« 『図書館内乱』読了 | トップページ | とりあえず復活しました »

2006.10.14

『ぼくのメジャースプーン』読了

406182478301
ぼくのメジャースプーン』(辻村深月/講談社ノベルス)読了。

実に久しぶりにメフィスト賞受賞作(追記:正確には受賞作家)を読んだ。あちこちで褒められていたので、ああきっと面白いんだろうなと思って読んだら本当に面白かった!

”罪”に対する”罰”をめぐる問題を扱ったミステリという点にまず感心した。犯された犯罪に対して、いかなる罰を下すべきなのか?そもそも人は人を裁くことが許されるのか?と言う決して正しい答えを出すことが出来ない問題に対して、事件に巻き込まれ深い傷を負ってしまった少女のために、少年はひたすら考える話と言うのは、あんまり見かけないよなあ。よくこんなアイディアを実現出来たという事実をとにかく褒めたい。

この作品は、主人公の少年と、『先生』の間でひたすら繰り返される罪と罰にまつわる議論で埋め尽くされているのだけど、時折挟まれるエピソードで少女と少年と『先生』の間の交流の描写がまた良いんだ。被害者意識ばかりに流されること無く論理的でありながら、そこには暖かい感情と気遣いに満ちているので、少年の”決断”至るまでの流れがスムーズで、また最後の”決断”の衝撃につながっている。理知的でありながら情緒的な側面を大事にしているところが好感度高し。いいなあ、これ。

(しかし、最後の決断は、罪と罰をめぐる問題を延々と繰り返してきたことに対して反則のような気もする…。今までの議論を全部打っちゃりか!みたいな。だからこその意外性ではあるけど)。

|

« 『図書館内乱』読了 | トップページ | とりあえず復活しました »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/29313/12165417

この記事へのトラックバック一覧です: 『ぼくのメジャースプーン』読了:

« 『図書館内乱』読了 | トップページ | とりあえず復活しました »