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2006.07.31

『斬魔大聖デモンベイン 軍神強襲』読了

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斬魔大聖デモンベイン 軍神強襲』(古橋秀之/角川スニーカー文庫)読了。

まあはっきり言って面白い。ただノベライズの宿命ではあるんだけど、物語の日常部分がごっそり抜け落ちていて、キャラクターをろくに描写しないのはマイナスだよなあ。事件発生から解決までのシーケンスが流れるような巧みさでスピーディーに進むのは素晴らしいと思うけど、もうちょっと骨格以外を読みたかったよ。まあドンパチ具合のエスカレートしていくのはなんだかんだ言ってもやっぱり楽しいけど。火星人の襲来ネタをデモンベインでやっちゃうあたりもさすがだと思いました。でもなあ、これ底本となる「火星人の襲来」を知らないと何一つ面白くないような気がするんだが。個人的にはトリポッド(とか書いちゃう俺)VS蒸気列車ロボの対決なんて腹を抱えて大笑いしてしまうぐらい熱いシチュエーションなんだが、思い入れが無い人には超スピーディーな活劇にしか過ぎないもんなあ…。古いSFファン向けのパロディの側面が強いですな。

あと、デモンベイン信者の一人としては、最後の情け容赦のない決着(未満)の落とし方には感涙に咽んだ。素晴らしい。どうしようもない理不尽に対する希望の描き方がいかにもデモンベインぽかった。

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2006.07.30

体調不良(絶賛継続中)

いつまでたっても改善しないなあ。思考力も気力も低空飛行でたまらんわい。それでも本だけは読めるんだけど(ていうかそれしか出来ない)。

1.『未来日記』 えすのサカエ  角川書店

わりと面白い。未来日記というアイディアもさることながら、主人公やヒロインの造型がなんとも言えない。それぞれが持つ歪みが未来日記の能力に反映していると言う部分が面白い。彼らにとって、そこが乗り越えるべき(あるいは乗り越えられないのかもしれないが)試練と言うわけだ。

2.『斬魔大聖デモンベイン 軍神強襲』 古橋秀之 角川スニーカー文庫

面白いけど、どうもう古橋秀之のノベライズは、余計なものがそぎ落とされすぎで愛想が無いなあ。結局、古橋秀之という作家は、非常に技巧的であるがゆえに、物語に載せるべきテーマや情念が無くても書けてしまうのが問題だ…。

3.『薔薇のマリア Ver.1 つぼみのコロナ』 十文字青 角川スニーカー文庫

コロナ編か。一巻で結構目立っていたわりに本編に何一つ絡まないと言う不思議な背景キャラクターだったコロナにスポットが当たるわけですか。積極的に薔薇マリ世界を広げようと言う意図を感じるので個人的にはこういう外伝というのは好きだな。

4.『骨王(ボーン・キング) Ⅰ.アンダーテイカーズ』 野村桂 角川スニーカー文庫

スニーカー文庫の新人の中では、唯一読んでみようかなという気にさせてくれた。まあ現代学園異能テンプレートっぽい感じはするのだけど。

5.『plupⅢ』 森橋ビンゴ ファミ通文庫

ん?もう完結編か。早いなあ。

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『暗黒は我を蔽う マジカル・シティ・ナイト』読了

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暗黒は我を蔽う マジカル・シティ・ナイト』(朝松健/GA文庫)読了。

小学館スーパークエスト文庫より刊行されていたシリーズの完結編。というか小学館スーパークエスト文庫って覚えている人がいるのか?ますますGA文庫の方向性に不安を覚える毎日です。まあニッチな部分をついているとは言えなくも無いけど。

中身はいつもどおりのライトハードボイルド調。主人公の<騎士>(まあマジカルシティにおける刑事ですな)である鈴木勉こと通称ベンが、マジカルシティを騒がす『向こう側』からの犯罪者に立ち向かうと言うのが骨格なのだけど、マジカルシティという存在の不自然さ、ベン自身の存在の不確かさなどが背景にあって、一般的な意味でのハードボイルドではないけど、ぬけぬけと”猫魔法”と言っちゃったりする厚顔さがかなり笑える。そのまんまじゃねーか!

ところで久しぶりに読んだせいか、けっこう登場人物を忘れていることに気がついた。一番まずいのが(今回は出番は多くないものの)ヒロインであるトベラをすっかり忘れていたこと。おぼろげな印象だけはあるのだが…どんな活躍をしたのかさっぱりだ。

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2006.07.29

自分の思考力が鈍っていることは自覚しても改善の手段が思いつかない

本当に良くない。思考力が鈍りすぎて、そもそも日常会話すら出来なくなってきた。絶賛不調中。

1.『はやて×ブレード(5)』 林家志弦 メディアワークス

相変わらず会長が超絶ステキすぎる。マジラブ。ところで子供時代の会長と静久の印象が、現在では逆転しているのはなにかしらの伏線なんですかね。

2.『ガンスリンガー・ガール(7)』 相田裕 メディアワークス

ペトルーシュカとサンドロの関係が、この作品にあるまじきほどに”健全”であることに驚愕の念を禁じえない…。この二人、仕事とプライベートをきちんと区切り、お互いの考え方の相違を受け入れると同時にお互いを尊重し合っている。それも相互依存にならない関係で。これはサンドロが偉いんだなー。

3.『少女ファイト(1)』 日本橋ヨヲコ 講談社

うーん、うーん。日本橋ヨヲコの漫画は、体調が悪いときに読むもんじゃねーな。いきなり「生き方が雑だな」なんて台詞が飛び足したりして心臓にわりーよ。致死性だよ。単純に”面白い”とは言えないタイプだけど、凄い作品を書く漫画家だと思う。

4.『トライガン・マキシマム(12)』 内藤泰弘 少年画報社

クライマックスの一歩手前?ずいぶん前から続いているような気がしてた…。

5.『ヘルシング(13)』 平野耕太 少年画報社

ま、「トライガン」もこの作品ほどじゃないけどな。

6.『HOLY BROWNIE(4)』 六道紳士 少年画報社

見もふたも無いオチが多くてなんか好き。あとぶっちゃけエロい。

7.『ヴェアヴォルフ オルデンベルク探偵事務所録』 九条菜月 C☆NOVELS

カッパノベルスを久しぶりに買った。特に感想は無い。

8.『煌夜祭』 多崎礼 C☆NOVELS

なんか僕好みっぽい。

9.『アラビアの夜の種族ⅠⅡⅢ』 古川日出男 角川書店

おお、古川日出男の本だと思って喜び勇んで購入したのだが、冷静に考えてみれば『アラビア~』はすでにハードカバーを3回ぐらい読み返しているのだが、そんなことはもちろんどうでも良いことなのであった。もちろん読みますよ。

10.『ダークタワーⅥ スザンナの歌(上)(下)』 スティーヴン・キング 新潮文庫

第一印象が「薄っ!」だったのはまさしくキングマジックに相違ない。てゆか上下巻で薄いはないだろ、自分。

11.『狂乱家族日記 六さつめ』 日日日 ファミ通文庫

ああ、また買ってしまった…。もうここまで来たら完結まで付き合うよ…。

12.『流血女神伝 喪の女王(4)』 須賀しのぶ コバルト文庫

しかしこれは一体どういう落とし方をするのだろう…。ストーリーが混迷を極めていて、先がまったく読めない。サルベーンがまたしても裏切りをしてしまったしなあ…業が深いやつ…。

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2006.07.28

『暗殺者ヴラド・タルトシュ 虐げられしテクラ』読了

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暗殺者ヴラド・タルトシュ 虐げられしテクラ』(スティーブン・ブルースト/ハヤカワ文庫FT)読了。

