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2006.12.02

『化物語(上)』読了

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化物語(上)』(西尾維新/講談社)読了。

西尾維新にしては極めてストレートな恋愛小説。妖怪小説とは間違っても呼ばないぞ。もしかしたら西尾維新なりの京極夏彦へのリスペクトなりなんなりを現しているのかもしれないが、およそ妖怪への愛が感じられません。ここで言う妖怪というのは、現代学園異能の”異能”と解釈するべきだろうな。

個人的に意外に思ったのは、主人公がごく平凡な意味でヒロイックな行動原理をもったお節介焼きで、困った人を見捨てられないひねくれた熱血野郎であるところが実に僕好みな主人公であるなあ。いろいろなところに首を突っ込んで、自分のことより他人を優先するヒーローを西尾維新が描くとは…。やっぱり戯言シリーズを完結させた影響は大きかったのか。

キャラクター、特に女の子については相変わらずの西尾維新調で、過剰すぎるキャラ付けがされていて、かなり奇矯というか変人と言うか通常の思考回路では想像もつかない造型なんだけど、どういうわけかそれがやたらと魅力的というか萌えるのは何故なのだろう。そこが西尾維新の恐ろしいところだと思う。戦場ヶ原ひたぎなんぞはいわゆる素直クール系のキャラではあるのだが、その一面で恐ろしく男にとって都合の良いキャラであり、さらに言えば本人自身がそれを自覚したメタ的な部分もあり、極めてキャラ作りににおける西尾維新の含羞があって、(本人が)ツンデレ作家だなあ思ったりもした。・・・何の話だっけ?

極論を言えば、事件なんぞはつけたしに過ぎない。ひねくれた熱血野郎である主人公が、奇々怪々なヒロインたちと出会い、終わりなきボケとツッコミを繰り返す漫才小説であるというところにこの作品の真価があるのだ。この見せ方が恐るべきところで、作者はお話ごとに新しいキャラ付けをされたヒロインを生み出し、毎回異なった掛け合い(=漫才)を行うことが、そのままヒロインのキャラを立てることに繋がっている。恐ろしく高度な事をやっているなあ…。これはやろうと思っても誰でも出来ることではない…。

西尾維新の天才が遺憾なく発揮された作品といっても良いかもしれない。キャラクター小説としては空前絶後の傑作と言って良いとさえ思った。

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