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2006.09.30

『ジャストボイルド・オ’クロック』読了

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ジャストボイルド・オ’クロック』(うえお久光/電撃文庫)読了。

人間と家電が共存するSF世界を、センスが良く、軽快なタッチのライトノベルハードボイルドに仕上げているのはさすがの手腕だった。『悪魔のミカタ』シリーズとはやや方向性が異なり、本当にポップで明るい雰囲気に支配されている。ハードな事件を、しかし飄々と解決するストーリーテリングは円熟の境地に達しつつあるようにも思う。無論、その明るさの裏には過剰なまでの人間的な愛憎があって、そこから生まれる情念が単に作品をポップで明るいだけにしないアクセントにもなっているところも良い。安易に鬱展開に持っていくのではなく、人間の不幸を踏まえたうえで前向きな物語を紡ぐあたりに作者の抑制が感じられる。もしかすると『悪魔のミカタ』シリーズでは色濃く残っていた過剰なライトノベル風味を相当にそぎ落とそうという意図があるようにも思え、うえお久光は『シフト』を通じてあたらしい領域に手を伸ばそうとしているのではないか、と思った。

個人的には宇宙空間での最終決戦を”ショートカット”しているところが素晴らしいと思う。物語としては、あそこでジュードが決意をした瞬間に物語のテンションとしては最高潮に達しているわけで、あそこでノタノタとバトルをやられては興ざめになるところを、あえてばっさり切った度胸を褒め称えたい。まあ伏線なのかもしれないけど。

外見はハードだけど中身はやわらかく、無理はするけど無茶はせず。ほとんどの人には役に立たない目覚まし時計を、もしかしたら必要になる人のところへ届けるため、ちょうど良い感じでいきましょう。

そんな物語なんでしょうねえ。

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2006.09.29

『とらドラ3!』読了

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とらドラ3!』(竹宮ゆゆこ/電撃文庫)読了。

うーむ…あまりにも順調にラブコメ小説になっているので、面白いことは面白いのだが何か納得できない。そもそもこれは世界から弾かれてしまった少年と少女がお互いの中に自らが感じてきた世界に対する苛立ちと憧れを見出す話だったような気がしたのだが、そういうままならない状況に対してあがこうというスタンスはずいぶん後退してしまったように思える。竜児もなんだかんだと楽しくやっているしね。亜美もなんだかんだで難儀なやつだし、大河はまあ相変わらずつっぱってはいるわけだけど、でもお前ら青春してんなーと言うか。いや、繰り返すようだけど、本当に面白いんだけど。ただなんかこの作品に求めていたものと違うような…そうでもないような…(どっちだ)。まあ普通に面白いラブコメを読んだと思えばいいのかなー…。

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気の利いた台詞がなにも思いつかない

風邪を引いて気力が沸かぬ。ついでに台詞も出てきません。

1.『ベルセルク(31)』 三浦健太郎 白泉社
2.『医龍(12)』 乃木坂太郎 小学館
3.『はじまりの骨の物語』 五代ゆう HJ文庫
4.『カーリー ~二十一発の祝砲とプリンセスの休日~』 高殿円 ファミ通文庫
5.『アンダカの怪造学Ⅳ 笛吹き男の夢見る世界』 日日日 角川スニーカー文庫
6.『レンズと悪魔Ⅰ 魔神覚醒』 六塚光 角川スニーカー文庫

うーん…なんで『はじまりの骨の物語』がHJ文庫に…。

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2006.09.28

『撲殺天使ドクロちゃん(8)』読了

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撲殺天使ドクロちゃん(8)』(おかゆまさき/電撃文庫)読了。

なんかもうこの作品の感想を書くことに意味があるのか疑問なんだけど。だって毎回読むたびに「く、くだらねー、でも笑える(もしくは泣ける)」と言う感想しかないんだもの。心底くだらないのになぜか真面目におもしろいんだもの。まあ巻を重ねるごとにライトノベルとしての体裁は整えられつつあるけれど、ほんのり切なく甘酸っぱい恋模様(ラブコメではない)を描きつつ、本当にどうしようもない脊髄反射的はボケとツッコミとノリツッコミを繰り返す脱力感溢れる作風は健在だ。まあだからどうしたと言う感じだが…。

ええと、他に何かあったかな…あ、そうだ。サバトちゃんから見ると桜くんというのは本当に包容力のあるクールナイスガイだということに驚愕した。すげえぜ、サバトちゃん視点。誰これ。
あとさりげなく桜くんはハーレム主人公への道を突き進んでいますね!静希ちゃん、ドクロちゃん(はよくわからんが)、ザクロちゃん、サバトちゃん、南さん、田辺さん、西田(…はさすがに勘弁してあげて下さい)など、徹頭徹尾モテまくりじゃあねえか!!自覚がないだけかこいつ。まあ実は超ハイスペックヒューマンだからな桜くんは。ファック!!

まあとにかく面白かった。

えーと、他に書くことが本当にないんで、こんなもんでいいすか?

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責任も、追及過ぎれば、うやむやに

岐阜県庁のあれ、4000人以上も責任追及していると、逆に『みんなで罰せられれば怖くない』的な感じになりかねないと思うが…(極端な話、見せしめは人数を絞った方が良いと思うのだがなあ)。

1.『惑星のさみだれ(2) 犬の騎士』 水上悟志 少年画報社
2.『ユーベルブラッド(4)』 塩野干支郎次 スクウェアエニックス
3.『エクストラ・エグジステンス』 塩野干支郎次 ワニブックス
4.『夜桜四重奏(1)』 ヤスダスズヒト 講談社
5.『GA 芸術科アートデザインクラス(1)』 きゆづきさとこ 芳文社

あー…連載を読んでいたときよりも、単行本で読んだ方が作品の良さがわかるなあ…『惑星のさみだれ』。世界に対する理由を奪われた憎悪、虐げられしものの闇、超えられない壁に狂った男、正義の味方であらんとした男の死。まあそんな感じの。友情があり、愛があっても、それでも憎悪せずにはいられない…って話なのかな?かな?

