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2007.02.11

『僕たちは歩かない』読了

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僕たちは歩かない』(古川日出男/角川書店)読了。これは東京シリーズの一編なのか。

その町の一日は2時間多い。26時間の東京で彼らは同じような境遇の”仲間”と出会うと言う話。同じ夢を見る者たちが誰にも知られぬ”あちら側”の秘密基地で切磋琢磨し夢を語る。一つの幸せな共同体の姿を熱情を持って奇妙に浮きだって語られていく。しかしその楽園にもまた”死”と言う現実が呼び込まれ楽園に影が落ち始める。堕ちたる楽園を取り戻すために若者たちは御伽噺の世界に足を踏み入れるのだ。この作品は現実に対する幻想と、この世ならぬ何かへの強烈な志向を秘めた現代の御伽噺であり、同時にこの世とあの世を行き来する”根の国”の物語でもあるのだ。イザナギの黄泉行をモチーフにしているのかと思わせる”あの世”へ向かう若者たち。御伽噺的な物語の中で唯一違和感があるとすれば彼らの疾走する魂だ。そこには黄泉に向かうと言う悲壮はなく、ただ己のかけがえの無い仲間と楽園を取り戻そうと言う圧倒的な肯定がある。熱狂と疾走に満ちた意思。彼らは(僕たちは)、今は決して地を歩かず、振り返らずに駆けて行くのだ。

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