相変わらず面白いのだが、主人公の固ゆで野郎ぶりにますます拍車がかかっていて、最愛の妻と険悪になろうとも頑なに自分の価値観を曲げない一徹ぶりが格好良いやら歯がゆいやら。相手にも一分の理があると認めつつも己の大切なものを守るためなら非難と中傷、そして大切なものを傷つけることさえ厭わないなんてハードボイルドを通り越して単なる頑固者であるな。全編に渡ってヴラドの意固地さが目立っていて、全体的なトーンがまあギスギスすることすること。ひたすら夫婦喧嘩が続く話ではあるのだが、本当に最後まで夫婦喧嘩の話でした。帝国と反帝国組織の暗躍が巻き込まれる主人公、と言うのはいかにもハードボイルド冒険小説のような話なのにすべてが夫婦喧嘩の裏側に隠れてしまっている…なんだこりゃ…。

でもある意味面白いなこれ(趣味悪い)。

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2006.07.27

『串刺しヘルパーさされさん ~呪われチルドレン~』

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串刺しヘルパーさされさん ~呪われチルドレン~』(木村航/HJ文庫)読了。

あーこれはあれだな。作者はきっと熱血人情浪花節がやりたかったんじゃないかと思うんだが、そのための舞台装置としてあるのが、それぞれの傷痕としての「呪い」と言う時点で明らかに何かの”箍”が外れておる。呪いはより強大な呪いによって打ち負かされると言うあたりも、一体何が言いたいのやらバレバレだぜという感じなのだが、”串刺し”と言う超弩級の「呪い」持ち(そしてそれは、そのまま傷痕の深さでもある)である”さされさん”が、そういった呪いを打ち負かして無理矢理めでたしめでたしを迎えちまおうぜと言う、明らかに物語としてはテンションに任せすぎであり、あらゆる問題は闘争と対立と気合と根性でねじ伏せる(あるいは止揚する)くだりは、明らかにライトノベルとしては間違っている。うだうだ悩んだって答えは出ねーぞ、と言うのは、まあ確かにそうなんだが、それを言っちゃあ見もふたもねえよ。文章も相変わらず癖が強いし、これまた賛否両論がありそうな話だな。キャラクター小説としても、せっかく”呪い”と言うキャラクター付けとしてはいかにも記号的に使おうと思えばいくらでも使える設定をしておきながら、最終的に全部うっちゃって物語を完結、舞台をぶっ壊せ!と言う展開だし。相変わらず物語に喧嘩を売っておるなあ、とは思うものの、生半可な物語など砕いて壊し、人の持つ情念の力で世界を捻じ曲げようと言う壮大なぶっちゃけ具合と言い、まさに僕の好きな物語そのものでありました。

上手くは言えないのだが、木村航という作家には僕の”物語”に対するアンビバレントな感情を救い上げてくれると言う意味で特別な作家なのだ。僕はビルドゥンクス・ロマンはとても好きだけど、ときおり糞だと思うことがあり、またそもそも”物語”と言う存在も、こよなく愛するとともにぶち壊してしまいたいと言う破壊願望がある。まあ、つまりそういう作品ばかり書く作家なんだろうなあ、と勝手に思っているわけです。

以上。

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2006.07.25

『ゴールドベルグ変奏曲』読了

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ゴールドベルグ変奏曲』(五代ゆう/HJ文庫)読了。

五代ゆうアーカイブス。まあ要するに五代ゆうの未発表作品と言うわけだ。まあこんな機会でもなければ発表されることは無かったかもしれないのだから、感謝するべきなのかもしれない。まあなんか騙されたような気もしないでもないが。

中身については完璧なまでに五代ゆうの小説だった。外面的にはSFっぽい世界観で、五代ゆうにしては珍しいかなと思っていたが、あれよあれよと言う間に幻想に満ちた世界に誘われてしまう。この世ならぬ何かを追い求めさまよう人々の姿を幻想味豊かに描き出す手腕はこのころから健在だったのだなと感心する。でもぜんぜんライトノベルじゃないけど、もちろんそんなものはまったくマイナスでもなんでもなく、単にSFファンタジー(って何だろう?)として読むがよろしい。どことなく古き良き少女マンガの世界にも似ている気がするな。

クライマックスからラストにかけての世界が揺らいでいくような描写が五代ゆうファンとしてはたまらない。ラストシーンの幻奏は、その名に恥じぬ美しさだったけど、まあまだちょっとおとなしい感じもした。まだ幻想がまだまだ描写にとどまっている感じ。今の五代ゆうならもうちょっと別の方向に行っているかもしれない。

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2006.07.24

『バイトでウィザード 双子の飼育も銀玉次第!』読了

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バイトでウィザード 双子の飼育も銀玉次第!』(椎野美由貴/角川スニーカー文庫)読了。

本編のところが凄い良いところで終わっている『バイトでウィザード』の短編集。大抵はドス汚れている人間のドス黒い本性が赤裸々に明らかにされるどうしようもない作品が多いのだが、今回は比較的まともに良い話が多かったように思う。何があった。

とりあえず、普段はあまり活躍しない双子の父ちゃんの話が一番安心して読める。あまりにも適当な子育てに意外な子煩悩ぶりが明らかになったりなにかと楽しいような気がするけど多分気のせい。父ちゃんも駄目だが母ちゃんもかなり駄目なんだが、気になるのが姉ちゃんの存在な。母ちゃんはなんとなく人物像が見えてくるのだが、姉ちゃんがぜんぜん見えねえ。とてつもなく気になる。

しかし、全体的に毒が少ないので書くことが思いつかないな…。

<追記>
このシリーズにおいて特異な点は、徹底して家族と言うものを拒否しているところなのではないかと思った。主人公たちにとって父ちゃん以外の家族の登場シーンは絶無に等しく、またその他の登場人物たちも、兄弟ぐらいまではともかく、親の存在がほとんど見られない。しかし、描かないのではなく、その存在があると言うことを匂わせながらも、なぜか物語上での描写が欠落している。この作品には、父性、母性と言うものが(と言うか根本的に無条件の愛情というものが)完全に欠如しているのだ。そのためか、この作品においては、世界は無味乾燥で、冷たい拒絶が基調としてある。拒絶された世界に取り残された主人公が、その拒絶にどう立ち向かうのか、あるいは立ち向かえないのか、と言う点がこの作品の焦点なのかもしれないと思った。

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び、びっくりしたぁ…

1.『戦う司書と神の石剣』 山形石雄 スーパーダッシュ文庫

何がびっくりってそりゃあんた、帯に「石雄よ。オレがが味方だ!」などと荒木飛呂彦がコメントを入れている事実!荒木飛呂彦御大、読んでいるのかこれ…。

2.『紅~ギロチン~』 片山憲太郎 スーパーダッシュ文庫

うう…つ、つらいよう…胃が痛いよう…主人公の真九郎くんの生活を見ているのがストレスが溜まるよう!ああもう、ちゃんと就職するときは事業内容を確認しろよ!世間の評判を調べろよ!自分一人で抱え込まないで、ちゃんと銀子に調査を依頼しろよ!ぬがががががががー!!ああもう…とてもじゃないけど危なっかしくて見ていられない…。まわりの大人がことごとく放任主義なのがまた…。
喫茶店でキャッチセールスにみすみす引っかかろうとしている人の隣に座ったような気分だ…。

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2006.07.23

『少女七竈と七人の可愛そうな大人』読了

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少女七竈と七人の可愛そうな大人』(桜庭一樹/角川書店)読了。

