いているのでしばらく潜伏をいたします。いや、決して『Fate/stay night[Realta Nua]』とか『ペルソナ3FES』をやっていて忙しいとかはではない。そんなには。たぶん。

1.『覚悟のススメ(2)』 山口貴由 秋田書店
2.『イエスタデイをうたって(5)』 冬目景 集英社
3.『ヨルムンガンド(2)』 高橋慶太郎 小学館
4.『孤独のグルメ』 原作:久住昌之 漫画:谷口ジロー 扶桑社

『覚悟のススメ』、はおいておいて。『イエスタデイをうたって』がゆっくりと物語が動き出して来ている気がして思わず前のめりになる。しかし、相当に煮詰まっている青春のはずなのに妙に爽やかなのはやはりハルの存在ゆえなのだろうか…。

『ヨルムンガンド』がいい。何度も言ってしまうが、生きるか死ぬかの瀬戸際の中で瞬間的啖呵を切れるココが格好良いし。台詞が、思想がとにかくシビアでクールだ。ちょっと台詞を抜粋。「殺し屋の弾丸なんてね・・・どれだけ祈っても当たる時はあたる。当たらない時は当たりたくても当たらないものよ。まして私は武器商人。弾丸[商品]にビビッてちゃ話にならない」、「銃撃戦なんてものは…屁のこき合い。音楽にはほど遠い恥ずべき行為!『世間の皆様お騒がせして申し訳ありません』と赤面しながらやるもんだろ」、「フラフラと「矛盾」した事を喋ってもイイのは、数多の職業の中で武器商人だけ」、「殺って殺られて殺り返して。でも俺が殺られた時は殺り返さなくていい」
ココとレームがとにかくスゴイ事を良く言うな。もっとも単に格好よさげと言うだけではない深さもあって侮れん。

どういうわけか『孤独のグルメ』が近所の本屋に入荷していたので買ってしまった。ちょっと面白すぎるんですが。例えば食い物屋を探してうろうろする主人公がとあるアーケードを通り過ぎようとするときに「ああ…情けない」「どこにも入れずに何をやっているんだ」「引き返すか…いやいや同じ顔がウロウロしていたらヘンに見られる…」とか独白していたりするところとか。お前はオレかっ!?(えー)

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2007.04.18

『鬼切り夜鳥子(2) 京都ミステリーツアー』読了

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鬼切り夜鳥子(2) 京都ミステリーツアー』(桝田省治/ファミ通文庫)読了。

本当にポロリでいっぱいだった!うーむ相変わらず表紙に違わぬサービス精神のオンパレードであります。夜鳥子が相変わらずエロエロしいは男連中も良く裸になるわで大変けっこうなことです。久遠と駒子のラブラブっぷりとか、読者の快楽原則に極めて忠実で、執筆された経緯をあとがきで読んだ時は、なるほどと納得した。執筆者と読者がそこまで近い場所にいると言うとケースは、プロだとあまり聞かない話だよなー。なかなか興味深いです。まあそれゆえの問題と言うのも感じるのだけど…。なんと言いますか、サービス精神が多すぎて、一冊でまとめるには明かに話を詰め込みすぎですがな。事件がいろいろ起こるのはいいんだけど、発生と解決のプロセスが明瞭過ぎて、そこにあまり主人公たち自身の葛藤があまり交わらないのは僕の趣味からすると物足りないかなあ、と。なんか遊園地で遊んでいるような事件との”遠さ”を感じてしまうんだよなー。いや、これは無いものねだりと言うもので、この作品ではそういう方向性を持っていないということは理解しているんだけども。うーん。

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たまにはいいか

最近、妹に貸してもらった三崎亜紀の『となり町戦争』を読んでいるんだけど…なんだこのムチャクチャわかり易い話は…。結局、人間が認識できる世界なんて朝の通勤ルートとかお役所の窓口とかでしかなくて、世界はどんどん狭くなっていると言うことを言いたいのは分かるが、これはあまりにもそのまんますぎるような気がする。しかも、戦争と言う非日常からやってきた使者が妙齢の女性であったりするんだがら…。それでいいのかよ。

