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2006.09.26

『七姫物語 (第4章) 夏草話』読了

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七姫物語 (第4章) 夏草話』(高野和/電撃文庫)読了。

素晴らしく面白かった。

この作品はやはり文章がとても良いと思うのだけど、群像劇としてもさらに面白くなってきていると思う。前回で動乱の幕開けによって7都市七姫の関係も激変するかと思いきや、今回はそれぞれの勢力が外交を通じて牽制しあうという流れは、どこと無く嵐の前の静けさのような不穏さを秘めているように感じた。執拗に繰り広げられる外交、謀略の渦はまだ始まったばかり。今後の展開に期待させられる。

そしてそんな状況とは関係なく、空姫ことカラスミは、ただ自分が知らない世界を知り、新しい場所に向かい、出来なかったことをささやかに出来るようにする。小さくあせらずゆっくりと、だが決して倦むことは無く、前だけをひた向きに見つめる彼女の姿に、ひた向きで強く、そして危うくも不安定。揺れ動く心を素直な気持ちで受け止める彼女の描写は相変わらず繊細でよいものでした。

追記
続刊が出るのにやたらの時間がかかるこのシリーズだけど、量産できるタイプの作品ではないのは明らかなので、ゆっくりじっくりと質を落とさないようにしてくれればなにも言うことは無いですね。

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コメント

文章や登場人物の語り

”紡ぐ”という表現が印象的で象徴的な
作品だなあとおもいました

普通の群雄割拠小説とはちがい
(この種の小説あんまり読んでませんが)

カラさんの視線からみた傍観者的な印象が
ゆっくりと成長して自分の意思を含んだ
主観的な語りがじょじょにあらわれてくる

なんとも気持ちいい作品だなあと

クロハさんとの出会いと
その後にどういう思いからか
涙をながすカラさん

このシーンが好きです

投稿: 蟻 | 2006.09.27 10:11

もともと戦記小説を一人の少女視点から見るという一風変ったコンセプトの作品でしたけど、最近はだいぶカラスミの視点から離れて、広い視点から描かれることが多くなってきていますけどね。そのあたりは読者にとっても評価の分かれるところかも知れません。それでも、時折ふと見える少女小説的なモノローグ部分が面白い作品だなあ、と思います。

投稿: 吉兆 | 2006.10.04 22:17

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