塩野干支郎次は絵も話も固いなあ。そこが良いといえなくも無いが。きっと真面目な人なんだろうな。

ヤスダスズヒトは相変わらずの非常なセンスがきちんと漫画に現れているな。なんと言うか、単に絵が上手いとか、漫画が上手いとか、そういう言い方では括れないタイプの絵描きなんだと思う。

きゆづきさとこはなんか変な才能があるような気がする。いわゆるぷに萌え系と言うのだろうか、クセのない可愛らしい絵を描くんだけど、作品そのものはクレバーなんだよな。

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2006.09.26

『七姫物語 (第4章) 夏草話』読了

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七姫物語 (第4章) 夏草話』(高野和/電撃文庫)読了。

素晴らしく面白かった。

この作品はやはり文章がとても良いと思うのだけど、群像劇としてもさらに面白くなってきていると思う。前回で動乱の幕開けによって7都市七姫の関係も激変するかと思いきや、今回はそれぞれの勢力が外交を通じて牽制しあうという流れは、どこと無く嵐の前の静けさのような不穏さを秘めているように感じた。執拗に繰り広げられる外交、謀略の渦はまだ始まったばかり。今後の展開に期待させられる。

そしてそんな状況とは関係なく、空姫ことカラスミは、ただ自分が知らない世界を知り、新しい場所に向かい、出来なかったことをささやかに出来るようにする。小さくあせらずゆっくりと、だが決して倦むことは無く、前だけをひた向きに見つめる彼女の姿に、ひた向きで強く、そして危うくも不安定。揺れ動く心を素直な気持ちで受け止める彼女の描写は相変わらず繊細でよいものでした。

追記
続刊が出るのにやたらの時間がかかるこのシリーズだけど、量産できるタイプの作品ではないのは明らかなので、ゆっくりじっくりと質を落とさないようにしてくれればなにも言うことは無いですね。

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2006.09.25

『お留守バンシー(3)』読了

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お留守バンシー(3)』(小河雅岳/電撃文庫)読了。

あらゆる意味で「ツッコミどころの少ない作品」と言う形容が良く似合うと思う。全体的に漂うゆるい雰囲気もダレないように程よく計算されていて、ほのぼのとしたユーモアを最後まで楽しめるところは見事と言う他はない。キャラクターも相変わらず立っていて、それぞれがそれぞれらしい行動をとっているところも分かりやすくて良い。けっこうご都合っぽいところもあるのだけど、それを単なるご都合に貶めないでいるのは、キャラクターの行動が一環している(少なくともそう思わせることに成功している)ためだろう。つまり、このキャラクターだったらこのように行動するのは仕方が無いと思わせられるので、展開に納得出来るのだ。

まあ展開に無理が無さ過ぎるために、やや地味な作品ではあるのだけど、やはりこのまとまりの良さは驚異です。3巻目にしてすでにマンネリズム的な安心感すら漂っているかのよう。こういう作品を読むと、なぜだかホッとしますね。

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2006.09.24

神様の国から帰ってきました。

出雲大社に行って「そうかここにゆりえ様がいっしゃったのか」と思ったり、日本海を見に行って海と岩の美しさに感じ入ったり、山しか視線を遮るものが無いという事実にかるくカルチャーギャップを感じたり(これだからろくに横浜を離れたことの無い人間は)、友達に現地の人を紹介されて酒飲んだりカラオケ行ったり、さらにその後真夜中に(悪い方面で)噂に名高い『戦闘妖精雪風(アニメ版)』を鑑賞したり、わずか2泊でありながらやたらとイベント盛りだくさんでした(普段がイベントが無さ過ぎるということでもある)。

本当にいろいろとお世話になりました。

さて、旅行中に購入したものです。

1.『蛇にピアス』 金原ひとみ 集英社文庫
2.『神鵰剣侠(4)』 金庸 徳間文庫
3.『ヴィンランド・サガ』 幸村誠 講談社

これ以外に『涼宮ハルヒの憂鬱(3)』(アニメね)とか。普段と行動が全く変わっていないとか突っ込みはやめておくれよおまえさん(誰だよ)。金原ひとみは飛行機の中で読もうかと思って買ってみた。読み逃していたのでいい機会かと。あと『神鵰剣侠』の感想を書くのをすっかり忘れていたので、いずれ既刊分をまとめて感想を書く予定(前も同じことを言ったな…)。 

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2006.09.22

『文学賞メッタ斬り!リターンズ』読了

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文学賞メッタ斬り!リターンズ』(大森望・豊崎由美/PARCO出版)読了。

おもしろーい。

相変わらず直木賞、芥川賞がいかに駄目かということを延々と語られているのだが、この罵倒の仕方はまさしく芸術といって良い。大森望の迂遠かつ持って回って褒めつつ貶すという高等技術を見せたかと思えば、豊崎由美の直裁かつ一刀両断でありながら陰にこもらない非難など、それぞれ真逆でありながら、小説に対する真面目な姿勢においては共通する二人の会話はただそれだけで面白い。この人たちの悪口には、それぞれの作品や作家のエピソードがふんだんに盛り込まれ、作品についての言及においても非常に知的であるのが良いですね。ちゃんと読み込んだ上で、自分には理解出来ないと断言する。面白かったらほくほくしながら褒め上げる。そこには偽善的ないやらしさがあんまり無くって(皆無じゃないが)好ましい。全くこんな批評を書きたいものですねえ。

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めんどくさいに蹂躙される日々

人類最強の敵。こいつを倒すのがオレの使命なのだが最近は劣勢だ。援軍を求む。

などというマイナス思考全開の戯言はほどほどに、明日(と言うか今日)からちょっくら神様の国に旅行に行ってきます。まさか冗談のつもりで言ってみただけなのに、本当に行くことになるとは。まさに瓢箪から駒。

純粋に旅行のためだけに関東圏を離れるのは一体何年ぶりのことか…。

今日買ったもの。
1.『ゼロの使い魔(9) <双月の舞踏会>』 ヤマグチノボル MF文庫J
2.『フレイアになりたい』 岡崎裕信 スーパーダッシュ文庫
3.『黄色い花の赤』 アサウラ スーパーダッシュ文庫
4.『ブール・ノアゼット 世界一孤独なボクとキミ』 藍上陸 スーパーダッシュ文庫
5.『夜のピクニック』 恩田陸 新潮社
6.『凍りのクジラ』 辻村深月 講談社ノベルス

