« 最近買ったもの | トップページ | 『PRINCESS WALTZ』その2 »

2006.05.04

『永遠の戦士 エルリック(1) メルニボネの皇子』読了

026463480000
永遠の戦士 エルリック(1) メルニボネの皇子』(マイケル・ムアコック/ハヤカワ文庫FT)読了。

新装版になっての再読になる。正直、表紙が天野喜考ではなくなったのは旧作ファンとしては少し寂しい。あと混沌の神の名前が”アリオッホ”になっているのには最初はかなり吃驚した。どちらにしても、いわゆる日本におけるファンタジーを語るテキスト上、常識とさえ言えることなので(本当か?)、これを変えようと思った人は勇気があると思うよ。

で今回新訳となった「メルニポネの皇子」であるが、旧版を紛失してしまったので比較対照は出来ないのだけど、前回感じた訳文の違いは大分消えていたような気がした。安田均訳は重厚っつーか、まるで歴史小説を読んでいるような重さがあるんだよな。井辻朱美訳になると軽やかというか、まるでライトノベルを読んでいるような気さえしてくるからなあ。まったく訳者によってまったく作品ってのは変わるんだよなー。

さて久しぶりに読んでみたエルリック・サーガであるが、やはり昔と違って大分作品の受け取り方が変わっている自分に気が付く。善性への規範と、メルニボネ人としての気性という相反する概念に引き裂かれ苦悩するエルリックという存在に、昔に読んだときよりもはるかに強い共感を感じたのは自分でも驚いた。自分が正しいと考える理想を実現しようとする事はある意味愚かではある。ただ、それ以上に正しさを追い求める愚直さは、単なる悲劇の英雄と言う印象よりも己に準じるストイックさを感じた。つーか、エルリック、ちゃんと活躍しているな…。どーも運命に翻弄されてばかりと言う印象だったのだが、ちゃんと絶望的な闘争への意志があるのには、意外な線の太さがあってちょっと意外だったなあ。

そーか、こういう話だったのか…とちょっと新鮮な読後感でした。

|

« 最近買ったもの | トップページ | 『PRINCESS WALTZ』その2 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/29313/9658664

この記事へのトラックバック一覧です: 『永遠の戦士 エルリック(1) メルニボネの皇子』読了:

» 「メルニボネの皇子」マイクル・ムアコック/著 [スチャラカランナーの日々]
 「メルニボネの皇子」マイクル・ムアコック/著読みました。  表題作と「真珠の砦」の2作が収録されています。この本も長く絶版状態だったと思われますが、今回は以前2巻で発行されていたものを1冊にしたもののようです。  エルリックシリーズは多分私が中高校生の頃に翻訳本が発行されていて、当時はヒロイックファンタジーものは結構ファンがいて、推薦文を書いている栗本薫さんの「グインサーガ」もこの頃スタートし... [続きを読む]

受信: 2006.05.07 23:15

« 最近買ったもの | トップページ | 『PRINCESS WALTZ』その2 »