1.『エンジェル伝説(1)~(4)』 八木教広 集英社
2.『結界師(16)』 田辺イエロウ 小学館
3、『ハヤテの如く!(11)』 畑健二郎 小学館
4.『春夏秋冬』 原作:影木栄貴 漫画:蔵王大志 一迅社

うーむ、『エンジェル伝説』はあまりの懐かしさに買ってしまった。やっぱおもしれえ。この誤解がさらに誤解を呼ぶと言う流れにはある種のスタンダードなものを感じるよなあ。

『結界師』はアニメは相変わらず見ていないんだけど、漫画はとりあえず面白い。なんだそりゃ。意味は無い。

『ハヤテの如く!』でいちばん笑ったのは久米田康二が14位に入っているってことだよな…。キャラかよ。

百合姫連載作品で買ったのってこの『春夏秋冬』で2冊目…。くっくっく…素面ではとても読めない漫画がまたここにひとつ爆誕だ!読みながら悶絶、悶絶、また悶絶!ふー…マジでガチで百合とはこのように奥深いものなのか…。恐ろしい領域だ…。うむ、面白い

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2007.04.17

『声で魅せてよベイビー』読了

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声で魅せてよベイビー』(木本雅彦/ファミ通文庫)読了。

ハッカーボーイミーツ声優ガールでこういう物語が現代では出来るんだなあと意表を突かれた気がする。オタクと言うものも市民権を得たのではないかと錯覚しそうになるというか。ハッカー少年が主人公なのに実はエブリデイマジックの派生であったりするところがとても良い。そこに恋愛ものとして決着するに至ってはナイスバランス!と賞賛するしかないなあ。恋愛ものとしての成否は実は良くわからないんだけど、手をつないだ二人の足元から世界は生まれる(とかなんとか。ごめん)と言うイメージがやたらと奥行きの深いっつーか、胸がむにょむにょするようなフレーズだと思った。

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世界が黄色く見える…

なんか視界が良くないなあ。眩暈とも違うんだけど、なんかちかちかする。持病の偏頭痛の兆候に似ているが…。

1.『夜刀の神つかい』 作:奥瀬サキ 画:志水アキ 幻冬社
2.『エア・ギア(17)』 大暮維人 講談社
3.『魔法先生ネギま!(18)』 赤松健 講談社

いやあ『夜刀の神つかい』がすごい。正直なところ度肝を抜かれた。だって突然超人バトルを繰り広げ始めた久米と峅杷がいきなり自分の性癖をぶちまけつつ過去語りをしながらテトリスをやっているという展開は一体…。よ、読めん…この物語の行く末が読めん…。

最近、自分の中で大暮維人が再評価中。一時期はあまりに行き当たりばったり過ぎる展開や、あと拭いがたいチンピラ臭とかについていけないところがあったのだけど、近年に至ってその一見緻密っぽい論理展開とハッタリズムでストーリーをねじ伏せる豪腕はもしかしたらすごいものなのではないかと言う考えが沸々とわいてきた。言い切ったもの勝ちとも言うが、とにかく読み手に”納得”をさせられるところはすごいと思うのだった。

『魔法先生ネギま!』はとにかく見事な着地点だった。面白いとかそういうもの以前に赤松健の人間力に圧倒させられる。作品を通じて作者の凄みを思い知らされる経験は本当に久しぶりだった。たぶん、『ネギま』を読んだことが無い人(そしてアニメやインターネットなどで断片的な知識を得ている人)にはこの感覚はわかってもらえないと思うけど…。とにかくすごいんですこれ。