まあ、大体見ての通り。『凍りのクジラ』は『銀のメジャースプーン』が極めて面白かったので。辻村深月、この作家は要注意だぜえ…。

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2006.09.20

『ピーターパン・エンドロール』読了

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ピーターパン・エンドロール』(日日日/新風舎)読了。

ファミ通文庫や角川、MF文庫で書かれている作品の何が気に入らないのかと言うと、作品の構え方が大上段に構えすぎで、読者に対する啓蒙しようと言うスタンスがあからさま過ぎるところだ。日日日にお説教されても全然感銘を受けないので楽しめないのはしょうがない。きっと説教されるのが好きな人なら楽しめるんだろーな(僕は無理だ)。

しかし、この作品はとてもいい。読者に対して高みにたったような態度が無く、淡々と自分の考えたことを恣意を交えず、持ち前の流れるような文体に乗せられて語られている。まあ、小説のリアリティと言う面から見ると主人公の設定は、おいおいそりゃ無いだろ、と思わずツッコミを入れたくなったりするのだが、そういった意味のでリアリティを云々することは無意味だと思う。

日日日の作品の特徴は、徹底的に客観を排した視点であり、10代という視野の狭い、自意識ばかりが肥大化した少年少女の主観のみで世界を語る部分にある。それゆえ、一般的な意味では非常識に見える事柄も、当人の主体となる世界の中では何一つ不思議なものではない。そこは一般的な意味での常識ではなく、内的世界の心象そのものなのだ。

その内的世界を読者に押し付けられると、僕自身が抱えている内的な主体と反発し、素直に楽しむどころではないのだが、この作品の場合は読者から一定の距離をとっているところが好ましく、結局、日日日というのはスタンスの取り方が下手なのではなく、距離をとることにたいした価値を見出していないと言うだけに過ぎないのだなあ、と言うことを感じた。

結局、天然と言うか、自然体と言うか…まあいいんだけどさ。

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なにかが足りない。そう思ってしまうのは我儘なのだろうか

きちんと現実を生きていないと言うことなのかも。と言うか、何を高校生のようなことを書いているんでしょうね僕は。

1.『クジラのソラ01』 瀬尾つかさ 富士見ファンタジア文庫
2.『<骨牌使い>の鏡Ⅲ』 五代ゆう 富士見ファンタジア文庫
3.『戦鬼-イクサオニ-』 川口士 富士見ファンタジア文庫
4.『黄金の旅路』 吉村夜 富士見ファンタジア文庫

富士見ファンタジア文庫だらけ。
1.はデビュー作から大注目の新人の2作目。一年ぶりの新刊か。はっきり言って大衆受けは絶対しないエッジ効き過ぎの感があるが、小さくまとまらずにでっかい大暴走を目指して欲しい。やりたいようにやってくれ。
2.は文庫版の完結編。こんな大長編をプロットも作らずキャラクターも設定せずに破綻せずに纏め上げてしまうと言うのは五代ゆうには小説の神か悪魔か電波でもついているのか!と言う感想はついぞ変わりません。この人、どこかで言っていたけど、小説を書くときに事前に何にも考えず、ただ『書く』をと言う行為をひたすらに繰り返すうちにいつの間にか書くべき世界とテーマが形作られていくのだそうだ(うろ覚えなんで間違っているような気がする)。天才の書き方だよな…。
3.なんと富士見ファンタジア大賞を受賞”してしまった”そうな。いや、気の毒に…。思わず同情のあまり買ってしまったよ(他意はありません!)。
4.クライマックスの圧倒的なテンションは筆舌に尽くしがたい作風が魅力的。しかし主人公は本当に完全無欠に前巻で死んでいたんだな…。

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2006.09.18

『イチゴ色禁区 (1)夏の鳥居のむこうがわ』読了

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イチゴ色禁区(1) 夏の鳥居のむこうがわ』(神崎リン/角川スニーカー文庫)読了。

デビュー作であるということを考慮すれば十分に面白い作品であると言える。ただ、正直なところ主人公の饒舌体で語りつくされるタイプの作品は、ライトノベルとしては西尾維新一作で行き着くところまで言ってしまっているので、同じ分野で勝負するのはいささか苦しいと言わざるを得ない。何をやっても二番煎じになってしまうところとか(平坂読などもフォロワーの一人だけど、あちらは徹底的に”やりすぎ”ることによってある種の独自性を獲得しつつあると思う)。

饒舌な主人公の一人称が、本当に饒舌なだけで鬱陶しく感じられてしまったのは残念なところだ。物語についても、序盤部分のだらだらが、世界観の不透明さとあいまってなかなかにじれったくもあった。全体的に物語の引き伸ばしが多くて、はたしてこの長さを支えるだけの内容があったのか、やや疑問が残った。

しかし、主人公とヒロイン(幼女)の関係は、いわゆる恋愛感情のようなものとは異なり、家族愛のようなお互いを無私で支えあうような関係がほほえましくて良い。たぶん、作者的にはここが重要なところなんだろうし、その意味では十分に物語を描けたといえなくも無いのかな。

まあ次回に期待出来そうな作家だと思う。

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『ひと夏の経験値』読了

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ひと夏の経験値』(秋口ぎくる/富士見ドラゴンブック)読了。

ら、ラブリー過ぎますよ秋口さん!(馴れ馴れしい)

なにがラブリーって、TRPGにかける少年の自尊がラブ過ぎる!ハイテンションで自分の楽しいことに疑いが無くて、周囲からの視線に敏感で、自分に対する信仰とか、もう駄目過ぎる!お前ら本当に駄目なやつらだ!愛おしい!

なんかねー、笑えねーつーか。「このままじゃ俺らの人生は、ずっと一ゾロや」(うろ覚え)とか。あるとき、ふっと冷めてしまうとき、自分を客観視してしまうときってあるわけよ。そんなとき、オレって何やっているんだろう…と考えちゃうときがあるわけだけど。そういう気持ちが強烈にあって。登場人物の一人に過剰に感情移入してしまったり(でも、僕はああいう方向性に行かなかったんだよな。自分の世界を構築する方向に行ったんだ)。

つか、そういう気持ちをいまだに引きずっているのがどうしようもねー。大人になりきれない大人であるオレ、そんな自分を認識しちまって、しかもどうにも変えようがねーってのがさらにどうしようもねー。

あーどうする?どうするよ、オレ?

最高だぜ、ファック!!
 
 
(あと、こんな恋があったなんて、フィクションの世界であっても(だからこそ)許せねえ!ファック!なんだこの女神!)

