『再始の女王 抗いし者たちの系譜』読了
『再始の女王 抗いし者たちの系譜』(三浦良/富士見ファンタジア文庫)読了。
お、女って怖え。そういう話ですよね?(たぶん違う)
策謀の女皇帝サラと初代魔王エルのお互いの守るべきものと決して譲れぬ信念をかけたバトルが凄まじい。単に派手なバトルがあるというわけではなくて(むしろ戦いの規模そのものは小さい)、どちらかといえば自分の信念を貫くためのなりふり構わなさが徹底している感じ。お互いの精神をへし折るための策略、策謀、駆け引きが、読者である僕の想定しているものよりも一歩深いのは読者として満足感が高かった。決して譲れないものを持った二人の戦いの落としどころも見事で(たぶん、この作品で一番感心した部分なんだけど)、相手に敗北を認めさせる(=戦意をへし折る)ために必要なものは、”事実”と”誠意”であるなんて、まったく骨の髄まで策略が染み付いていますね。サラのいわゆる”人間力”の見せ方が上手いんだよな。まあその分、物語の細部が軽い部分に不満はあるんだけど、その辺は無いものねだりと言うものかも(軍団を指揮しているはずなのに、あまり”血”と”鉄”の匂いがしないなーとか)。一区切りと言うことですが、まだ続編はありそうな気もするなあ。
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