これは、単純に言ってしまえば、少女が生まれ育った町を、友人を、思い出を捨てて旅立つまでの物語なのだろう。ある地方都市において、彼女を異形とまでなさしめるほどにうつくしい少女である七竈は、美しすぎるがゆえに生じる世界からの孤独感と、孤独を分かち合う少年と心を通わせる。しかし、彼女の母が為した行為は、七竈の身にも常についてまわり、彼女の狭い世界において、さまざまな感情の軋みを淀ませる。世界から生じる、悪意とも善意ともつかない、ただ激しい感情を前に、七竈は静かに対峙し、時に戦い、許し、逃げ出そうとする。それら苦難は、七竈が「少女」であると言うことと密接に結びついていて、子供でもあり大人でもあると言うあいまいな立ち位置が、彼女の世界を周囲の大人たちによって自由に消費されてしまうという現状に、強烈に否を唱えるものの結局は流されてしまう無力感をもたらしている。そんな世界を打破するために、少女は旅立たなくてはならなかったのであり、それはすべてを捨てて逃げ出す行為と同義であろうとも、それでも彼女は抜け出さなくてはならなかった。多くの人を傷つける行為であるとわかっていても、かつてあった最良のものを捨てる行為であったとしても。彼女がその選択を後悔する時があるのかもしれないし、あるいは過去を振り返ることもしないかもしれないが、それでも旅立った。その選択を肯定していたのが、同様に、世界に対する無力に抗った、それゆえに多くの人を傷つけた七竈の母親であったと言うところは興味深い。母親にとって、七竈は行為の結果であり、彼女の選択がいかなるものであったかの答えそのものだ。七竈が決断を下したことで、母親にとっても必要なものを得たのかもしれない。だから母親は家に戻り、旅をやめる。彼女の旅は終わった。そして七竈の旅はこれから始まる。「少女」から脱し、異形から平凡へと至る道を、秀麗から老残へなさしめる道を歩み始めるのだ。To be continued!戦いは続く。

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『サーラの冒険(6) やっぱりヒーローになりたい!』読了

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サーラの冒険(6) やっぱりヒーローになりたい!』(山本弘/富士見ファンタジア文庫)読了。

『サーラの冒険』シリーズの10年越しの完結と言うことで感無量である。まあしかし、完結と言っても大して何がしかの物語が終わったわけでもなく、一区切りといったところではあるけれども。一応それぞれが悩んでいたことにけじめをつけられたのだから、まあ良いかなとは個人的には思う。

普通の少年であったサーラが、英雄になりたいと熱望し、いろいろな苦難を乗り越えていくと言うのが基本的なストーリーラインなわけだけど、最終巻にいたって山本弘のベタさがちょっと表に出すぎてしまった印象がある。読者の変化を考えに入れても、最終的にすべて”愛”で片付けられてもちょっと困るぜ!愚直でストレートとはいえるけれども、山本弘のこういう楽観的なポジティブさは鼻につかないことも無いなあ。

まあ「驚きの展開」などと言うものはこれっぽっちも無いが、「驚きの展開」しかない、読者を驚かせることしか考えていないインパクト重視のおはなしもちょっとどうかと思うので、一概にベタさを否定するわけにも行かないのだけれでも。まあバランスが必要なのかなー。

ともあれ、キャラクターは魅力的で(とりわけ悪魔っ子ヒロインと化したデルはなにやら不健康な感じのエロスを放ち始めましたね…)、ただただ楽しめた作品であることには間違いない。完結してくれたことには素直に感謝したい。

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2006.07.21

『射雕英雄伝(5) サマルカンドの攻防』読了

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射雕英雄伝(5) サマルカンドの攻防』(金庸/徳間書店)読了。

半年ほど前に購入したもののそのまま部屋のどこかに行方不明になっていた本を、先日ようやく発掘したので喜び勇んで読んだ。決して神鵰剣侠の文庫版が出ていることをすっかり忘れており、あわてて探したなどと言う事実は決してなく、そのようなデマを流すものは月光蝶にでもあたって黒歴史化するべきだと思うってお前だよ。

内容としては相変わらずの金庸としか言いようがなくただただひたすら面白かったとしか言いようが無い、などと明らかに面倒くさがっていることが見え見えの書き出しで始めてしまったが、本当に他に書くことがないんだもんよ。今回はどちらかと言うとチンギスハーンの金征服の話が中心であり、歴史ロマンとして読み方が出来る内容になっていて大変結構なことであるが、その中でくっつきそうでなかなか状況がそれを許さない郭靖と黄容のラブカップルのベタベタさを味わうもよしと見事なまでの金庸小説であった。生真面目な郭靖に対して、あまりにもフリーダム過ぎる爺さんおっさん世代のハチャメチャな大活躍(そしてあらゆる苦労を背負い込む郭靖)を楽しむ小説でもあるような気がする。まあいろんな読み方が出来る作品で大変結構なことですね、ってそれでまとめたつもりか!まあいいや。

とにかく面白かった。

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最近気がついたのだが

どうやら僕はメタメタなお話が好きらしい、などということは神林長平や谷川流が好き(なんでよりによってこの二人を上げるのかなあ)な僕にとっては何をいまさらと思われるかもしれないが、しかし今頃気がついてしまったのだから仕方がない。でもベタベタなお話も好きよ?ってどっちやねんってそんなの全部に決まっているだろうが!と逆切れをする今日この頃だが、最近昔に比べて富みに頭が悪くなっていてこの文章も相当に滑っていると言うことは自覚するけれども書き直すのも面倒なのでもう良いや。

1.『ソラにウサギがのぼるころⅡ』 平坂読 MF文庫J

ツンデレ作家の異名を(僕の脳内では)ほしいままにしている作者らしい作品と言うか、作品世界をすべてツンデレで解釈しなおす口絵部分の人物紹介がさすがだった。無論、作者「ツンデレ(読者に)」という作者紹介は欠かせませんね。

2.『カズムシティ』 アレステア・レナルズ ハヤカワ文庫SF

圧倒的なサイコロステーキぶりを見るにつけ頬が緩むのが抑えられない、などと上品ぶってもしょうがないぐらいににへらとしていたという自覚があるのだが、自覚などと言うのは結局のところ主観の産物であって、常に客観とのすり合わせを行っていくことでかろうじて証明しうるのだなどということは心底どうでも良い。

3.『ティンカー』 ウェン・スペンサー ハヤカワ文庫SF

正直なところを申し上げるとエナミカツミの描くタンクトップのメカニック美少女のイラストについうっかりふらふらと手が伸びてしまったと言うのが真相なのだが、よくよく帯を見てみると「SF+ファンタジィ+恋+冒険!」だの「天才美少女ティンカーが大活躍!」などと書かれており、ハヤカワ文庫もとうとうここまで来たのかと思うと感慨深い…のだろうか?

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2006.07.20

体調は悪いがテンションは高い

テンションが下がったときが恐ろしい…。

1.『黒いカクテル』 ジョナサン・キャロル 創元推理文庫
2.『サーラの冒険(6) やっぱりヒーローになりたい!』 山本弘 富士見ファンタジア文庫
3.『フルメタル・パニック! サイドアームズ(2) 極北からの声』 賀東招二 富士見ファンタジア文庫
4.『史上最強の弟子 ケンイチ(21)』 松江名俊 小学館
5.『神鵬剣侠(1)(2)』 金庸 徳間文庫
6.『銃夢 LastOrder(9)』 木城ゆきと 集英社
7.『ZETMAN(7)』 桂正和 集英社
8.『新暗行御史(14)』 原作:尹仁完 漫画:梁慶一 小学館

文章を書く気力が沸きませぬ。と言うわけでコメントはなしです。

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2006.07.18

『RUN RUN RUN』読了

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RUN RUN RUN』(山下卓/徳間書店)読了。

ファミ通文庫で『BLOODLINK』を書いていた山下卓の作品。買ったは良いが積みっぱなしになっていたのを、たまたま発掘したので読んだ。まあー見事なまでに世間から外れた人間の逃走と再生の物語になっていて、まあやっていることはいつもと同じような気もする。

人生が大変なことになっている人たちが、逃走して、態勢を立て直すまでを描いているのだが、本当に温泉に行くだけの話しであったりする。別段悲壮感もないし、どうしようもなく追い詰められているわけでもないが、追い立てられるように旅に出て、グダグダとおしゃべりをしながら自分の問題にゆっくりと取り組んでいくあたりが、やたらマイペースなのがちょっとおかしい。問題は結構深刻なんだけどね。

まあ作品としてはいかにも現代文学だなあ、という印象しかないのだが、むしろ山下卓はこういう作品への指向性を持っている感じで、あんまり違和感が無いなあ。

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2006.07.17

『額の宝石 ルーンの杖秘録Ⅰ』読了

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額の宝石 ルーンの杖秘録Ⅰ』(マイクル・ムアコック/ハヤカワ文庫FT)読了。

…おれ、昔読んだ時には何を見ていたんだろう…。

何の話かと言うと、読んだ印象がぜんぜん違うと言うか…なんか読むジャンルを間違えていたらしい。昔はごく普通のヒロイックファンタジーとしてしか読んでいなくて、もっと言うとエターナルチャンピオンシリーズの一編であるという印象しか残っていなかったのであるが、今回10年ぶりぐらいに読み直したところ驚くべき事実が発覚した。
 
 
これFF(ファイナルファンタジー)じゃん!
 
