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2006.06.14

『ミッションスクール』読了

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ミッションスクール』(田中哲弥/ハヤカワ文庫JA)読了。

田中哲弥は頭がおかしい。

前編を通してごく当たり前の”面白さ”と呼べるものは一切無く、ひたすら唐突きわまりない展開と感情移入を一切排除した登場人物たちが繰り広げるバカバカしくもシュールな作品。ごく普通のライトノベルとして読もうとすると何一つ面白くないのだが、シュールなバカバカしさの中にひとしずくの哀愁を感じ取れるようになってくるととても面白くなる。感情移入が出来ない登場人物たちの行為に作者のユーモアを感じ取れても大変に楽しめると思われる。電撃文庫のカラーでは、もうちょっと即物的な面白さが求められるので、このように読む側に寛容さが求められる作品は受けが悪かろうと思うのだが、あとがきを見ると相当にアンケートの結果が悪かったというのもむべなるべきかな。昔の自分でもこの面白さはわからなかったものな。明らかに田中哲弥は電撃文庫的には早すぎる作家であったわけで、ハヤカワ文庫に移籍(?)したのは正しい判断だったと思う。

それはともかく、田中哲弥は頭がおかしい。
そもそもの最初の導入からして異常な不条理感(日本語がおかしい)漂わせながら、一切話を収束させずにさらに異常な混沌になだれ込むという話ばかり。唯一オチらしいものがあるのは「フォクシーガール」ぐらいに、それ以外の作品はすべてライトノベル的な記号を用いながらそこから逸脱していく(フォクシーガールも逸脱していないわけではない)のが特徴か。そこには徹底したヒネクレと韜晦によって、なかばライトノベルに対する批評性すら獲得しているように思える。どんどん状況を異常な状態にしていくことで、ライトノベルが持っているお約束の本来の異常性が浮き彫りにされていくように感じた。そこを愉快がれるかどうかでもこの作品の評価は変わってくるように思った。

僕?

超面白かったですよ!

くだらね~と思いつつ感心してしまいました。

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著者:田中 哲弥 『ミッションスクール』 (ハヤカワ文庫) 学園一の美少女の口から出た信じられないような言葉、 -「下痢のため一刻も早く排便したいのです」- それはスパイからスパイへ送る合図。 今、平和な学園を舞台にテロを阻止すべく諜報部員達の華麗な... [続きを読む]

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