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2007.04.16

『えむえむっ!』読了

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えむえむっ!』(松野秋鳴/MF文庫J)読了。

今更だけど松野秋鳴はおもしれえなあ。タイトル通りのM男子の受難の日々を描いているわけだけど、まあやっていることはコントレベル。主人公(を含む他のあらゆる登場人物)のありえない暴走がバカバカしくも愉快なんだけど、そのくせやっていることは人情味溢れる浪花節。…か、完璧だ…ギャグと泣かせと言う二大エンターテインメントをうまく使いこなしている…。こういう比較に意味があるのかどうかわかんないけど、この作者、作家としての方向性に空知英秋と相通ずるものがあるような気がする。M男子である主人公が最終的にヒーローとして活躍するあたりの展開はマジ格好良い。プロローグからこの展開は読めなかったぜ…。まあしかし、まともな人間が誰ひとりとして出てこないですねえ。色々な意味でぶっ壊れている人ばかりで、必然的にツッコミ役が主人公になるなんだけど、主人公がある意味いちばん壊れているからなあ。ボケとツッコミを両立している主人公はなかなか侮れない人物であると思います。なんだそりゃ。

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2007.04.15

なにもかも皆懐かしい…

実家の荷物を整理していたら『涼宮ハルヒの憂鬱』(原作、初版)が出てきたので読みふけってしまう(整理しろ)。記憶にあったよりキョンの独白が若いのはちょっと驚いた。杉田声のイメージとはずいぶん違う。また台詞でも細かく変っている感じ。ひょっとして杉田智和のアドリブ?

1.『護樹騎士団物語(5) 階梯樹のひみつ』 水月郁見 トクマノベルズ
2.『護樹騎士団物語(6) 幼年学校候補生』 水月郁見 トクマノベルズ
3.『学校怪談(5)』 高橋葉介 秋田書店

『護樹騎士団物語』があまりに面白くて続きを買ってしまった。わくわくどきどきのファンタジーロマンですな、これ。ツンデレもあるよ!(たぶん…)

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2007.04.14

『サイレント・ラヴァーズ 悪魔になった少年』読了

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サイレント・ラヴァーズ 悪魔になった少年』(吉村夜/富士見ファンタジア文庫)読了。

吉村夜の新シリーズはSFロボット戦記…か?前シリーズとはまたジャンルが変わっていて、つくづく器用な作家だと思うんだけど、『魔魚戦記』のころにあった風変わりなセンスとは大分隔たったところにきてしまった感じもする。今の分かりやすい面白さも良いんだけど、あの頃のちょっとヘンテコSFが懐かしい。まあ富士見ファンタジアでは求められてないのかもしれないけど。どうでもいいですね(脇道が多いよ)。この人は人間関係の配置を確立させるのに非常に時間をかけるタイプの人なんで、一巻は全部がそれに費やされている感じ。戦場で引き裂かれたヒバナとセツナという恋人たちを中心に、もう一組の恋人たちが別の形で(しかもセツナが関わる形で)引き裂かれてしまったり、ヒバナに好意を持つフブキという存在など、今後の確執と葛藤に満ちた人間関係は着々と整えられつつある。どうあがいても波乱にしかならない関係で、これから作者がどのように転がしていくのかとても楽しみでならない。こういう絡み合った人間関係を爽やかに描けるあたり安定感は抜群なんだよなーこの作家。あーふと思ったけど、この作者は”人間関係”の処理がとても堅実なんで、どんなジャンルで書いていても本質的にやっていることは”人間関係の感情のもつれ”以外のものではないので、応用が利きやすいことなんだろうなーとか。また脇道にそれたけどまあ良いや。続きを宜しくお願いしますよ。

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主人公の追い込み方がすごいんです

ふと思い立って水月郁見(夏目正隆の別名)の『護樹騎士団物語』シリーズを買ってみた。この作者の本を読むのも久しぶりなんだけど、主人公に対するプレッシャーのかけ方が半端ではないのは相変わらずだった。主人公の選ぶべき選択肢がものすごい勢いで奪われていくのか読者にとっても実感として感じられるのがすごい。降りかかる運命に必死で逃れようとする主人公に心身両面で身動きが取れなくなっていくんだもんなー。しかしファンタジーなのに導入が2chというのはひょっとしてギャグなのか?あと蹴り殺されそうなツンヒロインの描写はさすがだった。このツンデレめ!

