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2006.08.13

『黒いカクテル』読了

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黒いカクテル』(ジョナサン・キャロル/創元推理文庫)読了。

すげえ!なんだこりゃ。めちゃくちゃ面白い。

ダークファンタジーの書き手として呼び声も高い(らしい…。実は初読なんでよくは知らぬ。すまん)ジョナサン・キャロルの第二短編集。不条理で、理不尽で、残酷でありながら妖しいきらめきを閉じ込めたような作品集でありました。読みながら無理矢理に幻想に引きずり込まれ、悪夢めいた予感に苛まされながら読むのがぜんぜんやめられない。怖いもの見たさ、と言うのともちょっと違っていて、僕の読解力の問題か、そもそも何が起こっているのかさっぱりわからない話も多いのだけど、物語の行き着く先がどこになるのか見極めずにはいられない力がこの作品にはあると思った。好きな作品をいくつか上げると、「卒業生」などはいかにも悪夢のような理不尽さの中で、悪夢から抜け出せなくなってしまう恐怖が描かれていてたまらなかった。本当に背筋がひやりとする。「あなたは死者に愛されている」は最初に読んでいる読者の視点が、進むにつれて”変容”していくのが恐ろしい。「砂漠の首輪、ぶらんこの月」は非常にセンシティブな美しさに満ちた逸品だと思う。一瞬の輝き、みたいな。「黒いカクテル」誰が嘘をついているのかわからず疑心暗鬼になっているあたりは見事なサスペンスホラーになっているのだけど、最大の恐怖は”つながりたい”と言う欲望がもたらす決定的な”特別でなさ”があまりにも悲劇的過ぎる。思わず叫び声をあげてしまったよ。

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コメント

 木村航さんもお好きな作家のようですよ。

投稿: pontaka | 2006.08.15 17:38

全然知りませんでした…。

いや、桜庭一樹の帯のコメントを見て買ったというのが正直なところでして、そもそもどんな作家と言うことさえ知らなかったのですね。

投稿: 吉兆 | 2006.08.15 23:49

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