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2006.10.22

『黄金の旅路』読了

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黄金の旅路』(吉村夜/富士見ファンタジア文庫)読了。

いやー凄いなこれは。なにしろ前巻でヒーローが死んでしまって、一体最終決戦はどうなってしまうのかと思ったら、本当に完全無欠に死んでいました!そしてヒーローの遺志を継いだ人々が戦うと言う話になるんでした。いやマジでびっくり。容赦ねえなあ、作者。

どこからどう見ても20年ぐらい前の伝奇小説を現代にリファインした奇跡的な作品だよなあ。キャラクターの設定にややライトノベル的な部分が入っていることをのぞけば、どこの平井和正だよこれは!って感じだもんなあ。奈須きのこを初めとする新伝綺の系譜からは一線を隔した古き良き伝奇を現代によみがえらせた吉村夜の功績はもっと高く評価されていいと思う。と言うか懐かしき伝奇小説を現代に継承する末裔の一人だよ!だれか保護しろ保護!

ただあまりに伝統的過ぎて現代に受け入れられるのか心配になってしまうこともまた事実。主人公たちが属する稀人の組織っての言うのは、少数民族の常としてたぶんに排他的であり、また全体に奉仕するために個人を犠牲にする全体主義的な方向性を強く持ち、今は指導者が高潔な人物たちが揃っているので健全になっているが、下手をすると独裁になりかねない部分がある。また主人公たちも、個人としての葛藤はあれども、やはり全体のために生きることに疑いを持っていない。それは悪いことではないし、むしろ自分の所属が明確であり、自分の属する論拠がはっきりしているが故のゆるぎなさ、誇り高さには過剰なほどに憧れを感じるのだけども。自分が世界に属する根拠、すなわち社会と言うものを描いているという部分が、世界が際限なく縮小していくことで、自分の属する部分が個人にしか還元されない新伝綺とははっきり異なっていると思う。

どちらが良いというものではないけれども、高校生を主人公としながらも、積極的に社会とつながりを持った物語を描いたこの作品の特異性は確かなものであると、僕は評価をしたい。

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