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2007.03.09

『曙光の誓い』読了

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曙光の誓い』(花田一三六/C★NOVELS)読了。

花田一三六の文体と言うのは、非常に簡潔でありながらも荒削りな岩を思わせる太さを感じさせる、言わば美文であると個人的には思うのだけど、この作品にはあまり上手く機能しているような気がしない。あまりにも簡潔であるために、場面場面のつながりがスムーズではなくなっているようで、非常にゴツゴツとした印象を受けてしまった。この作者はもともと長い話を書こうとするとあまりにも簡潔な文体のせいで、本来なら長編になるはずのストーリーでもあっという間に終わってしまい、長編として成り立たせるために枝葉末節を盛り込んで返って冗長にしてしまっており、物語の流れを阻害してしまうことがあると言う悪癖があるのだが、この作品はまさにその様相を呈している。これ以上付け加えるべきものが何も無いシンプルな美しさを生み出すことが出来るのに、そこに蛇足を加えてしまったり、あるいはもっと削れるはずなのに、わざと曖昧なままに残してしまっているように思えるのだ。端的に言えば、緊張感が足りないとでも言えようか。少年少女の冒険譚としては水準以上に面白いのだけども、傑作になりそうでなれない感じが勿体無いとつくづく思えるのだった。

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コメント

はじめまして。この本には私も似たような感想を抱きました。大陸シリーズのような読みやすさがあまりないというか……。ところで、名前が間違っているかと。

投稿: 河童 | 2007.03.10 01:48

うわ、恥ずかし!まったく気がついていませんでした。
ご指摘ありがとうございます。修正いたしました。

それはともかく、河童さんはじめまして。どうもこの作者は長編になると無駄な贅肉が多すぎるような気がしてしまうのです。

投稿: 吉兆 | 2007.03.10 07:04

ああ、修正内容を残しておくのを忘れていました。

「花田一二三→花田一三六」です。

投稿: 吉兆 | 2007.03.12 23:26

機会があって再読したところなかなか面白かったので、自分の感想を読み返してみたのだけど、ずいぶんひどいことを書いているな……。こいつ、何にもわかってねえバカだ。

緊張感が足りないとか分かったようなことを書いているのが最たるもので、どうしてそう思ったのかちゃんと書けよって話だ。そこで思考を止めんじゃねえ。

昔の自分がそう思った理由は、たぶん物語に起伏が感じられなくて、淡々と読んでしまったということなのだけど、それは起伏のつけ方の問題で、でっかい劇的な事件を起こして起伏をつけることもあるけれども、静かにゆっくりと感情が変化していくという起伏、あるいは緩急のつけ方というのもあって、この作品はそういうタイプの作品なのだ。

なので見た目は何も動いていないように見えるけど、実際にはいろいろなものが動いているわけで、この感想を書いた自分はそこのところが理解出来ていない。分かっていないのに分かったようなことを書くと恥をかくという典型だね。

投稿: 吉兆 | 2012.02.05 12:55

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