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『陰月のヤジリ』読了

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陰月のヤジリ』(時海結以/HJ文庫)読了。

古代純愛ファンタジーと言う形容がしっくりくる。背景には大河ロマン的な流れがあるような気がするのだが、物語そのものには関わっては来ず、あくまでも閉ざされた空間で繰り広げられる4人の男女の感情のやり取りが主であり、いうなれば密室劇とさえいえる作品だ。

それぞれがお互いの思惑を持ち、自分の目的を果たすために行動しながらも、お互いがお互いに影響を与えながら生まれる葛藤、仲たがい、そして真実の暴露。そこに至るまでの感情の流れがスムーズで、非常に無理が無いのがなかなか良かった。

ただ最後の展開はある意味これしかないという結末であり、またそこに至るまでも伏線の張り方がぎこちなく、ややミステリー的な展開に囚われてし合ったように思えるのが惜しかった。あそこでサプライズを作る必要は無かったのではないだろうか。

しかし、結末のほろ苦さ、裏腹の爽やかさといい、なかなかに良く出来ている作品であると思う。悲恋もので古代日本ファンタジーが好きな人はオススメかも。
 
 
 
…なんか久しぶりにレビューらしいレビューを書いたような気がする…。

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『レゾナンス(1) 夕色の墜落』読了

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レゾナンス(1) 夕色の墜落』(山原ユキ/角川スニーカー文庫)読了。

スニーカー大賞優秀賞受賞作。

デビュー作としては概ね水準を上回っているけれども、どう考えてもこれはエロゲー的との印象を受けた。もっともその印象にはねじれがあって、元来存在した学園伝奇というジャンルをエロゲーが取り込むことによって、思春期の鬱屈と衝動、そこにエロスとタナトスを並列に扱うことが出来るため、非常に上手く機能したと言う背景がある。だから、決してエロゲー的というのは貶し言葉ではない。

むしろ鬱々とした固い感情をもてあまし、暴走する暴力性を発露させる主人公たちの描写は青春小説としてきわめて優れていると思うし、恋心と性欲が分かちがたく結びついているところも高校生っぽくてよかった。ただ、最初にエロゲー的(あるいはギャルゲー的)という印象を受けたとおり、少年少女の人間関係のみで出来上がった世界観に好き嫌いは出てくるだろうなあ、とは感じた。僕は嫌いじゃではないのだけど。

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家に篭ると快晴で、外に出かけると大雨

なんだ?天気はオレのことを嫌いなのか?ツンデレなのか?ツンはもう飽きたから早くデレパートに入らないのかと言う意見は無視なのか?どうなんだそこらへん。

1.『School Rumble(14)』 小林尽 講談社
2.『ハヤテのごとく!(8)』 畑健二郎 小学館
3.『クロスゲーム(5)』 あだち充 小学館
4.『絶対可憐チルドレン(6)』 小学館
5.『結界師(13)』 田辺イエロウ 小学館
6.『ヤクザガール・ミサイルハート』 元長柾木 ゼータ文庫
7.『トキオカシ』 萩原麻里 富士見ミステリー文庫
8.『ぺガーナの神々』 ロード・ダンゼイニ ハヤカワ文庫FT

近年におけるスクランのディスコミュニケーションはもはやギャグに出来る範囲を超えて痛々しさすら感じさせられるのだが、冷静に考えてみると作劇術そのものは1巻当時と何一つ変わっていないように思う。ここまで痛みを感じ押させるのは、それぞれのキャラクターに対する思い入れの差なのだろうか。
『ハヤテ』『クロスゲーム』『結界師』は相変わらず隙無く面白い。

まあそれはともかく。

元長柾木の小説が、あまりにも健全に少年少女のボーイミーツガールをしていて驚く。そういえばこの人は恋愛描写も素晴らしく上手かったっけ(忘れてた)。

あとはまあ。

『ぺガーナの神々』が入っているのは、まあ突っ込みは無しにしようぜ。見かけちまったものはしょうがないし、しかも自分が読んだ事が無かったのはもっとしょうがない。電波だよ、電波。

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2006.09.17

『ボトルネック』読了

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ボトルネック』(米澤穂信/新潮社)読了。

世界は不条理に満ちている。この世には大切なものなど何も無い。人間はくだらない。
そんな世を拗ねた発言をするあなたよ、ならば君はこの世で何か意義あることを行ったのか?

…なんの嫌がらせだこれは。

主人公は、ある時、本来の自分の世界とは異なる平行世界に迷い込む。そこで出会った『姉』とともに自分の世界では事故死した恋人の真相を探る、と言うのがあらすじではあるがそれは本題ではない。

自分の世界とそっくりな、しかし、ほんの少しだけ異なる世界を観る。そこは無味乾燥で冷たく理不尽な自分の世界とは全く異なる。それは何故だ?何故もこんなに世界は美しく、そこに自分はいないのか。その理由は何なのか?

自分が何者でもないと言う恐怖。世界を侮蔑していた自分にすべてが跳ね返ってくる行為。すべてはただ一つの”ボトルネック”の存在がある。ごく当たり前の日常を、当たり前に生きてこなかったと言うことを思い知らされるだけの物語。

絶望的な結論。そしてその結論はこの物語の最後まで覆ることは無い。起きてしまった過去は、行ってしまった選択は、決して取り戻すことが出来ないのだ。

それは終わってしまったことなのだから。

だが、最後の最後に、ギリギリの状況で提示される最後の希望。それは未来と呼ばれるもの。
過去を乗り越えるには未来を持って行うしかないということ。

単純で、ギリギリの、そんな希望。

ラスト数行のやりとりに苦笑する。

まあ、なんとかなるか。なるといいな。

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2006.09.15

『天涯の砦』読了

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天涯の砦』(小川一水/ハヤカワJコレクション)読了。

小川一水とは愚直な作家である。

愚直と言うのは貶し言葉ではない。本質的には物語が下手なタイプである(と勝手に考えている)この作家の、物語に対するストイックな姿勢に対して愚直であると言う印象を感じるのだ。

物語に対するストイックな姿勢と言うのは、たとえば宇宙ステーションでの大事故によって救助も無く取り残された主人公たちの決死のサバイバルと言う今作の、いかにもハリウッド的な設定でありながら、ハリウッド的な物語を拒否している点である。

