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2006.09.07

『シュヴァリエ』読了

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シュヴァリエ』(冲方丁・文芸アシスタント/日経BP社)読了。

メディアミックス展開をしている『シュヴァリエ』小説版。普通に面白い作品で、史実とフィクションを組み合わせ方などいかにもなハッタリ具合がなかなかに好ましい。もともと冲方丁と言うのは過剰なまでの伝奇的思考を持っている作家なのであり、その点においてこの作品はやや大人しめと言う印象を受けるのであるが、それでも昔ながらの冲方丁の片鱗が垣間見えるのがよかった。冲方丁は実のところ『マルドゥック・スクランブル』の成功のため、観念と成長の相克を切なくも爽やかに描く作家であると言う印象が強くなってしまった、と言うのが僕の印象なのだが、デビュー当初から追いかけている(と、かなり露骨に主張している)人間にとってみるとややそれだけではもの足りない。もともとは情念とエロスとバイオレンスが迸る典型的な伝奇脳の持ち主であって、たとえばデビュー作の『黒い季節』などは、要するに夢枕獏先生の『闇狩り師』を恐ろしく自分のオレ世界に解釈してしまった大怪作であり、近年の作品とは一線を隔している。ライトノベルのフォーマットに乗った作品はややお上品過ぎるのが個人的には不満なのである(十分に面白いけど)。翻ってこの作品を見ると、実際に書いているのは冲方丁のアシスタントであったりもするのだろうけど、その根本には女装の騎士デオンと言う実在の人物を好き勝手な想像力で色々と活躍させてやろうと言う意図があって、様々な外交に活躍したと言う事実を逆手にとって、姉の行方を追うロードストーリーに仕立て上げているあたりにオレ世界を構築する冲方丁のセンスが感じられた。だって女装の騎士を変身ヒーローにしちゃうんだぜ?冷静に考えるとかなりの馬鹿センスなんだけど、最近の冲方丁に足りないのはエロスとバイオレンスであると言う僕の訴えは今回の感想とはあんまり関係がない。全然まとまっていないけど感想は終わり。

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