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2006.11.30

『串刺しヘルパーさされさん(2) 呪われレボリューション』読了

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串刺しヘルパーさされさん(2) 呪われレボリューション』(木村航/HJ文庫)読了。

僕はこの作者の”呪い”と”祝福”の描き方がとても良いと思う。

”呪い”とは紛れも無く背負わされた人間にとっては不幸の源であり、生涯に渡って背負わされる業なのだが、それを単純に乗り越えるべき試練、あるいは意味の無い不条理とは、この作者は描かない。それは呪われた人間が人生と対峙していくにあたって避けることの出来ない、彼、あるいは彼女らがあるがままに生きようとしたときに立ち上がってくる問題そのものなのである。作中でも呪いを無理矢理払うことにさされは否定的なスタンスをとっていたことからもわかるように、呪いとは消しさるものではなく受け入れることが必要なのだ。呪いによって浮かび上がる自分自身の弱さなど醜い負の側面を暴き立てられながら、それを受け入れることで、そのとき呪いは不幸ではなく、”黄金”となるべきものと為すことが出来るのだ。もちろん自らのエゴと向き合うことはひどく苦しい。痛ましく、物悲しい。それは誰にも肩代わりすることが出来ないもの。

だけど。そんなどうにもならなく、苦しくてたまらないとき。誰よりも呪いに苦しむ彼女がやってくる。自らがもがき苦しんでいるからこそ、誰よりもエゴと向き合う苦しみを知っているからこそ、彼女は他者の苦しみに”共感”出来る。一緒になってエゴとの苦しみに取り組み、乗り越える手助けをしてくれる。それこそ無理矢理にでも。理不尽にはそれ以上の理不尽で。

誰よりも苦しんだ人こそが、他人の苦しみを手助けできる。それが「串刺しヘルパー」なんでしょうな。あー、これが愛ってやつ?
 
 
なーんちゃってな。

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