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2006.07.17

『DIVE!!(上)(下)』読了

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DIVE!!(上)(下)』(森絵都/角川文庫)読了。

しかし、今回の直木賞受賞は三浦しをんと森絵都かー…。とりあえず、三浦しをんが直木賞ってのはびっくり。いやーボイルドエッグズで滝本竜彦とかと一緒に日記を書いているのイメージが強くて…。いや、「しをんのしおり」はまだ続いているんだけれども。それにしても「しをんのしおり」は大変に頭が悪い日記で最高ですね…。直木賞受賞した翌週の日記のネタがゴ○ブリかよ…(筆者に敬意を表して伏字にしてみました)。
 

『DIVE!!』の話だった。

”ダイビング”という競技にその青春をかける少年たちの成長と友情、そして夢が交錯する物語。大人たちの事情に振り回されながらも、オリンピック出場を目指して戦う少年たちの葛藤が見事であった。一見スポ根もののような設定ではあるが、その実、周囲の期待からのプレッシャー、大人に利用されることへの違和感、夢と現実、そして友情と対立が、森絵都の爽やかな力強い文体によって描かれている。醜い感情があり、屈折がありながら、作者が少年たちを見るまなざしはどこまでも優しく愛情がある。おそらく作者の分身であろうダイビングコーチ、麻木夏陽子が見せる厳しさと裏腹のやさしさが、まさしく作者の視点そのままだ。時折、愛情が暴走して大変なテンションに突入することがあるが、そのテンションが作者の手にかかれば流麗なダイナミズムを獲得するのだから不思議だ。単に水面に向かって飛び込むと言う絵的にも小説的にもエンターテインメントとしてカタルシスを付与することが難しい題材を用いながら、そこには圧倒的な興奮が間違いなくある。飛び込むに至る少年たちの決断と、それにより得たもの、失ったものが、数秒でしかない一瞬に収束する事実が読者にとって明瞭に理解できるためであろう。過程が読者にもわかりやすく、感情移入たっぷりに描かれているので、読み手をいやおうなしに物語に引きずり込む豪腕が、この作者にはある。これは誰が読んでも面白いと言う意味で、非常に普遍的な、つまるところ傑作と言ってしまってもそう過言ではないのではないかと思う。

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