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2006.11.05

『彩雲国物語 緑風は刃のごとく』読了

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彩雲国物語 緑風は刃のごとく』(雪乃紗衣/角川ビーンズ文庫)読了。

これを読んだ瞬間の感想。

「…今までの物語はすべて前振りだったのか…」

いやー、すげえな。本当に脱帽。何しろ今まで積み上げてきた主人公の行いのすべてを全否定しちゃっているのだもの。

理想と言うものは確かに尊い。だが、現実の壁は常に高く、理想は必ずしも実現をするとは限らない。実現をしたとしても世界がよりよくなるとは限らないものである。本来は。だが、この作品においては、その部分については、理想に燃える主人公の周囲に、超絶的な政治能力と権力を兼ね備えた超人を配し、主人公に肩入れさせることによって、ファンタジーとしてではあるが、理想実現の物語として成立していた。しかし、この巻に至り、ついに作者は主人公を守り、包んでいていた温室を剥ぎ取ることにしたようだ。周囲に味方もなく、一人理想の実現のために全力で試練に立ち向かう主人公には、彼女の行いから生じる手ひどいしっぺ返しが降りかかる。全力でがんばっても上手くいくとは限らない。誰かのために行動したところで、それが本当に誰かのためになるとは限らない。理想の実現のためには、その理想を踏みにじることさえしなければならない。そんな”現実”が彼女の前には立ちふさがる。今まで物語上では、超人的官僚たちの理不尽な能力によってオミットされてきた部分に焦点があたることになるようだ。新しい形の試練を前に、主人公はどのような答えを出していくのか、非常に楽しみな展開になってきたと思う。

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