買ったものは下記の通り。
1.『護樹騎士団物語(1) 螺旋の騎士よ起て!』 水月郁見 トクマノベルズ
2.『護樹騎士団物語(2)  アーマンディー・サッシェの熱風』 水月郁見 トクマノベルズ
3.『護樹騎士団物語(3) 騎士団への道』 水月郁見 トクマノベルズ
4.『護樹騎士団物語(4) 熱闘!入団競技会』 水月郁見 トクマノベルズ
5.『神曲奏界ポリフォニカ ミッシング・ホワイト』 高殿円 GA文庫

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2007.04.12

『八の弓、死鳥の矢 戦塵外史[二]』読了

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八の弓、死鳥の矢 戦塵外史[二]』(花田一三六/GA文庫)読了。

こりゃまた懐かしい作品のが復刻されたものだなー。花田一三六のデビュー作を含めた短編集に書き下ろしを加えてお得パック!かどうかは知らないが(えー)。ともあれ、この作者の遊びの無い文体は短編でこそ映えると思う。まあデビュー作だけあって作者が自己陶酔に入っているところがあるのは若さの賜物と言うことにしましょう(偉そう)。

「八の弓、死鳥の矢」
表題作にしてデビュー作。正直、花田一三六の作品の中でこれがいちばん面白いとさえ思う。淡々とした文体に、熱狂的とさえ言える情念が込められているのが良いと思う。最近の花田一三六に欠けているのはそういうところなんじゃないかなあ。

「ルクソール退却戦」
大陸シリーズにおける最強戦士であるダリウスの1エピソード。とりあえずひたすらに巨大な豪傑であるダリウスが大暴れすると言うだけの話ですな。なんか大物感溢れる描写のハッタリズムが素晴らしい。

「架橋」
個人的にはとても好き。傭兵を主人公にしたファンタジーハードボイルド小説としてグレイトですわ。くたびれた初老の傭兵の最後の戦を、”橋を架ける”と言う行為になぞらえて一つの時代の終焉までを描いているのですね。老兵は死なず、ただ去るのみだ。

「いちばん長い夜」
”伝令”が主人公となるある意味地味なこと極まりない話。ある伝令を携えて走るイスワーンが己の忠義の所在を明らかにする話でもあるんですが、やっぱりこれもハードボイルド。青臭いところも好きだなあ。

「ジェラルスタンの策士」
まあ”策”の部分が肩透かしではあるのだけど、おそらくそこは本題ではない。冷厳極まりない策士であるフーシェが、裏では一人のメイドに翻弄されるギャップ萌えを楽しめばいいんじゃねーの、と言うか(邪道読み)。人物の格好良さはさすがですな。

「策士の弟子」
書き下ろし部分。何年ぶりの大陸シリーズの新作だ?ある意味感無量なのだが…この短編集に入っていて全然違和感を感じないというのは良いことなのかどうか…。まあいいや。

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2007.04.10

『図書館危機』読了

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図書館危機』(有川浩/メディアワークス)読了。

図書館シリーズ第三弾。今回は連作短編集。図書館部隊と言うファンタジー部分とその組織の成り立ちにおける奇妙なリアルさが平行し、その上である種ベタベタな月9的メロドラマだったり軍事サスペンスが語られると言うギャップが興味深い作品なんだけど、ようするにライトノベルと一般小説の狭間に位置する中間小説なのである…いやそれは意味が違うか。まあそれはおいておいて。相変わらず勧善懲悪絶対正義なストーリーテリングは賛否両論ありそうだけど、そこは渾身のスルー力が求められるところです。そんなところは物語の最初からやっていることなので今更言ってもしょうがないし(しかしこの日本はいったいどういう国なんだろうな…。国の一機関を巡って内戦が繰り広げられているんですが…いかんいかん、スルーだスルー)。とりあえずは都や手塚と柴崎中心としたベタ甘な恋愛模様にゲラゲラ笑いつつ(最低)、メディア良化法を巡る静かなる言論統制の話はあまりそういうことに興味の無い読者を上手く引き寄せているなあと感心。そして最後の図書館の美術品を守るために泥沼の防衛線が繰る広げられる信念を巡る熱い戦い(スルー力)を楽しめばよいのではないでしょうか。なんでこういうこまかがkところがを気になるの買って言うと、やっぱりこれがライトノベルと一般小説との中間に位置する作品だから、両者の噛み合わない部分が目立つと言うことなんだろう。ライトノベルとして読めばなんにも問題は無いんだろうケド、微妙に現実と地続きだからなあ。これは僕の視点の問題かな。

