« 本を選択する基準 | トップページ | 『月光とアムネジア』読了 »

2006.08.16

『川の名前』読了

415030853501
川の名前』(川端裕人/ハヤカワ文庫SF)読了。

なるほど、これがセンスオブワンダーと言うものか、と感じ入った。

はっきり言って超常的な存在や時間的な未来、超科学などのような一般的なSFはまるで出てこない作品である。それどころか現代の、とある田舎の、平凡よりはちょっと外れた少年たちが主人公の、平凡な、しかし極上のジュブナイルである。だが、その事実はこの作品がSFであることとなんら矛盾はしない。まあ、いまさら僕が言うべきことではないのかもしれないが、センスオブワンダーと言うのは、われわれが当たり前の常識と思っていることから、わずかに視点をずらすことで、それまでとはまるで異なった世界が広がってくると言う、当たり前ではない世界は現実の隣り合わせで起こりえるのだと言う感覚ではないかと思うのだが、”川の名前”と言う概念こそがまさしくその感覚に近い。何の変哲もない現実が”川の名前”によってより多くの世界につながっているのだ、と言うことへの認識のパラダイムシフトへつながる瞬間の高揚感は、言葉では言い表せないものがあった。

大変面白かった。

|

« 本を選択する基準 | トップページ | 『月光とアムネジア』読了 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/29313/11295159

この記事へのトラックバック一覧です: 『川の名前』読了:

» 世界 [http://10tyouget.livedoor.biz/index.rdf]
世界 [続きを読む]

受信: 2006.08.17 15:29

« 本を選択する基準 | トップページ | 『月光とアムネジア』読了 »