 
いや、その、機械と魔術に支配された異形の”暗黒帝国”とか、空を飛ぶ機械が飛び交う圧倒的な空戦シーンとか、迫る暗黒帝国に軍勢に対し、主人公ホークムーンが防衛するブラス城が超音波砲をぶちかましたり、また圧倒的な帝国軍に対してこうするレジスタンスとか、ちょっぴり常軌を逸した悪役とか、とにかく全編があまりにFF臭が溢れていてたまりません!

あと、随所に戦記物としての描写や群像劇っぽい描写もあるのがなかなか楽しいけど、これって本当にヒロイックファンタジーじゃねえなあ。魔術の扱いがほとんど科学と変わらなかったり、舞台が中世ヨーロッパ的な世界に超科学をぶち込んだみたいな世界だったりするので、ひょっとしたらパラレルワールドものでもあるのかもしれない。

全編にハリウッド映画的な荒唐無稽さとスケールの大きさがあって、すごくエンターテインメントをしているなあ、と思った。というか、これを映画化したらスターウォーズそのまんまですな。主人公がフォースが、とか言い出しかねないぜ!

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『DIVE!!(上)(下)』読了

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DIVE!!(上)(下)』(森絵都/角川文庫)読了。

しかし、今回の直木賞受賞は三浦しをんと森絵都かー…。とりあえず、三浦しをんが直木賞ってのはびっくり。いやーボイルドエッグズで滝本竜彦とかと一緒に日記を書いているのイメージが強くて…。いや、「しをんのしおり」はまだ続いているんだけれども。それにしても「しをんのしおり」は大変に頭が悪い日記で最高ですね…。直木賞受賞した翌週の日記のネタがゴ○ブリかよ…(筆者に敬意を表して伏字にしてみました)。
 

『DIVE!!』の話だった。

”ダイビング”という競技にその青春をかける少年たちの成長と友情、そして夢が交錯する物語。大人たちの事情に振り回されながらも、オリンピック出場を目指して戦う少年たちの葛藤が見事であった。一見スポ根もののような設定ではあるが、その実、周囲の期待からのプレッシャー、大人に利用されることへの違和感、夢と現実、そして友情と対立が、森絵都の爽やかな力強い文体によって描かれている。醜い感情があり、屈折がありながら、作者が少年たちを見るまなざしはどこまでも優しく愛情がある。おそらく作者の分身であろうダイビングコーチ、麻木夏陽子が見せる厳しさと裏腹のやさしさが、まさしく作者の視点そのままだ。時折、愛情が暴走して大変なテンションに突入することがあるが、そのテンションが作者の手にかかれば流麗なダイナミズムを獲得するのだから不思議だ。単に水面に向かって飛び込むと言う絵的にも小説的にもエンターテインメントとしてカタルシスを付与することが難しい題材を用いながら、そこには圧倒的な興奮が間違いなくある。飛び込むに至る少年たちの決断と、それにより得たもの、失ったものが、数秒でしかない一瞬に収束する事実が読者にとって明瞭に理解できるためであろう。過程が読者にもわかりやすく、感情移入たっぷりに描かれているので、読み手をいやおうなしに物語に引きずり込む豪腕が、この作者にはある。これは誰が読んでも面白いと言う意味で、非常に普遍的な、つまるところ傑作と言ってしまってもそう過言ではないのではないかと思う。

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2006.07.16

『鬼切り夜鳥子 百鬼夜行学園』読了

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鬼切り夜鳥子 百鬼夜行学園』(桝田省治/ファミ通文庫)読了。

ノンストップ伝奇アクションと言う感じで大層よろしいのだが、何かと言うとエロい展開と佐島真実の艶に走りすぎなイラストがとてもとてもすばらしいので、純真な10代に読ませたら妄想がひどいことになっておかしな性癖がつかないか心配です。・・・日本語がめちゃくちゃだな。

定められた当初の目的(5匹の鬼を討つ)が最後までまったくぶれないのは安定感があってよいのだが、正直なところ物語としてはストレートすぎるようにも思う。もっとも僕は二転三転どころかそのまま場外乱闘に突入をしてしまいがちな作品を好む伝奇脳の持ち主なので、自分でもあまり信頼がおけないが。ただ登場人物たちが最初から最後まで迷いが無いというのは読者の判断が分かれるところかも知れない。

ところで最後の落とし方がよくわからなかったのだけど、Webで感想を収集してみたら、どうやら作者がプロデュースした『俺の屍をこえてゆけ』関連の話だったらしい。あーやってないんだよなーあれ・・・。

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2006年上半期ライトノベルサイト杯

平和の温故知新@はてな主催【2006年上半期ライトノベルサイト杯】に投票をしてみる。まあ半年分だしたいしたことないだろうとたかを括っていたところ、予想外に難航し現在に至る。うーんうーん選べないよー。

以下、偏りまくった投票リスト。
1.【06上期ラノベ投票/4044710066】
2.【06上期ラノベ投票/475772604X】
3.【06上期ラノベ投票/475772716X】
4.【06上期ラノベ投票/4840234957】
5.【06上期ラノベ投票/4757726279】


1.『薔薇のマリアⅤ.SEASIDE BLOODEDGE』(十文字青/角川スニーカー文庫)
2005年度版で投票するのをうっかり忘れていた。不覚。(感想
 
2.『荒野の恋 第二部 bump of love』(桜庭一樹/ファミ通文庫)
荒野って本当に戦闘的だなあ、などという感想は多分的外れなんだろうけどそれぐらいしか言えないや。(感想

3.『ジャンクル!』(木村航/ファミ通文庫)
もう何がなんだかわからん!最高だ!!(感想
 
4.『シフトⅡ -世界はクリアを待っている-』(うえお久光/メディアワークス)
ゲームファンタジーハードボイルドの秀作。値段が高いのがネックだが、それを補って余りある。(感想
 
5.『永遠のフローズンチョコレート』(扇智史/ファミ通文庫)
僕の好みのど真ん中に剛速球で来た。(感想
 
 
 