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浦賀和宏はあいかわらずだな

視点人物が変ったぐらいでは浦賀和宏の切れ味はまったく落ちませんな。今まで八木視点では女神の如く描写されていたヒロインのグダグダした心理描写だけが延々と語られているんだもんなあ。うーんゾクゾクしますね(変態ですね)。

1.『冬の巨人』 古橋秀之 デュアル文庫
2.『GOSICs Ⅲ 秋の花の思い出』 桜庭一樹 富士見ミステリー文庫
3.『街角花だより』 こうの史代 双葉社
4.『ぼく、オタリーマン。』 よしたに 中経出版

『冬の巨人』が本当に出るとは…と素で驚いたのは秘密でもなんでもない誰もが思うふつーの気持ち。

こうの史代の作品にはある種の”強引さ”が不可欠なんだなあ。それはおそらくファンタジーと呼ばれるもののようなものであると思うのだが特に考察とかはありません。

『ぼく、オタリーマン。』は、その…なんか馴染むなあ。癒される、と言うのですかね…。

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2007.04.08

『アレクシオン・サーガ(1)』読了

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アレクシオン・サーガ(1)』(五代ゆう/HJ文庫)読了。

どうもGA文庫とHJ文庫を良く間違える自分に気がつきました。どうも内容の差異がつかめない…。

それはともかくとして、まさか五代ゆうの新作ファンタジーを再び読めるとは良い時代なったものですな。それも正統派一直線なヒロイックファンタジーで、これは一体いつの時代の作品なのかと目を疑ったほどである。無論それは誇張的表現であることは言うまでも無いのだが、そんな表現も使いたくなるというものだ。なんせ国を追われた流浪の王子が曰くありげな大剣を手に、自らの出生の所以を求めて旅に出るんだぜ!?およそ21世紀に書かれている作品とは思えねえぜ!しかし、主人公のお供(いわゆる英雄の介添人)が人外ロリ美少女であるあたりにそこはかとなく現代性を感じなくも無い(嫌な時代性だなー)。五代ゆうもすっかり萌えキャラを作るのが上手くなっちゃって…いや、まあ読者としては嬉しいのだが。あとはタイトルの通り、アレクシオン王子が人の世ならぬ魔境での冒険譚を心行くまで楽しめばよいんじゃないかと思います。五代ゆうは序盤がなかなかエンジンがかからないタイプなので、2巻、3巻と続けばどんどん特有の幻想性を高まっていく事を期待したいところですね。

(しかし、いのまたむつみのイラストって久しぶりに見たなあ)

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リアルで引越し(完了編)

ひっそりと引越し完了。リアルでの話です。1月にも引越しの話をしていたけれども、そっちは実家の引越しで、今回は個人での引越しなのであります。めんどくさい事をしていると思うでしょうけど、僕もめんどくさい。まあスケジュールの都合で、一度実家で引越しをしなければならなくなったのでした。だれだよこんなスケジュールを組んだのは(オレだ)。

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2007.04.07

異常を異常とは思わない受容の精神こそがギャグと言うものには必要なのだな

と言うことを『大久保町の決闘』を読んでいて思った。ものすごい不条理感が満載なんだけどそこはあえてスルー、をすることによってさらに不条理度が増していく感じ。適当ですが。

1.『怪物王女(4)』 光永康則 講談社
2.『世界でいちばん醜い子供』 浦賀和宏 講談社ノベルス
3.『リリアとトレイズⅥ 私の王子様(下)』 時雨沢恵一 電撃文庫
4.『バッカーノ!1934完結編』 成田良悟 電撃文庫
5.『トリックスターズC PART1』 久住四季 電撃文庫

