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2006.07.01

『さよなら、いもうと。』読了

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さよなら、いもうと。』(新井輝/富士見ファンタジー文庫)読了。

まあ普通に面白い。

奇跡とか魔法とか、そういうものに対する冷めた(言い換えれば、当たり前のものとして感じる)姿勢に作者への同時代人としての共感を感じる。まあそれは本題ではないのだが。魔法だろうと奇跡だろうと、ただそれらは、登場人物たちの葛藤を表層化した設定に過ぎないわけで、妹に好きと言われてしまった主人公が、そに向き合わざるを得なくなり、そしてあまりにも女であり(そして大人として先を行かれてしまった)妹に対して、どこにもいけない自分自身の焦りを見出してしまう、というあたりが相変わらずに新井輝だった。しかし、きちんとモラトリアムからの脱却という健全なテーマに持っていったあたりは意外な印象もある。おかしいな、この作者が成長物を書くと、どっかで何かが破綻するのが常なのに…(ひでーな)。

登場人物たちにもぶっ壊れている人物はあまりいないし、本当に揺れ動く少年少女の物語になっているのには好感度が高いかな。あるいは、その筋の人たちにはとっては『眼鏡』、『妹』、『幼馴染』などなどの記号にも萌えられる萌え小説なんだろうか? 僕にはあんまりそういう話とは思えなかったんだが…。

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コメント

読んだ。

とりあえず、一人焼肉はしたくないよなぁ。
と思った。

投稿: みしまっち | 2006.07.06 20:03

一人クリスマスに匹敵かそれ以上かもしれないなあ…。

投稿: 吉兆 | 2006.07.17 11:22

なに俺たちにはハイパーセルフプレジャーがある。
一人だって寂しくないさ。きっと。


…だといいなあ。

投稿: 背徳志願 | 2006.07.19 23:01

ハイパーセルフプレジャーってなんかの必殺技みたいだよねってこのブログの品性を貶めるのはやめてください(何を今更)。

投稿: 吉兆 | 2006.07.22 01:08

ハイパーセルフプレジャーとは、言葉通り“超自我による悦楽”という意味であり――つまり、肉欲を捨て自身をアガペー的な愛情に委ねる事を意味します。
近代においてはニーチェの超人思想にも記載されていたという由緒正しい自己修身方法のひとつである。

投稿: 背徳志願 | 2006.07.22 11:46

>ハイパーセルフプレジャーとは、言葉通り“超自我による悦楽”という意味であり

何が言葉通りだ。いきなり間違っているじゃねえか。

投稿: 吉兆 | 2006.07.23 11:17

もう約20回は読んだと思います。
何回読んでも、何回思い出しても感動です。
死んだらどうなるかわからない。死は私たちの日常に部類されることを再確認させられました。

投稿: nega | 2012.01.12 22:04

人が死ぬことはフィクションではなく、さらに特別なことはない。最近の世相を見ていると、確かにそういうことを実感します。

ただ、この作品を読んでから時間も経ちましたが、最近はやはり死とは特別なことなのではないか。あるいは特別でなくてはならないのではないか、と言う気もしてきました。常に死を背負い続けるのは、やはり人間として正しくないのではないかと。まあ正しさなんて人それぞれが背負えばよいことですが。

投稿: 吉兆 | 2012.01.14 10:27

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