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2006.08.21

『ヒドラ HYDRA (1)』読了

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ヒドラ HYDRA (1)』(吉田茄矢/富士見ミステリー文庫)読了。

いや…これはどう考えても変な話だ。
一言で説明してしまうのならばサスペンスホラーと言うジャンルである(ミステリーではないのはもはや常道だ)。人里はなれた村に謎めいた姉妹がやってくる。その少女たちにはある秘密があった。彼女らの秘密が隔離された世界を少しづつ少しづつ侵食し始めると言う話。登場人物たちがどいつもこいつもエゴ剥き出しで好感度最悪のやつらばかりなのだが、そのエゴの書き方が必ずしも悪意に基づいているわけではなく、たんにそれぞれが自分のことしか考えていないからと言う割り切り方が心地よい。人間クソッタレという感じだ。主人公と兄の確執も、単に誤解と言うわけではなく、根本的な部分で分かり合えていない断絶があって、それは作品のキーとなる姉妹にとっても深遠なる断絶が存在しているところから、おそらくこの作品は”断絶”がテーマとなっているのであろうと推測できる。世界から切り離された空間と、分かり合えない人々の中で、それを乗り越えるためのあがきこそが”姉”が行っている行為なのであろう。そしてそれとは違うアプローチで断絶の乗り越えようとするのが主人公と”妹”が行うことになるわけで、なかなか計算された展開と言うところはまず素晴らしいのではないかと思う。本当に計算ならば、だが。

実は僕は読んでいる最中にずっと”不快感”を感じ続けていたのだが、その理由はキャラクターの描き方の奇妙な軽薄さにあったのだが、それは上っ面でしかしゃべっていないと言うのか、それぞれがしゃべっている言葉が単に”言葉”であるだけで、厳密には”会話”が成り立っていないと感じたのである。当初はそこから明らかな失敗作であると思ったのだが、前述の作品のテーマに関わっているのかも知れないと思うと単純に断じるわけにも行かないと感じるようにもなった。

実はまた2巻を買っていないのだが、本当に計算なのか、天然なのか確かめてみようかなと考える今日この頃である。

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