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2006.08.12

『煌夜祭』読了

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煌夜祭』(多崎礼/C・NOVELS)読了。

これは素晴らしい”物語”だ。僕がひたすらに本を読み続けるのは、時に現れるこういう作品に出会うためだった、といってしまいたくなるぐらいにこの物語は素晴らしい。

深い深い夜の闇の中で、焚き火の明りだけをよすがに語り次がれる物語。それは、人間が闇に押しつぶされないように、過去の悲劇を未来の希望へいざなうために紡がれるもの。つまり物語とは祈りであり、贖罪である。

二人の語り部は焚き火を挟んで物語る。魔物と呼ばれたものたちの、怒りと悲しみと愛の物語を語る。二人の語り部が語る物語は、過去の罪と悔いを暴き出す。それぞれが語る物語は、少しづつ少しづつ絡み会い、そして一つの祈りへと昇華するのだ。

過去にあった幼い恋も、苦い後悔も、深い悲しみも、焼け付くような憎しみも、すべてを受け入れ、次代に伝える。
本当に伝えるべきもの。それは過去にあった”願い”そのもの。理想を目指し、潰えた希望の残骸。残骸を掘り起こし、育む。それが語ると言うことであり、”種を蒔く”と言うことだったのだ。

それが希望だ。それこそが生きる意味だったのだ。

そう思えた人生こそは幸いである。

”かの人”の生きた道こそそうであったと、僕は信じる。

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