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2007.02.18

『戦う司書と追想の魔女』読了

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戦う司書と追想の魔女』(山形石雄/スーパーダッシュ文庫)読了。

ただ一つの希望だけを胸に、世界最強の武装司書、ハミュッツ・メセタの追走を逃れ走るオリビアの戦いは、彼女独りのものではない。この世の正義を純粋に信じ、正義に殉じたヴォルケンはもちろん、オリビアを助けるために自ら消えていったレナス、名も無い肉の”真人”など、彼女は多くの人々に助けられている。さらに言えば、ヴォルケンを育て導いたフォトナの苦悩、レナス(オリビア)を助けるために死を選んだモッカニア、そしてモッカニアを動かしたウィンケニーに至るまで、さまざまな人々が己の望みのままにかなわぬ望みを抱き戦い続けた一つの潮流が、オリビアと言う個人にたどり着いたということも出来るかもしれない。志半ばで朽ち果てていった人々の怒りと悲しみと希望は、決して彼らの死によってすべてが消えてなくなるのではなく確かに受け継がれるものがあるのだ、と言うことを描いているようで、強く心が揺さぶられてしまった。受け継がれるものを背負ったオリビアは、それらすべてを背負って生きていくことになるのだろうし、彼ら、そして彼女らの生に意味があったのかどうかは、オリビアのこれからの選択にかかっている。挫折し敗北したものたちの希望が、さらに激化していく武装司書と神溺教団の闘争にどのような波紋を投げかけていくのか、非常に興味深いところである。

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