えーと、以下選考に上がったもの。多すぎ。
一応全部感想は書いている…はず。

『二〇〇二年のスロウ・ボート』(古川日出男/文藝春秋)
『マキゾエホリック Case1:転校生という名の記号』(東亮太 /角川スニーカー文庫)
『タマラセ 幼馴染はドラゴンを喚ぶ』(六塚光/角川スニーカー文庫)
『円環少女(3) 煉獄の虚神(下)』(長谷敏司/角川スニーカー文庫)
『されど罪人は竜と踊る Assault』(浅井ラボ/角川スニーカー文庫)
『狼と香辛料』(支倉凍砂/電撃文庫)
『ぼくと魔女式アポカリプス』(水瀬葉月/電撃文庫)
『とらドラ!』(竹宮ゆゆこ/電撃文庫)
『私立!三十三間堂学院(3)』(佐藤ケイ/電撃文庫)
『半分の月がのぼる空(7)』(橋本紡/電撃文庫) 
『天使のレシピ』(御伽枕/電撃文庫)
『トリックスターズD』(久住四季/電撃文庫)
『ソラにウサギがのぼるころ』(平坂読/MF文庫J)
『侵略する少女と嘘の庭』(清水マリコ/MF文庫J)
『青葉くんとウチュウ・ジン(3) やってきた迷惑王女』(松野秋鳴/MF文庫J)
『銃姫(7) No more Rain』(高殿円/MF文庫J)
『ランブリング・カレイド <星穹の女帝>戦』(高瀬彼方・黒鉄アクセル/ファミ通文庫)
『カーリー ~黄金の尖塔の国とあひると小公女~』(高殿円/ファミ通文庫)
『夏期限定トロピカルパフェ事件』(米澤穂信/創元推理文庫)
『煉獄のエスクード(3) RHYTHM RED BEAT BLACK』(貴子潤一郎/富士見ファンタジア文庫)
『ブラック・ベルベット 菫咲くころ君を想う』(須賀しのぶ/コバルト文庫)
『上手なミステリの書き方教えます』(浦賀和宏/講談社ノベルス)
『銃とチョコレート』(乙一/講談社ミステリーランド)
『ガジェット・ポップ ~蒸気帝国騒動記~』(川崎康宏/GA文庫)

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2006.07.15

『狂乱家族日記 伍さつめ 』読了

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狂乱家族日記 伍さつめ』(日日日/ファミ通文庫)読了。

いい加減読みながら貶すのをやめようかと思っていたけど、あえて言おう。

一冊丸ごと使っておきながら、おはなしが何一つ進んでいないとはどういうことですか?(思わず太字を使っちゃったよ)
一巻丸ごとプロローグみたいな話で、まあ一応ネタバレみたいなこともあったような気がしたが、まあそれは本題では無いのだろう。つか相変わらず0.1秒で考えました的な設定を勢いだけで物語に組み込んでいるな…。相変わらずすげーぜ。これは皮肉ではなく、ここまで脱線を繰り返しているように見えて、物語としてちゃんと機能しているのに至っては、日日日には一体どんな神か悪魔がついているのかと思う。

まあ個人的には、流れるような文章には相変わらず良いが、いつにもましてキャラクターの葛藤がいまひとつだった。つか今回葛藤しているやつらっていた?マダラ?あれは葛藤なの?あとお前ら自分の悩みを解説しすぎ。おれは別にお前たちの悩みには興味は無ーんだ。言うだけじゃなくて解決のための行動をしろよ。

まあそんなことを感じながら読んでいました。終わり。

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2006.07.14

『失はれる物語』読了

失はれる物語』(乙一/角川書店)読了。

まあ全部すでに読んだことがあるけどな…、と言うわけで見事なまでに角川に踊らされております。もともと角川スニーカー文庫収録作品はそこで読んで、ハードカバー版『失われる物語』でもう一回読んで、文庫版でさらに読んでしまった…なんか文句ある?

まあ改めて読んでしまったところでは、やはり『手を握る泥棒の話』の出来のよさが光ると思う。強烈なインパクトを残すわけではないが、何度読んでも面白い。ご都合主義にしようと思えばいくらでも出来そうな設定なのに、主人公とヒロインの接点が本当にあれだけ、と言うのがいい。なんとも言えない余韻がある。

学生時代に一番好きだった『CALLING YOU』は、今読んでみるとかなり恥ずかしい。自分のぐるぐる空回っていたころのことを思い出してしまった。この話は、ある種の不安定な時期にだけひきつけられる類の物語なのだろう。まあ空回っているのは今でも変わらないが、なんだかんだで鈍感になっているからなあ。

『傷』はきつい。子供にすべての痛みを押し付けて逃げ出す大人とか、その痛みに耐え続ける子供とか、もうどうしようもなくいたたまれない。だって僕はもう大人なんだもんよ。子供に犠牲を強いる、強いてしまっているんだもんよ。

『失はれる物語』は…もうなんとも言えん。今の僕には孤独の中に埋没することは耐えられんのだ。この主人公の行為は英雄的さえいえるが、積極的に肯定は出来ないな。

『マリアの指』は実に乙一らしい青春ミステリのような気がする。

それにしても『しあわせは子猫のかたち』相変わらず完璧な作品だな!世界と上手く対峙出来ない主人公が、この世ものならぬ存在とのコミュニケーションを通じて一歩を踏み出すと言う話。コミュニケーションの距離感がこのころの乙一の特徴だったよなあ。

『ボクのかしこいパンツくん』については…ノーコメント。これは本当にトランクスを手に入れておかないと意味がないな。

そして問題の『ウソカノ』だが…うーん、なんと言ったものかな。結末の明るさとか前向きさとかは別にいいのだが、問題は”ウソカノ”の扱い方にある。主人公が好き勝手弄り回して勝手に傷を癒して、ぽい、か!まあ妄想の積極的肯定ってやつか?と思ったがそこには一抹のいやらしさがある。願望充足小説特有のやつだ。オタクにとっての妄想の価値、と言う感じがして、あんまり素直に受け取る気がしねーなー。

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人の幸福と言うのは視点に依存するものなのだなあ

タイトルにはさして深い意味は無い。ただ世界が灰色に見えるときと言うのは、世界が灰色なわけではなく、世界が灰色に見える視点に立っているに過ぎないのだけど、そこをが一番難しいことではある。まあとりあえず、顔を上げて人間と世界を”好きだ”と思い込んでみようじゃねーか。まずはそれからだ。

1.『ヒドラ(1)』 吉田茄矢 富士見ミステリー文庫

こ、これは…なんたる奇怪な作品だ…。ホラーのようなミステリのような人間ドラマのような…とにかく読んでいる最中に不快感にも近いざわつきを常に感じてしまった。いろいろ粗も多いのだけど、ちょっと面白いかも。

2.『抗いし者たちの系譜 逆襲の魔王』 
3.『抗いし者たちの系譜 虚構の勇者』 三浦良 富士見ファンタジア文庫

冒頭を立ち読みした時はあまりピンと来なくて、あんまり面白そうな気がしなかった…という話を背徳志願の師匠に話をしたら、「ふ…吉兆先生にはまだまだファンタジーと言うものがわかっていないな」とか言われた。いや…ファンタジーって…。まあそこまで言われたら買うしかない。踊らされているとも言う。で、面白かったのだが、問題は話しが短すぎると言うことだな…。ほとんど短編、良くて中篇じゃねーか、これは。

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2006.07.13

『バッテリー(5)』読了

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バッテリー(5)』(あさのあつこ/角川文庫)読了。

純粋な少年たちの聖域を描いた野球小説の文庫化も5巻目となる。もう少年たちの関係を描くことにのみあさのあつこの興味は集中しているようで、狂おしいまでに焦がれる少年たちの友情と葛藤が描かれている。

これまで己の才能を疑うことなく、ただボールを投げることだけを追い求めていた巧が、ついに豪と言う”他人”を認識し、その内面を知りたいと思うようになるというのは、物語としては重要な展開っぽい。つーか孤高の”天才”が”人”になっていく過程と言えなくも無いが、それってただの人じゃんと言う気もする。まあどんな人間であっても、他人を知りたいと言う欲望は持っていて、他の人間には興味は無いけどあいつだけは気になるみたいなギャップが萌え、とか(邪推のしすぎだ貴様)。

つか読めば読むほど少年たちの会話はありえねーっつーか。女っ気がぜんぜん無いストイックな男の世界の割には汗の匂いがしねー少女マンガ的耽美世界と地続きって感じなんだけど、男同士の執着が帰って熱血っぽい展開にマッチすると言う事実には個人的に驚愕でした。