大事故によって取り残される人々に直面する試練とは、決して分かりやすい悪人でもなければ、次から次に迫ってくる天災でもなく、あまりにもご都合過ぎる不運でもない。物事には原因と結果が必ずあり、惨事が起きるには起きるだけの理由が無くてはならない。それを無視して物語をつむげないところに、この作者のストイックさ、誠実さが垣間見えるように思う。

そしてそのストイックさは作者をも縛り付ける。宇宙ステーションなんて過酷な環境下に建造される建造物に、二重三重の安全装置が起動してないはずもないわけで、それでも物語を盛り上げるために主人公たちを危機的状況に陥らせる必要がある。そのための理由付けに四苦八苦しているところもまたこの作家らしい。そのためかサスペンスものとして盛り上がらないのは仕方のないところだけれど、SF災害モノとしてはなかなか面白いと思う。サバイバル部分の地味な、しかし当たり前の緊張感は素晴らしいのではないだろうか。

ただ、わざわざ自分の苦手な分野に挑戦しているところは実に真面目だと思うのだが、もう少し力を抜いて書いてもいいのではないかと思う。今のままでは縛りが厳しすぎて窮屈さを感じてしまうのが惜しい、と感じてしまった。

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『ひかりをすくう』読了

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ひかりをすくう』(橋本紡/光文社)読了。

生きることは戦うこと。だけど時には負けたっていい。負けることは恥ではない。負けることを貶めることが恥なのだ。負けたことは終わりではない。負けた時は少しだけ引いて、それからまた歩き出せばよいのだ。

それが過酷な日常を生きるために必要なこと。

まさに言うは易し。行うは難し。平凡な戦場を生きる術は、瞬く間に自己憐憫の罠に陥りかねない。世界を遮断して生きることは、容易く甘美で芳しい。

人は一人で生きるにあらず。傷つき傷つけられ、負けて逃げた先だとしても、誰かを支えて生きることが出来るし、誰かに支えられて生きることが出来る。

弱い人間が、否定をせずに、傷つきながらも、誰かとともに生きていくこと。

橋本紡が、作品の中で繰り返し語っていることはそういうことなのだと思う。

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2006.09.14

自分を振り返って

いくらなんでもメンヘル不全を地で行きすぎろう、自分。
焦燥→無気力へのコンボはメンヘルテキストのうつ病事例にそっくり当てはまってしまうことに慄く。困ったことだ。

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本を読むと言うことは人生を読むことと同じことだ

たとえそれがフィクションであってもそこから受け取るものは現実と変わらない。もちろん受け取ったものを自己へ反映させる方法には違いがあるだろうけれども。だから本を読んでも現実に対応できないと言うのなら、それは受け取り方が下手ということなのだ。

1.『図書館内乱』 有川浩 メディアワークス

買おうかどうしようか迷いながら日々を過ごし、結局買ってしまった。
この本では、保守的な頑迷さは革新的聡明さに常に打ち破られる定めにあるのだが、正直なところ保守的な頑迷さを強く持つ自分にその容赦無さは堪える。弱者と愚かさに対する視点が一義的に過ぎると感じるのだが、しかし、前のみを見据えてひた走るその姿には大きな感銘を受けた。複雑だ。

2.『EDGE(5)~ロストチルドレン~』 とみなが貴和 講談社X文庫(ホワイトハート)

1.とは真逆に、弱者と愚者しか出てこない作品だ。個人的な共感と言う点においては他のあらゆる作品の追随を許さないのだが、このような作品はどこまでも閉塞していくしかないと言うことを感じさせられたのは皮肉だった。弱さをいとおしむ、愚かさを愛する。それはとても大切なことだけど、過去を慰撫することを出来ても新しい何かを生み出すことは出来ないのだ。

3.『ジョン平とぼくと』 大西科学 GA文庫

圧倒的なゆるさ。その言葉に尽きる。色々と大変なことが起こって、色々な人が泣いたり怒ったりしていたとしても、すべての出来事を受け止める。”ゆるさ”とはそのような余裕にも通じる。それは単に気質の問題ではなく、選択の結果としてのゆるさだ。それは差別しないと言うことで、戦わないと言うことで、そして強いということなのだ。

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人間の持つ方向性というもの

浅井ラボの『TOY JOY POP』を繰り返し読み返していると(我ながら暇なことだ)、ふと人間の方向性とは何ぞや、ということが脳裏によぎった。作中の登場人物の一人にしてけしからん乳の持ち主であるザキさんこと山崎椎菜が(字は合っているよな?)”自分は(人間の)方向性にしか興味が無い”と言うようなことを言っていた。

方向性と言うのは、つまりはある人間が、何らかの状況に直面したときの判断のよすがになるもの、つまりは信念とかなんとかの判断基準と、その判断を行うことによって生じる一定の流れのことを指ように思った。それは言葉に出来るものではなく、極めて概念的なものである。基準となるのは対象者の”判断”であり、そしてその判断には様々な要因があり、複雑な条件下において判断を行った結果生じた行為そのものを指している事もある。

まあ概ね曖昧なものなので深く考えるものではないのだろうけど、自分の持つ方向性というものをきちんと理解しておくことは、本当に困難に直面したときにうろたえることなく自分にとってもっとも自分らしい選択を行う上で非常に重要なことなのだろうと思う。別に正しい判断なんて出来るとは限らない。単に自分らしい、自分の方向性に則った行動が出来るというだけだ。

それが覚悟と言うものなんだろうなあ、とか。そんなことを考えた。

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2006.09.12

『エラントリス 鎖された都の物語(上)(下)』読了

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エラントリス 鎖された都の物語(上)(下)』(ブランドン・サンダースン/ハヤカワ文庫FT)読了。

上下巻となかなかに分厚いながら、際立って魅力的なキャラクターのやりとりが素晴らしい作品だった。”変容”によって生きる死人として生きざるを得ないエラントリスの人々の絶望的な状況の中、一人生きる希望を失わず”人”であり続けることを選択するラオデン王子は格好良いし、政略結婚でラオデンの妻になるはずだったサレーネ王女が強大な勢力を誇る帝国の大主教ホラゼンとの丁々発止とやりあう駆け引きは楽しいし、ラオデンがエラントリスの謎を解き明かしたりと色々なものを詰め込みながらきちんと最後まで纏め上げていて大変素晴らしゅうございました。敵も味方もやたらと魅力的に描かれているので、ラオデンたちの駆け引きを見ているだけでも楽しいけど、クライマックスに至る展開もやたらとテンションが高くてエンターテインメント性は極めて高い。アルスラーン戦記のような異世界ファンタジィ群像劇が好きな人にはたまらない作品だと思う。