今頃になって気がついた。『怪物王女』って『怪物くん』がモチーフになっているんだな(本当に今頃だな)。

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2007.04.06

『麗しのシャーロットに捧ぐ ヴァーテックテイルズ』読了

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麗しのシャーロットに捧ぐ ヴァーテックテイルズ』(尾関修一/富士見ミステリー文庫)読了。

うおおおお!?ものすごいびっくりした。何にびっくりしたって、…これ、ミステリじゃん(それかよ)。それも古典系、カーとか、あの辺のゴシックでホラーな雰囲気を強く纏っている作品ってところにも驚きであります。『GOSIC』もその系統ではあるけれども、あっちはジュブナイルの要素が強く出ているのに対し、こっちは完璧に古典系ですな。もうイラストがなかったらそのまま普通の文庫で売れます。これのどこがライトノベルやねんと言うツッコミはともかく、二部構成に仕掛けられたトリックには素でびっくりしたし(まあこの屋敷は一体何回建て直されているんだと言う気もするが、それすらも伏線であったわけで)とにかく感服。”悪意”に満ちたある存在によって人々が破滅していく姿がおぞましくも美しい。それはまさに悲劇と言う名の喜劇そのもの。読み手である僕は踊り続ける人形劇を見届ける観客なのだ。

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2007.04.05

『イヴは夜明けに微笑んで-黄昏色の詠使い』読了

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イヴは夜明けに微笑んで-黄昏色の詠使い』(細音啓/富士見ファンタジア文庫)読了。

これはなかなか良く出来ているんじゃないかなあ。一言で言って隙がない。とても新人の作品とは思えぬ端整な端整な作品。文体にも作者独自のリズムが僕の感覚に非常に良く噛み合って心地よい。ファンタジーとしては、やや”理”に囚われすぎている印象も無きにしも非ずだけど(夜色名詠の触媒が理科知識で解決するんだもんなあ)、それも含めて作者の制御が隅々まで行き届いている感じがある。少年少女がお互いに寄り添う仄かな交流と、壁を乗り越えようというビルドゥンクスを両立させているところなんか非常にクール。この作者の頭のよさが良く分かりますね。まあネイトとカインツで主人公視点が分裂しているところの判断が難しいんだけど。これを視点が定まっていないと見るか、それとも”成長”と言うもののさまざまな形を重ね合わせていると見るべきか。うーん。まあなんにせよ面白いなあ。

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虚淵玄はすっかり小説家になっちゃってますね

『Fato/ZERO(2)』がゲロ面白いと言うのは周知の事実ですが、ちょっと文章による演出が弱いと言う印象があった虚淵玄に対する違和感が読んでいくにつれてどんどんなくなっていくのには驚いた。ノッてんなー。

1.『MARUTO(37)』 岸本斉史 集英社
2.『アイシールド21(24)』 原作:稲垣理一郎 漫画:村田雄介 集英社
3.『ラルΩグラド(1)』 原作:高野常雄 漫画:小畑健 集英社
4.『砂の城の殺人』 谷原秋桜子 創元推理文庫

『アイシールド』はマジ熱いヒーローたちの物語だなあ。少年漫画として正しいことこの上ないなー。

『ラルΩグラド』は小畑健の作画を無駄使いしているなーと言う印象。良いですなあ、この贅沢っぷり。

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2007.04.04

『キララ、探偵す。』読了

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キララ、探偵す。』(竹本健治/文藝春秋)読了。

竹本健治で、しかも文藝春秋刊行の本で、このエロ過ぎる表紙は一体なんなんでしょうか。キワモノの匂いがぷんぷんしてくるんですが、なんとこれが意外とと言っては失礼でありますが、意外と(また言った)面白いんですが。時代背景がとても現代には思えないような奇妙にレトロな雰囲気と、萌えをあまりにも戯画的になぞりすぎていてと言うよりはエロになっているところが一体となって変な味わいになっているなーと。まあライトノベルに慣れすぎていると違いすぎるセンスに眩暈がしてきますが。少なくともコトキケイと団鬼六ぐらいに違う(どういう対比だ)。しかし竹本健治も50を過ぎてこんな作品を書いちゃうんだからすごいよな。気が若いとかそんなレベルじゃねえ空恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…。