あさのあつこってすげーぜ…。

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まったく持ってままならない。特に自分が。

ココログのメンテナンスがようやく終了したので更新してみるよ。

1.『うつうつひでお日記』 吾妻ひでお 角川書店

明るくうつうつとした日常が楽しい。

死のう。僕が。

2.『座敷童にできるコト(6)』 七飯宏隆 電撃文庫

最終巻、らしい。しかし、なんだこの煮え切らない最後は…。

3.『学園キノ』 時雨沢恵一 電撃文庫

時雨沢恵一の面の皮の厚さは見事と言うほか無い。

4.『哀しみキメラ(2)』 来楽零 電撃文庫

なんかやけに面白いような気がする。しかし本当に有川浩っぽくなってきたなあ。

5.『川の名前』 川端裕人 ハヤカワ文庫JA

これは早川から出ていたのか…。厳密な意味ではSFとは言えないが、視点の異なる”異世界”のワンダーを感じさせてくれるところが良い。

<追記>
これ前に購入報告を書いてるじゃん…。相当にテンパっているな…。

6.『学校怪談(2)』 高橋葉介 秋田文庫

高橋葉介の漫画はグロいくせにユーモアがあって、なんだかんだでキャラクターが魅力的なところが良いですね。しかし、しょっちゅう殺されまくる山岸くんが、だんだん肝が据わってきているような…。

7.『暗黒は我を蔽う マジカルシティナイト FINAL』 朝松腱 GA文庫

な、なんと…まさかこのシリーズの最終巻が読めるとは…と言ってもまだ続くけど。しかし、これはびっくりした。本当に。

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2006.07.09

『銃姫(7) No more Rain』読了

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銃姫(7) No more Rain』(高殿円/MF文庫J)読了。

今までセドリックたちが出会ってきた人たちが、彼の下に集うって言うのは、主人公たちがこれまで過ごして来た旅路が無駄ではなかったのだ、と言うことがわかってとても良いと思った。別にセドリックのためと言うわけじゃなくて、それぞれが自分の考えで行動していたらいつの間にか集まってた、見たいな力の抜け方が結構好みだった(特に一巻の彼女がさりげなく(?)登場したのは嬉しい限り)。

しかし、いい加減登場人物も相当に増えてきたのに、さらに新キャラを繰り出してくるとは侮れんなあ、作者…。チャンドラースの過去と絡めたエピソードもやたら面白くて、現在の複雑な関係を浮き彫りにしている感じが良く出ていたと思う。キャラを立てるのが上手いなあ…。あれだけですでにレギュラーみたいな印象を受けたよ、ジュディットは。

チャンドラースとジュディエットの関係とか、少しずつ、ゆっくりと、見えないところから”壊れていく”エルウイングの動向といい、今後の展開にも目が離せません。そろそろ何らかの結末がつきそうだけど、続刊に期待したいところ。

ところで乳と眼鏡の出番はどうした(最悪だ)。

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『パラケルススの娘(4) 緋袴の巫女』

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パラケルススの娘(4) 緋袴の巫女』(五代ゆう/NF文庫J)読了。

五代ゆうアーカイブとか読んだ後だとカラーのあまりの違いにくらくらしてきますな…。意識的に文体を変えているのか、キャラクターの立て方が変わったのか、あるいは読み手の先入観のせいか、あまりにも違いすぎて眩暈がしてきそうです。最近は慣れてきたのになあ…。それでも、本編の主人公と3人娘がいないせいかだいぶ昔の五代ゆうっぽい感じではある。前にちょっと書いたけど、黄夫人の登場シーンは幻想的で結構好き。こういう描写って、あまりこのシリーズで見かけないので、古いファンとしては嬉しくなってしまった。

今回は過去編、と言うよりも完全に外伝作品となっている。まあこのタイミングでないと出せない話ではあるのかな。この話が今後本編とどのように関わって来るのか…関わって来ない可能性もあるか。

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『ゼロの使い魔(8) 望郷の小夜曲』

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ゼロの使い魔(8) 望郷の小夜曲』(ヤマグチノボル/MF文庫J)読了。

あっという間に再会しやがった…。前回の思わせぶりなラストはなんだったんだ!と思わず文句をつけたくもなったが、そこは少年少女の愛の前には負け犬の遠吠えに過ぎません。もうお前ら好きにやってくれよもーラブラブしやがってーっという感じ。

力を失ってもがんばるサイトとか、サイトが生きていると信じようとするも揺れるルイズとか、まあエンターテインメントとしての基本は相変わらず抑えつつも、かれらの葛藤があっさり解決してしまうあたりは相変わらずのヤマグチノボルって感じだったけど、もうすでにこの作者にそういう部分は期待していないので問題ない。むしろ、私怨のみで戦争を起し、多くの人間を死に追いやったことを自覚したお姫様が、ついに自らの欺瞞に向き合い君主として立とうと決意する部分が個人的には白眉。作者よ…主人公たちと関係ないところで何をやっているんだ…。まさか群像劇をやるつもりなのか…。

あ、そーいやテコ入れかなんかだと思いますが、またしてもラブコメ要員が追加されておりますねえ。いや、これが無くてはヤマグチノボルじゃないんだけどさ。

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『銀盤カレイドスコープ Vol.7 リリカル・プログラム:Be in love with your miracle』読了

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銀盤カレイドスコープ Vol.7 リリカル・プログラム:Be in love with your miracle』(海原零/スーパーダッシュ文庫)読了。

作品の基本であるスポ根熱血フィギュアスケート小説に立ち返ったかのように思える最新刊だが、そのエロス度まで基本に立ち返ったかのようなかっとばしぶりには正直畏敬の念を禁じえません。まったく、ア、アニメ化もされているのに(見ていません)なんでこんな煩悩全開なんですか作者は…。

とにかく、作者の読者を楽しませようとするサービス精神旺盛なところが良く伝わってくるので結構すばらしいんじゃないでしょうか。

全然関係ないけど、出てくる登場人物は冷静に考えると、人間的にかなり嫌な人が多いような気はしますね。全員エゴイストばかりだ…。

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『シフト(2) -世界はクリアを待っている-』

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シフト(2) -世界はクリアを待っている-』(うえお久光/メディアワークス)読了。

面白い…。一巻を読んだ時点では、この作品が一体どういう方向で進むのかわからなかったんだけど、つまり『魔王』=『打ち倒されるもの』としての役割を(本人の意思によらず)背負わされてしまった主人公が、勇者によって打ち倒されるまでを描いた作品になるらしい。しかし、面白いのはそんな『魔王』としての絶大な力を持ちながら、一方で当たり前の高校生としての生活があることかな。シフトしたいわゆるファンタジー世界における殺伐とした命のやりとりがそのまま現実世界での愛憎につながっていたりして、命の危険にすらさらされている主人公が、それでも己の信じるもの、大切なものを守るために行動するに至っては、なんとも曰く言いがたい味わいがある。これは一体なんてファンタジーハードボイルド学園異能ですか(長いよ)。

これはなんというか、すげー好きかも知れない。説明しにくいが。

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2006.07.08

『殺×愛(4) きるらぶFOUR』』読了

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殺×愛(4) きるらぶFOUR』(風見周/富士見ミステリー文庫)読了。

なんかーあんまり書くことがないー。

まあ今回はラスト一文を効果的に演出するための落差を演出するお祭りの回だったと。文字通りというかなんと言うかだが、本当に普通の学園ラブコメになっているところで落とすわけで、作者としては当たり前の手段ですかね。ただまあ、主人公は別に非情な人間と言うわけではなく、単に人間関係に怠惰、あるいは鈍感なだけなので、いまさら悪っぽく振舞っても遅いような気がする。その鈍感さを自分自身の精神力だと過信して、自己をコントロール出来ると思い込んでいる主人公の独白を読むにつけ、まったくこの頭でっかちが…と思わず言いたくなってしまったのだがそれを言い出すとすべて自分に跳ね返ってくるので自粛しよう。してないが。

まあそんな感じでした。

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調子が悪い。

いや、ココログのね?