まあ僕のことなんだけど。

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買ったもの

1.『ぼくのメジャースプーン』 辻村深月 講談社ノベルス
2.『凶鳥の如き忌むもの』 三津田信三 講談社ノベルス

『ぼくのメジャースプーン』についていろいろなところで評判が良かったので買ってみた。うむ、噂に違わぬ力作。個人的には傑作と言ってしまいたいぐらいだ。
『凶鳥の如き忌むもの』を買ってから、なんか覚えのあるタイトルだなあ、と思ったら前作だか姉妹作にあたるはずの『厭魅の如き憑くもの』を読み途中であることに気がついた。やべえ。

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2006.09.11

浅井ラボを読み返す日々

2回目読了。もう一回ぐらい読むか。それにしても物語の伏線に対して作中で伏線と指摘してくれるとはなんと親切な小説か。

1. 『The MANZAI(3)』 あさのあつこ ピュアフル文庫

少年愛に満ち溢れた作品で、正直なところ慣れていないとびびるぐらいなのだが、だんだんそこが味わい深くなっているのは単に慣れただけであり、おかしな属性がついてしまったのではないと信じたい。

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2006.09.10

『赤い護符 ルーンの杖秘録Ⅱ』読了

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赤い護符 ルーンの杖秘録Ⅱ』(マイケル・ムアコック/創元推理文庫)読了。

ヒロイックファンタジーとしての側面と戦記物としての側面を併せ持っている部分がこのシリーズのポイントか。もっとも、戦記物としてはせいぜい戦術的な描写にとどまっているのが限界となっているのが惜しいところで、やはりヒロイックファンタジーとしての枠組からは逃れられていないのだと思う。結局、その窮屈さと言うのは2巻目になっても変わらなくて、主人公のホークムーンが主人公と言うには無個性すぎることもあってどうしても普通な印象を受けてしまった。普通に面白いということでもあるんだけど。まあ、赤い護符を所持しているボスの軍団が女だらけの軍団と言うあたりは思わず吹き出したが。どこの中学生の妄想だよ。

結局のところ、主眼はあっちこっちを旅して暗黒帝国の野望をくじくホークムーン一行の大冒険なわけで、普通にRPGになっていても全然違和感を感じられないストーリー。ゲーム化の際はスクウェアエニックスでCGムービーバリバリでお願いします。

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『蟲と眼球と愛の歌』読了

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蟲と眼球と愛の歌』(日日日/MF文庫J)読了。

なんか妙に面白いような気がする。いつも日日日の作品において感じている世界の狭さが、物語内部における閉塞感と上手くリンクしているのが違和感の無さの原因なのかな。キャラクターの感じている怒りや葛藤に対して、それを独りよがりではなく受け入れられたと言う点がやはり大きい。そもそも日日日という作家は人間の卑近な”悪意”と自己中心的な傲慢さと行き場の無い焦燥感を欠かせたら、若い世代の作家では飛びぬけて上手いと思うので、そんな日日日がカヂリとブレイクサンと言うある意味どうしようもなく行き詰った人間の日常を描いたらそりゃ面白くないわけが無いだろうと言うことかな(知らんがな)。まあそこにはもちろん一般的な意味でのリアリティはないし日日日の主観バリバリの閉じた世界ではあるのだけど、キャラクターの葛藤そのものは、いつも感じる違和感が無くて、結構素直に納得できた。信じたいのに信じきれないカヂリとかね。ブレイクサンの一人は嫌なのに一人でしかいられないとかも、すごくあざといけれども納得は出来た。

まあ、超能力バトル部分は…別にどうでもいいや。日日日の面白いところと言うのはそういうところじゃないと思うし。

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何かの益になるようなことは絶対にやらなかったということだけは断言できる

酒を飲んで『蟲師』(DVD)を鑑賞しながら漫画を読んでました。

途中で頭痛がしてきました(酒が切れたから)。

1.『群青学舎』 入江亜紀 エンターブレイン
2.『双月巫女(1)(2)』 アキヨシカズタカ メディアファクトリー
3.『夜刀の神つかい(10)』 原作:奥瀬サキ 漫画:志水アキ 幻冬舎

『群青学舎』ってなんか好きだわ。だわ。なんか昔の少女漫画のような地に足のついて無さがいい。いい意味でリアリティが無くて、非常に感覚的。たまらねえ。

『双月巫女』もなんかいい。『ヨコハマ買い出し紀行』系の、なーんも起こらない日常系。でも実はガチSF。むっちゃ感傷的な話なんだけど、その手のSFセンスを持っている人じゃねーと泣けないのかなー。

まだ連載していたのか…というのが『夜刀の神つかい』に感じる素直な気持ち。『雲のグラデュアーレ』の続きは出ないの?ねえ?

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2006.09.09

『エトセトラ上等』読了

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エトセトラ上等』(三浦勇夫/MF文庫J)読了。

僕が心掛けていることの一つとして、たとえどんなに面白くないと思ったとしても、3巻以上読むまでは一人の作家に対する判断を保留にすると言うものがあるのだけど、三浦勇夫という作家に対してはついに結論を下さざるを得ない。

実は俺、このシリーズ大嫌いなんだわ。

はっきり言って上手い下手を云々する以前に、作者とは根本的なところで考え方が合わないように思える。
主人公たちの行動のすべてが第一世界人たちの娯楽であると言う設定そのものは、ある意味批評的なものさえ感じられるのだが、耐え難いのがその状況に対する衒いの無さ。自分の人生をオモチャにされて何の感想も無いわけ?感動的な試練を感動的に克服するように設定されて、感動的に結末を迎えるようにしてそれが何がしかの達成感を感じちゃっているわけ?わけわかんねえ。

僕の言いたいことは色々あるんだけど、一番疑問として感じるところは「他人がお膳立てをしてくれた試練」を予定調和的に乗り越えたところでそれは何かの救いになるの?ってところ。要するに槍ヶ岳、お前は一体何様だと言う話。神にでもなったつもりか?あきらめずひたむきで困難に打ち勝つ、そのイメージは大変に結構!だがそれを人に押し付けたりするのは絶対に違うと思う。その人生は分かり易すぎるし、多くの人を号泣のさせるのかも知れないけど、その押し付けがましさが鬱陶しい。

