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2006.09.17

『ボトルネック』読了

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ボトルネック』(米澤穂信/新潮社)読了。

世界は不条理に満ちている。この世には大切なものなど何も無い。人間はくだらない。
そんな世を拗ねた発言をするあなたよ、ならば君はこの世で何か意義あることを行ったのか?

…なんの嫌がらせだこれは。

主人公は、ある時、本来の自分の世界とは異なる平行世界に迷い込む。そこで出会った『姉』とともに自分の世界では事故死した恋人の真相を探る、と言うのがあらすじではあるがそれは本題ではない。

自分の世界とそっくりな、しかし、ほんの少しだけ異なる世界を観る。そこは無味乾燥で冷たく理不尽な自分の世界とは全く異なる。それは何故だ?何故もこんなに世界は美しく、そこに自分はいないのか。その理由は何なのか?

自分が何者でもないと言う恐怖。世界を侮蔑していた自分にすべてが跳ね返ってくる行為。すべてはただ一つの”ボトルネック”の存在がある。ごく当たり前の日常を、当たり前に生きてこなかったと言うことを思い知らされるだけの物語。

絶望的な結論。そしてその結論はこの物語の最後まで覆ることは無い。起きてしまった過去は、行ってしまった選択は、決して取り戻すことが出来ないのだ。

それは終わってしまったことなのだから。

だが、最後の最後に、ギリギリの状況で提示される最後の希望。それは未来と呼ばれるもの。
過去を乗り越えるには未来を持って行うしかないということ。

単純で、ギリギリの、そんな希望。

ラスト数行のやりとりに苦笑する。

まあ、なんとかなるか。なるといいな。

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