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2006.11.25

『円環少女(サークリットガール)(4) よるべなき鉄槌』読了

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円環少女(サークリットガール)(4) よるべなき鉄槌』(長谷敏司/角川スニーカー文庫)読了。

・感想が書きにくい…。

・この作家の文体は読みにくいとよく言われるが、要するに抽象的で迂遠な表現を使うので、文章が表すイメージを自分の中に汲み上げる努力を読者に強いると言うことである。おかげで時折文章を読み返したりするので、読むスピードが遅くなること遅くなること。読み終えるのに3日ぐらいかかってしまった。いったいどこが”ライト”ノベルなんだろうか。

・しかし、この人の文章にはあまり自己陶酔的なところは感じない。筆致そのものは極めて冷静だ。複雑なガラス細工を見ているような精巧さ、文体の隅々まで行き届いた職人の技を感じる文体だと思う。パピヨンと評されることもあるけど、僕にはアーティスティックなものよりももっと地に足の着いたものを感じるな。

・仁の妹の話。いわゆる難病物のフォーマットを完璧に使いこなしていると思った。仁が魔炎に燃え上がる妹を後ろに乗せて自転車で夜闇を走るシーンの美しさには正直震えたよ。あいかわらずリリカルなイメージを作らせたら上手い。

・それにしても真性のロリコン小説だなこれは…。誇り高く嵐に立ち向かう少女の小さな肩を見つめる仁の、保護欲と信頼、そして逆に守られている感覚などのあまりにも地に足の着いた描写が…うん、まあ、そのヤバイね。

・堕ちたる聖女エレオノール。一巻での戦いの後、公館の捕虜となったエレオノールがその精神と肉体を苛まれる。そしてもたらされた一片の希望すらも彼女を追い詰める罠でしかない。聖なる姿も砂塵に塗れ、裏切り者の刻印を押され、この世の中でたった一人となってしまった彼女が、極限の状態でついに得た福音。堕ちていたとしても彼女の信仰は死なず。

・自分で自分の信仰を見つけ出しちゃったよ…。まあ彼女の現実を巡る厳しさは何一つ変わってはいないわけだけど。

・どうなるんだろうなあ。

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