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2006.05.20

『まだ見ぬ冬の悲しみも』読了

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まだ見ぬ冬の悲しみも』(山本弘/ハヤカワJコレクション)読了。

『サーラの冒険』の最終巻も無事脱稿した(らしい)山本弘のハードSF短編集。ライトノベルとSFの垣根を意識的に越境したのは、おそらく山本弘が始めだろうと思うのだが、その後、”と学会”などの活動を経て(かどうかは知らんが)SF作家としての幅広い活動をしていて頼もしいのう。昔(サーラの冒険の続きが出なくて焦れていた頃)、色々な雑誌で山本弘の名前を見かけて、それまで富士見ファンタジアかせいぜい角川スニーカーでしか見た事が無かったこともあり、「こんな作品も書いていたんだ…」と感心したのも今は昔。最近じゃあそんなに珍しくもないのかな。

って誰が昔話を書けというた。

「奥歯のスイッチを入れろ」
タイトルらからも分かるとおりサイボーグ009の加速装置をつけている人のハードSFバージョン。超々高速戦闘における戦いを、物理法則に則って行うと…という感じ。あーなんか『銃夢』のザレム編(旧版の方ね)におけるガリィの戦いそのまんまだなあ。

「バイオシップ・ハンター」
なにこの清く正しい異文明接近遭遇SF抒情派は。生きている船、<バイオシップ>という存在が物語の核なのだが、異なる文明をもった生物とのコミュニケーションを描く、と言うにはあまりにおとぎ話的ではあるが、そもそも山本弘は物語には常に希望を持たせる作家であったので、らしくはある。最近はそうでもないか。

「メデューサの呪文」
ひょっとしたらSFホラーだったのかもしれないが、全然怖くはないのであしからず。それよりも言語文明ってイカス(死語)なあ。この世のあらゆる事象の上位概念として言語があり、言語はこの世のすべてをつかさどるってことは、あらゆる物語は真実であり、そこにはフィクションとリアルには区別がないってわけだ。あーいいなあ、それ。

「まだ見ぬ冬の悲しみも」
このタイムスリップ理論には確かに仰天した。しかしパラレルワールドの考え方としてはおかしいようなおかしくないような…。ちゃんと理屈は合っているような出鱈目のような…。この胡散臭さはまさしく”と学会”会長に相応しい詭弁っぽくて良かったよ。

「シュレディンガーのチョコパフェ」
認識崩壊系のSFかな。なかなか無節操に書きまくりますね山本弘は。あんまり可愛くない主人公の彼女がなかなか魅力的なんで、こういうキャラクターの立て方は斬新かもしれない。認識が崩壊する事例が特撮とかアニメだったりするのもある意味山本弘らしいなあ。

「闇からの衝動」
エロい。確か初出がかなり前(奥付を確認…1995年か)で、まだ僕が純情な学生だった頃(笑うところだ)、この奥歯にものが挟まったような淫猥なエロスに当てられて、ちょっぴり胸がもやもやしてしまったのも今では良い思い出だ。改めて見ると…幼キャサリンたんに酷いことするなあ。山本弘の鬼畜ロリコンスキーっぷりが良く表れていて、これまた山本弘らしい、と思った。サーラの冒険で、ヒロインであるデルの過去話(これまた作者の鬼畜陵辱ロリ好みが出ていた…)が出たときはびっくりしたのも良い思い出ですな(と言うか僕の思い出はこんなのばっかりだな…)。

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