1.『夢幻紳士 冒険活劇篇(4)』 高橋葉介 ハヤカワ書房

もう投げっぱなしやりっぱなし思いつきっぱなしのひどい漫画だ。最高だぜ!

2.『川の名前』 川端裕人 ハヤカワ文庫JA

なにが驚きってこの本がハヤカワ書房から出ていたってことだ。SFだったのか…。
なんか勝手なイメージで新潮社からでも出ているのかと思っていた。

3.『暗殺者ヴラド・タルトシュ(3) 虐げられしテクラ』 スティーヴン・プルースト ハヤカワ文庫FT

これから読む予定。

4.『永遠の戦士エルリック(3) 暁の女王マイシェラ』 マイクル・ムアコック ハヤカワ文庫FT

まだ途中。しかし、収録されているの「薔薇の復讐」における”ファンタジー”っぷりはただ事ではない。もうヒロイックファンタジーじゃあ無くなっている…。いやーめちゃくちゃ面白いなあ。

5.『少女七竃と七人の可愛そうな大人』 桜庭一樹 角川書店

まあ当然の選択。もうちょっと文学寄りの話かと思ったら、いつもどおりの桜庭一樹だった。面白いけど、ちょっと言葉を費やしすぎな部分もあったかな。もうちょっとシンプルの方が良かったかも。

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ちょ、ちょっと…え、うそ?

イラストレーターの堀部秀郎氏が、2006年6月17日(土)に亡くなったそうです。(BLACK CAT'S GARAGE

この方のイラストは昔から好きだった(と言っても画集は買っていないけど)こともあり、(僕にとっては)あまりに突然の訃報に衝撃を禁じえません。

ご冥福をお祈りします。
 
 
 
ていうかマジでショックだって!

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2006.07.05

『<骨牌使い>の鏡Ⅱ』読了

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<骨牌使い>の鏡Ⅱ』(五代ゆう/富士見ファンタジア文庫)読了。

面白いけど、やっぱり分冊されると読者としてはストレスがたまるぜ。僕は続きを知っているからまだ良いけど、知らないければ続巻が待ち遠しくて発狂しそうになるかもしれない。あー僕だけですかね?

内容的には、何も知らずにハイランドの王国に連れて来られたアトリが、さまざまな世界の秘密を知ることで、自らの道を見出していくといったところ。このあたりから奇妙な抑揚をもった台詞回しとかファンタジー的な想像力が広がり始めるのが魅力的なところだと思う。ここである程度開陳された世界がかき乱されるのが続巻の内容になるわけだけど、現時点ではそこまでは行かず。秘密が明かされ落ち着きを見せた物語が、読者の予想を裏切って(文字通り裏切って)波乱を見せつつひとまずの区切り。ありえねー引きだ…。

どうでも良いが、アトリとロナーの主人公カップルってのは、冷静に考えてみるとハーレクイン的というか皮肉屋で野生的な男と少女の恋愛と言う感じだ…。まあ五代ゆうの描くカップルは大抵こんな感じ何だけど。あんまりキャラクターを書き分けるタイプではないからなー(最近はそうでもないみたい。パラケルススの娘は意図的に”キャラ”を作っていますね)。

アトリが”骨牌”の一人、アドナイと対話する場面が2巻で一番好きな場面だったりする。アドナイがアトリに語りかえる文章は、謡うようなリズムがあって、読みながら背筋がゾクゾクくる。僕は言葉フェチなんですよ。

あと心底どうでもいいけど、モーウェンナがこんな体では自分を愛してくれる人間はいない、と嘆くシーンがあったけど、現代だったらそうでもないんだろうなーとかむしろ喜ばれるってとか思った僕は本当にどうしようもないと思った。すっかり穢れてしまった…。

まとまりはないですが、以上、雑感でした。

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買ったもの/読んだもの

1.『城物語』 富士宏 マックガーデン

むおお…。富士宏とは作品内世界の”空気”を、表現出来る稀有な漫画家であるとの思いを新たにした。絵の上手い漫画家は、それこそいくらでもいるだろうが、世界の広がりを感じさせてくれる漫画家はそうはいない。こ、これを途中で打ち切らせるのはあまりにもったいない…。た、頼む、別の雑誌社で連載を続けてくれ…っ!物語を終わらせてやってくれ…っ!

2.『モーティヴ-原動機-(0) リフュールド』 一色登希彦 少年画報社

僕はバイクと言うものに対する思い入れはほとんどないのだが、この作品におけるジリジリと胸の内から炙られるような飢えと情熱のほとばしりには圧倒される。たぶん、バイク好きには必読の漫画であり、そうでない人にとっても青春漫画として面白いと思う。

3.『バイトでウィザード 双子の飼育も銀玉次第!』 椎野美由貴 角川スニーカー文庫

まあいつもどおりのバイトでウィザードって感じなのだが、心なしか結構”いい話”が多かったような。なんかの心境の変化だろうか…。

4.『串刺しヘルパーさされさん ~呪われチルドレン~』 木村航 HJ文庫

木村航という作家を一言で表す表現を思いついた。それは”物語を閉じることが出来る石川賢”である。まあ誤解される表現ではあるし、実を言うとそんなに両作家は似ているわけではないのだが、木村航の中盤からクライマックスにかけての圧倒的暴走を表現するのにはこの形容しか思いつかない。なんせ作品によっては融合、合体、挙句の果てには宇宙に到達し、作品世界から飛び出していくんだぜ?ぺとぺとさんを書いた作家とはとても思えねーよ。

5.『ゴールドベルク変奏曲』 五代ゆう HJ文庫

五代ゆうアーカイブってなんだ?と思ったら、要するに未発表作品のことだったのね…。それなのに、読んでいてちっとも古さを感じさせないというか、むしろいつも通りとすら感じられたのは、登場キャラクターがいかにも五代ゆう的なヒーロー、ヒロイン、悪役の造型だったからかな。あんまり五代ゆうってキャラクターの引き出しは多くないよね。もともと”キャラクター先行”じゃなくて”ストーリー主導型”の作家だし。『パラケルススの娘』はちょっと違うかな?ああいう主人公は逆に珍しいよな。

6.『ブライトレッド・レベル』 在原竹広 HJ文庫

読むものが無いから買ったのだけど、何ですかこの純度100%の伝奇小説は。文体といいストーリーといい、どこの菊池秀行ですか。この硬質な文体は結構ノスタルジックっつーか、ぐっと来るなあ。

7.『オオカミが来る! GIB MIR SONNE(1)』 納都花丸 角川書店

最近、納都花丸を密かに注目中。現時点はちょっと気になる程度だが、ちょっと化ければすごい漫画を描きそうな気もする…。

8.『BASTARD!!-暗黒の破壊神-(24)』 萩原一至 集英社 

まだ続いていたのか!?というのが正直なところ。なんかD・Sとウリエルのバトルがいつまでたっても終わらないのだが、もしかするとこれはラストバトルなんじゃねーのかと言う気がだんだんしてきた…。

9.『D.Gray-man(8)』 星野桂 集英社

祝連載再開。あんまり無理はしないでほしいが…。相変わらず容赦ない展開は健在で一安心だけれども。

10.『銀魂-ぎんたま-(13)』 空知英秋 集英社

もうね、なんかね、何でこんなにくだらなくも格好良いのよ。ちょっと男の生き様を描きすぎ、浪花節をやりすぎ。大好き。

11.『DEATH NOTE(12)』 原作:大場つぐみ 漫画:小畑健 集英社

終わっちまった…。
傑作か駄作かすら評価定まらない作品だが、だがこれは間違いなく伝説級の漫画だと思う。いやはや、すげーな。

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2006.07.03

『閉ざされた夏』読了

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閉ざされた夏』(若竹七海/光文社文庫)読了。

事件にまつわる人間関係のもつれが、意外な証拠から新たな展開を見せ、それがある作家の過去と絡み合い、あらたな側面を見せていく過程の描写が細かくてよかったな。ミステリ的な本編とはあまり関係が無い(まったく無いわけではない)夭折した天才作家(作者の創作)、高岩青十にまつわるエピソードがやたらと詳細かつ魅力的なのが面白いよなあ。単なるミステリのガジェットではない独自の魅力があって、こういうミステリと関係ないところに労力を注いでいるところが好きだなあ。

