『蟲と眼球と愛の歌』読了
『蟲と眼球と愛の歌』(日日日/MF文庫J)読了。
なんか妙に面白いような気がする。いつも日日日の作品において感じている世界の狭さが、物語内部における閉塞感と上手くリンクしているのが違和感の無さの原因なのかな。キャラクターの感じている怒りや葛藤に対して、それを独りよがりではなく受け入れられたと言う点がやはり大きい。そもそも日日日という作家は人間の卑近な”悪意”と自己中心的な傲慢さと行き場の無い焦燥感を欠かせたら、若い世代の作家では飛びぬけて上手いと思うので、そんな日日日がカヂリとブレイクサンと言うある意味どうしようもなく行き詰った人間の日常を描いたらそりゃ面白くないわけが無いだろうと言うことかな(知らんがな)。まあそこにはもちろん一般的な意味でのリアリティはないし日日日の主観バリバリの閉じた世界ではあるのだけど、キャラクターの葛藤そのものは、いつも感じる違和感が無くて、結構素直に納得できた。信じたいのに信じきれないカヂリとかね。ブレイクサンの一人は嫌なのに一人でしかいられないとかも、すごくあざといけれども納得は出来た。
まあ、超能力バトル部分は…別にどうでもいいや。日日日の面白いところと言うのはそういうところじゃないと思うし。
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