気持ち悪いよ、本当に。

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反省

最近の自意識過剰なマイナス思考の痛々しさには正直反省した。自虐ネタは極力抑えつつ、今後に生かしたい。

1.『彩雲国物語 紅梅は夜に香る』 雪乃紗衣 角川ビーンズ文庫
2.『ストームブリンガー』 マイケル・ムアコック ハヤカワ文庫FT

『ストームブリンガー 永遠の戦士エルリック(4)』の後にまだ三冊も本が続くのかよ…と思うと嬉しさのあまり小躍りしてしまう。早川書房よ、ありがとう。

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2006.09.07

『シュヴァリエ』読了

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シュヴァリエ』(冲方丁・文芸アシスタント/日経BP社)読了。

メディアミックス展開をしている『シュヴァリエ』小説版。普通に面白い作品で、史実とフィクションを組み合わせ方などいかにもなハッタリ具合がなかなかに好ましい。もともと冲方丁と言うのは過剰なまでの伝奇的思考を持っている作家なのであり、その点においてこの作品はやや大人しめと言う印象を受けるのであるが、それでも昔ながらの冲方丁の片鱗が垣間見えるのがよかった。冲方丁は実のところ『マルドゥック・スクランブル』の成功のため、観念と成長の相克を切なくも爽やかに描く作家であると言う印象が強くなってしまった、と言うのが僕の印象なのだが、デビュー当初から追いかけている(と、かなり露骨に主張している)人間にとってみるとややそれだけではもの足りない。もともとは情念とエロスとバイオレンスが迸る典型的な伝奇脳の持ち主であって、たとえばデビュー作の『黒い季節』などは、要するに夢枕獏先生の『闇狩り師』を恐ろしく自分のオレ世界に解釈してしまった大怪作であり、近年の作品とは一線を隔している。ライトノベルのフォーマットに乗った作品はややお上品過ぎるのが個人的には不満なのである(十分に面白いけど)。翻ってこの作品を見ると、実際に書いているのは冲方丁のアシスタントであったりもするのだろうけど、その根本には女装の騎士デオンと言う実在の人物を好き勝手な想像力で色々と活躍させてやろうと言う意図があって、様々な外交に活躍したと言う事実を逆手にとって、姉の行方を追うロードストーリーに仕立て上げているあたりにオレ世界を構築する冲方丁のセンスが感じられた。だって女装の騎士を変身ヒーローにしちゃうんだぜ?冷静に考えるとかなりの馬鹿センスなんだけど、最近の冲方丁に足りないのはエロスとバイオレンスであると言う僕の訴えは今回の感想とはあんまり関係がない。全然まとまっていないけど感想は終わり。

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今日も今日とて現実逃避

逃げるときは全力で後ろ向きに。それが僕のジャスティス。

ところで『彩雲国物語』の新刊を買うのを忘れていました。

1.『とらドラ3!』 竹宮ゆゆこ 電撃文庫
2.『ジャストボイルド・オ’クロック』 うえお久光 電撃文庫
3.『撲殺天使ドクロちゃん(8)』 おかゆまさゆき 電撃文庫
4.『お留守バンシー(3)』 小河雅岳 電撃文庫
5.『七姫物語(4)夏草話』 高野和 電撃文庫

うーん…僕ってやつは…まあ良いけど。
電撃文庫の新刊の中からこれらをチョイスした時点でどうやら僕は現代学園異能が嫌いらしいと言うことが分かった。自分でも知らなかったよ。

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2006.09.06

『オクシタニア(上)(下)』読了

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オクシタニア(上)(下)』(佐藤賢一/講談社文庫)読了。

僕が佐藤賢一の一連の作品で好きなところは、たとえどんなに心が離れていたとしても、それこそ考え方や文化、立場の相違があったとしても、人間はいつか必ず分かり合える一瞬があるのだというある種の楽観と、分かり合えたとしても人と人は争いあうと言う諦念が混在しているところなのである。逆に言うと、佐藤賢一作品は歴史的題材を多く取り上げられているのだが、いかなる題材を用いたとしても、対立する存在が和解し融和する一瞬の感動を描いていると言う意味では、実はあまり歴史的な題材とは無関係な作品、作家であると言えなくもない。しかし、その一方で、中世的な信仰の世界と現代的なフェミニズム的な価値観を対立させている部分など、歴史的にはどうあれ様々な実験的思考を費やしていると言う点で佐藤賢一の歴史と言うものに対する独特な姿勢を見ることが出来るように思う。

まあ要するに歴史をファックしすぎだと言うことなんだけど。

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粘りつくように四肢にまとわりつく空気の重さ

なんか全般的に不調が続いている。何をやっても上手くいく気がしないなあ。あー医者に行こうかなー。

1.『文学賞メッタ切り!リターンズ』 大森望/豊崎由美 PARCO出版

書評と言うものについて、貶すためにはきちんと”芸”が必要であると言うことがよくわかるとともに、いわゆる大御所と呼ばれる作家たちがどれだけ変な人たちなのか(褒め言葉)が浮き彫りになっていると言うところに、”書評”の持つ力を感じさせた。僕もこのような書評が書きたいものだなあ。

2.『架空の王国』 高野史緒 ブッキング

どういうわけか復刊していたので買ってしまった。中央公論社の一連の作品はほとんど読んでいなかったので。この復刊は正直うれしい。これで『ヴァスラフ』や『ウィーン薔薇の騎士物語シリーズ』も復刊してくれないかなあ。

3.『ひと夏の経験値』 秋口ぎくる 富士見ドラゴンブック

TRPGにかけたひたむきな青春を描いたひと夏の恋愛小説、と書くと冗談にしか聞こえないのだが本当にそのとおりの作品だったりするのが素晴らしい、と言ってしまって良いのか分からないのだが、愛すべき草食動物たちの思考回路があまりにも胸に迫りすぎるので僕には冷静には読めません!