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2007.04.03

『ROOM NO.1301 しょーとすとーりーず・すりー』読了

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ROOM NO.1301 しょーとすとーりーず・すりー』(新井輝/富士見ミステリー文庫)読了。

このシリーズにしてはわりと普通。まあ読んでいるこっちが毒されたのかもしれないけど。4つの短編が収録されているけど、一つのテーマを転がしていつの間にやらおかしなところに落ちると言う小説と言うよりも落語みたいな印象があるのが面白かった。

「私と綾さんと不埒な男」
誤解とは先入観から生まれるのだと言う話。言葉って言うものは常に変質するものと言うことなのかもしれない。同一人物について話しているのに、綾と鈴璃と刻也の間にまったく理解が噛み合わないところが面白いところなのだろうが、個人的にはあばたもえくぼと言うように、”好き”や”嫌い”などと言うものは相対的なものに過ぎないと言う結論が興味深い。それじゃあ恋愛感情ってなんなのさ?

「俺と鍵原とお試しの合コンプレイ」
タイトル通り健一と鍵原が合コンをする話…かと思ったらそれは本題ではなくて、普段からのあまりに理不尽な鍵原の態度は、おそらく鍵原本人も気がついていない感情をもてあましていて、そのもてあました感情を健一にぶつけているためだったのだと言う種明かしの話だったのね。鍵原よ、お前は小学生か!

「私と皆と一人の夜」
くそーこれだから天才ってのは…。狭霧と言い流輝と言い、どちらもある種の天才であって、そのために未来が完璧に見通してしまっているが故の孤独(そしてこの天才どもはその孤独を孤独として理解していない。おそらくこれが孤高と言うものなのだろう)が描かれており、そんな天才の悩みごとなんて周囲の凡人は知ったこっちゃないのだった。凡人は忙しいんだ。暇な天才はどっかに行ってろ!とばかりに暇をもてあます狭霧が同じ天才の流輝と出会って、ほんの少しだけ無聊を慰めると言う話なのかもしれんね。けど天才は孤高であるがゆえに天才なのであって、この二人はそのまますれ違ってしまうんだろうなあ、と言うことも感じられて、新井輝はやっぱりちょっとすげーなーと思うのでした。

「私と今西先生の本気のお仕事」
これまた色々と示唆に富むような単に詐欺師にでも騙されたような良く分からん読後感。なんかけむに巻かれたような気もする…。担当編集の薫沢は仕事と趣味の区別がついていない典型的ななんちゃって社会人だったりするんだけど、その無自覚な発言を情け容赦なく叩き潰していく今西先生があまりに格好良く、その理論は聞いた瞬間はなるほどなあと思わず感心してしまうのだが、よくよく考えると怪しげなような気もする…。まあいいか。それと薫沢は早くそんな編集部はやめたほうが良いと思う。社会人以前の問題だぜ。それとも編集部ってそんなものなの?夢がなくなるなあ。

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2007.04.01

『狼と香辛料Ⅳ』読了

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狼と香辛料Ⅳ』(支倉凍砂/電撃文庫)読了。

ロレンスとホロが旅を続けていく中、成り行きでとある村の問題に関わってしまい、その問題を解決するために奔走すると言うテンプレートではあるのだけど、その問題に取り組む中で二人の関係の揺らぎとその裏腹の強さが垣間見えるのがとても良かった。まあここまで二人の関係が固まってしまうと、ただ会話をしているだけでも面白いですね。今回は、今までホロに鍛えられてきた賜物か、ロレンスが全般的に格好良い。危機的状況に陥っても、あわてず騒がずしたたかに行動していてすごく頼もしい。これはホロに対する絶対の信頼(単純に恋愛感情と名付けられるものではない強いつながり。こういうのもよしながふみが言うところの”やおい”にあたるのかね?)が背景にあってのことなんだろうな(それはもちろんホロの側からも同じなわけで)。なんかいいものを読んだ気がする爽やかな読後感はそういうところから出てきているんだろう。

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