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2007.03.25

『扉の外』読了

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扉の外』(土橋真二郎/電撃文庫)読了。

これはとても好きなタイプの作品。作者がグルグルとした思考をそのままトレースした感じがとても良いと思う。この作品には、実は物語的に大きなねじれがあって、当初はよくある閉鎖空間におけるデスゲーム(っぽいやつ)として始まったように見えるので、否応なしにその駆け引きと極限状態のサスペンスが期待されてしまう傾向があると思うのだけど、実際にこの作品においてそれは主題ではない。おそらくはこれは撒き餌みたいなもので、独自のルールを生み出しすことで、限定空間である事を強調する意味合いでしかない。だから駆け引きにスリルが無いとか言うのは読み方の問題でしかないと思うのだ。まあそこがねじれであるわけですが。それはともかく、そもそもこの作品のタイトルがテーマのすべてを言い表していると言っても過言ではないと思うのだが、つまり、現在、自分のいる世界、環境にはもう一つそれを覆い隠すように別の世界が広がっており、そして閉ざされた世界から脱出し、扉の外に出たとしても、そこにはさらに別の世界が広がっているのだ。”扉の外”は”外”ではなく、また”扉の内”でしかない。繰り返される永遠のループである。だからラストシーンはあれ以外に無いように個人的には思う。扉の内であり扉の外であるその場所にいて、ただ正しい事は手をつないだ先あるなんて、ものすごくロマンチックな話じゃないか。

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コメント

どこを見てもあのラストには批判が多いようですね。てっきり僕と同じ考えの人はいないかと思いましたがそうでもないようです。僕もあのラスト以外ないと思います。
僕もほとんどあなたと同じことを感じましたよ。
ラストですがこの後どうするんだ的終わりかたなのになぜだかすっきりしましたね。
続きがあるならあるでいいしあれで完結ならそれはそれでとてもいいと思います。
ああいう感じは一度自分が孤立しないとわからないのかもしれませんね。ぼくはこの本読んだ時(今もだけど)友達が一人もいない高校に進学した結果孤立しててそのせいか主人公にすごく感情移入できました。他のキャラたちにも自然に感情移入できましたが。
集団の中にいる時に見る集団の形と外から見た形は全然違いますからね。今はそれが痛いほど分かる・・・

投稿: 流竜 | 2007.04.07 16:24

土台がきちんとした結論を出せるような題材ではないので、あの終わり方はむしろ作者の誠実さの賜物でしょうね。

主人公の行動の是非はともかくとしても、そこに至る感情は非常にリアルで、この極限状況と言うのはその感情を描くための背景に過ぎないのではないかと思う次第です。

投稿: 吉兆 | 2007.04.09 23:59

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