4.『イチゴ色禁区 (1)夏の鳥居のむこうがわ』 神崎リン 角川スニーカー文庫

なんと言うロリコン小説かと一瞬思ってしまったのだが、どちらかと言うとこれは家族小説なのかなあと言う気もしてきた。間違っても伝奇小説とは読んではいけないだろうと思わないでもない。

5.『ピーターパン・エンドロール』 日日日 新風舎

日日日が”恋”とか”青春”とか”愛”とか”正義”とか言い出すと、そのあまりの(それこそ作者自身も全然信じていないだろうと思わざるを得ないほどの)薄っぺらさと胡散臭さがあって好きになれないのだけど、日日日が世界に対する呪詛や行き場のない焦燥などを素直に文章にしてくれるとこれほどまでに面白い作品になるのかと瞠目する。これは日日日作品中では『ちーちゃん~』に匹敵する作品じゃないだろうか。素晴らしく面白かった。

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2006.09.05

意識の限界

おそらくあと30分も持たないほどに意識が朦朧としておりこの文章をタイプしている手つきも相当に危うくさらに言えば何を書いたらいいのかさえ考えられない。いつもと変わらないか。

1.『仮面のメイドガイ(4)』 赤衣丸歩郎 角川書店
2.『銀魂(14)』 空知英秋 集英社
3.『スティール・ボール・ラン(9)』 荒木飛呂彦 集英社

メイドガイの口上は実に美しいなァ。『壁に耳あり障子に目有り 常に貴様の傍らに それがこの俺メイドガイ』んっん~名言だなこれは…(嫌過ぎる)。

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2006.09.03

『ダークエルフの口づけ』読了

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ダークエルフの口づけ』(川人忠明/富士見ファンタジア文庫)読了。

僕はもともとソードワールドの中ではダークエルフが好きで、プレイヤーキャラクターに出来ないかなあと思っていたのだけど、いつの間にかダークエルフをプレイできるルールが追加されていたと言う事実には時の流れを感じさせられた。

内容はダークエルフが主人公であることからも必然的に分かるように、ピカレスク小説に分類されるものになっている。悪党が更なる外道、悪党を処刑していく作品は、ある種の王道であり安心して読める。ただ、富士見ファンタジア文庫の常としてストーリーがシンプルで短いきらいはあるけれども、この手の作品の入門編としては悪くない。ほのかに感じられる恋愛要素も、さほど過剰にはならず抑え目であったのもバランスがよく、好感が持てた。ただ主人公のベラを一心に慕うアマデオはちょっと情けなさ過ぎるので、次回以降はもうちょっとがんばって欲しいところだ。
それはそれとして椎名優の絵は相変わらず清潔感があって好ましい。絵に惹かれるようになったとは、僕も丸くなったもんだぜ、とソードワールドノベルズを買い漁っていたあの頃を懐かしむのであった。

しかし、学生時代を懐かしむキーワードがソードワールドノベルズってのはどうなのよ俺。

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2006.09.02

『啓示空間』読了

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啓示空間』(アレステア・レナルズ/ハヤカワ文庫SF)読了。

厚い厚い厚すぎる!まったく議論の余地無くサイコロステーキ本なのだが、先に読んだ『カズムシティ』(こっちの方が発表順は後だが)同様つるつると読めてしまう脅威のリーダビリティを誇る素晴らしさ。面白いなあ。SF的にも後半における宇宙の真実みたいなスケール感を感じさせてくるのだが、この物語で一番面白いのは一癖も二癖もある鼻持ちならない人間ばかりが織り成すドラマがもっとも重要な部分であって、SF的なガジェットは飾りなんじゃないかと思わないでもない。『カズムシティ』も基本はハードボイルドアクション(復讐物)だったものな。おそらくアレステア・レナルズという作家は、通俗小説的なドラマ部分とSF的なアイディアを同時並行で並べることが出来るタイプの作家なのであり、その二つを無理なく支えるために言葉を過剰に費やし、結果ここまで物語が水増しされてしまうのではないか、と思ったのだが、しかし実際にどのあたりが水増しされているのか読んでいるあたりはまったく気付かせないあたり見事なエンターテインメント振りであった。堪能いたしました。

ところで主人公の一人であるダン・シルベステを殺害しようとするアナ・クーリーと自らを機械化したウルトラ族(どういうネーミングセンスだ)のイリア・ボリョーワは仲が良過ぎる!と思った。途中から彼女らのやりとりは百合的変換をなされても全然違和感を感じませんよ…などという度し難い腐男子思考をしてしまった吉兆でした。

(なお腐男子思考とはあらゆる事象を百合カップルとして捉える認識異常の一つであり、腐女子思考の類型として認められる。なんだこのオチ)

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『八木剛士史上最大の事件』読了

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八木剛士史上最大の事件』(浦賀和宏/講談社ノベルス)読了。

作者のあまりにも戦闘的な部分が表に現れすぎた奇怪作だと思いましたよこれは。設定とか物語の展開を個別にみてみれば、どこのアニメ、ゲームですか?と言いたくなる程度のものなのだが、そこに浦賀和宏成分が過剰に含まれてしまったためにとにかく凄まじい存在力(そんざいちから)を放っている。とりわけ主人公の八木剛士のルサンチマン全開の思考のあまりの痛々しさや、彼が受ける学校でのいじめの暴威には、まさしく”苛められた視点”でしか悟れない圧倒的な絶望感がある。そして八木剛士が物語の最後で出会う”最大の事件”。これがまた皮肉と自嘲に満ちた凄まじいもので、これはちょっとネタバレになってしまうのだが、要するに自分は選ばれた人間なのだ、と言うことを心のよすがにしていた八木を徹底的に痛めつけるのは、理不尽ないじめでもなければ非現実的なスナイパーの存在でもなく、彼が馬鹿にしていた日常つまりは現実の修羅場であり、それに対する自分と言う存在のちっぽけさと言う事実そのものであったと言うことがあまりにも皮肉極まりないと思う。その痛みは本質的には松浦純菜そのものがもたらしたものではなく、彼が味わう恐怖、怯惰、羞恥、それこそが最大の敵であったということなのだ。現実においては、彼は好きな女の子に誤解されたとしても、それを追いかけて誤解を解くことさえも出来ないヘタレ、真の意味で駄目男であると言う事実があって、それを取り繕うことは、どんな不死身の能力があっても出来ないのだ。この物語は非現実、つまりはフィクションの世界に逃げようという強い志向性を持ちながらも、それでもなお現実は容易に追いついてくる絶望感こそがこの物語の真のテーマであろうと思った。

まあとにかく浦賀和宏サイコー、と言うことで。

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