作品の内容としては、ユーモラスでほろ苦い青春ミステリ…と見せかけて昼メロもかくやと思わせるドロドログチャグチャの泥沼で後味は最悪。若竹七海は人間が嫌いなのか!?…嫌いなんだろーなー…と思わず納得してしまうほどいかんともしがたい作風はこの作者の持ち味ですな。書き方そのものは爽やかなのになあ、とこの作者の特異性を再認識した次第である。

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2006.07.02

『クライマーズ・ハイ』読了

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クライマーズ・ハイ』(横山秀夫/文春文庫)読了。

なんだこの熱い男たちは…。

実際の御巣鷹山日航機墜落事故を題材に、地元新聞の記者、悠木が全権デスクとして事件を追う数日間の物語である。まあそこに中年となった男の悲哀と、家族との違和感、過去の過ちなどが絡み合っていく過程に男の熱情が炸裂しまくりであります。もうぶつかり合う男の意地と組織の壁と己の屈託に押しつぶされんとする主人公が、ただ事故のことを知りたいと願うだけの被害者の親子の姿に情熱を取り戻す場面なんて、ありえないぐらいに熱血小説だぜ!(この場面は結構好きだなあ)特に主人公の感情、報道にかける記者たちの情熱の描写がすばらしくねちっこく微に入り細に渡って描かれているのが僕の好みであります。


まあ非常にわかりやすいエンターテインメントではありますな。

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『ボクのセカイをまもるヒト(2)』読了

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ボクのセカイをまもるヒト(2)』(谷川流/電撃文庫)読了。

なんだか良くわからんがすさまじいなこれ。

徹底したライトノベルのパロディっつーか、舞台装置としての設定と、主人公たちに成長と促す試練があって、また、各属性をもった(すなわち記号)キャラクターたちを駒のように配置して操る演出家の目的もはっきりしてきたようで面白くなってきた、ような気がする(まあこのあたりは一巻でも匂わされてきたわけですが)。作者はこれら”メタ”部分の処理をどうするのだろうなあ。

まあその、なんというか、どこまで言っても谷川流は谷川流としか言いようが無くて、延々と地の文で作者が(正確には語り手が)皮肉と韜晦に満ちた文章が魅力と言うか僕は好きなんだ文句あるか。

ところで、登場人物たちはこの上なくフィクションであり記号的なんだけど、それに対して自分が”記号的な存在”であり何者かに”駒”として使われているということに対して、主人公サイド”以外”はある程度自覚的というのが底意地がわりーぜ。自覚的であるがゆえに超えられない、と言うか。逆に無自覚である主人公たちも駒であることには変りが無いのだが、無自覚であるがゆえに”突破”することが求められているということは…これはやっぱり”英雄物語”なわけですな。

押し付けられた役割に対してどのような態度をとって行くのかが今後の焦点になるのかな。もっとも話がどのように進むのかはまったく予断を許さない。

いきなり次の巻で終了でも驚かないぞ。

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2006.07.01

『狼と香辛料Ⅱ』読了

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狼と香辛料Ⅱ』(支倉凍砂/電撃文庫)読了。

何も言うことが無いくらいに面白かった。

本当に何も言うことが無いので簡単に。
今回ロレンスたちがやっていることは紛れもなく犯罪なんだけど、そのあたりはどんなもんなんでしょーね。僕としては手段を選んでいる余裕はないし、主人公たちもリスクを背負っているし、なにより、無関係な人を傷つけてはいないのだから別にいいかな、と言う気はするのだが、一応主人公のロレンスは社会の規範を遵守する一般人なので、ここでやっていることは相当に危ない橋を渡っているのだろうな、とは推察できる(たぶん、小説内で書かれている以上に)。でもそのなかで人の憎しみや恨みを無くして行こうとするロレンスの言は、一見するとたんなる青臭い台詞に聞こえるが、実のところ合理性の産物であって、人の憎しみを買わないこと、妬まれないこと、信用を得ることが商人にとって必要であるということなのだろうなあ。ほらホリエモンとか村上ファンドとか…。そういったところも含めて、「信用」というものが今回のテーマなのだと思う。商人ほどに信用できない存在は無いのに、信用なくては成り立たない「商人」という存在の面白さ、経済への魅力がわかりやすく伝わってくるという意味で、これは見事に経済小説であるのだと思った。

あとロレンスとホロの関係を見せるやり方が最高。言葉のやり取り、物事に対するスタンス、お互いへの気の配り方などこまかな描写を積み重ねることで、それぞれの内面と関係を描写しているところが見事である。本当にこういうところが上手い作家だなあ。

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『さよなら、いもうと。』読了

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さよなら、いもうと。』(新井輝/富士見ファンタジー文庫)読了。

まあ普通に面白い。

奇跡とか魔法とか、そういうものに対する冷めた(言い換えれば、当たり前のものとして感じる)姿勢に作者への同時代人としての共感を感じる。まあそれは本題ではないのだが。魔法だろうと奇跡だろうと、ただそれらは、登場人物たちの葛藤を表層化した設定に過ぎないわけで、妹に好きと言われてしまった主人公が、そに向き合わざるを得なくなり、そしてあまりにも女であり(そして大人として先を行かれてしまった)妹に対して、どこにもいけない自分自身の焦りを見出してしまう、というあたりが相変わらずに新井輝だった。しかし、きちんとモラトリアムからの脱却という健全なテーマに持っていったあたりは意外な印象もある。おかしいな、この作者が成長物を書くと、どっかで何かが破綻するのが常なのに…(ひでーな)。

登場人物たちにもぶっ壊れている人物はあまりいないし、本当に揺れ動く少年少女の物語になっているのには好感度が高いかな。あるいは、その筋の人たちにはとっては『眼鏡』、『妹』、『幼馴染』などなどの記号にも萌えられる萌え小説なんだろうか? 僕にはあんまりそういう話とは思えなかったんだが…。

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『セカイのスキマ』読了

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セカイのスキマ』(田代裕彦/電富士見ミステリー文庫)読了。

妖怪の理屈付けのあたりに京極夏彦の影響を見ることが出来ないでもないが、非日常で起こった事件を日常の事件に語りなおし、無かったことにするという設定は、他に類を見ないわけではないけれど、珍しいように思った。というか、こんな設定は富士ミスからしか出てこないだろうと思うほどで、というのは、富士ミスはもともとミステリレーベルとして創刊しながら、ライトノベル読者を取り込むために伝奇的な設定、ラブコメ的展開を貪欲かつ無節操に取り込んだ結果、なにやら得体の知れないものになってしまったという印象がある。そこから生まれた流れとして、ミステリ的な結末とラノベ的な結末の二重構造を用意した流れがあって(Dクラッカーズとか)、この作品は、その流れに沿ったものではないかと思った。

作品について。
この作者はつくづく僕にとって居心地の良い作品を書いてくれると思う。決して文章が技巧的であるとか、美しい描写とかがあるわけではないのだが、主人公の過去の傷の見せ方とかに、感情にも情緒にも流されない論理性をもって描写をしているところに作者のバランス感覚が感じられるところが僕の好みなのである。まあその分随所に仕込まれるいわゆる”萌え”的な描写が非常に浮ついて感じられるのだが…。これは作者の趣向なののか、それとも編集者の意向なのか…。どちらにしてもあまり上手くは言っていないので、やめた方がいいような気がするなあ。萌え描写=萌えってわけじゃないんだからさ…(描写が無くても存分に萌えを見出すのがオタクである)。つか萌え萌えうぜーな、この文章。

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