『タマラセ 幼馴染はドラゴンを喚ぶ』読了
『タマラセ 幼馴染はドラゴンを喚ぶ』(六塚光/角川スニーカー文庫)読了。
のんびりまったり殺伐アクションも今回が最終巻。緊迫しながらもどこかすっとぼけた味わいは最後まで健在であり、そう言うところに作者の手腕を感じさせられる。勿体ぶった謎の真相が、実は単なる勘違いでした、みたいな腰砕けなオチも、『タマラセ』と言う作品にはむしろ相応しい。単なる誤解と思い込みがここまでこじれて人は死にまくる展開になっているとは…。しかも、数万人が死んだ隕石落下の真相まで、実はたいした陰謀でもなかったりするし。ある意味、とてつもなく残酷無惨極まりない話だよなあ…。死者も、殺人者も誰も救われねーじゃん。
…まったく、亘理は間違いなく最悪の下司野郎ですな。自分が最悪だと気が付いていない最悪ですよ。まさに。
しかし、よくもまあ、殺伐としていながらユーモアに満ちた作品をきちんと管理しているものと感心した。確かに余韻もへったくれも無く無造作に人が死にまくるのだけど、それに対して悲壮にも、逆に過剰にもならないバランス感覚は素晴らしいものだと思う。ま、そのあたりは人の好みにもよるのかもしれないけど。
平磐市以外のタマラセの話も是非読んでみたいと思うので、とりあえず作者はお疲れさまでした。新しいシリーズも楽しみにしております…って何でファンレターになってんの。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント